たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。   作:幽 

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評価、感想ありがとうございます。感想いただけましたら嬉しいです。

九十九と出久。


何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770


暴走

 

 

何もかもが可笑しいと、緑谷出久も感じていた。

何せ、突然飛び込んできたトガヒミコも、トゥワイスも、牽制をするとすぐにどこかに消えて仕舞ったのだ。

通路を覆っていた影さえもまるで潮が引くように消えた。

何かがあったことはその場にいたヒーローたちはもちろん、警察もまた察せられた。

 

「ここの若頭さん、怖くて、冷たくて、蛇みたいで嫌いなんですよねー、デク君も、気をつけた方がいいですよ?」

 

最後にトガヒミコが遺した言葉が妙に気になる。

ロックロックが負った怪我のこともあり、出久達だけ先行した。

そうして、行き止まりを蹴り飛ばせば、そこには通形ミリオと、そうして九十九が対峙していた。

 

振った拳は腕で庇ったとはいえ、九十九に当たる。

彼は吹っ飛ばされても慣れた様子で受け身を取った。

 

(影が消えた!)

 

出久は自分の隣にいる相澤がやったことを理解した。

 

「このままたたみかけろ!!」

 

相澤のそれに出久は九十九に飛びかかる。彼は少しだけ笑い、そうして、出久に何かを投げつけた。

 

ぱあんという音と共に、何か、煙が辺りに広がった。

 

(見え!?)

 

煙幕であることはすぐにわかった。けれど、それ故に出久は九十九の姿を見失う。

 

「一瞬でも、構わなかった。」

「九十九!」

 

影が、出久を絡め取る。地面に叩きつけられる衝撃があった。肺の中の空気を思いっきり吐き出すと同時に痛みで意識が一瞬薄れる。

けれど、すぐに意識を立て直して、周りを見ると、通路は闇で満たされていた。

 

「先輩!」

 

出久から少しだけ離れた場所に、影の手から逃げるサー・ナイトアイたちが見えた。

 

「・・・・人生とは、たった一つの光に向かうための巡礼であると考えているんだ。」

「何を言ってるんだ!?」

「いや、君達も、私もそう変わらないって話さ。」

「どこがだ!?」

「さあ?一生わからないんじゃないかな?でも、残念だ。ルミリオンはその巡礼のための道をなくしてしまった。個性を永遠に失う。あの子は、これからどうやって道を歩むんだろうね?」

 

戯言のようにそう言った九十九のそれにその場にいた全員の顔が曇る。

 

(永遠に失う、って!)

「さあ、少年!慰めてあげてくれ!無個性ってのは惨めなものだろう!?」

 

楽しそうな声だった。こんな、きっと、その場にはとても不似合いで、けれど、その男だけがそれこそ正しいというように笑っているのだ。

夜闇の中で、若葉のような瞳が楽しそうに瞬いている。

どこかで、怪物の瞳は翠の色をしていると言ったのは誰だろうか?

けれど、そう思うほどに、目の前のそれは悍ましかった。

 

かっと、頭に血が上る気がした。

 

(お前が!)

 

無個性でも、ヒーローになれるだろうか?

 

いつかに、オールマイトに投げかけた問いが彼の中でリフレインする。出久は地面に拳を突き立て、床の素材を割った。出久はそれを影の手への牽制に使う。

 

「お前が言うな!!」

「おや!後輩に慰められる方が確実にましかと思ったのに!」

 

出久は九十九に殴打を叩き込むが、それを九十九は影たちを使い、確実に受け流す。

力と速さは確実に出久が勝っていただろう。けれど、それを受け流す術に長けた九十九には届かない。

その時、横から弾丸のように何かが飛んできた。

 

「・・・・判子、とは。今まで何かしらものを投げられてきた身としては、初体験だなあ。」

「イレイザーはどこへやった。側近もいないのは?」

 

判子を飛ばしてきたサー・ナイトアイの後ろに、出久が走り去っていくのを九十九は眺めつつ答える。

 

「まあ、使われると厄介だからね。」

「他人の個性を壊し浸っている人間が個性を消されるのを恐れているのか。」

 

ルミリオンが怖かったか、その言葉に、九十九は変わること無く影の手を使い、攻撃を受け流しながら笑う。

攻撃の姿勢を見せず、あくまで受け身の姿勢を崩さない九十九がサー・ナイトアイにはとても不気味に見えた。

 

「恐い?ふふふふふ、ええ、恐いですね。でも、それももうすぐ終わりなのですよ。」

 

