たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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評価、感想ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

原作軸。このままのペースだと終盤までに百話行きそう。
焦凍と夜嵐の話も書きたい。

何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770


面会

 

 

「貴様は何がしたい。何がしたかった。」

 

オールマイトのその言葉に、AFOはじっと目の前のそれを見る。

 

 

監獄、タルタロスにてようやくAFOとの面会が叶ったのは、幾分か経ってのことだった。手続きの関係上、仕方が無いとはいえずいぶん待たされた。

 

エンデヴァーは己の隣でAFOに問いかけたオールマイトを見た。エンデヴァーも、目の前の男には聞きたいことはあったが、それ以上にオールマイトの方が因縁は深いだろう。

そのため、一旦は譲ることにした。

 

目当てである、死柄木弔の居所について、嘘か真かはわからないが知らないという返事が返ってきた。

 

「彼は僕の手を離れているし。あの子には、兄がいる。僕としてはそれで十分だと判断した。」

「兄?」

「ああ、兄がいれば、弟がいる。そうだろう?ただ、しっかりものだからね。雨風を凌げる軒下を探すぐらいはするんじゃないかい。」

 

そんな会話の跡に、オールマイトは冒頭のそれを問いかけた。

それにAFOは少し笑った。

 

ただ、憧れたのが悪の魔王で、理想を体現できる力を持ち、そうして、永遠を生きるために努力した。

男のそれはシンプルだった。

 

「そうして、そうだな。ただ、平等だろう?」

「どういう意味だ?」

「正しさや、希望、夢。それは、いつだって勝ち取らなければ持ち得ない。だが、悪徳や、絶望、そうして死はいつだって人に平等だったから。」

「平等?お前がそんなことを考えるなんて。」

「ほら、わかり合える物じゃないだろう。まあ、これは受け売りではあるけれどね。」

 

肩をすくめるような仕草をした。

 

「・・・・後継だって、そうだ。君にこんな体にされたというのもあるが。資質というのは、受け継がれるものだ。変化というのは可能性だ。なら、これもまた、一つの選択肢だったと言うだけではあるけれど。」

 

そこまで言ったとき、そろそろ時間が迫っていることを自覚し、エンデヴァーが会話に入る。

 

「・・・・貴様は、転夜をどうする気だ?」

 

元より、今回エンデヴァーがオールマイトと共にAFOの面会に立ち会った一番の理由がそれだった。

エンデヴァーはすでに、AFOとオールマイトの関係を知ってしまっている。今後、オールマイトが動けない状態では死柄木たちとの矢面に立つのはエンデヴァーになる。

何よりも、オールマイトとエンデヴァーの一番の懸念。

AFOが転夜に何をしようとしているのか。

それを探るために、エンデヴァーは面会に参加したのだ。

看守達に秘密がばれるのはあるが。仕事柄、それについては厳守されるだろう。

 

「ああ、真夜かい?」

 

エンデヴァーとオールマイトの眉間に深く皺が寄る。

 

「あの子は転夜だ。」

「いいや、真夜だ。」

 

AFOは揺るがずにそう言い捨てる。

 

「・・・・少なくとも、あの子の母が気に入っていた名だ。」

 

転夜の母、志村奈々の娘について出されるとオールマイトは少しだけ黙り込んでしまう。それにエンデヴァーは苛立ち、ここで意地を張っても仕方が無いと一旦それを置いておくことにした。

 

おっちゃん、いってら!

 

脳裏に浮んだのは、ヒーロー稼業を再開した養い子の存在だった。

 

いつも通り、笑って。

誰もが見ていると、笑いかけたくなるような、そんな笑みで今日、自分を見送った少女。

怒りが脳髄を駆け回れど、エンデヴァーはそれを飲み込んだ。

 

なあ、おっちゃん、ならないでね。なっちゃだめだよ。冬美ちゃんに、夏君に、焦凍に、冷さんに、そんで、燈矢にとって、私にとってのあいつみたいにならないでね。

 

オトウサンみたいなこと、あれみたいにならないでね。

 

遠い昔に、願うように、そう言って自分を引き留めた小さな手を覚えている。

だから、エンデヴァーは、その怒りを静めて男の目的を探るために妄言を流した。

 

「今更、何故あれの目の前に現れた?」

「親が己の子どもに手を差し出すのに理由なんているのかい?」

「転夜が貴様の作った施設でどんな目に遭っていたのか知っているのか!?」

 

