たぶん、ヴィランが親らしいが。それはそれとしてヒーローの子どもの方が気苦労が多い。 作:幽
お待たせして申し訳ない、書いちゃあ消し手を繰り返し、これで行くことにしました。
死穢八斎會編は終わりになります。
何か、こういったの読みたいとかありましたら、ここにくだされば。何か、アンケートというか、興味です。
https://odaibako.net/u/kasuka_770
「あっれ!?ルミリオン!?どうし、いや、他の人たちは!?」
「そういう二人は今までどこに!?」
「わかんね!なんか放られた先に治崎がいて、それをぶん殴った先に、この二人がいてさ。」
ルミリオンがそう言っていると、目を離した隙に、通形の足下を通り過ぎていく。
「あ!」
「追え!!」
「俺たち、すっげえヒーローしてない気がする!」
どたどたとその場にいた大人たちは子どものことを追いかけて走り出した。
「それで!今、どんな状況!?」
「それが、九十九を見つけたんですが、連れていたエリちゃんが偽物で!」
「まあ、そら本物はああだしね。」
「言ってる場合か!」
「あの、エリちゃんは。」
「だよなあ、虐待とかされてることもないし。」
「あと、あの犬は。」
「あれは・・・・・」
そんなことを言いながらどたばたと走っている集団は壊理が立ち止まっているのを見つけて速度を緩め、そうして、唖然とする。
「なんだこれ!?」
九十九達がいたはずの通路の先は、まるで泥水か何かのように真っ黒な何かで満たされていた。それが、少しずつ漏れ出している。
壊理はなんのためらいもなく、その黒の中に進んでいこうとする。それを、慌てて通形が引き留めた。
「だめだ!」
「離して!パパのところに行かないといけないの!」
「パパって!九十九は!」
そこで通方の肩を思いっきり引く存在があった。
「ルミリオン、ちょい待って。」
「アシスト、早くこの子を保護しないと!」
「いや、私も姪っ子の言うとおりにした方がいいかなと思いまして。」
後ろで肩を掴んでいたアシストのそれにルミルオンの目が点になる。
「姪?」
「姪。」
「誰が?」
「エリちゃんが。」
「・・・・なぜ?」
「ええい!まどろっこしい!九十九が私の兄!今まで過去の諸諸をトラウマで記憶飛ばしてた!思い出した!エリちゃんは姪!これで一旦は納得してくれ!詳細聞きたきゃ後で話してやるから!」
「とんでもない勢いで全てを押し流すな!」
「この勢いで行かないと話が止まるじゃん!それより、これはなんだ?」
「・・・・九十九の個性だ。」
今まで燈矢に背負われていた老人がアシストの背後で言った。
「ちなみにこちら、死穢八斎會の組長さん。エリちゃんと一緒にいたんで流れて連れてきた。」
「九十九の個性は、影の操作では?」
「いいや、あいつの個性は、死んだ人間の個性を取り込み、そうして自由に扱うことが出来るものだ。」
重い口を開いた組長のそれにアシストは驚いて口を開けた。
「あいつの個性は影を媒体にした吸収と放出だ!んな力じゃなかった!吸い込んだものを取り込んだり、合成して吐き出す!吸収するのだって、あくまで物体だとか、できても炎で、生物だってできなかったのに!」
「少なくとも、会ったときからすでにそうだった。」
「・・・・意味わからん!覚醒?いや、にしても覚醒の方向性があり得なくねえか!?」
そんな会話を近くで聞いていた通形はさあと血の気が引いていく感覚を覚えた。
アシストの、血の繋がった父親が誰であるのか。
通形は、知っている。
それでも、通形ミリオという少年はアシストというそれを信じていた。
話したことは数回程度でも、それでも、信じていた。
何せ、少なくとも、彼が慕う師というものは、その女を信じていたのだ。
あの子は、ずっと、ヒーローだった。ずっと、暗がりにいる誰かの元に駆け寄って、どうしたのと笑う、そんな子どもだった。
だから、その女を通形は信じられた。
けれど、あの男。
ずっと、笑って何を考えているのかわからない。
それが、AFOの息子?
