たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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評価、感想ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

通方と九十九、あと、転夜がお兄ちゃん達を思い出す話。


何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770


血縁

 

アシストこと夢意転夜は目の前の少女の存在にきょとんとした。そうして、相棒の轟燈矢に話しかける。

 

「・・・なあ。」

「いや、わかってる。なあ、じいさん、あんたの後ろにいる子どもってエリって名前であってる?」

「・・・・何故、お前が知っている?」

「そっちの子、諸諸諸事情が重なってヒーローの保護対象、つーか、今も違法薬物を作ったって、上じゃあ蜂の巣突いたみてえな騒ぎだぞ?」

「そりゃあ、どういうことだ!?」

 

組の長である老人は慌てた様子で燈矢につかみかかる。

 

「今、いったい何が起こってるんだ!?」

「あんた、何も知らねえのかよ。」

 

転夜は組長を止めようかと思っていると、己の裾を軽く弾かれる感覚に視線を向ける。

 

「あの、あなた、アシスト?」

「こ・・・・・・」

 

なんだ、このどえれドタイプな美少女は!!??

 

転夜は現在自分がどこに居るのかなどを横に置いておき、華麗な決め顔を作って跪く。

 

「なんでしょうか、お嬢さん?」

「えっと、私、アシストのファンで。」

 

そういって、控えめに出された己の愛らしくデザインされたぬいぐるみにちょっと複雑な気分になる。

 

(・・・いや、確かに売れ行きめちゃくちゃよかったらしいし。それで臨時のお小遣いってレベルじゃない額は貰えたけど。)

 

自分のグッズを出すのは苦手だ。売れないから、なんて言い訳が出来ていたときはいいが、アシストというヒーローのグッズが売れるという事実はすでに出来ている。

けれど、それはそれとして、自分のグッズを持って回る子を見るとちょっと気恥ずかしいものがある。

が、その話をすると、エンデヴァーに非常にお前が言うのか、みたいな目を向けられるのでなかなか言えないのも事実だ。

 

憧れのヒーローのグッズを持っていると、明日も頑張れる気がすると言ったのはお前だろうが。お前も、そういう誰かにとってヒーローなんだろう。

 

(ヒーロー、か。私が、誰かの・・・・)

 

ぼんやりと、己のヒーローの言葉を思い出していると、少女の声で我に返る。

 

「あの・・・」

「はぁーい!何かな?」

 

甘い声で、にっこりと微笑めば、少女は照れたような顔をする。

 

(あああ、控えめな、はにかむ感じの笑み、大変良いですね!可愛い!?でも、儚げで、白髪。うわああああああああ、がわいいいいいいいいいい!!)

 

己の内で荒れ狂いながら、さすがに本性を出すと少女に怖がられると転夜は理性を総動員させて、少女に話しかける。

 

「えっと、アシストのこと、応援してて。」

「そうか、私も君みたいな可愛い子に好かれてると思うと嬉しいよ。」

「・・・・可愛い。」

 

照れたようにもじもじとする仕草はそれはもう、可愛らしい。

 

「・・・・二十年、いや、あと十年でも十分。」

「・・・・・なあーんの、話かなああああああああ!?」

 

ぼそりと転夜が呟いたと同時に、がしりと後ろから転夜の頭がわしづかみにされる。ぎちぎちに締め付けられるそれに転夜は悲鳴を上げる。

 

「あだだだだだだだだだ!え、待って!?」

「浮気するなっつったろうが!!てめえ、お母さんだけじゃなくて、どんだけ節操無しなんだよ!?」

「いや、節操無しって!?信仰心と、好みの子ににデレるのは別というか!?」

「別じゃねえよ!つーか、ばっちり聞こえてたからな!あと十年で十分だとか!?」

「あ、聞こえてた!?待って、組長さん!こいつはやべえやつだってエリちゃんのことを私から隠すのおやめいただけます!?」

 

ぎちぎちに締め上げられながら転夜は叫ぶ。それにエリは不思議そうに転夜を見ていた。

 

「こ、こんなことしている場合じゃないし!小さい子に見せることでもないでしょ!!」

「ちっ!!」

 