それにAFOは一瞬黙り込んだ。そうして、また口を開いた。

 

「・・・・君がそんなにもあの子のことをきにするのは、世間の動揺のせいかい?」

「外の情報を渡すことはできん。」

「はははは、そんなに警戒しないでくれ。ただ、こうかな?」

 

しめやかな笑い声の後にAFOは口を開いた。

 

「オールマイトなき後、繰り上がりのエンデヴァーに皆期待を寄せている。忌々しいことに、十年間の君の積み重ねは実っている。君はオールマイトのように一人で全てを兼ね備えることはなかったが。横の繋がりを強めた。でも、やっぱり、オールマイトの安心感には敵わない。日陰者達のお祭り騒ぎが始まる寸前、というところかな?」

 

それにオールマイトはちらりとエンデヴァーを見た。激高するかと思いきや、エンデヴァーは静かにその話を聞いていた。

 

「・・・・可哀想に、あの子は、あまり世間ではよく言われていないんじゃ無いかな?」

「お前の仕業か?」

「僕があの子をあしざまに言うはずが無いだろう?全てを僕のせいにするのはやめてくれないかい?なあ、今回の全ては、オールマイトの偽りの姿と引退のせいだろう。」

 

冷たく言い捨てられた言葉は、無言でその場に転がってしまう。AFOはそのまま続けた。

 

「今後、君達は救いたいと思うものを救うことはできない。見たくないと目をそらし続けた全てを抑えていた蓋はなくなった。君は全てを守ろうとしたが、それと同時に踏みつけた全てが、ヴィランたちが立ち上がる。あの子の父親は私だ。水よりも濃いそれを覆すことはできない。なあ、どんな気分だい?可愛がっていたあの子が、私の娘だった気分は?」

 

がたりとオールマイトが立ち上がった瞬間、看守から静止の声が上がる。それに優悦の笑みを浮かべたAFOにエンデヴァーが口を開いた。

 

「なら、貴様こそどんな気分だ?それだけ散々に愛おしいと宣う娘に認識すらされず、そんなにもいじめたがっているオールマイトと俺のほうが愛されている事実を。」

 

なあ。

激情家、それにふさわしい男から漏れ出る冷笑と、吐き捨てるそれにAFOの口元から笑みが消えた。

黙り込んだそれに、オールマイトは冷静になる。

 

「・・・・貴様の目的は理解できる。お前は、死柄木に私、いいや、私と少年を殺させる。そうして、転夜君を自分たちの元に引き込む。それが筋書き、だな。」

「・・・・で?」

「私は死なない。そうして、あの子は父親のことを知ることはない。」

 

そこで面会の時間が尽きた。それにオールマイトとエンデヴァーはそのまま立ち上がる。

 

「・・・・前も言った。あの子はうちの子どもだ。貴様が先に捨てた。そうして、うちに来た。それ以上でも、以下でもない。」

 

エンデヴァーが言い捨てたそれに、AFOは背を向けた二人に言った。

 

「・・・これも受け売りなんだが。」

 

君達は全てのことを僕が決めているように言っているけれどね。悪も、正義も、決めるのは世間でしかない。言ってしまえば、全ての選択肢は一個人と、それで作られる群衆が決めたものでしかない。

 

「忘れないでくれよ。結局、最後の選択と結果を決めるのは、人々、社会でしかないということを。」

 

がしゃんと、扉が閉まる音がした。

 

 

 

「タルタロスは手続き上面倒でね。それで、どうだった?」

「無駄足だ!」

「エンデヴァー!頼むから燃えないでくれ!これは耐火性はないんだ!」

「む、すまん。」

 

AFOとの面会を終えた後、エンデヴァーとオールマイトは塚内の車に乗り込んだ。

後部座席に座っていたエンデヴァーがかっかしながら燃え上がるのに、塚内が叫んだ。それにエンデヴァーはさすがにまずいと思ったのかそう言って謝る。

 

「情報の類いはまったく。」

「簡単にはいかないだろうね。それは、アシストに関しても?」

 

塚内が探るようにそう言った。それにオールマイトが言葉に詰まるが、後ろから不機嫌そうなエンデヴァーの声がする。

 

「ない!執着しているのは察せられたが。何かしらの情報は吐かなかった!」

「まあ、そっちもそうだよね。」

「疑っているのか、塚内?」

 

それに塚内はちらりとバックミラーを見た。エンデヴァーの顔から激情の象徴のように炎が漏れ出た。塚内はそれにいつもの無害そうな笑みを浮かべる。

 