通形は黒に満たされた通路の先を見る。
そこには、OFAの継承者の緑谷出久がいる。
それがやけに出久を煽るようなことを言った理由は?
彼が、AFOと繋がっているのだとしたら。
通形の中で何かがかちゃんと繋がっていく感覚がした。
(最悪だ!)
OFAが奪われるかも知れない。
その可能性に気づいてしまった。
「あの影の中に入った場合危険は?」
「あの中か?九十九の奴が容認してるやつならいいが。していないなら、はじかれるぞ。」
「この先には?」
ひょっこりと顔を出すアシストに、通形は一瞬迷ったが口を開く。
「デク君と、あと、サーと九十九が。」
その言葉にアシストの瞳孔がゆっくりと開かれていくのを見た。
「・・・・よし、行こう。」
覚悟を決めたかのように転夜は頷いた。それに通方もこくりとうなずき、そうして、抱えていた壊理を地面に降ろして口を開いた。
「エリちゃん、お父さんが今、どうしてるのかわかる?」
「わかんない。でも、あの子がパパが大変だって言うから。」
ちらりと、壊理は今は大人しくしている黒い犬を見つめた。それに通方は中の把握は困難であると理解した。
(・・・今は、九十九とデクを引き離すのを優先しなくちゃいけない。)
転夜が言っていた、違和感。
何故、サー・ナイトアイに近しい自分たちと接触してなお、作戦が成功したのか。
もしも、それがAFOと繋がっているというのならば。
「えっと、そう言えば、エリちゃん、久しぶりだね。」
「私、お兄さんに会ったことあったっけ?」
その言葉にルミルオンは困惑したが、エリのスガタを取っていた存在のことを思い出して、それを飲み込む。
「エリちゃん、大丈夫。お父さんは俺たちが助けるから。ここで待っててくれるかな?」
「・・・・助けてくれるの?」
「小さな女の子が助けて欲しいって言ってるんだ。」
OFAが奪われるかも知れない可能性。それがあるから通形は覚悟を決めた。けれど、それと同時に、子どもが父親を助けてと言っているのだ。
今、すべきことがなにか、通形は静かに覚悟を決めた。
「大丈夫。任せてくれ!」
通形が頷くと同時に、転夜が少年の肩を引く。
「おし、行こう。」
「ばか!そんなこと!」
それに燈矢が慌てて止めようとするが、転夜は通方の手を引いて迷わずに走り出し、そうして、その沼のような黒の中に飛び込んだ。
「・・・・なんか、すっごい覚えがあるような。」
飛び込んだ先でごろんと転がりながら転夜は上を見上げた。その先には霧がかったかのような空間が広がっていた。
転夜は起き上がりながら、周りを見回す。
「覚えがあるんですか?」
「うーん、覚えはあるけど。でも、デジャブって感じで実感は。」
そんな事を言いながら、転夜は座り込んだ通形を引っ張り上げて立たせた。
「おっし!通形少年、ともかく進もう!」
「でも、こんな中でどうやって?」
「それは、ほら。」
そう言って転夜は自分たちの足下を指さした。そこには、ちょこんと、犬が一匹鎮座していた。それは壊理を背中に乗せて爆走していた犬だ。
「・・・・この子が急に現れてからエリちゃんがパパのところに行くって言いだしたから。こいつに付いていけばいいと思う。」
行こうかとそう言った転夜は変わらず笑顔で言った。
「あの、一つ聞いて良いですか?」
「ああ、なんだい?」
犬を追いかけながら通形は問いかける。
「俺が言うのも何ですけど、突っ込んできてよかったんですか?」
「まあ、エリちゃんは確保した今、あのバカ捕まえて本格的な物的証拠を確保しないと今回の作戦は成功とは言えないし。」
「・・・兄、なんですよね?」
「そうねえ。兄だね。」
「いいんですか?」
通形は思わずそう聞いた。
聞くべき事ではないとわかっていたのだが、突然湧き出た、九十九がAFOの身内であるという事実に、目の前のそれの血縁であるという事実に、湧き起こった疑問だった。
いや、きっと、誰もが聞いていないことだろうと通形は理解していた。
目の前のそれが、己の血の繋がった存在をどう思っているのか。