燈矢は盛大に舌打ちをしながら転夜のことを離す。それに転夜はその場に崩れ落ちた。そうして、ぜえぜえと荒く息をする。

 

「それで、この爺さん、今回のことについてはまったく何も知らないみたいだよ。アビス達が何をしてるのかも。ここしばらくはずっとこの部屋に軟禁されてたみたいだ。」

「・・・・違法薬物、についてもまったく知らん。ここの地下室については全てを掌握しているわけでもねえ。知らん部分もあるはずだ。」

「その違法薬物が、その女の子の個性に関係してると、こちらは踏んでるんだが?」

「は?壊理が?」

 

老人の言葉に転夜はまじまじと少女を見た。

 

「ありえん!九十九がこの子にそんなことをするわけがない!」

「その子の個性は?個性がまったく別系統ならその言い訳も立つけど。」

 

それに組長はどこか言いよどむような仕草をした。それに燈矢が話を続けようとしたとき、転夜がその裾を引っ張る。

 

(たぶん、組長の言ったことは事実だよ。)

(はあ?何を根拠に?)

(あの子、体、全然傷がない。顔色も良いし、ヒーローとはいえ、突然部屋に来た私たちにも怯えていないでしょ?実験動物してるにしては、健康的だし、人当たりも良すぎるよ。)

 

それに燈矢は思うところがありそうな顔をしたが、すぐにため息を吐いた。

 

「ともかく、今回、その子は保護対象になってる。あんたも、一応は保護対象として身柄をこっちで持たせてもらう。令状も出てるんだ、抵抗しないでくれるか?」

「他の組員は?」

「・・・少なくとも、上にいた人間は拘束してるはずだ。」

「・・・・わかった。壊理、行くぞ。ともかく、ここを出よう。」

「わかった、おじいちゃん。えっと、あの。」

 

そこで壊理は転夜を見た。転夜はそれに苦笑いをした。

 

「いやあ、ごめんね。恥ずかしいところを。」

「ううん?パパもよく治崎に同じことされてるから。」

「パパ、っていうと。」

「九十九だ。」

「パパねえ、下半身がゆるい?から治崎によく怒られてるの。」

 

おい、ヤクザでもさすがにそのワードセンスはどうなんだ、転夜と燈矢は祖父を見る。それに祖父は慌てて取り繕うように言った。

 

(しかたがないだろう!育ちが良い奴の方が少ないんだ!)

(それはそれとしてどうなのよ。)

「・・・・エリちゃん、あんまり良い意味じゃないから下半身云々は言わない方がいいよ?」

「そうなの?パパは恋をたくさんするって意味だって言ってたけど。」

 

ものは言いよう。

そんな言葉が浮んだ。

 

「・・・・うん、意味としては、まあ合ってるけど。でも、ちょっと、品のない言い方だからやめようか。」

「そうなの?わかった!」

「元気だね!さて、エリちゃん、ちょっとおじいちゃんと、お姉ちゃんと、お兄ちゃんと一緒に行こうか。少し、お話ししたいことがあるんだ。」

「わかった!私ね、アシストにずっと会いたかったんだ!」

 

にこにこと、にこにこと、笑うその様に転夜は何か嬉しくなって淡く微笑んだ。

 

いいなあと、思う。

ふくふくとしたほっぺた、身ぎれいな格好、健やかそうな表情。

 

その全てが、転夜には、とても、いいなあと思う。

とてもいい。

愛されて、健やかに生きてきた子どもが転夜はとても好きだ。

 

自分たち(家畜の子どもたち)の存在だけが、この世の全てでないとわかるような気がして。

だから、転夜は健やかに生きている子どもがとても好きだ。

少しだけ、救われた気分になる。

 

「えー、そうなの?嬉しいなあ。」

「うん。だって、パパが言ってたから!アシストは、自慢の妹だって!」

 

高らかに、無邪気な少女がそう言った言葉に転夜は固まる。

 

「・・・・妹?」

「うん?アシストは、108番目なんでしょう?パパと百々は、99番と100番なんだって。」

 

その言葉に、転夜の瞳孔はゆっくりと開いていく。

 

「・・・・そう、パパに聞いたの?」

「うん、可愛い、妹だって、パパが。」

 

声がしたのは確かだ。後ろで、組長と燈矢が何かを言っている。なのに、転夜には全てが遠く聞こえた。

 

(生き残りか?)

