これは、2204年にとあるミリタリーファンが自身のブログに書き残した、国連宇宙海軍連合艦隊の最後の戦い。その道中の経過である。

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冥王星沖海戦前哨戦

 

 

 2204年の今日において、地球と強固な同盟関係を結んでいるガミラス帝国。技術交流や資源惑星の共同開発など、国家間には非常に親密な関係が構築されている。

 

 しかし、数年前まではかの国と存亡を掛けた戦いを繰り広げていた事は記憶に新しいだろう。

 

 宇宙戦艦ヤマトという一隻の戦艦が、唯一の希望コスモリバースシステムを受領する為、16万8000光年先のイスカンダル星まで飛び立ち、帰還した。結果、この大戦争はやや地球有利の講和にて終わった。

 

 冥王星基地を攻略し、一万隻が待機するバラン星域を突破し、七色星団海戦にて勝利を収め、ガミラス本星にまでたどり着いて戦闘を行い、そして傷ついた地球を修復したこの伝説的戦艦は語るに語り尽くせない功績を残したが、話すところはそこではない。

 

 今回は、宇宙戦艦ヤマトが発進する以前、旧国連宇宙海軍の残存艦艇が、メ号作戦を実施するため、冥王星へ向かう道中の戦闘記録を語って行こうと思う。

 

 一般に、旧国連宇宙海軍の艦隊は、ほとんどなす術もなくガミラスに蹂躙された、と認識されている。だが、これを読んでいる諸君らは彼らの奮戦もご存知のはずだ。

 

 第二次火星沖海戦では、試作兵器である陽電子衝撃砲…通称『ショックカノン』の一斉射により敵艦隊に少なくない損害を与え、地球圏への艦隊による侵攻作戦を延期させた。これは偉大なる勝利であったし、地球製兵器が決して無力なわけでないと証明された戦いであった。

 

 遊星爆弾の発射基地である冥王星基地を攻略するという名目で始まったメ号作戦。各国参加艦艇のうち帰還は一隻のみという致命的な損害を被り、国民に国連宇宙海軍は無力であると印象付けたこの戦いも、実の所は陽動であり、作戦目標は達成していた。これがヤマト計画の成功に繋がったのだ。

 

 では、ここで冥王星沖海戦の概要を見てみるとしよう。第二次火星沖海戦の生き残りである艦艇や、修理中だった艦艇など総動員体制で集められた決戦部隊。極東管区の所属、第一艦隊が最も多く、31隻。これが主力部隊とされた。冥王星までたどり着けたのも、このうちの22隻であった。第一艦隊は、宇宙戦艦キリシマを旗艦とし、巡洋艦12隻、駆逐艦18隻が参加した。

 

 極東以外からは、北米管区から巡洋艦1隻と駆逐艦3隻、欧州管区から駆逐艦5隻が参加した。この小規模部隊は主力第一艦隊より先行し、警戒にあたった。

 

 ここから、メ号作戦の経過について話していこう。現在、冥王星沖海戦の情報は地球、ガミラスともに詳細に記録してあり、この戦闘経過の様子はこの記録に基づき、照合したものである。

 

 時は2199年2月16日、日本時間06:00。極東の第一艦隊と、北米、欧州の艦隊は月と地球のラグランジュ地点にて合流。旗艦「キリシマ」には「地球の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ」を示すZ旗が掲揚され、艦隊は出撃した。

 

 月軌道を抜けたとき、立体輪形陣を組んで航行中の第一艦隊の一角で、突如爆発が発生する。駆逐艦「ヒビキ」と「アサシモ」がガミラスの撒いた宇宙機雷に接触したのであった。「ヒビキ」は補助翼と増槽が消し飛んだもののなんとか航行能力を維持、月への不時着に成功したが、「アサシモ」は機関に甚大な損害を受け大破漂流、総員退艦の命令の後、被雷から37分後に魚雷管が誘爆、沈没した。