笑う、笑う、ヴィランのそれにサー・ナイトアイは一種の隙を見つけ、そうして、九十九の腕に触れる。それに九十九は一瞬だけ顔をしかめたが、元より、表情の動きがわかりにくい男のそれだ。サー・ナイトアイが気づくことはない。

 

(未来、いいや、ここで戦闘不能にすればいい。今のところは直近の未来しかみえないだろう。)

 

サー・ナイトアイは、男の行動を見る。

その影の手に自分が捕らえられそうになるたびに違う選択を行い、そうして、避ける。

けれど、ただの人間であるサー・ナイトアイに限界が訪れた。

影の手がサー・ナイトアイの四肢を拘束し、それと同時に、目に鋭い痛みが走る。

 

「それでは、よい夢を。」

 

耳元で囁かれる言葉と同時に、何かが顔に吹きかけられる。それに意識が薄れていく。

 

(・・・頼む!)

 

サー・ナイトアイは希うように、祈るように、未来を見る。

 

うわあああああああああああああああ!!!???

絶叫する出久から伸びる黒い紐のような何か、それが、暴走するように、壁や地面を剥がしている。

そうして、それに拘束され、締め上げられるヒーローたち。

 

(いったい、なにが・・・・)

 

そのままサー・ナイトアイの意識は闇の中に墜ちていった。

 

 

 

 

「・・・・潮時、かな?」

「え?」

 

出久は壊理の発した言葉に視線を向ける。そこには、今までの無表情などなかったかのように、何か、疲労を感じさせるような、そんな顔をした少女がいた。

 

「どうしたの、エリちゃん?」

「いいや、そろそろ契約終了って話、ですかね?」

 

幼い少女のはずだった。なのに、その口から飛び出た声はまるで枯れた、甘い成人した男の声で。

驚きで緩んだルミリオンの腕から少女は飛び出し、そうして、少しだけ距離を取る。

 

「え、りちゃん?」

「おおっと、そういや、もうこの姿を取らなくても構わないんでしたっけ?」

 

その言葉と共に、少女の体はまるで蜃気楼か何かのように揺れる。そうすれば、そこに現れたのは長身の男だった。

スーツに黒いコート、そうしてオールバックの髪に狐のような細まった目をした狐のような男だった。

 

「お前は!?」

「どういうことだ!?」

 

あまりにも想定外のことに二人は目を見開いた。目の前のそれは、死穢八斎會のメンバーの中にさえもいない存在だった。

 

「ああ、これは失礼。自分、死穢八斎會で影武者やらせていただいております、ちんけな石ころでありまさあ。名前を、全化と申します。」

「個性でエリちゃんにばけてたのか!?」

「ええ、そうですよ。まったく、あの人は昔っから無茶ぶりするんで困ってますよ。」

「エリちゃんはどこだ?」

「さあ?俺にはそこらへんはまったく?」

「ふざけるな!」

 

出久が男に飛びかかろうとしたとき、男はいつの間にか着ていたコートを脱ぎ、己に向かってきていた少年に被せる。

一瞬、出久と通方の視界が遮られる。そうして、コートを放り投げた先に男はいなかった。

 

「消えた!?」

「まあ、俺とかくれんぼもいいですがね。それよりも、あんたらの大将を助けに戻った方がいいんじゃないですかね?」

 

どこからともなく聞こえてくるそれに出久は迷うように足を動かす。

サー・ナイトアイに現状を報告し助力に向かうか、それともルミリオンと共に警察たちに知らせるか。

 

「サーの所に行ってくれ!」

「でも!」

「今、いけるのは君だけだ!それに、現状を伝える人間が必要だろう!?俺なら大丈夫!」

 

ルミリオンは笑った。当然だ。だって、目の前には不安そうな己の後輩がいるのだ。ならば、笑わなければ。

自分がヒーローでありたいと思うのならば。例え、今、無力であるというのならば、なおさらに笑わなければ。

出久は少し戸惑うような仕草をした後、すぐにうなずき、そうしてサー・ナイトアイの元に向かった。

 

 

見たのは、その場に倒れ伏した、サー・ナイトアイの姿だった。

 

「ああ、帰ってきたんだ。でも、残念。もう、手遅れだね。」

 

出久は歯を食いしばる。

まだ、動ける。そうだ、体中が痛み、長くは持たないだろう。けれど、それでも、まだ動けるというのならば!!

