たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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評価、感想ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

ホークスとの再会話です。まだ、続く短めです。

何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770


歓待

 

「ホークスさん、ご飯のおかわりいります?」

「ホークスさん、お風呂入っちゃってください。」

「ホークスさん、今日はお布団干したのでふかふかですよ。」

「ホークスさん、ケーキあるんですけど、先に選んでください。」

「ホークス!見て、おっちゃんの高校時代の演習動画の入ったビデオ!」

「おい、ホークス。お父さんが体動かすつってるからお前も付き合え。」

「ホークス、かかってこい。」

 

 

ふと、ホークスは眼を覚ました。そうすれば、すっかり見慣れた天井が目に映る。

そうして、ゆっくり起き上がれば自分に背を向けた形で寝転がる轟燈矢の姿と、大の字で寝ている男の姿をした夢意転夜の姿が見えた。

 

彼らの近くには、転夜がどこからか調達してきたブラウン管のテレビと、ビデオデッキが置かれている。

昨夜は、転夜がエンデヴァー事務所に眠っていたというエンデヴァーのビデオを見た後に雑魚寝したのだ。

ホークスは頭を一掻きし、死んだ目で天井を見上げた。

 

(なにしとるんやろ、俺は。)

 

 

 

ホークスは全てを諦め、日にちを空けて轟邸に赴いた。

あれだけのヒーローの前でエンデヴァーについてある程度、ある程度かはホークス基準であるが、思い入れがあることはばれてしまった。

 

公安の方でも、そこまでの醜態をさらしておいて何のアクションも起さないというのは難しいということで一端の交流を許可された。

 

「・・・・あなたねえ。」

 

目良さんだとか、諸諸の視線が痛いこと。

 

(一応、そこら辺の教育はされてたはずなんやけど。)

 

ともかくはと、ホークスはそのまま轟邸に遊びに向かったのだ。

 

「やったあああああああ!!!」

 

そうして、玄関先でテンションが振り切って暴れる犬と変わりない転夜に出迎えられた。

 

「よく来た、よく来た!よく来たね!ねえねえ、何する?グッズ見る?動画見る?それともおっちゃんが保存してたヒロスの資料見る?」

「おっす、まじで来たな?」

 

自分に蝉のごとく抱きついてくる転夜にたたらを踏みつつ、玄関先で出迎えた気だるそうな燈矢にホークスは目を白黒させた。

燈矢はそんな転夜に呆れつつ、ホークスから引き離した。

 

「・・・そりゃあ、あんなお呼ばれしたんで。」

「まあ、いいけどさ。転夜、んな簡単にくっつくなって。」

 

ずるりと引きずられた転夜は、まるでようやく訪れた楽しみにテンションの天井が吹っ切れた子どものようだった。

 

「だあってさあ、だあってさ、初めてなんだよ!同じ年代のおっちゃんの同担!あ、ちゃんと見せたいグッズも厳選済みだかんね!」

 

そういった転夜はホークスの腕をぐいっと掴んだ。

 

「ほら、こっち!」

 

そういって笑うその様は、まるで、遊んでと跳びはねる子犬のように愛らしかった。

 

 

事実、なんというか、轟邸の時間が非常に楽しかった。

 

「は、待って、待って???これ、え、まじ?この超初期のフィギュアと、ヒロチのおまけカードの美品とか存在するん?」

「フィギュア、箱も美品で残ってる。」

「っ、まじ、え、まじ?これ、エンデヴァーさんが初めて出した奴なのに、造形めっちゃよいのに!」

「そう!おっちゃんがヒーローデビューしたとき、フィギュア系とかを飾るのが下火って言うか、あんまりないから数も無けりゃあ、出回ることもなくて!」

「オールマイトのなら、アメリカ経由であるけど、エンデヴァーさんのはまじでなくて!写真だけでしか見たことなかよ!?おまけに、ヒロチ、うっわ、わっか!!!うっわ、ヒロスのデザイン微妙に違うってことは!?」