 

 一時混乱状態になった第一艦隊であったが、すぐに陣形を立て直し、そこからは機雷の被害もなく、火星沖まで到達した。

 

 そこで、地球と月の地上防衛拠点を叩くため単艦で航行中であったポルメリア級強襲航宙母艦の偵察機に前衛の警戒艦隊が発見されてしまい、そこから42分後に第一波攻撃隊が警戒部隊に殺到した。警戒部隊旗艦、巡洋艦「アムステルダム」を中心とする立体輪形陣を組み必死の対空射撃で応戦するも、駆逐艦「ヴィジラアント」「ヴィーナス」が轟沈。駆逐艦「ソマーズ」が大破し、艦隊から落伍した。

 

 攻撃隊第一波が警戒部隊から退いた後、艦隊司令の沖田宙将は警戒部隊の穴埋めとして第一艦隊から巡洋艦「モガミ」、駆逐艦「シグレ」「カスミ」を分離、先行させた。

 

 警戒部隊は再度陣形を組み直し、敵機襲来に備えた。しかし、寄せ集めの多国籍艦隊であったため連携はあまりとれていなかった。第二波攻撃隊の攻撃は巡洋艦に集中、「アムステルダム」が沈没、「モガミ」が大破し「アムステルダム」の残骸に衝突、爆沈した。

 

 旗艦の沈没によって、駆逐艦「カスミ」に指揮権が移譲され、臨時旗艦として急ぎで艦隊の立て直しを行った。だが、またも第三波攻撃隊が襲来し、駆逐艦「ヴィラーゴ」が轟沈。駆逐艦「ヴェンラム」が中破し落伍、駆逐艦「シグレ」「ホーエル」が小破した。

 

 警戒部隊はもはや満身創痍であり、各艦の艦内では非常に重苦しい空気が流れていたと、戦後に残骸から見つかった「サミュエル・B・ロバーツ」の航海日誌に記録されていた。

 

 しかし、攻撃隊はこの警戒部隊の敢闘により、多数の機体が撃墜され、艦隊攻撃をここで中止した。そして、この事が後の月面攻撃や偽装状態のヤマトへの航空攻撃が不十分になってしまう事に繋がった。そして対地攻撃のため母艦は高度を下げざるを得なくなり、ヤマトの反撃による沈没を招く事になったのである。

 

 火星を抜けたのちしばらくして、土星宙域に到達した連合艦隊は、ガミラス土星守備艦隊の奇襲攻撃を受けた。陣容はデストリア級重巡洋艦1隻、ケルカピア級高速巡洋艦1隻、クリピテラ級駆逐艦3隻の艦隊であった。

 

 ガ軍土星守備艦隊は第一艦隊、主力部隊直上にワープアウトし、瞬く間に巡洋艦「ジンツウ」を撃沈。第一艦隊は全速で離脱を図るが、ガミラス艦隊を引き離す事はできなかった。そこに救援として前衛警戒部隊が合流、巡洋艦「イスズ」と駆逐艦「ワカヅキ」「ハツヅキ」「ジョンストン」「ホーエル」「サミュエル・B・ロバーツ」が殿として残り、第一艦隊は木星宙域からの離脱に成功した。

 

 残された艦隊は1秒でも長く敵艦隊を足止めするため全力を尽くした。「ワカヅキ」「ホーエル」が早期に撃沈されてしまったものの、各駆逐艦は縦横無尽に回避と攻撃を続けた。特に「ジョンストン」の戦いは凄まじく、増槽を消し飛ばされ、主砲が千切れ飛び、機関が破壊された後もスラスター制御で回避運動と攻撃を続けていたと「サミュエル・B・ロバーツ」の航海日誌の音声記録に残っている。

 

 彼らの決死の突入と回避は巡洋艦「イスズ」のショックカノン充填から気を逸らすためであった。そしてそれは成功し、命中したケルカピア級高速巡洋艦はみるみるうちに赤い火の玉になり、砕け散った。