彼の知る、サー・ナイトアイは彼女の父はエンデヴァーで、オールマイトで、そうして己であるという自負を持ってその女のことを、それを取り巻く存在を大事にしていた。
誰もが、転夜が何を感じているのか、知りたがっていないように思っていた。
だからこそ、改めて、通形はその辺りを、二人きりになった今、問うてみた。
「うん、だから、それを確かめたくて走ってる。まあ、後で百パー怒られるけど。」
「確かめる?」
「九十九はさ、私が知る限り、めちゃくちゃやり手なんだよ。懐に入るのが得意で、場面場面で自分の立ち位置を把握して振る舞える。だから、今回の件、お粗末過ぎる。あの野郎が、下っ端に出し抜かれて販売元がばれるようなヘマをするなんてありえないし。」
「何か、理由があると?」
「……そういう奴だ。少なくとも、自分と血を分けた存在に悪逆を働くような奴でもないし。」
転夜は苦い顔をして、霧の中を黒い犬を追いかける。
「ヴィラン連合なんて、どっから引っ張ってきたんだか。」
暫く走った後、二人は黒い犬に、九つの椅子が置かれた場所に連れて行かれた。そうして、その椅子の一つに誰かが座っている。
「あ!」
通形は言葉を上げてそれに駆け寄る。転夜も慌ててそれに駆け寄った。
「・・・・どうなってるんだ?」
転夜達が見下ろす先にいたのは、王座に似た、装飾がされた椅子にうなだれるように座る緑谷出久と、そうしてその膝に縋るように座った九十九だった。
「九十九!」
「待って待って、待って!!」
ゆすり起そうとした通形の手を転夜が止める。
「どうしたんですか、起さないと!」
「いや、なんか、くっついてね?」
その言葉に通形は改めてまじまじと二人のことを見る。
重なっていた。
一言で言うのならば、二人の現状はそう表現できた。
「なんだ、これ!?」
出久は悪夢にうなされるかのような顔を歪め、九十九はその膝の上に頭を置く形であったのだが。出久の膝に、まるで埋まるように九十九の顔が重なっていた。
九十九はぼんやりとした焦点のあっていない目をしている。
「なんか、溶け合ってる、ような!?」
「これ、引き剥がして良いのかな!?」
二人は一瞬だけ動きを止める。けれど、そんなことをしている場合ではない。
「もう、たたき起こすしかない!」
転夜はそう言って九十九を揺すぶる。それに通形も倣って出久の肩を掴んで叫ぶ。
「起きろ!」
「ナイトアイのおっちゃんはどこ!?」
叫べど、二人はなんの反応もしない。
「だめだ、全然起きない!」
「椅子からも引き剥がせない!」
「なんか、重なりが酷くなってるような・・・・」
(どうしよう!)
平気そうな顔で、何のためらいもなくこうやって黒の中に飛び込んだ。理由は簡単だ。
兄が生きていたことが、嬉しかったのだ。
転夜は、少なくとも、今は幸福だ。
地獄を知れども、それでも、泥の中で泣いていた子供の手を引いて、日向の中に連れて行ってくれた人たちがいた。
だから、少なくとも、転夜は秩序側の人間でありたいと願っている。
けれど、心のどこかがねじくれているのだ。
冷たい感覚で、正しさをせせら笑ってしまうときだとか。わかりやすいハッピーエンドを冷たく見つめてしまったり。
心の奥で、冴え冴えとした何かがある。
わかりやすく、嬉しがっている自分が居た。その、きれい事をせせら笑う自分を共有できる存在が少しだけ、嬉しくて。
生きていてくれたことが嬉しかった。
捕まってしまうとしても、一言だけ、何か、話がしたかった。
生きていてくれたことを、嬉しがる言葉として吐きたかった。
何よりも、サー・ナイトアイのことが心配だった。
甘ったれの転夜の、名付け親。
一時的であれど、散々に関係がこじれていたと言えども、あの日、家畜の子どもの夜が明けると示してくれた人だ。
ずっと、慕って、甘えて、愛していた人だ。
その日の安否が気になった。
だから、一応は取り繕いはしたけれど、それでも、燈矢のことを振り切って、こうやって安全かもわからない場所に飛び込んでしまった。
(こいつに聞き出さないと、何もわからない!)