 

いいや、そうだ。あの時の火事で逃げ出せたのが自分だけだったはずがない。ならば、生き残りが己だけでなかっただけだ。

 

(・・・・99と100。確か、いたな。珍しい、男女の双子で。)

 

ぼんやりと輪郭を伴いそうな記憶の再生は、なにか、停止のボタンが押されたかのように動かない。

 

「おい、転夜!?」

「・・・・大丈夫。生き残りだろう。可能性がなかったわけじゃない。」

 

燈矢の言葉に、記憶を振り払う。今まで、あの地獄を抜け出して、兄貴分に出会い、そうして己のヒーローに会えども思い出すことの無かったものだ。

 

なら、きっと、思い出す必要がない程度だったんだ。

 

己の中で、誰か(てんや)が囁く。

ならば、そうなのだ。

転夜は幼子のように頷いた。

 

「アシスト?」

「・・・・うん、大丈夫。ほら、行こう。」

「お前、顔が青いぞ!?どうしたんだよ?」

「なんでもない。」

 

そうだ、何でもないはずだ。

 

「お前さんが、108番なのか?」

 

何か、いくつもの何かがダブって、ふらつくようだった。

そんな中、老人が自分に話しかけてくる。その老人は、何故か、安堵したように笑っていた。

 

「どうして、笑うのさ?」

「あいつが、よく話してくれたからだ。泣き虫の、甘ったれの妹が居るって。覚えてないか?白髪に、緑の瞳をした・・・」

 

泣き虫め!

 

ばちりと、幼い少年の声がした。

聞こえていない、どこにもいないはずの、少年の声。

違う、知らないはずだ。そんなもの、知ることがないはずだ。

 

「ねえ・・・・」

 

そこに、幼い少女の声が重なる。

 

「どうしたの、アシスト、大丈夫?」

 

小さな手が自分の頭を撫でる。

赤い瞳が自分をのぞき込む。

 

赤い瞳?

 

(違う、あの人は・・・・)

 

あの人って誰さ?

優しい、人。

違う、自分に優しくしてくれたのは、兄貴が最初で。

どうして、自分はあの少年を、ヒーローを信じた少年を受入れられた?

 

例え、遠いいつかの記憶を持てど、誰にも愛されたことの無い子どもが。

他者からの愛を、受入れられた?

 

幼い、少女が自分の頭を撫でている。それに何かが重なりそうになる。何かが、重なりそうになって。

 

転夜はその場にへなへなとへたり込んだ。

 

「転夜?おい、どうした?」

「嬢ちゃん!?どうしたんだ?」

 

いいや、違う。

その少女と、そうして、自分に纏わり付く、幼いあの声だけは聞こえていた。

 

声がする。影から、あの声がする。幼い、声が。

 

やっぱり、忘れてる。

だから言っただろう。

108番は忘れっぽいんだって。

そうだ、そうだ、あの施設でもよく忘れてた。

そうだよ、酷いよ、108番。

 

僕ら(家畜の子どもたち)のこと、忘れちゃうなんて!

 

その言葉と共に、何か、頭の奥でがたがたと揺れている。鍵をかけて、見ないようにして、けれど放り出すことも出来なかった何か。

 

気にしなくていいよ。だって、忘れていったことはさ。

 

目の前に、真っ白な髪と、金と銀の瞳をした少女が自分に囁く。

 

だから、気にしなくて良いんだよ。

 

そうだ、そのはずだ。そう、である、は、ず。

 

なのに、黒い影から寂しそうな声がした。

忘れちゃったの?