「そうだよ!おっちゃん、最初にヒロチのカード出たとき、ヒロスのデザイン少し変えたから、デザインが変わって!これ、それの最初の奴!!」

「うっわ!!!これ、エンデヴァーさんの二十周年記念の腕時計やん!!」

「持ってないの?」

「・・・・・さすがに、出たとき学生で、買えんかった。」

「ああ、それは、だね。おっちゃんのファン層、男の人が多いから、微妙に高級志向でコラボとかのメーカーが老舗とかで高いもんねえ。」

「・・・・つーか、あんた、これは。」

「おっちゃんの試作品貰った♡」

「は!?そんなんずるかよ!?ファンならちゃんと金ださんか!?」

「は?この宝の山が、おっちゃん本人の手で処分されそうなものを私が救ったからこそここにあるというのに?」

「ありがとうございます!!」

「でも、その時計とかは誕生日のプレゼントだよ。オールマイトのおっちゃんからの。」

「オールマイト!?オールマイトが、贈り物とはいえ、エンデヴァーさんモデルの腕時計を予約して買った!?まあ、宅配だったんでしょうけど、世間にばれたら新聞一面取れるとね。」

「あー、まあ、すっごい複雑そうな顔をしてた。あと、オールマイトのおっちゃんモデルの腕時計貰った。まあ、つって、どうしても手に入んないおっちゃんのグッズもあるんだけどさ。」

「・・・・・それって。」

「わかるか?」

「「エンデヴァーモデルの車、またバイク!!!!」」

 

「やっぱなあ、あれはどうしようもないよね。」

「ほんとにねえ、あんなんどうしろと。」

「あの、ヒーローランキング、上位三名デザインの、限定コラボで出た車とバイク、あれはさすがになあ。欲しいけど、車とバイクは。希少性もさることながら数量限定で元々、持ってる人が手放さないから中古で出回ることもない。」

「あれは、ファンの中でも有名だからなあ。」

「でもさ、オールマイトのおっちゃん、自分のデザインの車なら持ってるんだよ?」

「え、まじ?」

「うん、前に免許取ったときに、保存してたけど欲しいならいるって聞かれて。」

「・・・・・あれ、元の値段もすごいのに、プレミアム価格で値段がすごいことになってるのに?特に、オールマイトモデルは。」

「・・・・うん、だから、丁寧に断ったよ。恐ろしくて乗ってらんないもん。あ、でも、車のデザイン案の書類あるけど見る?」

「見る!!!!」

 

「ああああ、やっぱ、正式なデザインもええけど、こっちも。」

「顔でかでかプリント、正味、ダサいのと、かっけえの気分が二分される~。」

「はあ、やっぱ車とかは残ってないん?」

「さすがにそれはねえ。ものがデカすぎる。おっちゃんもそういうのに執着する人じゃないし。」

「よなあ・・・・」

「はあ、しょうがない。そんな君にはこれを授けて進ぜよう。」

「・・・・こ、これは!さっきの、エンデヴァー25周年記念の、時計!?こんなの貰えるわけないやん!?」

「安心しろ、私には、オールマイトのおっちゃんから貰ったほうの時計がある。」

「・・・ということは、これは、エンデヴァーさんの試作品の、超レア物!?バカにせんといて!こんなの、貰うのは、ファンとしては違うやろ!?」

「ホークス、考えてみろ。この時計、今後売りに出す奴がいると思うか?」

「そ、れは・・・・」

「こんなの買うのは、良くも悪くもおっちゃんのガチ勢。そんな奴らが手放すとでも?」

「ぐっ!」

「仮にぃ?売りに出たとしてもぉ、周りはぁおっちゃんのガチ勢だしぃ?落札できるのかなあ?」

「そ、それは・・・・」

「それに比べてぇ?この時計はぁ?誰も使わない、このままこの部屋の中で朽ちていく運命、下手をすれば、おっちゃん自身に捨てられる可能性も!」

「うううううううう・・・・・」

「もう、わかった、わかった。」

 

その場に崩れ落ち、そうして、頭を抱えてもだえるホークスに、転夜は甘く囁いた。

 

「実はね、これ、昨日おっちゃんに書いて貰ったサイン付き♡」

 

轟邸にある、エンデヴァーのグッズやら、本人から強奪した昔の資料などが並べられた、身内間では転夜の穴蔵と呼ばれる納戸。

そこには勝ち誇った顔した転夜と、その場に崩れ落ち、貰った時計を天高く掲げたホークス、そうして、それを死んだ魚の目で見つめる燈矢の姿があった。

 

 

