遊戯王DM 正午の星座   作:オプション

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デッキ狩り

「最後にデッキを登録致します。ディスクをセットして下さい」

 

 これで住民登録は完了か。AIの指示に従っていたら、いつの間にか終わっていた。童実野町……どこにでもあるような町なんだが、海馬コーポレーションの傘下だけあって技術力には目を見張るばかりだ。

 そうして手続きを済ませた俺は町へと繰り出した。かつて戦場(バトルシティ)と呼ばれた地……どれほどデュエリストに溢れているのだろうと期待していたが、見た限りではやはりどこにでもある日常。戦場とは正反対の平和と言った形容が相応しい。これでは手当たり次第にデュエルを吹っかける訳にはいかないだろう。

 

「……まっ、慌てることはないか」

 

 ここならまだ見ぬデュエルの可能性を突きつけられ、そして見出せるに違いない。その予感があってここへとやってきたのだから。

 ひとまずサ店で休憩した後、土地に慣れようと歩いて回る。そうして少し経った時だった。視線を感じたのは……。それも一人じゃないな。俺は走り出した。そして……

 

「はぁはぁ……くそっ! 逃げられたか!」

 

「何か用か?」

 

「うわあっ!?」

 

 おびき寄せた所で三人組と向かい合った。逃走も考えないではなかったが、一番小さな男がディスクを腕に付けていた。危険から離れて機会を逸する選択……俺には出来そうもなかった。

 

「バカ! お前がビビってどうする!」

 

「そ、そうだったゾ……。おいお前! デッキを寄越しな!」

 

「このご時世に恐喝か……随分治安が悪いんだな。しかもよりによって、そんなかけがえのないものをか」

 

「はっ! 俺たちは優しい方だ……なんせ問答無用で手を出してないしな」

 

「そうそう。それにここじゃデッキは立派な個人情報だしな。このご時世だからこそ狙われるってわけよ」

 

「安心しな。俺は丁重に扱ってやるゾ。俺のカードとしてな!」

 

 ……前言撤回。てっきり海馬コーポレーションが兵器産業から撤退したから平和になったのかと思っていたが、こんな町がどこにでもあってたまるか。拒否すると体格の良い二人が襲ってくる、が素手ならいなせる。

 

「俺の魂が欲しいなら、デュエルで奪うんだな!」

 

「デュエルだと? ゴースト骨塚と異名を取るこの俺に勝てるとでも!?」

 

「やるのか?」

 

「ああ、見ない顔だしな。きっと初心者だ。なら心をへし折ってやるゾ!」

 

 男は不気味に笑い出した。知らない名前だが……隠れた実力者なのか?

 

「俺は負けを恐れて勝負をやめたことはない!」

 

「ほほう? 大層な啖呵だな。最後まで同じセリフが吐けるか……楽しみだゾ!」

 

「「デュエル!」」

 

「先攻は貰った! ドロー! 俺はドラゴン・ゾンビを召喚! カードを1枚伏せ、永続魔法フィールドバリアを発動してターンを終えるゾ!」

 

ドラゴン・ゾンビ 攻撃力1600

 

 ……妙だな。フィールドバリアはフィールド魔法の発動と破壊を封じるカード。あまり良いタイミングとは思えないが。

 

ゴースト骨塚 LP4000

 

フィールド 『ドラゴン・ゾンビ』(攻撃表示)

 

セット1 『フィールドバリア』

 

手札3

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 もしただのミスならそれはそれでいい。警戒しつつも、ここは自分のデッキを信じて攻め込む!

