たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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評価、感想ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

前にお題箱にあった、幼児化する転夜の話です。ちょっと長くなりそう。

何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770


トラウマ

がらんどうの瞳をしていた。まるで、そんな色の虚を見つめているような気分にさせる瞳だった。

 

それこそが少女がするべき、本来の瞳なのか、未だにわかっていない。

 

 

 

「この頃さあ、ヴィラン関係多いよなあ。」

「やっぱり今はなあ。というか、今、ヴィラン関連で変な噂があってさあ。」

「は、なに?」

「なんか、ものすごいサポアイが出回ってるって。」

「どんなの?」

「噂だよ?でも、やけに活発なとこがあるからオールマイトのおっちゃんが引退したから騒いでるだけじゃないのかな?」

「つってそんなのが一朝一夕だけで用意できるもんじゃないだろ。」

「あーだから、考えられるのなんて、前々から秘密裏にやってたとこが表に出てきたか。それとも、外国からの流出もありえる?それとも、急に革新的な物ができた可能性もないわけじゃないけどさ。」

 

エンデヴァーは自室に戻ってすぐに、自分の執務机の前に立っている二人組が目に入った。

その二人は、まるでべたついたアベックのように抱き合っている。

普段のエンデヴァーなら仕事場で何をしていると怒鳴っていただろうが、すっかり慣れきった光景に特別な感慨もなく声をかける。

 

「燈矢と転夜か、どうかしたのか?」

「あーおっちゃーん!」

 

燈矢の腰に纏わり付くように抱きついていた転夜はそれから手を離してエンデヴァーに早足で駆け寄る。そうして、ぴょんと抱きついた。

首に手を回してごろごろと喉を鳴らすように額をこすりつけてくる。

エンデヴァーは普段のことだとそれを抱き上げて燈矢に歩み寄った。

 

「どうかしたか?」

「これ、渡そうと思ってさ。」

 

そう言って、提出予定の書類を燈矢はエンデヴァーに渡した。

 

「ああ、目を通しておく。」

「おっちゃん、ビルボード関係で忙しいの?大丈夫?この頃おうち帰ってないから冷さんが心配してたよ。」

「まあ、色々とな。」

 

それにエンデヴァーはげんなりした気分になる。

というのも、おそらく相当のことがない限りはこのままエンデヴァーは繰り上がりで№1になるわけだが。

 

(・・・・今期もあいつが一位だと思っていた担当者達のせいで、ビルボード関係のグッズの企画やらインタビューが全て俺に来るとは。)

 

現在は燈矢や、腹心のSKにヒーロー関係のことは任せられるためにそちらの処理へエンデヴァーは向かっている。

 

「そう言えば、転夜、この前の報告書出したのか?」

「出したよ。それでさ。」

 

エンデヴァーは抱えていた転夜を降ろした。そうすれば、転夜はエンデヴァーにじゃれつくような姿勢で腰に手を回したまま燈矢と話し始める。

それを見つつ、エンデヴァーは考える。

 

(・・・・まだ、交際の申し込みもなんのしとらんのか。)

 

そう言った話も聞かない。というか、そういったことがあるのならばおそらく転夜から来るだろう事は予想された。

それにエンデヴァーは二人を見下ろし、転夜も燈矢もなかなかに高身長なのだが、そのつむじを見た。

幼い頃、といっても転夜自身は十三才からのことではあるのだが、それでもすっかり見慣れてしまった光景になにやらエンデヴァーはそういえばと改めて思う。

 

もう、結婚なんて話ができるぐらいに子どもというものが大きくなったのだなあと感慨深くなる。

 

(・・・・これがなあ。)

 

思い起こすのは、犬を拾ったと言ってきて小熊を持って帰ったときや転夜を巡ったキャットファイトが雄英高校で起りオールマイトと呼び出しを食らったりだとか。

 

(・・・・だめだ、思い起こしているとめまいがする。)

 

走馬灯のように思い起こすのは、良い笑顔をしている養い子だった。

思えば、エンデヴァーにとって何よりも子育ての比率を割いたのは上の二人だろう。本当に、色々とトラブルまみれの二人であるが、そのおかげで下の子達も何か被害を被っていないかと気にかけるきっかけにはなっているからましなのだろう。

 

「・・・・そういえば、あの地域の犯罪率多くなってね?」

「あー、あそこなあ。元々、大阪の辺りって繁華街多いからチンピラ多いから。ヴィラン関係で集めてる可能性も。」

 