正直、めっちゃくちゃ楽しかった。

残念ながらその日はエンデヴァーは仕事でいなかったものの、いいや、今売り出し中の燈矢と転夜の休みが被っているだけでも奇跡なのだが。

それはそれとして、やっぱり、あの時殆ど話せなかった本人と会いたかったというのがホークスの本音である。

 

(いや、あん時も、転夜が済まないって謝ってくれたけど。失態になんも考えれんくてそのまんま帰ったし。)

 

ホークスはその日、それはもう楽しんだ。

滅多に見えない超レアグッズもたくさん見たし、公安では手に入らなかった個人的な訓練の動画だって見ることができた。

 

そうして、何よりも。

 

「ホークスさん、ご飯食べていってください。」

「ホークスさん、お風呂どうぞ!」

「・・・ホークスさん、すんません。今日は客間で寝てください。」

「ホークスさん、お菓子食べますか?」

 

何故か、轟家の人たちはひどくホークスのことを歓迎した。

 

何やら鶏肉が好きという話を聞いたのか、鶏肉のソテーがメニューだった。

 

「いやあ、お邪魔したのに、こんなにおもてなししてもらってすみません。」

 

そう、一度探るように言えば、皆はいえいえと首を振った。

 

「いいえ、こちらもお土産を貰って。」

「いえ、それは当然いうか。」

「招いたのは転夜姉だし。」

「それに。」

 

そう言った後、燈矢と転夜以外の轟家の皆が皆、口元を手で覆ったりと何やら感動するような仕草をした。

 

「「「「あの、燈矢/燈矢兄が、家に男の子を呼ぶなんて!」」」

 

それにホークスの頭上には素直に、でかでかとしたはてなマークが浮んだ。

 

「は、はあ?」

「ホークスさん、これがどれだけすごいことなのか、わかってねえのか?」

「そ、そんなにすごいの?」

 

ホークスのそれに末っ子の焦凍が大きく頷いた。

 

「燈矢兄、焼き餅焼きだし、友達いねえから同性の知り合いいなくてさ。」

「焦凍、スレトートに友達いないは無いと思うぞ。お姉ちゃん?」

「おまけに、焼き餅焼きだから、転夜姉に男が近づかないように家に寄せ付けるのなんて言語道断なほどに器も小さくて。」

「・・・夏君?」

「そんな、燈矢兄が。」

「家に、友達を連れてくるなんて。」

「おまけに、転夜ちゃんの、お父さん語りに付き合える人なんて。」

 

是非とも、今後も仲良くしてやってください!

 

 

正直、最初に轟家を訪れた際に、そこまで手厚いもてなしを受けた手前、二度と来ないという選択肢を取らざるを得ないことが気まずかった。

 

(いや、あのグッズ類を二度と見れんくなるのは残念、いやいや、何考えとるんや、俺。でも、私服のエンデヴァーさんに会いたかった。着物、実物。)

 

煩悩と、理性の間をふらふらしながら、それでもここには二度と来ないだろうとホークスは目の前の動画を眺めた。

それは、エンデヴァーの事務所の人間が録画した現場のものだ。

ちらりと、ホークスは隣り合って座る燈矢を見た。

 

先ほどまで、やいやいと、エンデヴァーの技について熱く議論を交わしていたのとは打って変わり、静かな顔をしていた。

転夜は、どうも寝ている時間に到達したらしくぐーすかとよく寝ている。

ホークスは不思議な気持ちになった。

 

焼き餅焼きだとか、そんな話はよく聞くのに、燈矢はあまりホークスに何かをしようとはしてこない。

グッズ部屋にて、転夜とホークスが騒いでいるときも、その後ろ姿をぼぉっと眺めながら、スマホをいじっているぐらいで、自ら話しかけてくることもなかった。

 

「そんじゃあ、そろそろ寝ますかね。俺も、明日には帰りますし。」

「おう、客間の場所は?」

「わかってますよ。」

 

ホークスがおやすみと、そのまま燈矢達の部屋を出ようとしたとき、後ろから声がした。

 

「なあ、お前さ、名前、なんていうの?」

「名前って、ホークスだって。」

「本名だよ。」

 

口元が引きつるような気がした。けれど、それも、今まで積み上げた物でねじ伏せて変わることなく答えた。

 