 

「出撃だ! ジェイドナイト!」

 

ジェイドナイト 攻撃力1000

 

「ちっ、機械(マシーン)モンスターか……! だがそんな雑魚じゃ、俺のモンスターは倒せないんだゾ!」

 

「それはどうかな? ジェイドナイトで攻撃するぜ! ラウンドレーザー!」

 

 発進した緑色の小型機体目掛けてドラゴン・ゾンビが振り下ろした鋭い爪は空を切った。

 

「もう一機いるだと!?」

 

「攻撃命令に応じて手札のビック・バイパーT301が援軍に駆け付けていたのさ。こいつがいる限り自軍の光属性・機械族は攻撃力が1200上がる!」

 

「……!」

 

ビック・バイパーT301 攻撃力1200

ジェイド・ナイト 攻撃力1000→2200

 

 それは援護射撃により攻撃が乱れたからだった。その隙を突いてジェイドナイトのレーザーが周囲に広がっていき、ゾンビは焼き払われる。

 

ゴースト骨塚 LP4000→3400

 

「くっ……」

 

「よし! 続けてビック・パイパーで——」

 

「くっくっく……かかったな! 相手によりモンスターが破壊されたことでトラップ発動! 奇異界開!」

 

「……! 破壊されるのは想定内か……!」

 

 途端にフィールドが闇に覆われ、埋め尽くされた墓場からいくつもの空気が掠れるようなうめき声が聞こえてきた。

 

「このカードによってデッキからフィールド魔法、アンデットワールドが置かれるゾ!」

 

「発動せずに置くだと!? そうか。だから先にフィールドバリアを……!」

 

「そしてアンデットワールドによりフィールド・墓地のモンスターは全てゴーストカードとなる!」

 

「なにっ!? 俺のモンスターもかよ……! ってことは!」

 

ジェイドナイト 攻撃力2200→1000

 

 二機ともパーツが朽ちていき、もはやエンジンではなく霊魂によって突き動かされる状態になった。これじゃあ機械族を生かした戦術が死に体じゃねえか……!?

 

「厄介なことをしてくれるぜ!」

 

「まだだ! その後デッキから選んだ5種類のモンスターの内、相手がランダムに選んだ一体を呼び出すゾ!」

 

「ええい! 一番右だ!」

 

「くくく……よりによって最恐最悪のモンスターを選びやがったゾ! 運の悪いやつめ!」

 

「なに……!?」

 

「出でよ! 死霊王 ドーハスーラ!」

 

 うめき声が聞こえなくなったかと思うとゾンビの見上げる先で骸骨の顔と長い尻尾を持った霊魂が墓場を支配していた。

 

死霊王 ドーハスーラ 攻撃力2800

 

「相手ターンに最上級モンスターを呼びやがったか……!」

 

「さあ、どうする! もう一度勇気を振り絞ってもいいんだゾ?」

 

「蛮勇は振るわない! カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

コナミ LP4000

 

フィールド 『ジェイドナイト』(攻撃表示) 『ビック・バイパーT301』(攻撃表示)

 

セット2

 

手札2

 

「俺のターン、ドロー! ゾンビ・マスターを召喚!」

 

ゾンビ・マスター 攻撃力1800

 

「手札を1枚捨て、効果発動! と、同時にアンデットに共鳴してドーハスーラの効果発動! 俺は二つ目の効果を選び、ビック・バイパーをゲームから取り除くゾ!」

 

 静寂が破られたかと思えば、呪文を掻き消すように雄叫びが衝撃波となって俺のモンスターを消し去ってしまった。強力無比の効果だが……これですら一端でしか無いという事実に、冷や汗が頬を伝うのが分かった。

 

「……だが! 攻撃力を重視したのは迂闊だったな。ジェイドナイトはバトルで破壊されれば後続を手札に加えられる!」

 

「あくまでバトルで破壊されればの話だろう?」

 

「……どういう意味だ」

 

「こういうことさ! ゾンビ・マスターの効果によりコストとして墓場へと埋葬された月風魔が蘇生される!」

 

 ゾンビの呪文により剣を持った赤髪の戦士が蘇った。そう思うや否や、俺のモンスターと同様にアンデットと化していく。

 

月風魔 攻撃力1700

 

「まさかゴーストデッキにアンデット族以外のモンスターを!?」

 

「ふふふ……。異なる種族のモンスターもゾンビ化して再生能力を与えられる。それがゴーストデッキの強みだゾ!」

 

「出た! 骨塚のゴーストコンボだ!」

 

「キースの野郎に散々叩き込まれたもんな!」

 

「……!」

 

「余計なことは言わなくていいんだゾ! やれ! 月風魔! こいつはアンデットキラー! 手にした波動剣によって戦闘後に効果で破壊するゾ!」

 

 ……! アンデットワールドは再生能力の付与だけじゃなく、アンデット狩りへの布石だったのか……!