「椅子から離すのもできない!」
横から聞こえる通形の声に頭を抱えたくなった。
起せども起きず、連れ出そうとしても椅子から体が離れない。
(ここにこのままとどまっていいかもわからないし!あー、どうしたら!)
「・・・・じぶんだったら、どうしたら起きる?」
突然聞こえた声に転夜が驚いて周りを見回すが、そこにはだれもいない。よくよく見れば、ここに案内したはずの黒犬もいなくなっている。
「どうしたんですか?」
「・・・・いや。」
誰が言った?誰か居るのか?伏兵か?頭の中でぐるぐると回るが、それ以上になりふり構っていられなかった。
だから、転夜はあらん限りの声で九十九の耳元で叫んだ。
「うおおおおおおおお!あんなところに銀髪儚げ美人が!!!!」
「どこに!?」
かっと見開かれた目と、がばりと起き上がった男に転夜は無言で手刀を繰り出した。
「あでし!」
九十九はそのままだんとその場に横たわった。
「アシスト!?せっかく起きたのに。」
「・・・血の業ってもんか。嫌なもんだ。」
「かっこつけながら言ってるけど、兄妹そろって好みが一緒なだけでしょうが!」
「・・・・はあ、久しぶりの再会だってえのに。ひどいなあ、愚妹め。」
叫んだ通形の足下で、のそりと男が立ち上がる。それに転夜は改めて、男を見つめた。
「そういうお前こそ、こんなところでこそこそ生き抜いてたのか。99番。」
起き上がった男は黒い色の顔に笑みを浮かべて、そうして転夜を見つめる。
「・・・・なんだ、昔みたいに泣きじゃくってお兄ちゃんって飛びついてくる可愛げもないのか?」
それに転夜は無言で九十九に飛びかかる。そうして、容赦なく関節技を決め始める。
「い、いだだだだだだだだ!?」
「なーにかっこつけとんじゃ、このドアホ!?」
「お前こそ、久しぶりの再会にあの発言はどうなんだよ!というか、どこで人の好みを知ったんだ!?」
「うるせえよ!だったらてめえの娘にまで知られるほど女遊びをしてるんじゃねえよ!察しってやっちまっただろうが!!」
「女遊びじゃない!男とも遊んでる!」
「なおさらアウトだわ、このドアホ!!!教育に悪いだろうが!!」
「ヤクザの時点で終わってるだろうが!!」
「こんのクソ兄貴!今、自分がどんな状況かわかってんのか!?家宅捜査に薬物密造!それにおまけで児童虐待じゃぼけ!」
「きゃー!こわーい!」
「こわーい、じゃねえよ!百歩譲ってヤクザはいい!もともと、人権なんてなかった同胞よ!でもな!お前ならもっと上手くやれただろうが!なにしてるんだよ!」
「お前こそ、ヒーローだろうが!上手くやれってどうなの!?」
「というか、その肌なんだよ!?昔は肌だって普通だったのに!というか、個性が完全に違うってどういうことだよ!?」
転夜は男の顔をのぞき込み、そうして、懇願でもするように言った。
「・・・・お前の、双子の片割れの、あの人は、どうなったんだよ。」
その言葉に九十九は淡く笑い、そうして、脱力した転夜のことを押しのけた。そうして、ふらつきながら通形と転夜を見た。
「ここは、俺の個性の範囲内。それで、お願いがあるんだけどね。今、少年の個性が暴走してる。俺がなんとか押さえ込んでこんでるけど、さすがに限界だ。少し、境が混じりそうになったし。」
個性の暴走というそれに通形は何かを察した。
緑谷出久の個性が、何よりも特殊なことは彼もよく知っている。