「・・・そのために、ダミーと、本命のGPSをアシストに持たせているんだろう?ただ、相手が彼女をどう扱いたいのかは知っておきたいという話さ。」

「あれは変わらん。元々、行動の殆どを燈矢と共にしている。燈矢がおらずとも、単独行動は滅多にしないからな。」

「エンデヴァー。」

 

不機嫌そうなエンデヴァーにオールマイトは釘を刺すように声をかけた。

 

「・・・・誰だって疑いたくはない。でも、あの男は。」

「わかっている!!」

 

叩きつけるようなエンデヴァーのそれに、オールマイトはそうだろうと頷いた。

 

「だからこそ、あいつはあのままにしておけばいい。死柄木をなんとかできれば。」

「こちらとしても、事を荒立てたくはないんだ。アシストは、ヒーローとしてよくよく働いてくれているしね。」

 

塚内の言葉にエンデヴァーは腕組みをして、わかっているともう一度頷いた。

 

「それで、ステインとの面会もどうする?確か、アシストも希望していたが。彼女、あちらとも因縁があるのか?」

「数年前に、単独でやりあったんだが。その時にごたごたでな。」

「ああ、それで。」

 

そんなことを言っていると、オールマイトと、それに少し遅れてエンデヴァーのスマホが鳴った。

 

「ちょっと失礼。」

「すまん。」

 

オールマイトの画面には、緑谷出久の仮免許の合格の旨が。

 

「ショートー!!!!」

「うわ!どうしたの!?」

「・・・・仮免許に落ちたそうだ。」

「え!?」

 

オールマイトは驚きの声を上げた。

何せ、轟焦凍は、言っては何だが頭一つ抜けている。

優れた個性、頭脳、見目の良い顔立ち、そうして姉貴分から受け継いだ愛嬌。

そうして、彼のなりたいヒーロー像というのが他者、というかヒーローを支える存在なためサポート役に徹することができる控えめさもある。

我の強いものが多いヒーローの中で、そういった一歩下がった資質は大事な部分がある。

そのため、オールマイトはてっきりあの子は合格するものだと思っていたのだが。

 

「どうしたの!?」

「・・・・敵役のプロヒーローの存在にはしゃいで、好き勝手に暴れ回ったそうだ。」

「あちゃあ・・・・」

 

ちょっと想像がついてしまうからダメだろう。

 

「・・・・君に、燈矢君に転夜君が嬉々として育てるから。」

「優秀な弟子と鍛えるのは楽しいだろうが。」

「いや、まあ、ねえ。」

 

下唇を突き出したそれにオールマイトは否定しにくいなあと考える。

 

「君、また鍛錬用の部屋吹き飛ばしてないの?冷やした空気を熱すると爆風が起るって転夜君が提案して一回吹き飛んだよね?」

「新技を作るときは俺が立ち会うことになっている!あの時は、冷も、夏雄も冬美も家にいなくて本当に良かった!」

「まあ、誰もいないからしていたんだろうけどね。」

 

塚内はそれに、数年前にあった静岡での爆発事件の真相を理解した。そうして、ちょっと、静岡であった爆発だとか、そこら辺の事故はそれなのではと思ったがそっと胸の内にしまった。

 

「ほんと、あれを聞いて肝が冷えたんだからね。保険に入ってて良かったね。やっぱり、炎系の人って入る保険が多いの?」

「うちは、炎だけじゃなくて凍結系のものにも入ってる。転夜の件は、子ども関係の保険だ。事務所の方だとかも火災保険は満遍なく入っとる。」

「私は、そこまでじゃないな。事件解決のための物損関係の保険ぐらい。ああ、生命保険も入ってるぐらいかな。」

「お前、生命保険のことは二度と転夜に言うなよ。」

「どうしてだい?」

 

塚内のそれに、オールマイトは気まずそうな顔をして、エンデヴァーは心底呆れた顔をした。

 

「転夜がヒーローになった際に、入っておく保険の相談をこいつにしたんだが。こいつ、あろうことか生命保険に入っていて受取人が転夜であることを伝えてな。私が死んだら結構な額が入るよーだと。」

 

塚内は、オールマイトのものまねをするエンデヴァーという奇跡に立ち会えたことに感動しながら助手席を見た。

 

「・・・・・あのね。」

「わかってる!あまりにもデリカシーなかったよね!?転夜君の、あの、茫然とした悲しい顔忘れられないんだよ!しばらく口きいて貰えなかったし!」

「あほだ、本当のアホだ。」

 