会話を聞けば非常にまともだ。別にバカではないのだ。それ相応の賢しさはある。ただ、日々の言動と数学が致命的にできなかっただけで。

 

(これで転夜の女好きと、燈矢の嫉妬深さがなんとかなれば。)

 

エンデヴァー、いや轟炎司はそこまで考えてねえなあと静かに諦める。

かれこれ十年、治したいと考えつつ、まったく変わらなかったそれらはもう治るとは思えない。

今のところ、姉貴分に似てしまった末っ子が何よりも心配だ。

 

(・・・・転夜や燈矢のように乱闘騒ぎだとか、起らなければ。そう言えば、焦凍はファンクラブなんかはできているんだろうか。)

 

一番波乱に満ちていた高校時代のことを思い出す。そうして、脳裏にいつかの子どもの姿が思い浮かんだ。

 

エンデヴァーは無言で転夜の顎に手を伸ばし、そうして、おもむろに幼子にするようにほっぺたをむいむいと弱く揉む。

転夜はそれにきょとりとした顔をしたが、構って貰うのが嬉しいのか、きゃーとはしゃぐ。

 

 

それにエンデヴァーは思い出す。

幼児と言って差し支えのないほどの体躯、表情のない人形染みた顔、光の宿らない冷たい蛇のような瞳。

 

叶うことのない願いを抱えた子どものことを轟炎司は思い出した。

 

 

 

丁度、雄英高校から連絡が入ったのはエンデヴァーがパトロールから帰ってきてすぐだった。

正直、雄英高校からの電話に訳もなく心臓がばくばくと鳴った。

もしや、痴話げんかでとうとう教室が燃えたか!?

考え得る限りの最悪を考えて電話をとった。

 

転夜が個性事故にあった。

 

その電話に、轟炎司は大急ぎで学校に向かった。

 

 

「エンデヴァー!」

「お父さん!」

「何があった!?」

 

時刻は丁度夕方のこと、生徒はすでに下校しているのか、エンデヴァーがやってきた校舎には人影はなかった。

そうして、慌てて駆け込んできたエンデヴァーが連れてこられたのは、校舎の中でも人通りが少なそうな、建物でも奥にあるだろう倉庫の前だった。

倉庫の前には幾人かの教師がいた。

 

「転夜は?」

 

エンデヴァーは何故こんな所に連れてこられ、そうして、個性事故にあった転夜がいないことに困惑する。

エンデヴァーが電話で聞いたのは、夢意転夜が個性事故にあい、そうして子どもになったことだけだった。

 

「・・・・この倉庫の中、なんだけど。」

「なんだ、怯えているのか?」

「いいえ、その、それが。」

 

教師達が困惑の顔をしている中、そっと燈矢がエンデヴァーに囁く。

 

「・・・・転夜の奴、個性事故で子どもになっちゃったんだけど。その、記憶も子どもの頃に戻ってて。」

「子ども?何歳なんだ?」

「・・・・たぶん、小学校に入る前ぐらい。」

オールマイトのおじさんにもまだ会う前の子ども。

 

それにエンデヴァーは目を見開き、そうして、倉庫の方を見た。

 

未だ、地獄を生きる子どもがそこで息をひそめていた。

 

 

 

「へへへ、ラッキー。」

「それ飲んだら帰りなさいよ。」

「わかってまーす。」

 

その日、ミッドナイトは夢意転夜と自動販売機の前にいた。丁度、授業のための資料を運んでいる際に、サポート科に行ってしまった燈矢を待っていた転夜とあったのだ。

 

香山ちゃん大変そうだねえ、持ったげる!

 

そう言って資料の大半を引き受けた転夜にご褒美だとジュースを渡したのだ。

 

「元気、はっつらつー、オールマイトのおっちゃんだ、ほんとに仕事するなあこの人。」

「オールマイトお元気?」

「元気―この頃忙しいみたいなんですけどねえ。」

 

そう言って転夜はオールマイトとコラボしている茶色のガラスビンのそれを眺めた。

それにミッドナイトはまじまじと少女を眺めた。

 

その子どもは、ミッドナイトが受け持っている子どもの中では、なかなかに特異な事情の子どもだ。

 

