久しぶりだな、G13!貴様の活躍は、進駐部隊の中でも持ちきりの話題だ。そんな有名人な貴様に、アーキバス経由での指名が入っている。そう嫌そうな顔をするな!
現在、バートラム旧宇宙港に対して、封鎖機構の部隊が接近しているという情報が、アーキバスから伝わった。駐屯している戦力では到底足りず、しかし連中には手が空いている幹部はいないと言う。旧宇宙港は、あの化け物退治には欠かせない拠点だ。いかなアーキバスからの要請とは言え、断るわけにはいかん。そこで、都合のいい外注を思い出したわけだ。傭兵らしく、方々に尻尾を振っておけ!
我がレッドガンからも、暇そうにしていた役立たず二名を派遣している。念のための保険だ。G13が到着次第、任務を引き継いで交代させる。……どうやら保険一号が、貴様に挨拶があるそうだ。
壁越え以来だな、新入り。あの時は世話になったが、今回は出番なしだぜ。イグアスの野郎も妙に張り切ってやがる。犬っころらしく、お座りして骨でもしゃぶってな。
いったいいつから貴様が
仲良しごっこが済んだなら出撃の準備をしろ!簡単なお使いだ。死ぬ気で済ませてこい!楽しい遠足の始まりだ!
ルビコンに、夜が訪れようとしていた。太陽はその存在を疑うように傾き、燃料が切れたように橙色の陽光を投げかけている。地の果てに立つグリッドが、影絵のようにオレンジの空に食い込んでいた。
中央氷原沿岸部に位置する旧宇宙港の発射塔が、灯台のように
その発射塔の
「既に交戦が始まっているようです」
「待て、621。様子がおかしい」
ウォルターの広域レーダーが捉えたのは、交戦中の三機のACだけだ。調整に手間取って出撃が遅れたとはいえ、それでは少なすぎた。
「G4とG5が……所属不明のACと交戦中です」
旧宇宙港からは、幾つもの黒煙が昇っている。それは、屍の数を表す
『んだこいつ……野良犬みてぇな機体で……ゴホッ』
『イグアス!その傷じゃ邪魔だ!とっとと失せろ!』
所属不明のACは、レッドガンの二機を相手に優勢だった。ヘッドブリンガーの胴体部には、幾つもの弾痕がついている。G5の鈍い動きを、G4が
『レイヴン、目標を確認したわ。肩慣らしは終わらせましょう』
女の声が、通信から聞こえてくる。
『野良犬の……名前?』
それは、全周波数に乗せられて、G4とG5にも聞こえていたようだ。二人が、予想外の言葉に一瞬動きが止まる。その隙を、所属不明機は撃ち抜いた。右肩に装備された二連装砲の砲弾が、キャノンヘッドの車体に直撃する。
『ちっ……履帯を切られた!』
身動きが取れなくなったG4に、所属不明機が接近する。
『イグアス!早く逃げろ!』
G4が上半身を
接近した所属不明機が、左腕を掲げる。その腕に装備されている巨大な
『クソッたれの……ガラクタが……!』
撃鉄が落ちる。解き放たれた鉄杭は、シリンダーに装填された炸薬の爆発力も加算されて、打ち出される。ボディーブローのように叩きつけられた棘は、ACの装甲すら紙屑のように引き千切り、キャノンヘッドの胴体に巨大な風穴を開けた。
「G4が……撃破されました……」
「間に合わなかったか……」
G4を片した所属不明機が、飛来するレイヴンを仰ぎ見る。
『あれが、あなたを騙る傭兵……』
その機体は、レイヴンと同じRaD製のフレームで統一されていた。ただ一点、頭部だけを除いて。それは、カーラの工房でも見たことのないパーツだった。企業製フレームに該当する物も、エアには見つけられない。
『見せてもらいましょう。借り物の翼で、どこまで飛べるか』