 

OFAの出力を20%に上げる。

 

「助けに来た少女の行方もわからずに、それでも君は、何をそんなに頑張るんだい?全部、無駄なのに。」

「無駄になんてさせない・・・!そのためにここにいる!その未来をねじまげる!」

 

伸びてくる手の形をした影を、出久は床を壊した破片で防ぐ。四方八方から伸びてくる手と、確実に迫る九十九は楽しそうに笑った。

 

「ほらほらほらほら!鬼ごっこをしてどうなるんだい?こうしている間にも、探しているあの子はどうなっているか、わかるかい?」

(焦るな!怒るな!確実に、今は確実にこいつを倒して、エリちゃんの居場所を吐かせるんだ!)

 

速さと力は確実に出久の方が上ではある。けれど、手数と技術に関してだけは九十九が圧倒的に勝っている。

 

「もう、どうして嫌がるんですか!?個性がなくなった世界!素敵じゃないですか!人類はようやく忘却していた本当の意味での平等を思い出す!たった一人の子どもを犠牲にして!ああ、とっても素敵なことなのに!」

「・・・・たった一人の犠牲?」

「ええ、ええ、ええ。君にとっても朗報だ!だって!君こそが、何よりも、その平等を待ち受けていたはずなのに!」

 

狂ったような笑い声がする。それに出久は瞳孔がゆっくりと開かれた。

 

平等?

皆が等しく同じになる。そうか、なるほど、それは確かに遠い昔に自分たちが忘却した平等なのかも知れない。

 

「ふざけるな!!!!」

 

一撃だ。一撃で終わらせる。

出久は天井に足を付け、九十九に飛びかかる。

 

(脳天一撃!)

「・・・・仕方がないか。」

 

九十九は己に降りかかる出久の足を避けなかった。だというのに、それは当たらない。

 

(え?)

 

出久は見た。その、出久のかかと落としが九十九の頭を通り過ぎていったのを。

その、驚きで、出久の反応が遅れる。

幾多の影の手が出久の体に伸び、そうして拘束した。

目の前で、夜に瞬く緑の瞳が楽しそうに細まった。そうして、出久に腕を伸ばした。そうして、その腕もまた出久の体を通り過ぎる。

 

「先輩の・・・・」

「ねえ、少年。教えて欲しいかな。どうして、君の宿敵の子どもが、たった一人だけなんて考えが浮かぶんだい?」

「お前、は!?」

「・・・・私は、九十九番、AFOが創りだした、魔王の子どもたち(アズダハー)の一人。」

 

しんと静まりかえった表情から、九十九はパチンと両手を鳴らした。

 

「ああ、そうだ!壊理も君の宿敵の孫ってわかったかな?これで、あの子を助ける気も失せただろう?」

「何、言ってるんだよ・・・?」

「だって、そうだろう?親の罪は、子の罪だ。元々、私もあの子も産まれてこないほうがよかったんだ。今ここで死ぬことこそが、きっと正しいだろう?世間とはいつだって、そう願うのなら。ヒーローとして望むべき事はそうじゃないと!!」

 

それに、ずぐりと、妙な感覚がした。

 

「え?」

 

湯沸かしのように沸騰する思考の中で。驚きが支配される。

出久の腕から、ずるりと黒い紐状の何かが幾多も分かれるように伸ばされる。

 

(なんで!?何だよ、これ!?)

 

黒い紐は、まるで出久の意思など知らぬというように四方八方に伸び、そうして、しなる。

 

「がっ!?」

「逃げろ!!制御が利かない!?」

 

現状のことなんて忘れて、出久は思わず九十九に叫んだ。が、九十九は思いっきりその鞭に壁に叩きつけられた。

 

(これは、これって!!)

 

思い出すのは、合宿の時ほんの少しだけ飛び出した黒い鞭だった。

けれど、あの時とは違い、制御がまったく利かない。

際限のない痛みが出久を襲う。狭い空間のせいか、鞭はただ壁に張り付き、素材を引き剥がし、そうして叩きつける。

 

「止まれ!止まってくれ!!」

 

こんなことをしている時ではないのだ。

制御が利かなくて、それでも大けがをしながらでも、ようやく歩んでいける道を見つけられていたのに!

