ときは2003年7月中旬ごろ。幻想郷もすっかり夏入りしており、蒸し暑い日が続いていた。霊夢は氷の妖精チルノを神社へ招待し、冷房代わりにしている。
「霊夢さんきたよー」
「いらっs「あっ!!ユキオだ!!」
「おーチルノ!お前毎日神社にいるよな~」
「霊夢がきてほしいって言うから、仕方なくアタイはきてあげてるのさ!」
「さすが最強妖怪は懐が深いねぇ~」
「ちょっと!!」
「あ、ごめん霊夢さん」
「放置されてちょっと悲しかったんだから」
「ごめんって!お詫びといっちゃなんだけど、これ一緒に食べない?」
ユキオは持っていたカバンの中から、水まんじゅうを取り出してみせた。
「あら、美味しそうなのもってるじゃないっ」
「最近人里で流行ってるお店のを買ってきたんだ。チルノ、ちょっと氷作れるかい?」
「そんなの昼飯前!それっ!たーんとおあがり~」ジャラジャラ
「「あら~^^」」
3人は有意義なおやつタイムを過ごしたのだった。
「そろそろ時間のようね...パチェ、例のモノは準備できてる?」
「ええ、抜かりないわ。いつでもいけるわよ」
「さすがね。咲夜、博麗の巫女の様子はどうかしら」
「はい、お嬢様...神社にて色恋にうつつを抜かしているようです」
「ふふっ、博麗の巫女が色恋ですって?ちゃんと空が紅いことに気付いてくれるかしら」
「いや~流石に気づくんじゃないですかね」
「冗談を真に受けないで頂戴、美鈴」
「す、すみませんお嬢様...」
「こほんっ...それでは始めようかしら」
「(お嬢様の咳払い...萌えです)」
「人よ妖怪よ、我が一族の偉大なる血脈と力の前に平伏すがよい...!ここ紅魔館から全てが始まるわ...!!」
妖艶な紅い霧が空へむかって吹きだし始めた。その勢いと帯びる妖気や凄まじく、たちまちのうちに日光すら遮ってしまった!赤よりもどす黒く、紅のような上品さもない色。それはまるで酸素の抜けた静脈の血液のようであった。
それにさらされた人間は、呼吸がままならなくなってしまうだろう。
紅霧異変がいま、勃発した。
「霊夢さん、これって...」
「間違いないわ、異変よ。ユキオ、体調悪くなってない?」
「俺は大丈夫さ。それより霊夢さん、出番じゃないのか?」
「水まんじゅうがやっと冷えてきたところだったけど...仕方ないわね。片付けてくるわ」
「霊夢さん!」
お祓い棒を持って飛び立つ直前、ユキオが声をかける。
「気をつけてな...!」
「あなたが思うほど、私はヤワじゃないわ。ありがとね」
霊夢は西の空へ飛び立った。
「ユ、ユキオ...」
「チルノ、大丈夫だ。怖くないからな」
「...」プルプル
「そうだ、チルノに任務を与えよう」
「あ、アタイに?」
「チルノにしかできないことだ。いいかよく聞けよ~?.....」
「....っ!魔理沙じゃない、なにしてるのよ」
霊夢は西へ飛んでいる道中、魔理沙とばったり出くわした。
「あっ霊夢!悪いが今は急いでるんだ、明良のやつがこの霧で体調悪くしちまって、永遠亭に薬を頼みにいってるんだぜ」
「...! わかったわ、あんたも道中気を付けるのよ」
「ありがとよっお前もいっちょかましてきやがれ!じゃぁなー」
「えらく簡単そうに言ってくれるじゃない...でも急がなきゃね」
出力をあげて、諸悪の根源へ肉薄していく。明良は魔力などを持たない普通の人間である。その点においてユキオと変わりはない。本心では一緒にいてあげたいが、博麗の巫女として、その責任を全うしなければならない。。もし異変の解決が遅れて、ユキオの身に何かあったら...そんな心配と責任感から、珍しくも霊夢は焦りを感じていた。
「...なんて悪趣味な館なのかしら。首謀者はかなりの変わり者ね」
「そこ!お嬢様の悪口は許しません!...立場上」
「あなた、ここの門番ね。早く通して頂戴、急いでるの」
「門番は門を守るためにいますので」
「あらそー...夢想封印ッ!!!」
「ちょまって初手でそれはぁーッ!!」
霊夢のスペルカード『夢想封印』が直撃し、門は門番もろとも吹っ飛んだ。重い鉄扉を開閉する手間が省けたのである。
「よいしょっと。修理代、わたしにつけないでよね」
「う、うぅ~...」
霊夢は正面玄関から館へ入り、なんとなくで館の主がいそうな部屋を探し始めた。地下へ続く階段も見つけたが、たいていの場合、主は最上階の一番いい部屋か、もっとも広いパーティースペースの玉座であぐらなんかをかいているものだ。
「ここっぽいわね」
ぎぃっと、重い鉄の扉を押して開ける。玉座に腰掛ける人影1つ、その脇に2つ。
霊夢は確信した。
「とにかく、あんたたちをまとめて倒せばこの異変は解決しそうね」
お読みいただきありがとうございました!
次回も乞うご期待!