ヴィラン事件の被害者、オールマイトの被後見人、エンデヴァーの養い子。

言っては何だが、雄英高校に入学してくる子どもは基本的に家庭環境の整った子どもが多い。偏差値を高く保てる子どもというのは、やはり親がその環境を整える努力をしなくてはなかなかに難しいのだ。

そんな中、ヴィラン関係の被害者だった存在というものを受け持つために、香山は簡易ではあるが転夜の来歴を軽く教えられていた。

 

人身売買組織においてオールマイトにより保護、初期は大人びた言動が目立っていたが轟家での保護が決定後は子どもらしい言動が目立つようになる。

また、注記すべきは。

 

(・・・・身体的、精神的、また、性的、あらゆる虐待体験が予想される。)

 

ミッドナイトは茶色のビンの中身を飲み干し、元気ハツラツー!とCM通りの言動をしている少女を見た。

 

そこまで込み入った部分までミッドナイトに教えられているのは偏に、彼女が今後ヒーロー、つまりは個性の使用権が付与される可能性、そうしてそういった場面に遭遇しても動揺などをしないかなど見極めることも予見されているためだ。

 

転夜自身、精神面ではカウンセリングには通い続けており、別段異常はないそうだ。

 

「香山ちゃーん?」

「なに?」

「なんかぼんやりしてたから。大丈夫ですかい?」

 

ミッドナイトは話しかけられて転夜の猫のようなアーモンドアイを見返した。

それにミッドナイトは訳もなく微笑んだ。

 

夢意転夜は、とても愛らしい子どもだった。

事実、クラスのムードメーカーで、彼女が笑えば周りも笑う。ミッドナイトも、先生と慕ってくれる少女のことは可愛いのだ。

ヒーローとして、きっと誰かを元気づけるような存在になるだろうと成長が楽しみだ。

 

(ただねえ。)

 

他の教師からも言われているが、少々クラスメイトの轟燈矢に依存しすぎているのでは、という話が上がっている。もちろん、その轟燈矢も同じなのだが。

 

(でもねえ、あの体育祭での告白ぶちかまされたのを見ると、このまま突っ走れとしか言えなくない?)

 

ミッドナイトとしては、はよ付き合えという心と、このまま学生みたいな友達以上恋人未満な関係できゅんきゅんさせてくんねえかなという心が二つある状態だ。関係者が知れば、助走つけて蹴られそうな心境だった。

 

「なんでもないわ。」

「そうっすか。じゃあ・・・・」

 

そんなことを言っていると、どこからか何やら足音がした。丁度、階段の向かい側に自動販売機が置かれていたせいで、二人は誰かが階段を駆け下りていることを理解した。

二人は無意識に誰だろうと階段の方に視線を向けた。

そこには、何やら急いでいるらしい女子生徒がいた。そうして、それと同時に、少女が階段の途中で足を踏み外すのも見えた。

 

それに咄嗟に二人は駆けだした。ただ、身体面、また個性の使用のせいで転夜の方が早く女子生徒にまでたどり着いた。

ミッドナイトは転夜が女子生徒を抱き留めるのが見えたことにほっとすると同時に、抱き留めた教え子が消えるのを見た。

 

それに意味がわからなかったが、それと同時に、転夜が受け止めたおかげで保っていた女子生徒がまた階段から落ちかけるのを見て慌てて駆け寄る。

 

「大丈夫!?」

「す、すみません!わ、私、個性使っちゃった!!」

「個性、その個性って・・・・」

 

ミッドナイトはふと、転夜が消えた、それこそ服を残して消えたように見えた現象が個性であることを理解しどういうことなのかと聞いた。

それに女子生徒は必死に抱き留めたらしい転夜の制服をミッドナイトに見せた。

そこには、制服に埋もれるような形になっている女の幼児の姿があった。

 

 

「・・・・これは、また。」

 

厄介なことになったとミッドナイトは頭を抱えたくなった。

 

「どうしようもないね。」

 

リカバリーガールのそれにミッドナイトはそれもそうかと頷いた。

ミッドナイトがいるのは保健室だ。

ミッドナイトは、ともかくは服がぶかぶかで全裸になった転夜の保護のために一旦保健室に連れて行った。

その後は、個性を使ってしまった生徒に能力の詳細を聞き、そうして他の教師にも情報を共有した。

ひとまず、女子生徒を帰らせた後、ミッドナイトはどうしたものかと考える。

 

(個性の、幼児化の解除の方法が厄介よね。ともかく、本人に話を。その前に、轟のほうはまだ来ないのかしら?)