「そういう個人的なことは、聞かないのがルールでしょ?」

「お前は俺の名前知ってるくせに?」

「それは、自分の脇の甘さを恨んでくださいよ。」

 

ホークスは、そのまま誤魔化してしまおうと思っていたのだ。

誤魔化して、黙り込んでしまおうと思ったのに。

 

なのに、ホークスの事情だとか、隠しておくべき事だとか、そんなものがことごとくひっくり返ってしまったのは、転夜のせいだった。

 

「なまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・」

 

そこで、転夜が、寝ぼけたのか、眠そうに頭をぐでんぐでんとさせながら、ぷるぷるしながら答えた。

 

「ほーくすの、なまえは、けいご、だ、よぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・」

 

それだけを言い捨てて、転夜はそのままのすりと崩れ落ちて、眠ってしまった。

その時のホークスの気持ちを、誰がわかってくれるだろうか?

 

 

 

 

公安が大騒ぎになったのは、当然の話だった。

名前を言い当てられたホークスの動揺で、燈矢はそれをホークスの名前だと理解してしまい、轟家の人間に見事に広まってしまった。

そうして、ホークスも大慌てで公安に、何故か転夜が彼の本名を知っていたことを報告した。

 

公安では妙なざわめきが起った。

当たり前だ。ホークスの過去からしてばれるわけにはいかない。もちろん、公安もできるだけのことをして彼の過去を隠してきた。

 

それが、何故、静岡に住み、たった一度だけの邂逅をした少女にばれたのか?

 

「あの時、あなたがアシストとブルーフレイムに名乗ったという記録はありません。」

「なら、どうしてばれているの?」

「漏れるような可能性が?」

 

これが、普通のヒーローならば、何かの組織だとか、色々と予測ができるのだが。

その名前を知っていたのが、十年前から無駄に実直過ぎるエンデヴァーの元で育った、これまた裏表がないような少女なのだ。

公安でも色々と探りはした物の、出てくるのは彼女が白であるという事実だけだった。

転夜自身にどこで知ったと聞いても、自分で寝言を言ったことを覚えていないようできょとりとした顔をするだけなのだ。

 

「・・・・一応、幼少期に、犯罪に巻き込まれて保護されたという記述はありますが。そこで知ったにしては時期が合いませんね。」

「個性を考えても、情報を得ることは出来ない、はず。」

 

はっきり言おう、皆が皆で頭を抱えた。

不安を消す、という選択肢もとれない。

そこで、公安が選んだのは、監視だったのだ。

 

 

(・・・・おかげで、定期的に連絡を取るように言われたけど。)

 

見事に沼に嵌まっている。

おかしい、自分はあくまでふさわしい地位にまで駆け上がって、影からエンデヴァーを支えるのが目標で。

 

すっかり入り浸ってしまっている。

それこそ、遠方に独り立ちした息子よりも頻繁に遊び来てしまっている。

 

(・・・・約束、果たせもしとらんのに。)

 

ホークスの家には、変わること無く、精進しろと彼を励まし続けたぬいぐるみが転がっている。

 





えー。怖い話かあ。
私は、あんまり。でも、前に、ぞっとしたことがあって。


前にさあ、事務所で、おっちゃんと、燈矢と私でヒロスの新素材のカタログ見てたんだよね。
燈矢がスマホで確認してて、私とおっちゃんがのぞき込むみたいな感じで。

それでさあ、見る角度の問題とか、あと、表情とかさ。丁度、燈矢その時髪がちょっと伸びててさ。

めーっちゃくちゃ冷さんに似てて。
いや、元々顔立ちだけは似てるけど、その時は髪型とか、表情のせいで余計にね?

で、まあ、似てるなあって燈矢の顔ガン見してたらさ。

燈矢、私たちのことも見ずに、スマホのほう見たまま。

冷たーい声でさ。

今、お母さんに似てるなあって思ってるだろ?

って。

うん、喉の奥がひゅって鳴った。おっちゃんも鳴ってた。あの後、二人で必死に弁明したんだけどさ。
今思うと、なんで謝ったんだろ?

それはそれとして、これ以上無いほどにぞっとしたこともなかったんだよね。



ってことが。
なんでか、それを聞いたこっちまでぞっとしてるというか、なんというか。
家の中、そんなに複雑なのか?
なんでそんな昼ドラみたいな雰囲気になってるんだよ!?

以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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