 

そう、自分は、忘れている。

 

「大丈夫だよ、怖くないよ?」

 

まるで雪のような白い髪、儚げで愛らしい顔立ち、ああ、それにばちりと何かが重なった。

 

「・・・・おねえちゃん。」

 

 

 

あの施設では、時々、他の管理番号とペアを組まされた。それは、他の個性に触れることで、多様な個性の使い方を学ばせるという目的。

そうして、友好的な関係になった管理番号同士と殺し合わせることで精神的な負荷を与えるためだった。

 

「こんどはこんな泣き虫かよ。」

「兄さん、そんなことをいうものじゃないよ。」

「でもさ、姉さん、考えてみろよ。どうせ、すぐに殺し合わされるだけだろ。」

 

それが、100番と99番だった。

珍しく、二人で行動させられている彼らのことは当時、感情の起伏も薄く、尚且つ遠いいつかの誰かさえも存在していなかった108番にとってはもの珍しいものだった。

 

思い出すの?

 

記憶のページがどんどんめくられていく。 

 

雪のような髪に、金と銀の瞳が自分を見る。自分を、見て、思い出さなくて良いと囁く。

けれど、それを振り切った。

 

そろそろ、思い出さないといけない、ことなのだ。

過去は、さみしがり屋で、だから、今になってあの施設のことを思い出すことになっている。

 

互いの体温を分け与えながら寒さに耐えた日。

痛む体をさすってくれたこと。

恐ろしい研究員たちから庇って貰ったこと。

少ない食料を分け与えて貰ったこと。

 

「本当に、めんどくさいな。早くこんな組、終われば良いのに。」

 

そういった少年はいつだって108をちびと言って食事を分け与えてくれた。

 

「大丈夫だよ。あのね、いつか、外に出ようね。」

 

そうして、その少女。

優しい、甘い匂いのする、少女。

自分を初めて抱きしめてくれた、柔らかくて、笑うと今にも消えて仕舞いそうな、そんな、人。

 

そうだ、そうだ、そうだ。

他者から傷つけられることしか知らなかった子どもは、あの日、同じように虐げられた二人の子どもに、愛されるための下地を与えられた。

 

真っ白な、雪のような、けれど光に当たると輝きを帯びる白銀のような、その髪。儚げで、控えめに笑うその様。

 

忘れていた、忘れていた、忘れていた。

それでも、ひっかき傷のように、そんなものに引かれた理由がなんなのか。

ようやく、思い出した。

 

それでも、どうして、忘れていたの?

 

それにいつかに聞いた言葉を思い出した。

 

あのね、私たち、お父さんのところにいけるんだ!

今になって、ようやく、お呼び出しだってさ。

 

拗ねたような横顔、白い髪、静まりかえった緑の瞳。

自分と同じ、人が嫌いで、拗ねたような顔をしていた二人は。

それでも、父を望んで、研究員達の通達を自分に言った。

 

大丈夫だよ、お父さんに会えたらお願いしてあげるから。

お前も、一緒に過ごせるようにって。

 

それでも、そんな約束は果されることはなかった。

 

父親の元に向かう道すがら事故に遭い、彼らは死んで。それに心が折れた子どもは優しい人たちの記憶を忘れた。

忘れた方が楽だった。

だから、忘れて、しまった。

 

転夜はゆっくりと起き上がった。

 

「おい、転夜、まじで大丈夫か!?」

 

話しかけてきた燈矢に転夜は告げた。

 

「燈矢、まじで薬とか、もろもろ作ってないかも。」

「は!?突然なんだよ!?」

「いいか、おそらくだけど、九十九は私の同郷であってると思う。」

「・・・・あの施設の?」

「じゃないと、108番の記号なんて知るはずがねえよ。」

「それで、なんで薬の話になるんだよ?」

「私が知ってる99番は、少なくとも、こんなやっすくてわかりやすい計画なんて立てねえから。」

 

転夜は青い顔のままふらふらと立ち上がる。

 

「今回、絶対、何かの裏がある!」

 

 

 

「すごい、すごい。すぐに来れるような道順じゃなかったんだけどな。」

 

自分にそう言って軽く拍手をする九十九を通形ミリオは荒い息を吐きながら見つめた。

 

