地中探査
俺だ。ウォッチポイント・アルファでの状況を、お前にも伝えておく。……
ウォッチポイントの探査は、大方終了した。621が開いた突破口を通って、企業勢力が宝探しを始めている頃だろう。調査依頼を寄越したベイラムと、その旨味を吸おうとするアーキバスで、ウォッチポイント内部では小規模な衝突が繰り返されているそうだ。だが、今の俺たちには企業の争いは関係がない。むしろ、今の状況は出し抜くには好都合と言っていいだろう。
第一層に配備されていた複合砲台ネペンテス、第二層を守っていた無人MTと
今のところは、それ以上の探査はベイラム側からストップがかかっている。恐らくは、先に進むのはアーキバスを退けてからなのだろう。近々、レッドガンの本隊がウォッチポイントに降下するという話も出ている。……だがどちらが勝っても、俺たちのやることは同じだ。
俺の見立てでは、ウォッチポイントの先にあるのは技研都市だ。そこに、バスキュラープラントもある。だが、まだ確証はない。企業を裏切るのは、最後の最後まで待たなくては。ここまで来て、俺たちの狙いを悟られるわけにはいかない。
お前に連絡したのは、もしもの時の保険だ。ウォッチポイントでの状況は、場所が場所だけにお前にも伝わらないだろうからな。俺の方でも保険は用意しているが、万全を期すに越したことはない。コーラルの発見は近い。それを伝えておきたかった。
今後の動き次第では、お前に621を託すことになる。その時は、お前が自由にしてやってくれ。あいつは、ここまで想像以上の働きをしてくれた。あと少しで、あいつも自由になれる。指定口座と暗号
これまで、目的も伝えずに利用してきた。技研都市を見つけたら、あいつにも計画を伝える。あいつには、選ぶ権利がある。友人たちの遺志を引き受けるかは、あいつの意志が決めることだ。強制はしない。
それともう一つ、送っておきたいものがある。ザイレムの起動プログラムだ。もし企業にコーラルが渡ったら、こいつを使え。企業が星外にコーラルを持ち出すには、バスキュラープラントを再建させる必要がある。こいつがあれば、ザイレムは入植船としての機能を取り戻し、浮上できる。長らく使われていなかったが……そう生半可な物じゃない。今でも使えるはずだ。ザイレムでバスキュラープラントの外殻を貫いて、コーラルに火を点けられる。
要件は以上だ。621を、頼む。