 

 しかし、もはや切り札は残っておらず、残存艦は着実に各個撃破されていった。ガミラス側記録によれば、巡洋艦「イスズ」はショックカノン発射の衝撃で機関が焼き付いてしまったようで、著しく鈍足となり機関から黒煙を発していたため容易に撃沈できたという。最後まで残っていたのは駆逐艦「ハツヅキ」とされ、全ての武装が削り取られ、補助翼がベニヤ板のようにしなり、機関部は露出し、動力を失っていた。艦首右の安定翼はグシャグシャに潰れ、なぜ未だに沈んでいないのか不思議なほど損傷していた。駆逐艦「ハツヅキ」はクリピテラ級駆逐艦の1隻に狙いを定め各部スラスターの最大出力で体当たりを試みたが、機関が停止していた「ハツヅキ」では敵駆逐艦に追従できず、包囲され、集中砲火ののち爆沈した。

 

 だが、第一艦隊を逃す役割をしっかり果たしたこの艦隊の成果はとても大きかった。圧倒的に火力の劣る相手に戦いを挑み、1時間も持久してみせた彼らの活躍は賞賛に値するであろう。その後、木星守備隊は追撃を諦め、遅れて艦隊を追いかけていた駆逐艦「ヴェンラム」を発見、撃沈した。

 

 沖田宙将は前衛の警戒部隊に駆逐艦「カスミ」「シグレ」「ユキカゼ」を配置し、第一艦隊で追いかけながら冥王星宙域に接近した。冥王星のシュルツ司令は基地航空隊と艦隊による迎撃を命じ、彼もまたガイデロール級戦艦「シュバリエル」に乗艦し、出撃した。

 

 前衛警戒部隊は散開し、索敵を開始。その途上、駆逐艦「カスミ」「シグレ」が基地航空隊に発見され、攻撃を受けた。単艦の駆逐艦ではまるで赤子の手を捻るようなもので、この2隻は撃沈されてしまった。しかし、「ユキカゼ」は運良く基地航空隊に発見されず、逆に敵艦隊を発見する事に成功し、キリシマに『敵艦隊見ゆ』の発光信号を送った。

 

 こうして、長き道中での犠牲を払いながら到達したこの宙域で、冥王星の大海戦は幕を開けたのであった。

 

 当初は40隻で出撃した国連宇宙海軍の艦隊は、冥王星宙域で戦闘を開始した際には22隻にすり減らされていた。その後の艦隊決戦では旗艦「キリシマ」を除く全艦が戦没し、月で座礁した「ヒビキ」は月面基地空襲で破壊された。

 

 太陽系のほぼ全ての制宙権を失い、艦艇数も少なく、航路も長いこの戦いの道中は、ブラックタイガー隊が直掩に付いていたカ2号作戦時よりはるかに困難な道のりであった。そんな中、死中に活を見出して進み、作戦目標を完遂した国連宇宙海軍艦隊は、兵器の質では劣っていても、決して弱い海軍でなかった事が伺えるだろう。

 

 現在、旧国連宇宙海軍の艦艇は「ヤマト」「キリシマ」のみしか残っていない。本記事は呉市太陽圏歴史博物館と月面ガミラス大使館での取材のもと作成した。呉市太陽圏歴史博物館では、戦艦「キリシマ」の艦内見学が今年12月7日から始まる。興味のある方は行ってみては如何だろうか。




 深夜、Twitterのタイムラインで「メ号作戦で出撃していく艦は本編を見る限り少なくとも31隻いたのに、実際に戦闘に参加していたのは22隻だった」という投稿を見ました。
 ここから妄想が止まらなくなってしまい、1日と経たず書き上げてしまったのがこの駄文です。よって誤字脱字はかなりあると思います。誤字に気づいた方は、報告してくださると幸いです。

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