「近道したんで。その子、保護しに来ました。」

「おや、あの時はそんなこと言わなかったのに。まあ、そちらも色々と探っていたようだから仕方がないか。それで、どうする?ヒーローなんて都合の良いもの、この世には存在しないのに。」

「・・・その子には、必要なはずだ。」

「そう。お好きなように。」

 

九十九は淡く笑って、そのまま歩き始める。それを通形は追おうとする。けれど、足を何かに掴まれ、たたらを踏んだ。

足下を見ると、己の影から手が生え、通形の足を掴んでいた。

個性を使い、それから逃れる。

 

「なるほど、そうだ、君の個性はものをすり抜けられるんだっけ?なら、これは?」

 

九十九がそう言うと同時に、ぐらりと真っ直ぐに立てなくなる。通形は個性を使う誰かがいるのかと周りを見回すがそんな存在は居ない。

 

「君みたいな人は、やっぱり物理よりもそういうほうがいいでしょう?」

「くそ!」

 

遠のいていく、少女と、そうして男二人が。

 

「待て!」

「もう、今更どうしたんだい?あの時だって、この捜査を滞りなく進めるために子どものことは見捨てただろう?」

 

通形の胸に、まるで汚泥のように重たいものが広がる。

 

「少女を助けたい。それが嘘とは言わないが。まあ、その罪悪感、ヒーローを続けるなら取り払った方が気楽でいい。ヒーローはいつもそうだ。君達は、いつだって、誰かの地獄に間に合わない。」

 

どこか、苦々しい声だった。

間に合わない、そうだ、自分はきっと間に合っていない。一人の子どもの地獄に、ヒーローは間に合っていない。

本当は、きっと、地獄に墜ちる前に救われるべきだ。

けれど。

 

(間に合わなかったって、救わない選択肢なんて存在しない!)

 

通形は、それに、飛んだ。

 

個性を使い、距離を詰め、そうして二人に足を振う。

少女だけを透過し、男二人にだけ蹴りを入れる。が、九十九だけはそれを避けた。

 

放り出された少女を通形は抱き留める。少女は黙り込んだまま、怯えるように体を震わせた。

 

「大丈夫!俺が・・・」

「自分の弱さを受入れてる人間というのは、良くも悪くも面倒だね。」

 

通形の言葉を遮り、九十九は困った顔をした。そうして、通形のことをじっと見つめる。

 

「・・・ヒーローなんてこの世には居ないよ。夢を見ても、星はけして墜ちてこない。地獄から連れ出されも、業火は永遠に誰かを焼き続ける。」

「何を言ってるんだ?」

「こう、思ったことはないかい?もしも、自分が神様なら、こんな世界作らなかったって。私はさ。もう一度、世界を始めたいんだ。そのためになら、なんでもする。」

「自分の子に、何をする気なんだ!?」

 

通形の激高したかのような声が響く。それに、九十九は淡く微笑んだ。

 

「うーん、違うかな?自分の子、だからこそだよ。」

 

通路を、闇が包んだ。

 

 

 

 

(影を操る!?そんな比じゃない!!)

「ほら、遊ぼう、71番。鬼ごっこだ、楽しく、面白く、散々に遊ぼう?」

 

甘い声が通路に響く。そんな中、通形は必死に四方八方から伸びてくる黒い手をから逃れ続ける。九十九はまるで指揮棒を振るかのように手を動かして、黒い手腕を操っているようだった。

 

(影じゃない!肥大化した闇を拡張して、そこから無尽蔵の手を生みだしている!?本当に増強剤を飲んだのか!?だとしても、時間が長すぎる!!)