 

ちらりとミッドナイトはベッドの中に埋まる少女を見た。幼児、そうは言ってもあまりにも体が小さいそれは白い保健室のベッドに埋もれるように眠っている。

 

(すっごい、等身大の人形が寝てるみたい。)

 

ミッドナイトはまじまじと転夜のことをのぞき込んだ。

服がないために仕方なく、緊急用の一番小さい体操服を着せて眠らせている。ただ、個性にかかる前に持っていた茶色のビンだけは強く握りしめていたためそのままになっている。

 

「そう言えば、個性のことはどうするんだい?」

「・・・・・この子の場合、過去が過去だから。どうなるか。」

 

そこまで言ったとき、ミッドナイトはベッドに横たわる転夜のまつげがかすかに震えたことに気づいた。

 

「あ、眼を覚まして・・・・」

 

そこまで言ったとき、転夜の瞳がゆっくりと開いた。そうして、その瞳はぐるりと視線を回転させた。

状況把握をするような仕草の後、それはむくりと起き上がった。

 

「あ・・・・」

 

ミッドナイトは一瞬迷った。

個性としては、記憶まで退行するとのことでその子どもの年齢からしてヴィランからの虐待にあっていたはずだ。

 

怯えるか、暴れるか、ミッドナイトは隣に立っているリカバリーガールに目配せをした。それが悪かったのだろう。

 

がちゃーん、と何かが割れるような音がした。それにミッドナイトとリカバリーガールはベッドに視線を向ける。それと同時に、ミッドナイトの顔に枕が叩き込まれた。

それに刺すような、嫌な感覚がした。

 

それにミッドナイトは、ヒーローとしての反射で臨戦態勢を取る。

叩き込まれた枕を手に持ち、そうして遮られた視界の方向に伺った。その方向では、転夜であるはずの幼子が其所が割られた状態のジュースのビンを振りかぶって飛びかかってきていたのが見えた。

それにミッドナイトは持っていた枕を盾のようにしてビンを受け止める。

避けられたことを理解したのか、幼児姿の転夜はそのままの勢いでミッドナイトの頭上を越えて床に四つん這いで降り立った。

 

「っち。」

 

小さな舌打ちをした後、そのまま転夜は脱兎のごとく保健室から逃げ出した。

 

 

 

「・・・・それで、そのまま倉庫の中に?」 

「ええ、幸い、校舎の中に生徒は殆どいなかったから怪我人とかはなかったんだけど。」

「中の当人が相当警戒しているようで。中に入ろうとすれば反撃をしてきます。」

「・・・・・ミッドナイトの個性で眠らせるのは?」

「それも考えたさ!でもね、彼女、それをしようとしたらどうも気付けのために自傷をしているようでね!」

 

それにエンデヴァーはぞっとした。

聞く限り、転夜の年齢は未だ小学生に達していないかというレベルなのだ。その程度の子どもが、眠ることを拒否するために自傷までする。

その子どもの、精神性に彼でさえも異常さを感じさせた。

 

「この倉庫の中は、サポート科の作ったものを一旦しまって置くところでね!あの子の攻撃性を考えて放置はしたくない。けれど、入れば、押し込まれた荷物の陰や、サポートアイテムを使って本人が撃墜してくるんだ。倉庫の中も狭くてね、複数人で、というのも難しい。」

「奇襲は?」

「残念ながら、この倉庫は、この出入り口しかないからね。それも難しい。下手なことをして本人が暴れると自傷が広がる可能性もある。」

 

エンデヴァーはそれに眉間に皺を寄せた。

 

「・・・・こちらも彼女の過去については、そこまで多くは知らない。あの子のあの挙動は、ヴィラン関係の事件に巻き込まれたことによるものだろう。だが、あの状態の彼女を落ち着かせる情報を持っていないからね。」

「それで、俺を呼んだんですね。」

「ああ!個性のこともあるが、ともかく彼女を落ち着かせるのが先決だ!オールマイトやサー・ナイトアイは連絡が付かないし、こちらにも来れないだろうし。」

 

息子の燈矢については一旦待機させられているそうだ。

エンデヴァーはどうしたものかと考える。年の頃を考えるのならば、ヴィランの実験施設にいた頃だろう。

その頃は特に、転夜自身が詳細は語りたがらない。いつかに、サー・ナイトアイが見た少女の過去に関しても転夜への虐待の詳細だけで少女を落ち着かせられるような情報などはなかったはずだ。