 

「ふふふふ……はははは!」

 

「な、なんだ?」

 

「野郎。追い込まれて気が狂ったか!」

 

「やっぱりデュエルってやってみないと分からねえ。だから難しい……だから楽しいよな!」

 

「はっ! だがその楽しいデュエルもここで終わりだゾ! ワンターンキルでな!」

 

「いいや、宴はここからだ! トラップ発動、攻撃誘導アーマー! 月風魔の攻撃先は……ドーハスーラだ!」

 

「な……なんだとぉ!?」

 

 悪魔の形相をした鎧を身に付けさせられたドーハスーラを月風魔は打ち倒すべき敵と認識し、切り掛かった。咄嗟のことにドーハスーラも驚きつつも、牙で噛み付いて反撃する。

 

ゴースト骨塚 LP3400→2300

 

 これにより致命傷を負った月風魔だったが、最後の力を振り絞り一太刀を入れた。するとドーハスーラの身体が浄化されていく。……俺は攻撃誘導アーマーの一つ目の効果で攻撃してきたドーハスーラを破壊する予定だった。だが、たった1ターン先の未来でさえ代わり得る。そのことが嬉しくて仕方なかった。

 

「くそ……」

 

「どうした骨塚! アンデット族が効果を発動したんだ! ドーハスーラの一つ目の効果を使え! 効果を無効にするんだ!」

 

「そうだ! そっちの効果はまだこのターン発動してない! 使えるぞ!」

 

 そちらも厄介な効果だな。アンデットワールドと合わせて二枚だけで場を制圧し得るコンボだ。だが!

 

「無理だな。発動じゃなく効果を無効ってことはダメージステップでは発動できない」

 

「言われるまでもないゾ! まだ俺にはゾンビ・マスターが残ってる! ジェイドナイトを攻撃だ!」

 

コナミ LP4000→3200

 

「なら効果でファルシオンβを手札に!」

 

「ターンエンドだゾ!」

 

 ……妙だな。最恐最悪とまで謳ったモンスターを失った割にはあまりにも平然とし過ぎている。

 

ゴースト骨塚 LP2300

 

フィールド 『ゾンビ・マスター』(攻撃表示)

 

セット0 『アンデットワールド』 『フィールドバリア』

 

手札2

 

「俺のターン! ドローカード!」

 

「これを見ても笑ってられるかな? この瞬間、墓地のドーハスーラはフィールド魔法の存在により守備表示で蘇るゾ!」

 

死霊王 ドーハスーラ 守備力2000

 

「な……そんな効果もあるのかよ!?  ……そうか。そのためのフィールドバリア……! アンデット化の維持だけが目的じゃなかったのか!」

 

「そうだ! このゴースト3(スリー)によって既に俺の勝利は確定しているんだゾ!」

 

 まさしくゴーストデッキの真骨頂たる不死。その凄さをまざまざと見せつけられる。俺は圧倒されると同時に……笑っていた。予感が、現実のものになったから。

 

「確かに強力なコンボだ。だが勝負に絶対はねえ! 何故ならデュエルは相手がいて、初めて成立するものだからだ! マジックカード、森のざわめきによりモンスターを裏側守備表示にする!」

 

「くっ……ドーハスーラの効果をこのターン限り逃れるつもりか! だがそんな姑息な手なんか怖くないぞ!」

 

「ああ。だから俺が選択するのは……ゾンビ・マスター! 意思を持たないゾンビは守備行動が取れねえ。よって守備力は0だ!」

 

ゾンビ・マスター(裏側守備表示) 守備力0

 

「なるほどな。ドーハスーラは倒せないから、せめてこっちだけでも倒すつもりか」

 

