たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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評価、感想ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

きりのいいところで、間が開いてすみません。短めです。

何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770


突撃

 

ずっと、奇妙な違和感に襲われていた。

夢意転夜は、うーんと考え込む。

 

「どうしたんだよ、転夜?突撃前だぞ、しゃっきりしろよ?」

「うん、そうだね。」

 

ブルーフレイムこと轟燈矢の言葉に転夜ははあとため息を吐いた。

その後、結局、話題の少女は死穢八斎會の本拠地にいることがわかった。

死穢八斎會の一番近くのデパートで女児向けのおもちゃを買っている構成員にサー・ナイトアイが出くわした。

構成員の記憶を見て、少女が本拠地にいることがわかったのだ。

 

(なんか、胡散臭い。)

 

死穢八斎會が、何かを計画しているとして。

サー・ナイトアイの存在をまざまざと理解している上で、あまりにも脇が甘い気がする。いや、構成員として、その辺りの脇が甘かったのか。サー・ナイトアイ自体、そこまで有名なヒーローではない。

大柄なこと以外、スーツ姿のヒーローはそれこそ普通のサラリーマンに等しい。

 

(子どものこともなあ。)

 

サー・ナイトアイは、エリというそれがアビスの娘であると定義していたが、実際の所はどうなのだ?

 

単純に考えて、死穢八斎會の人間の身内か、それとも違う場所から連れてこられたまったく関係のない存在の二択だろう。

 

(子ども、かあ。でも、ヤクザな人たちって下手に籍入れたりしないから、戸籍で追うのも難しいんだよなあ。でも、娘の可能性が高いのか。)

 

サー・ナイトアイの事務所でも周囲に情報収集をしたかったそうなのだが。地域の警察に止められたそうだ。

 

「・・・死穢八斎會の若頭は、この地域では、その。人気があります。ですので、下手な民間人に話を聞くと、そこから探っていることがばれる可能性も。」

 

死穢八斎會は元々、現組長が穏健派で地域の抑止力になっていたらしい。そのため、ヤクザがうろついているとは言え、下手なチンピラやヴィランを寄せ付けないらしい。

また、死穢八斎會は元々、水商売関係でも商売で成功しており、仕事を解雇されたりだとか、引きこもっている人間に簡単な仕事を紹介しているらしい。

 

「・・・この辺りの人間は、下手な役所の人間に相談するよりも、死穢八斎會の方に相談した方がいいなんて言ってる人もいるそうで。」

 

元々、組長でできた伝手を辿って、商売に成功した若頭が問題を解決しているということらしい。

 

「・・・・ヤクザ、というのはわかっても、あそこの若頭は妙に温和というか、人に好かれるというか。おかげで扱いに困っていまして。」

 

なんてことを警察の人間がいうぐらいらしい。

そうして、警察関係者の話で、なんでも数年ほど前にエリによく似た幼女を連れた若頭の姿が目撃されているらしい。

 

(仲は良かったくさいけど。個性が出てから関係が変わったとか?)

 

そんなに気になるのかい?

 

誰かの言葉に、転夜は顔をしかめる。

 

気になるよ。気にならない?

さあ?でも、虎穴には入らずんば虎児を得ず、ともいうからね。

そうだけどさあ。なんか、ねえ。あの、若頭が気になるんだ。

どうして?会ったことでもあるの?

いや、ない。あんな印象的な奴、会ったら覚えてないわけない。

なら、気にしなくて良いんじゃない?少なくとも、賽が投げられたのなら。もう、どうしようもないでしょう?