 

エンデヴァーはちらりと自分を伺う教師陣を見た。

何か、妙に口数が少なく、ひどく静かな印象を受けるのは何故だろうか。

そこまで考えて、エンデヴァーは今は無駄な思考だろうと考えて改めて頭を動かす。

そこで、ふと、今の少女が動きを止める可能性を見いだした。

 

「・・・・一つだけ。」

 

エンデヴァーは息を吐いて倉庫を見た。

 

 

がらりと、エンデヴァーは倉庫の扉を開けた。

ひとまず、扉を開いてすぐに襲ってくることはなく、一応は様子をうかがってくることを知ってのことだった。

倉庫の中はごちゃごちゃとしており、転夜がどこにいるのかはわからない。

それに、エンデヴァーは静かに倉庫に声をかけた。

 

「108番!訓練はこれにて終了とする!繰り返す!108番、訓練はこれにて終了とする!」

 

よくよく響いたエンデヴァーの声に、かたんと床に何かが降りた音がした。そちらの方を見て、エンデヴァーはゆっくりと目を見開いた。

 

ざっくりと切られた黒い髪、青白い肌、痩せた体躯、枯れ木のように痩せた手に握られた割れたビン。

そうして。

 

「・・・・・まだ、誰も殺せていないが。」

 

淀みきった、あの、輝かしさの失せた濁った金目銀目。

 

「スコアは稼げていない。」

 

エンデヴァーは、喉からせり上がってくる何かを必死に飲み込み、そうして子どもに視線を合わせるように屈み込んだ。

 

「ああ、終了だ。」

「・・・・・了解した。」

 

短くそういった子どもはからんと、割れたビンを落とした。

 

私は、いつかに、人間じゃなかったのさ。

 

子どもが、そう、言っていたことを思い出す。

 

ただのモルモット、実験動物。

 

(家畜の、子ども。)

 

エンデヴァーは、その、感情の抜け落ちたような能面のような顔を見て、子どもの言った意味をまざまざと理解する。

 

少女のかかった個性名は、“トラウマ”。

当人にとって一番に精神的に負荷を被った時期に巻き戻り、その時一番の心残りを解消することで解除される個性。

エンデヴァーは、その子どもの心残りがなんなのか予想も付かずにその子どもにゆっくりと近づいた。

 





・・・・ヒーローってさ、色々とランキングあるじゃん?
ああ、ヴィランっぽい見た目とか。
あと、抱かれたいヒーローランキングかあるね。

あれでさ、ハプニング大賞みたいなランキングもあるじゃん?
あー、なんか、あるね。
あれさ、セクハラされたランキングとか、全裸になったヒーローランキングとかもあるんだけど、上位ランカー誰だと思う?
え、誰?
香山ちゃん?
誰?
ホークス知らねえか、ミッドナイトだよ。
あー、あの18禁ヒーローの。

違うんだよなあ。ジーニストの兄さんだよ。
は?
ベストジーニスト!?

・・・・・全裸に襲われたヒーローランキング一位と、自身が全裸になったヒーローランキング一位を同時に取ってる。

・・・・あの人、服が弱点になるからなあ。
前に、首元以外全部服を溶かす粘液のせいでマッパになってるのを見たことあるね。

おっちゃんとか燈矢もヒロスの性能が追いつかなくて全裸になったことなかったっけ?
俺はないけど、お父さんはあったなあ。
そう言えば、おっちゃんとか燈矢のヒロスって自身の髪の毛とかで作ってるんだっけ?耐えられる素材がそうそうないから。
え、そのヒロス、髪の毛とかつかっとん!?
まあ、お父さんの髪の毛はある程度使ってるらしいけど。
(・・・そう言えば、焦凍とかおっちゃんの髪の毛って不燃ゴミで出さないといけないのか?)

でもさ、ジーニストがヴィランにならなくて良かったよね。
まあ、実力がある人やし。
突然何?
だってさ、ジーニストの兄さんとおっちゃんが戦うとしたら、おっちゃん絶対周りにいる人間の服を焼き払って全裸で戦い出すよ?

・・・・・本当にジーニストがヴィランじゃなくてよかった。
だねえ、じゃないと、強制全裸対戦が始まってたから。
地獄か?






以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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