「答えはその目で確かめな! 森のざわめきのさらなる効果! フィールドにあるフィールド魔法を全て手札に戻す!」

 

「手札に戻すだと? ……あっ。あああっ!」

 

「そうだ! お前がそうしたように、俺もフィールドバリアの抜け穴を突く!」

 

 吹き荒ぶ突風が闇を払っていき、光がフィールドに差し込んだ。

 

「それがどうした! また次のターン発動すればいい!」

 

「発動? ……あっ! まさか……?」

 

「……そうだゾ。守るためのフィールドバリアによって俺は発動を封じられた……!」

 

 そう……ないんだ。デュエルに、絶対は。

 

「さあ、反撃開始だ! ファルシオンβを召喚し、ゾンビ・マスターを攻撃! グラビティバレット!」

 

ファルシオンβ 攻撃力1200

 

 紫色の機体が発射した弾が着弾するとブラックホールが発生し、無防備なゾンビを飲み込んでいった。

 

「だが俺の場にはドーハスーラがいる!」

 

「突破してみせるぜ。そのボスモンスターを! 戦闘破壊に成功したファルシオンβの効果によってジェイドナイトが復帰する!」

 

 一度基地に戻り修復を終えたジェイドナイトが応援要請に応じて駆け付けてくれた。

 

ジェイドナイト 攻撃力1000

 

「それでどうするつもりだ?」

 

「こうするのさ! トラップ発動、はさみ撃ち! フォーメーション変更だ!」

 

 並行して飛んでいた機体が分かれると、機動力を生かして衝撃波を躱しながら挟撃の態勢に入った。

 

「バカな! そいつは自分のモンスター2体と相手モンスター1体を破壊するカード! 3枚のカードでやっと1枚のカードを破壊するクズカードだゾ!」

 

「どんなカードにも使い道はある! ジェイドナイトのもう一つの効果! このカードが攻撃表示で場にいる限り、自分の攻撃力1200以下の機械族はトラップでは破壊されねえ!」

 

「な……なんだとぉ!?」

 

 そのままタイミングを合わせて突撃しドーハスーラの身体を貫通していく。するとジェイドナイトが張り巡らせた障壁により二機とも無事に帰還してきた。

 

「1枚で1枚のカードを破壊ならさすがに文句はねえだろ!」

 

「な……なんだこの戦術は。俺の知ってるマシーンモンスターの戦い方とは全然違うゾ!」

 

「だからデュエルは面白いのさ! さらにジェイドナイトでダイレクトアタック!」

 

「くうっ……!?」

 

ゴースト骨塚 LP2300→1300

 

「今ならこのカードも使える! マジックカード、アイアンドロー! 俺の場に機械族効果モンスター2体のみがいることでカードを2枚ドローする! カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

コナミ LP3200

 

フィールド 『ファルシオンβ』(攻撃表示) 『ジェイドナイト』(攻撃表示)

 

セット1

 

手札2

 

「まだだ……! マシーンデッキ使いに負ける訳には行かないゾ! 俺のターン……ドロー!」

 

 恐喝までしてきた相手だ……魂の篭っていないデュエルをぶつけられる可能性もなくはなかった。だが確かに感じる。デュエリストとしてのプライドを……! なら、不利な盤面であっても最後まで勝利へと続く道を見つけ出してくる!

 

「来い骨塚! お前の全力を見せてくれ!」

 

「なんなんだお前は……ちょっとおかしいゾ。……だが、いいだろう! 見せてやるゾ……俺のエースモンスターを!」

 

「何!? ドーハスーラがエースじゃないのか……!」

 

「マジックカード、黙する死者によりドラゴン・ゾンビを蘇らせる! そして……融合呪印生物—闇を召喚!」

 

「岩石族か……。だがアンデットワールドが封じられた以上、ゴーストコンボは使えねえ!」

 

「はっ! 俺が教えられたゴーストコンボに固執していると思ったら大間違いだゾ! 融合呪印生物—闇の効果! 自身をメデューサの亡霊としてドラゴン・ゾンビと共に生贄に捧げ、融合モンスターを呼び出す!」