呆れたようなエンデヴァーのそれにオールマイトは静かにうなだれた。

 

「オールマイトは、アシストが絡むと微妙にポンコツになるな。」

 

塚内は呆れたようなため息を吐いた。

 

 

 

とある男が廊下を歩いていた。

黒い短髪に、暗い色の瞳をした神経質そうな男だ。

黒いマスクを付けている様は、明らかに真っ当な生き方をしている人間には見えなかった。

 

男はそのまま廊下を進み、そうして、とある部屋の前で止まる。

 

「・・・・誰かな?」

 

声をかける前に部屋から聞こえたそれに、男はいつものことだと返事をする。

 

「廻です。」

「入っても構わないよ。」

 

それに男は部屋に入る。

部屋は、特別豪華であるとか、貧相と言うことは無い。ただ、シンプルな作りだった。

ただ、部屋には大きな机が置かれており、そこには幾分かの書類とパソコンが置かれている。

そうして、その机には一人の男が向かい合っていた。

 

その、机に向かっている男の容姿は不思議な物だった。

目を引く白い髪だとか、特筆すべきものではあるが、それ以上に目を引くのはその肌だ。

まるで、夜に包まれているように黒い。日に焼けているという話ではない。

まるで、夜、いいや、闇が人の形を取ったかのような存在だった。

そのせいで顔立ち自体も認識できない。

ただ、その闇の中で瞬くような翠の瞳がきらきらと輝いている。まるで、星のように輝かしい瞳だった。

 

「お前が来た、ということは。」

「ええ、ヴィラン連合から話が来ました。」

「わかった。話を受けようか。」

 

男はそう言ったと、ぐっと背伸びをして、そうして小さく呟いた。

 

「さて、頑張らないと。」

 





・・・・なんかさ、過去一で炎上して、過去一で燈矢に切れられたんだけど。ホークス、そんなにダメだったかな、あのインタビュー。
いや、まあね。お前が女性雑誌のインタビューを受けるのはかまわんのよ。質問の中身もね、普通だしね。
じゃあ、何がダメだったの?

初恋の相手を、エンデヴァーさんにやったことじゃないかなあ~

ダメか!?やっぱ居候先の既婚者の名前をあげちゃダメだったか!?
違うんだよなあ~
ええ、じゃあ、男の趣味が悪すぎるってこと!?
逆に聞くけど、初恋の相手のことそう思うのは自分的にどうなの?
初恋なんて色眼鏡ましましに決まってるから、男の趣味が悪かろうとどうとでも?
初恋への偏見がすごいことになってる。

いやあ、私のアカウントがすごいことになってるんだよなあ。どうしよう、おっちゃんが光源氏してたって変な意見で始めてる。そんな甲斐性合ったらあんなに不器用に生きてねえと思うんだよな。
エンデヴァーさんへの解像度は高いけど、言ってることはギリ暴言になってる。というか、なんで初恋が、エンデヴァーさん?
初恋って言われてもよくわからんから。なんか、昔憧れてたヒーローのこと初恋に上げる人がいたからそれでいいかなって。
それだと、俺の初恋エンデヴァーさんになるんやけど。
というか、それならもっとあったでしょう、相手!オールマイトさんとか!
好みじゃねえ。
本人聞いてたら泣いてますよ。あのね、それ以上にふさわしい相手がいるでしょうが!
ええ、誰って、まさか!
そうそう、と・・・・

冷、さん!?
ダメだ、ガチ感が出てきて余計にアウトやね!?うん、エンデヴァーさんで良いです!エンデヴァーさんで!

あ、なんて言ってたらおっちゃんがなんかSNSに投稿してる。
え、何々?
・・・・その件に関しては、以前に振っているって。いや、あれはヒーローとして好きだって話だからな!?あーあ、これは燈矢とか、広報の人に怒られて後で消すかな?
また天然炸裂させとるよ・・・・



・・・・お前にとって、俺は初恋じゃないわけ?
えー、燈矢?でもさ、初恋って終わってるものでもあるでしょ?
え、それって。
当たり前さ!君は、私にとってずっと続く相棒だからね!
・・・・一瞬でも期待した俺がバカだな。

(・・・・轟燈矢という存在への感情は、恋だけで語れる物じゃないし。そうして、終わることだってあり得ないのなら。君は、初恋なんてそれだけに収まる物じゃないから違うんだよなあ。)

以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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