 

「見事な個性コントロールだ。相当の鍛錬を詰んだようだね。」

「感心してる場合ですかね!?」

「撃てる?」

「こんな動きの中で無理に決まってるでしょう!?あんたがやってくださいよ!」

 

玄野が拳銃を構えながらそう言った。その銃弾がなんであるのか通形も理解する。

 

自分の隣を通り過ぎたそれに通形は叫ぶ。

 

「この子に当たったらどうする気だ!?」

「その時はその時かな?どんなに怪我をしても、治崎の個性を使えば治せる。粉々に、欠片でも残っていれば。試したので、ご安心を。」

 

それに通形の顔に憤怒が浮ぶ。九十九はそんな顔を見つめて、やはり、淡く微笑む。まるで、何か、心底愛しいものでも見るかのような朗らかな顔だった。

 

「でも、そろそろ、終わらせないとダメだよなあ。うん、ちょうど、いい時間だ。」

 

九十九がそう言ったとき、今まで黙り込んでいた少女が口を開いた。

 

「・・・ねえ、本当に、助けてくれるの?」

 

初めて口を開いたそれに、通形は驚いて、けれど、大きく頷いた。

 

「当たり前だよ!」

「なら、私と、お友達になってくれる?」

 

幼くて、拙い、少女の声に、通形は頷く。

 

「当たり前だ!」

 

それに、九十九は淡く笑った。

 

「ようこそ、同胞、力を貸して。」

 

その声は、黒い手腕から逃れる通方には届かない。その声と同時に、黒い、闇の波が通形を飲み込んだ。

けれど、その波はすぐに引き、茫然とその場に立ち止まる通形がいた。

驚愕の顔をしていた。

その顔の意味が、九十九には理解できた。

 

「さて、ヒーロー?無個性でも、君はヒーローになれるのかい?」

 

何故か、個性が使えないことに通形は強ばった顔で九十九を見た。絶体絶命のそのピンチ。

そんなとき、壁の崩れる音がした。

 

「・・・・丁度だ。さて、正念場だ。」

 

九十九は笑う。何せ、血統だけで言うのなら、そこに立つ、そばかすだらけの優しげな少年は、ある意味で天敵であり、それと同時に、領域外の血族であり。

 

「待っていたよ、ヒーロー?」

 

そう言って、ヴィランはやはり、笑うのだ。

 





これでもさ、結構な高額納税者なんだよ。
まあ、№2事務所の、№3ヒーローとペア組でグッズまで出してるんだからそれ相応の金はいってるでしょ。つーか、自分だって広告で結構稼いでるし。
そうなんだけど、まあ、寄付とかで結構な額を使ってるから、そこまで尖った金額は手元に残ってないんだけどさ。
それで、急にどうしたんだよ?
富豪の遊びをしたい。
貧乏人にビルの間にかけた鉄骨でも渡らせるの?
燈矢の中の金持ち像どうなってるの!?というか、あの漫画読んだの?いや、そういうのじゃなくて、昔からやりたかったんだけど、ちょっと、やるには勇気がいるというか。
何?そんなに言うなら俺が出そうか?
いや、財布はすでに用意している!!

私たちのこと財布っていうの止めてくれない!?
転夜、お前、今度は何する気だ!?

ふ、ずっとやりたかった!?でも、やるには勇気がいるし、ちょっとした準備もいる!というか、対象になる存在の人数だって必要だ!でも、焦凍が高校生の今こそ、やるときだ!というわけで、炎司のおっちゃんに、オールマイトのおっちゃん!財布よろしく!
財布と人を呼ぶな!



で、これがその、雄英高校の腹ぺこな一年生を連れて腹一杯回転寿司を食わせたときの写真?
いやあ、食い盛りの高校生が腹空かした状態で回転寿司頼んだら総額いくら行くのかずっと気になってたから。
あと、仮免試験のご褒美ね。焦凍とかがダメだったから、それ関係で時期がずれたけど。
いやあ、多分、払えないわけじゃないけど、それはそれとしてチャレンジするのは勇気がいるというか。最強格の資金源がないと、踏み出す勇気が出なくて。
まあ、高校生の二クラス分だもんね。
ホークス、総額いくら言ったと思う?
・・・あー。こんくらい?
ふっふっふ、総額はこれだ!
・・・・・いや、自分らのヒーロースーツとかにかける金をとか考えるとまあって感じもするけど。食費と考えると。
うん、おっちゃんたちも別に懐として痛くはないけどびびってた。
恐るべし、高校生の食欲だぞ。
あ、あと、その時寿司屋とコラボしてたヒーローのガチャポン上げる。エンデヴァー、結構ダブったからさ。
・・・・これが目当てだった?

以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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