 

それはそう、と転夜は死穢八斎會の本拠地前にて、ヒーローたちの紛れて警察が捜査に入るためのインターホンを鳴らすのを見届ける。

 

幾度か鳴らすが、応答はない。

 

「居留守か?」

「おいおい、どうするんだ?」

 

苛立ち混じりに、ざわざわとしている音の後、ようやくインターホンに誰かが出たようだった。

 

「っ、どちらさんだ!?」

「ヒーローと警察だ!違法薬物製造・販売の容疑で捜索令状が出てる!!」

「は!?警察!?いや!待ってくれ!俺は死穢八斎會とは関係が・・・・!!」

 

驚愕に満ちた声を皮切りに警察とヒーローがなだれ込む。転夜と燈矢は並んで、その流れに任せる。

「まっすぐ最短で目的地まで!!」

 

ファット・ガムの声と共に、皆が、死穢八斎會の本宅に突っ込んだ。

 

 

 

「・・・・ヒーローたちが突入してきたね。」

「ここのこともばれてるんでしょう?」

「まあね。まあ、ここのことはばれても、ねえ。それはいいんだよ。大事なのは、あくまで最終的にどうなるか、だし。あ、そうだ。組の人間はちゃんと逃がした?」

「ええ、指示通りに。最低限の人間だけ地下に配置してます。 にしても、いいんですか?上にいる他組織の構成員たちは。」

「いいよ。ここで一気に数を減らしておきたいし。治崎、親父達のことはよろしく頼むよ。」

「わかってますよ。あんたも。」

「・・・・安全さ。にしても、治崎、ペストマスクを鉄砲玉のみんなに付けさせるのやめない?」

「ああいうのは、わかりやすくっていいんですよ。」

「俺もかぶろっかなあ。」

「蒸れるって結局止めるでしょ。」

「それは、そう!」

 

とても、朗らかに白髪の男と、そうして黒い髪の男が歩いている。まるで、何でもない日常の中で過ごしているかのような、そんな気軽さで。

 

「まあ、望んだ奴らは足止め要員として残ってますけどね。」

「みんな、治崎のこと好きだね。」

「・・・・・皮肉ですか?」

「まさか、褒めてるんだよ。」

 

 

 

「ねえ、おっちゃん、変だよ!?」

 

地下室への階段を駆け下りた後、行き止まりになっている場所で転夜が叫んだ。

 

「なにがだ!?」

「上の奴らは警察に頼んできたけどさ!中に知った顔がいた!」

「数年前から顔を見なくなった情報屋してたのとか、ヴィラン名が付いてるぐらいの凶悪犯の顔があった。」

 

その言葉に、その場にいた全員が顔を強ばらせた。

 

「・・・・八斎會の人間ではない人間達が、いた?」

「八斎會に入った可能性とか、なんかの会合が丁度あった可能性とかもあるけど。」

 

それにサー・ナイトアイは少しだけ考える。何せ、確かにここに入った頃から何かがおかしいのだ。

突然のことで混乱しているとは言え、なにか、それにしては聞こえてくる叫びが妙なのだ。

 

俺は関係ない、だとか。八斎會の奴らはどこだ、だとか。

 

「・・・・罠にかかった可能性は?」

「罠って、死穢八斎會の奴らがおらずに、違う組織の奴らがたむろってるのがか?」

「おいおい、まさか、スカ掴まされた可能性は!?」

「でも、地下室があったのは事実だ!」

 

皆がざわざわしている中、サー・ナイトアイが叫んだ。

 

「静まってくれ!このまま進む!」

 

それに皆が黙り込んだ。

 

「何があるにせよ!少女の保護と、そうして地下室がある時点で何かがあるはずだ!このまま進む!」

 

サー・ナイトアイのそれに通方ミリオが頷き、行き止まりの奥に向かう。その先にはサー・ナイトアイが見た通りの通路があるのはあるとのことだった。

そうして、その壁はインターン生の二人によって破壊される。

 

「さっすがあ。」

「やっぱ、あいつオールマイトのおじさんの隠し子なんじゃね?」

「否定してたから違うと思うよ。」

 

そんなことを言っていた時だ。ずぶりと、足が何かに沈むような感覚がした。

それに皆が困惑しながら足下を見ると、そこには、深い闇が広がっていた。

 

「なんじゃこりゃあああああ!?」

「これは、アビスの個性か!?」

 

サー・ナイトアイの声に皆がその闇からの脱却に挑むが、まるで底なし沼に沈むように逃げることができない。逃げようと壁に手を伸ばそうとしたが、見れば周りにもその闇が広がっており掴める場所もない。

沈むスピードはそう速くないが、もう少しで体全てが沈むことはわかる。

 