 

「……!? ここで『融合』のカードを使わずに融合召喚を……!」

 

「出てこい。冥界最強のモンスター! 金色(きんいろ)の真象!」

 

金色の真象 攻撃力2200

 

 ドラゴンがメデューサに見つめられて石化するかと思ったら金色の象になった……? それはおいといて、攻撃力2200か。今の状況なら十分なアタッカーだが、ここでエースを呼び出して来たんだ。次のターンで簡単に巻き返される状況にはしてこないはず……。

 

「そしてこのカードとのコンボだゾ! 装備魔法フュージョンウェポン! レベル6以下の融合モンスターの攻守を1500上昇させる!」

 

「……!? そんなコンボが……」

 

金色の真象 攻撃力2200→3700 守備力1800→3300

 

「バトルだゾ! ファルシオンβを仕留めろ!」

 

「く……トラップ発動、苦渋の黙札! ファルシオンβを生贄にY—ドラゴン・ヘッドを手札に!」

 

「だがそいつを逃してももう一体は見殺しだゾ! ジェイドナイトを葬りされぇ!」

 

 至近距離に迫られたジェイドナイトが放った反撃のレーザーが金色の身体に弾かれ、躱しきれなかったことで墜落してしまった。

 

コナミ LP3200→500

 

「すまねえ……。だがその犠牲を無駄にはしない! 効果でX—ヘッド・キャノンを手札に!」

 

「ターンエンド! 次のターンで終わりにしてやるゾ!」

 

ゴースト骨塚 LP1300

 

フィールド 『金色の真象』(攻撃表示)

 

セット0 『フィールドバリア』 『フュージョンウェポン』

 

手札1(アンデットワールド)

 

 ……追い詰められた。それでも今の手札なら……相打ちまでは持っていける。しかしフィールドが空いたままターンを渡せばこのライフでは耐えられないだろう。だが、まだだ!

 

「最後まで諦めはしねえ!」

 

「……! なんだお前は……。どうしてこの状況でも……笑っていられる!?」

 

 俺は手を伸ばした。軌跡を描いたカードは最後の可能性となって手札に収まる。

 

「……………」

 

「どうした! 打つ手無しならサレンダーしてもいいんだゾ?」

 

「まさか。驚いたのさ……アンタのおかげで気付かせてもらった! 俺のデッキのまだ見ぬ可能性を!」

 

「お、俺のおかげだと!?」

 

「行くぜ! X—ヘッド・キャノンを召喚し、永続魔法前線基地によりY—ドラゴン・ヘッドを召集! そしてこの二機を除外し……融合モンスターを呼び出す!」

 

「なっ! お前も『融合』無しで融合モンスターを……!」

 

「合体完了! 出番だ! XY—ドラゴン・キャノン!」

 

 龍を模した機体に砲塔を備えた戦車が乗ると、機動力がありながらも高出力をも持つ合体モンスターが完成した。

 

XY—ドラゴン・キャノン 攻撃力2200

 

「早速効果発動だ! 手札を1枚捨て、相手の表側表示のマジックかトラップを破壊する! フュージョンウェポンを破壊!」

 

「そんな……!」

 

金色の真象 攻撃力3700→2200 守備力3300→1800

 

「ま、まだだゾ! 互いに攻撃力は同じ! なら俺の有利は覆らない!」

 

「そうだ。だからこそその先までカードを紡ぐ! 行くぜ! 速攻魔法武装再生! 墓地の装備魔法を自分のモンスターに装備する!」

 

「なに!? XY—ドラゴン・キャノンのレベルは……6!? まさか……!」

 

「その、まさかだ!」

 

XY—ドラゴン・キャノン 攻撃力2200→3700 守備力1900→3400

 

「こんなことが……」

 

「あるのさ。デュエルにはな! バトル! 金色の真象に攻撃だ! ハイパー・デストラクション!」

 