 

「止まれ!!」

 

サー・ナイトアイはどこだ!?もしかしたら、何か、被害に遭っているのかもしれない。

けれど、黒い鞭は荒ぶる蛇のように、のたうち回り、出久のことでさえも壁に叩きつける。

際限なくやってくる痛みに、出久は叫ぶ。

 

「止まってくれ!!」

 

 

 

「……くそ、覚醒を早めるには怒れば、とはあったが。こんな大事になるなんて。」

 

苦々しく言いながら、咄嗟に抱えたサー・ナイトアイを抱えて、息を吐いた。そうしながら、黒い鞭を影の手で受け流しながら、必死に避ける。

けれど、確実に通路は今までの戦いのダメージを受けている。

 

(・・・・さすがに、天井が抜けることは。)

 

痛みにのたうつ少年の声がする。それに、九十九は一度だけ目をつむり、そうして、覚悟を決めたかのように息を吐いた。

 

(……引き起こしたのが自分なら、幕を引くのも自分か。)

「個性を借りるならまだしも。死体以外への干渉はキツいんだけどな。」

 

ぼやくような言葉の後に、九十九は己の影に話しかけた。

 

「おはよう、百番。いっしょに遊ぼう。」

 

それと同時に、九十九の足下から影が広がり、そうして通路を飲み込む。それは、出久も同様だった。

 

 

 

 

黒い霧が辺りを広がる場所にいた。そこは、とても不思議な場所だった。地面があるのはわかるのに、周りは煙に巻かれてよく見えない。

自分のことを見下ろせば、先ほどまでの黒い鞭はどこにもない。

 

僕は、と出久は口に出そうとして、

けれど、声は出てこない。それにようやく出久は口元が黒い煙に覆われていることに気づく。

 

(ここは?僕は、今まで。)

 

立ち上がると同時に、誰かが自分の前に立っていることに気づいた。

それは、顔立ちがよくわからない。

ただ、白い髪をした、出久よりも背の高い青年だった。

 

「・・・・・どういうことだい?」

 

何かを言っている。けれど、声が遠くて、何も聞こえない。けれど、目の前の人が、自分の背後に話しかけているのだと気づき、後ろを振り向こうとした。

けれど、背後に立つ存在はまるでそれを拒絶するように出久の方を掴み、振り向かないようにした。

それを拒否しなかったのは、偏に、背後の人物に敵意を感じなかったせいだろうか。

 

「彼は黒鞭を使っている!なのに、彼に干渉できるのは一人だけ!?いいや、何よりも、君は!」

「・・・・・我が父の個性が特別なのは、知っているでしょう?そのために、彼は合計、三人の子どもを、いいや、正確には四人であり、そうして、108は番外個体ではあったけれど、産みだした。そうして、生まれた一人が私です。」

「!兄さんは、あの人は!」

己の頭の上で激しく言い争っている。それ出久は今、何がどうなっているのか、それだけがひどく気がかりだった。

 

出久は何も言えないために体をジタバタと動かして、自分に感心を向けようとした。それに、少なくとも、目の前の人の感心は自分に向いたようだった。

 

「君は、その子をどうする気だ?」

「……今、あなたしかこの子とコンタクトをとれず、おまけに不安定なのは、アシストが干渉して無理矢理に個性を引っ張り出したせいで出力が安定していないせいだ。そのせいでチャンネルが合わない。今は、私がいるおかげで、あなただけは繋がっているだけで。暴発するぐらいなら、先に引っ張り出しておこうと思ったけれど。失敗だった。」

「君は、兄さんの味方じゃないのかい?」

「彼は私を捨てた。なら、私もまた彼を捨てた。けれど、過去は寂しがりだから。いつか、追いつくことはわかっている。なら、せめて、未来だけには手出しをさせない。」

出久はあせりで、己の背後にいる人物に振り返ろうとしたが、それは赦されない。体が動かない。

 

「・・・コンタクトを切って欲しい。そうすれば、私と彼の繋がりが強固になる。その後は、私がなんとかするので。」

「・・・・信じられると?」

「さあ?信じなくとも、今のままならこの子は死ぬ。選ぶといい。」

何を言っているんだ!?

出久からすれば、九十九を残してこんな所に飛ばされているのだ。こんなことをしている場合ではないのだ。

出久は更に暴れて、その拘束から逃れようとする。

 

それに、出久の目の前の存在は迷うような仕草をする。そうして、何かを九十九に話しかけ、煙のように消えてしまう。

 

それと同時に、拘束は解け、出久は振り返った。そこには、優しげな青年が立っていた。

 

「・・・・こんにちは。」

 

白い髪に、白い肌、そうして、瞬くような緑の瞳。淡く笑うその様は、文句がないほどに整った顔立ちだった。

 

(似てる。)

 

その、淡く笑う、穏やかな笑みが彼の知るアシストというヒーローによく似ている気がした。

 

「・・・・今、OFAの個性が暴走している。」

「止める方法はないんですか!?」

「ああ、それについてはなんとか止めてやる。私に、任せてくれ。」

 

そう言って笑う青年は、とても、彼の見知ったヒーローに似ているものだから。

出久はそれにこくりと頷いた。

 

 

 

(動け!?動くんだ!!)