「アビスの能力は影の操作のはずや!ここまでの規模の個性は!」

「近くに居るか、それとも増強剤を使ってるか!」

 

足はまるで水の中をかくようにまるで手応えがない。

 

「燈矢、火は!?」

「まるで、吸い取られるみたいに意味がない!!」

(直接的な個性は効かない。いや、でも。)

 

転夜は正面に見えるまだ、闇に覆われていない廊下を見た。それに転夜は装備から白く小さいボールを取り出し、そうして腕に付いた装備に込める。

その仕草で全てを覚ったのか、燈矢が叫ぶ。

 

「転夜!ミリオンだ!」

「わかってる!」

 

転夜は届いた通方の肩に触れる。それと同時に、通方とボールが入れ変わる。

 

「通方行け!」

「お前ならこれから逃げ切れる!!」

「アシスト!他のヒーローにも!」

「わかってます!」

 

通方が戸惑うような仕草をするが、すぐに覚悟を決めた顔をする。

 

「頼んだぞ!サンイーター!」

 

叫ぶ声を聞きながら、転夜はさらに他のヒーローも転移させようとした。けれど、それよりも先に。

 

・・・・ダメだよ、それは。

 

幼い、子どもの声がした。それと同時に、無数の黒い手が転夜を影の中に引きずり込む。

転夜が見たのは、自分の服の裾を掴んだ燈矢の顔が最後だった。

 

 

・・・・起きないね。

いいの?

いいんだよ、だって、99番の奴、この頃全然遊んでくれないもの。

えー、でも、怒られない?

ちょっとぐらいいいじゃないか!

お隣のお兄ちゃん、連れてきて良かったの?

 

 

声が、する。

幼い、子どもの声だ。それに、転夜はゆっくりと眼を覚ました。そうすれば、薄い電灯に照らされた地下の通路であることに気づいた。

起き上がれば、特別な違和感はない。そうして、自分の隣に燈矢が倒れていることに気づいた。

 

「燈矢!?」

 

飛びつくように相棒に行けば、その声でううとうめき声をだしながら眼を覚ます。

 

「・・・転夜、怪我は?」

「ない!君は?」

「こっちもない。」

 

それに互いに息を吐く。そうして、周りを見回す。辺りがどうも、死穢八斎會の地下であることはわかる。

 

「ここどこだ?」

「完全に引き離されたね。」

「進むしかないんだろうが。」

「早く合流しないと・・・・」

 

二人でどちらに進もうかと言っていた時だ。

 

ふふふふ、困ってる困ってる。

教えてあげようか?

えー、でも、どうしよっか?

 

子どもの声が聞こえてきた。それに転夜は思わず燈矢の方を見た。燈矢もまた顔を青くして転夜を見た。

そうして、それは息ぴったりに、左右に首を振って周りを確認する。

周りに人影はなく、廊下の向こうは薄明かりのせいで遠くまではよく見えない。けれど、人が居るように見えない。

嫌な汗が、背中を流れていく感覚がした。

 

ふ、ふふふふふふふふふふふふ・・・・

 

(ゆ、幽霊だああああああああ!!??)

「と、燈矢さん!?ヤバいよ、ヤバいよ!幽霊だよ!」

「お、落ち着けよ!個性に決まってるだろうが!確か、死穢八斎會のメンバーの個性は確か!」

 

転夜は燈矢と手を繋ぎ、いつでも個性が使えるように構える。気配を探れども、何もいない。

 

(・・・・・おい、走るぞ。)

(わかった、今はとにかく、ここから離れるしかないか!)

 

同意した転夜と燈矢はそのまま適当な方向に走り出そうとした。けれど、それよりも先に、何かが足をがしりと掴む。

 

「へ!?」

 

二人は思わず足下を見た。そこには、黒い手が二人の影から伸びて足を掴んでいた。

 

だめだよ!行かないで!

そうだよ!連れて行きたいところがあるのに!

壊理がさみしがってるから遊んであげて!