 龍の口からブレスのような光線が放たれると、砲塔からの射撃と共に象を撃ち抜き、終止符を打った。

 

ゴースト骨塚 LP1300→0

 

「まさか骨塚が負けるなんて……」

 

「クソっ! こんな様じゃキースの野郎の鼻を明かすことも……」

 

「城之内に負けてからずっとこうだゾ……! なんでだ。なぜ俺は勝てない!」

 

「……。それはお前が負けを恐れてるからさ」

 

「なんだと!? 俺のどこが恐れてると言うんだ!」

 

「こういう真似するの初めてじゃないんだろ?」

 

「それは……そうだが」

 

「今までもそうして強くなる機会を逸してきたんだ。折角お前自身には強くなれる資質があるのに」

 

「俺が……?」

 

「デュエルで俺に語ってくれたじゃないか。強くなるための足掻きを。だが……デュエルは一人じゃできねえ。一人じゃ強くなれねえのさ」

 

 そう……一人じゃ強くなれない。だから俺はここに来た。もう戦ってくれるやつがいなくなってしまったから。

 

「……そんなことを言うのはお前が初めてだゾ。今まで俺を切って捨てた奴らは俺を馬鹿にした……! 俺はエセデュエリストだと!」

 

「見返したいんだろ?」

 

「当たり前だ!」

 

「なら本当にエセになっちゃダメだ」

 

「あ……」

 

 俺は膝を曲げ、伏している骨塚に手を伸ばした。もし他の二人に襲われたら抵抗できなかっただろう。だがこの時はそんなこと思考の外だった。

 

「そりゃあ誰だって負けたくはない。俺もさ。だから勝ちからも負けからも学ぶんだ。それなのに勝敗だけに囚われて……負けを恐れるなんて、つまらないことだと思わないか?」

 

「……そう、だな。お前も俺にデュエルで語ってくれたゾ。だからお前は強いんだな。俺も……強くなりたい!」

 

 そして骨塚は俺の手を受け入れてくれた。そのことが……堪らなく、嬉しかった。

 

「お前、名前は?」

 

「俺の名はコナミだ!」

 

「コナミ? ……ま、まさか。侵略者(インベーダー)コナミか!?」

 

「あー……そう呼ばれてる」

 

「とんでもないやつに挑んじまったゾ……。おかげで目が覚めたけどな。……コナミ。そいつを受け取って欲しいゾ」

 

「え……? だがこのカードは」

 

「いいんだ。お礼も兼ねて戒めだゾ。俺は勝ったら本当にお前のデッキを全て奪うつもりだった。だからせめて、かつてのバトルシティのように1枚……コナミに受け取って欲しいんだ」

 

「……そうか。分かった。大切に使わせてもらうぜ」

 

 骨塚のデュエリストとしての魂が込められたカード。取り出した手に熱い感触が伝わってきた。そして彼の覚悟と共に、受け取った。

 

「コナミは童実野町に来たばかりか?」

 

「そうだ。推察通り、新参者さ」

 

「なら気を付けるんだゾ。今この町ではデッキ狩りが流行っている。俺たちのなんて所詮真似事だ」

 

「なんでまたそんな物騒な……」

 

「海馬コーポレーションの元社長……海馬瀬人がいなくなったからだゾ」

 

「それは俺も聞いたことがある……。武藤遊戯とのデュエルから少しして、消息不明になったと」

 

「ああ。現社長も頑張ってはいるみたいだが……それほどあいつの影響は大きかった。奴らはネオグールズと名乗り、海馬コーポレーションの網を潜り抜けて好き勝手しているゾ」

 

「へえ……。分かった。気を付けるよ」

 

「……!?」

 

「じゃあな。また会えたら、デュエルしようぜ」

 

「あ、ああ……」

 

 俺の顔を見た骨塚の表情に驚きと……恐れが混じった。すぐに帽子を深く被り、背を向ける。ふふ……いけないな。折角親身になって注意してくれたのに。俺は予感を覚え、笑ってしまっていた——。




コナミ君(KONAMI感)
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