 

通形は誰も居ない廊下を少しずつ進んでいた。疲労はたまり、そうして、自分がとんだ道化であることを理解したルミリオンというヒーローは、張り続けた心にほころびが出始めていた。

 

あの子は、あの時、助けられなかった子どもは。

今、本当に、無事で?

 

(立て!立たないと!助けなくては!あの子が!)

 

そう思うのに、蓄積した疲労が確実に通形のことをむしばんでいた。

 

「たすけ!」

「待って!!!!!」

 

叫んだ通方の声に被せるように、誰かが叫ぶ。それに通形は思わず、通路の先を見た。

そこには。

 

「え、り、ちゃん?」

 

なんとも元気いっぱいに、何故か黒い犬にまたがって通路を爆走する少女の姿があった。

そうして、後ろに。

 

「おいごら!?待ってっつってるだろうが!?」

「燈矢、子どもにそんなことをいったら怖がられるよ!?」

「言ってる場合か!つうか、お前、その組長ぜってえ誰かに渡してきた方がよかったろ!?」

「本当に大丈夫か!?結構重いだろう!?」

「個性で軽くしてるから大丈夫っす!仕方ないじゃん!!誰にも会わなかったし!というか、治崎が見当たんないの恐すぎるんだけど!?」

 

何やら口げんかしながら、壊理を追いかける、ブルーフレイムとアシスト、そうして負ぶさってきたらしい死穢八斎會の組長の姿があった。

 

通形は思わず、少女がまたがる犬を止めるために進行方向をふさぐように立つ。

 

「エリちゃん!」

 

犬は通形の存在に立ち止まるが、壊理が負けじと叫んだ。

 

「どいて!」

「ここから先は危険なんだ!」

「危険でも行かないと!パパを、助けに行かないと!」

 





ヴァレンタインだねえ。
この時期は、事務所に贈りもんが多くてこまるんよねえ。
おお、さすが№3だねえ。
そういう転夜も似たようなもんやろ?
まあ、言って、おっちゃんに比べたら。というか、私個人と言うよりも、燈矢と連名での贈り物が多いんだよねえ。それで、ヴァレンタインということで。はい、唐揚げ。
唐揚げ!?なんで?そこはチョコやないん!?
え、ダメ?あ、暖めた方がおいしいから。
いや、ヴァレンタインにこんな生活感あふれるタッパーを渡されるとは思わん・・・・というか、なんで?
?ヴァレンタインといえば、唐揚げでは?
どこの国の常識?いや、チョコやろ。燈矢にもあげんの?

えー、ヴァレンタインは基本的に私貰う側なんだよね。誰かにあげると燈矢が五月蠅いから。燈矢にだけは上げるけどさあ。
そういや、そうやったね。でも、なんで唐揚げ?
高校の時、ヴァレンタインに女子が手作り贈り会ってるのが羨ましくてさ。でも、燈矢が五月蠅いし。でも、私も確かに燈矢が他の子にチョコ上げたら嫌だから文句も言えないし。
普通は逆では?

でさ、一年時に死ぬほどチョコ貰って思ったんだよね。甘いもんばっか食うのキツいなあって。それで、チョコの代わりに私は唐揚げを大量に作ることにしたんだよ!

言いたいことはわかるんやけど、花の女子高生がヴァレンタインに作るのが唐揚げって。いや、確かに嬉しいやろうけど。
お昼に配ってみんなで食べてたんだよね。
挙動が世話好きのおばちゃんやん・・・・というか、燈矢的にはそれはよかったん?
いやあ、唐揚げをタッパーに摘める様は完全に作業で、なんか違うからいいって許可出てさ。懐かしいなあ。ヴァレンタイン前にスーパーで鶏肉買い込んで仕込みしてたの。
挙動がほんまに業者。

味は保証するよ!
・・・・レシピ教えて。

以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。

  • 二次創作だし、いいんじゃない!
  • 一周回って見たい!
  • 番外編で留めておけば?
  • いっそ、兄弟増やそう!
  • どっちでも
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