 

二人が顔を青くして自分たちを掴んでいる手を凝視していたが、少女の名前に目を見開いた。

 

「君ら、あの子のいるところ、知ってるの?」

 

転夜が思わず声を上げれば、それらはくすくすと笑った。

 

知ってるよぉ。

知ってるに決まってるぅ。

僕らの可愛い、子ども。

可愛い、可愛い、僕らの娘。

 

甲高い、声に燈矢と転夜は顔を見合わせた。

 

 

こっちだよ!

そうそう、そのまま真っ直ぐ!

壊理、喜ぶと良いなあ。

喜ぶよ!おもちゃはあっても、退屈だもん!

 

「これ、ついていっていいのかなあ!?」

「付いていくしかないだろ!?つーか、付いていかずとも、こいつら無理矢理連れて行く気みたいだし!」

 

転夜と燈矢はその子どもの声に従って、入り組んだ地下の中を進んでいく。

子どもの声は影の中からしており、その声はどうやら二人をエリという少女の元に連れて行きたがっているようだった。

抵抗すれば、無理矢理にでも引きずって行くようなことを言うのだ。

 

(それに、罠だとしても俺たち自身どこにいるかわからねえだろ?それならいっそ飛び込んだ方がましだろ。)

(相手側の人間がいれば、なんとか話を引き出すぐらいしかできないね。)

(それに、こいつらの正体も知りたいしな。)

 

声は変わること無く、影から聞こえてくる。影と言うことは、おそらくアビスの個性が関係しているのだろうが。

そうであるとしても、個性からはなにか、意思のようなものを感じる。

焦凍のクラスメイトに、自由意志を持つ個性を持った生徒がいたはずだ。

 

(それかな?)

(それにしても、なんつうか、複数の子どもの気配がするぞ?いくらなんでも、普通の個性の許容範囲を超えてるだろ?)

 

燈矢の言いたいことも分かり、転夜はどうなんだろうと考える。そうして、それと同時に疑問が浮ぶ。

その声は、何か、自分たちに対してやけに親しげであるのだ。

 

(個性の暴走?わかんねえ。というか、今回の事件は色々と疑問なことが・・・・)

 

そこで遠くが開けていることに気づく。

 

あそこだよ、あそこ!

遊ぼう!

おもちゃがたくさんあるんだ!

 

子どもの声と共に、二人はちょうど開けた場所にたどり着く。

そこで、向かい側にゆらりと人影が立ち上がる。

 

「・・・・・何故、ここにいる?」

 

それに燈矢と転夜はひくりと口元を引きつらせた。

 

「・・・・なんで、ここに?」

「それはこちらの台詞だ。」

 

そこにいたのは、ペストマスクをした黒髪の男が一人。

 

「死穢八斎會、若頭補佐。」

「オーバーホール。」

 

若頭、アビスと行動しているだろうと予想された男が忌々しそうに顔をしかめた。

 




男女逆転IF


お父さんが、女の子だから無理はするなって。
そっか、ならさ、男の子になればいいんじゃない?

転夜、私よりおっきくてむかつく!小さくなって!
えー、じゃあ、女の子になろうか?小さいと思うよ?

転夜、男が寄ってくるから男になって!
いいけど、制服どうしようか?

転夜、今日は女の子の気分だから女の子になって。
はいはい、女用の服どこだっけ?

転夜、今日は男同士でデートしたいから男ね。
はいはい、どの服着てくの?


てな感じで、うちの姉貴、親父に女だからってヒーローになるなっていわれたがあってさ。それに反発して、転夜兄の個性で性別変えてるんだよ。ガキの頃からそうだから、その弊害で気分で性別変えてるんだよなあ。

なんで兄貴を姉貴って呼んでるかの衝撃の事実。
いや、個性で性別変えてるのは知ってたけど、あの人、元の性別女なのか!?
アシストも、元の性別男なの!?女の子でいるほうが多いのに!?
それは燈矢姉の趣味だな。
趣味かあ。
自分のノンデリ発現とは言え、そのせいで長女の性別が曖昧になったエンデヴァーはどんな感じなの?
悟りを開きかけてる。
まあ、開くか。
轟君の性別が時々バグってるのもそのせい?
そのせいだな。

以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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