見返した出久は変わらずだらりと椅子に座っている。起きる気配はない。
「・・・・これから個性を解く。そうしたら、少年の個性が暴走するだろうけど。」
「だめじゃねえか!」
「まあ、それに関しては、君達が頑張ってくれ。そうしたら、後は治崎が頑張ってくれる。」
「やっぱ、治崎の奴、とっくに追いついてたのか!」
「九十九!お前、何がしたいんだ!」
通方が我慢できないというように叫んだ。それに、少し息の荒い九十九は通形を見返した。
あの時と同じだ。
あの時、路地裏を飛び出た時と同じ。
「俺はエリちゃんと一度会ったことがあるはずだ!なのに、あの子は俺に見覚えがなかった!いつから、何を計画していた!お前は、誰のためにこんなことをした!?」
その言葉に九十九は穏やかに微笑みを浮かべた。
「・・・・なあ、ヒーロー。人間って言うのはさ、救いって言うのは所詮は他人に与えられるものじゃない。結局、他人の行動をどう取るか。救われるってのにも、覚悟が居る。」
「だから!」
「・・・・俺も、全部自分で抱え込む気だったが。そうも言ってられなくなった。だから、ヒーロー。俺の娘を、どうか、守ってくれ。」
「おい!99番!何する気だ!?」
「108番、安心しろ、100番にはきちんと会わせてやるよ。」
じゃあ、頼んだ。
その言葉と同時に、黒が晴れた。
同時に、転夜に黒い鞭が飛んでくる。
ばちんと跳ね飛ばされると同時に、転夜は着ていたコートを脱ぎ捨て、そうして、思い切り振りかぶる。
そうして、出久の体から出る鞭を跳ね返す。
コートには転夜の毛髪で出来ており、転夜が個性を使用することで簡易的なひらりなマントに出来るのだ。
「アシスト、大丈夫か!?」
「私のことは気にしなくて良いから!それよりも、出久君のこと、どうにかしないと!」
「俺なら近づけるけど!」
「そうだね、近づいてもどうにもできない!私がなんとか近づければ!」
個性を使って、出久を無個性に出来るだろう。が、転夜がとんでくる黒い鞭を捌くだけで精一杯だ。
見れば、出久の足下に、九十九と、そうして、サー・ナイトアイが転がっている。
(近づけば!近づいて!でも、んな余裕がない!!)
「俺、他の人を呼んできます!」
「そんな時間はない!」
その言葉と共に、転夜の前に壁が出来上がる。いつの間にか、転夜の隣に燈矢に炙られたやけどなどなかったかのような姿の治崎がいた。
「治崎!?」
「お前、今までどこにいたんだ!?」
「機会をうかがっていた!それよりも、いいか!俺が壁を作る!そうして、そのままあいつに近づけ!」
転夜の脳裏に、ヴィランだしなあだとか、信用して良いのかなどと色々な考えが浮ぶ。けれど、それ以上にやることがある。
「ルミリオン、君はデクのことを倒してくれ!そうしたら、隙を突いて私が個性を使う!」
その言葉にルミリオンは言いたいことがあるような顔をしたが、出久に向けて走り出した。
「行くぞ!」
「わかった!」
転夜と治崎はそのまま、走り出す。そうして、ルミリオンが出久のことを押し倒す。それに転夜はコートで己を守りながら、出久に触り、個性を消した。
(あれ?)
出久の個性に転夜が干渉する。それと同時に、彼女は気づいた。
それは、なんといえばいいのかわからない。
強いて言うならば、手触りだろうか。
個性を、触ったという感覚で、例えるなら。
(個性が、何個か、ある?)
「やあやあ!成功、成功!」
青空の下で、九十九は晴れやかな気分で微笑んだ。といっても、彼の周りはお世辞にもそんな穏やかさとは無縁の状態だ。
なにせ、彼が拘束されていたベッドの周りは、燃えるトラックだとか、そんなものが転がっているのだ。
けれど、九十九はとても晴れやかな気持ちで、それを眺めている。
「・・・・・本当に良かったの?」
その言葉に九十九は声のする方を見た。そこには、九十九によく似た、未だ小学生程度の年齢の少女が立っていた。
「何が?」
「壊理を手放して。」
「・・・“お父さん”が動き出したんだ。俺たちの素性はまだばれてないが。それはそれとして、手放すのが最上だ。サー・ナイトアイにも徹底的ににおわせたから嫌でも監視してくれるだろうし。108番のことだ。手元に置いてくれるだろう。あの子の近くに居れば、嫌でもオールマイトとエンデヴァーの庇護下に置くことが出来る。公安方面への牽制にもなるだろうさ。」
「そんなに不安なら、いっそ、お父さんに個性だけ渡して逃げることだってできたのに?」
「家畜の子どもに、そんな温情をかけてくれるタイプでもないだろう。」
九十九のそれに、少女は恥じるように顔を下に向けた。
そんなことを言いながら、九十九から伸びた影の中から、警察官と、そうしてスナッチが出てくる。気絶しているのか、動かない。
彼の部下達はどうやら別に護送されているらしく、近場に九十九しか存在しない。
「・・・・珍しいね。九十九が得にもならない人を助けるなんて。」
「まあ、さすがに今回は彼らもとばっちりだからね。死ぬのは寝覚めが悪い。」
そう言いつつ、九十九はぐーぱーと手を幾度か握っては開いてと繰り返した。
(死柄木たちにマグネを殺したことはまだばれてなくてよかった。ヘイトを稼がなかったおかげか、計画通り、あの銃弾を奪われただけですんだし。)
そんなことを考えつつ、九十九は指折り数えていく。
(財産は隠せるものは隠せたし。逃げた奴らの逃亡資金も渡せてるし。指示も、やっておいたし。後は、公安のホークスに近づくだけか。)
ぐっと背伸びをして、九十九はため息を吐いた。
「・・・・大人の事情に、子どもを巻き込むのは気が引けるが。まあ、ヒーロー志望なんだからそこら辺は納得してもらうしかないかなあ。百々。」
「うん。」
「壊理のことは頼んだから。俺は、俺のしたいことをするよ。」
「わかった。」
遠くから聞こえてくるサイレンの音に、九十九はこれからの獄中生活を意識してため息を吐いた。
ヴィラン連合の一コマ
・・・・荼毘。
どうした、もうすぐアビスの護送車に追いつくぞ。
荷台の上に乗りたい。
え、今!?
・・・・いや、お前。
乗りたい。
・・・・・・・
いや、ちょっとそんな暇・・・
無理だと思ったら引きずり下ろすからな。
え、許可するの!?
こいつのやりたいことはできるだけできるだけ叶えたいんだ。
・・・・荼毘、前から思ってけど、死柄木に駄々甘くない?
ほら、ケツ支えてやるから上に足引っかけて。
お前ら、運転中に何してるんだ!?
考えて止めたシーン
・・・ホークス、自分のことを汚れてるなんて思うんじゃない。
でも!
そうだ、お前に比べて、私を見ろ!
→ 実験動物として殺人を経験
父親が魔王を名乗るヴィラン
元人身売買組織の構成員兼商品
異母兄弟がヤクザとして逮捕された
秩序のために犯した殺人しても、父親がヴィランでも、私に比べれば軽いって!元気出せよ!
ねえ、これ元気づけてるん!?それとも自暴自棄なん!?
たぶん、元気づけてるんだと思う。
あまりにも体は張りすぎやろ!?
以前、後書きにあった転夜の異母兄、本編に出そうか、それとも番外編に置いておこうか悩んでおりまして。参考程度に知りたいです。
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二次創作だし、いいんじゃない!
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一周回って見たい!
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番外編で留めておけば?
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いっそ、兄弟増やそう!
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どっちでも