システム起動
接続確認 C4-621... 承認
接続状況... 正常 制御システム最適化
ジェネレーター起動... 正常
機体状況... 正常 損傷無し
FCS起動... 正常
各部武装読み込み
右腕部... MA-J-200 RANSETSU-RF 正常
左腕部... HI-32: BU-TT/A 正常
右肩部... BML-G1/P20MLT-04 正常
左肩部... WR-0999 DELIVERY BOY 正常
コア拡張機能読み込み
ASSAULT ARMOR... 正常
制御システム最適化... 完了
メインシステム戦闘モード... 起動
RaDのチャティ・スティックだ。ビジター、お前にボスから伝言がある。
やぁビジター。あんたがこれを聞いてるってことは、私らは死んだってことだね。あんたがどんな選択をしたかは知らないが、どうやら私たちとは違う道を選んだみたいだね。別にいいさ、恨んじゃいないよ。
こいつは、あんたのために用意していたんだ。本当は、アーキバスから助けた時にでも渡そうと思ってたんだけどね。困ってるなら、使うといい。あんたによく似合うようにしてある。
以上だ。……ボスは、ビジターが敵になったと分かった時も、なぜか嬉しそうにしていたよ。要件はそれだけだ。じゃあな。
レイヴンがコントロールタワーへ着いた時、既にそこでの戦いは終わっていた。コントロールタワーの中には、三機のACの残骸があった。
『すまない、戦友。これ以上は手伝えそうにない……』
そのうちの一つは、ラスティの機体だった。他の二機と違って、燃えるほどの損傷には至っていないが、コックピットは爆発物の直撃があったのかひどく損壊していた。通信から聞こえてくるラスティの声は、苦し気で、時折血と一緒に咳こんだ。
火の手を上げて倒れている残りの二機は、アリーナに登録がある。カーラの「フルコース」と、チャティ・スティックの「サーカス」だ。コントロールタワーの内部は、流れ弾と爆風で崩壊している。
『君の機体もボロボロだな……』
レイヴンが、コントロールタワーの端末にアクセスし、エアがネットワークに入り込む。が、強力なファイアウォールに阻まれて侵入は困難だった。これだけ高度な防壁を組むのは、人間ではできない。チャティ・スティックが、死の前に用意していたのだろう。
「レイヴン、制御装置にアクセスするには時間が足りません。こうなったら、エンジンを破壊するしかない」
しかし、レイヴンもラスティも、既に動ける状態ではなかった。レイヴンの機体も、連戦でボロボロになり、武装もライフルが一本しか残っていない。
『戦友、彼女らから、伝言を預かっている。奥の部屋に、贈り物がある、と……』
コントロールタワーを出て、レイヴンはザイレム後部へと向かう。エンジンを破壊して、ザイレムを墜落させる。
コントロールタワーの奥にあったのは、レイヴンの愛機だった。正確には、同じパーツを使用して組んだ、RaD製探査用機体。武装はRaDの流通ルートで手に入るものに少し変わっていたが、使用感に大きな変化はない。既にザイレムは、敵艦隊を突破して成層圏に達していた。バスキュラープラントへの突入を止める猶予は、残り少ない。
レイヴンが機体を変えて戻った時、ラスティはすでに事切れていた。彼の「スティールヘイズ・オルトゥス」の機能は停止し、生体反応はなかった。地上の状況がどうなっているのか、レイヴンには分からない。既に、通信可能範囲を越えてしまっている。だが、ザイレムを止められなければ全員が死ぬ。
ザイレムでの戦闘は、既に終わっていた。重力を免れた残骸が、空中を漂っている。それらを避けながら、レイヴンは全速力でエンジンへと向かった。
ザイレムの主動力であるラムジェットエンジンは、淡い光を放ちながら、この巨大な矢を押していた。そこへ、レイヴンが肩のミサイルを撃ち込んでいく。ミサイルの爆発によって、エンジンが損傷し、白いプラズマを発生させて機能を停止させた。派手な爆発は起こらなかった。
「これで、ザイレムは墜落するでしょう。今なら、アーレア海に堕ちて被害も少ないはずです。急いで離脱を……!」
レーダーが、機影を捉える。こんな上層まで追ってくる敵が、まだいたのかとエアは考える。間違いなくACだろう。
『間に合ったか、猟犬』
高度を落としていくザイレムが、大気圏に突入して摩擦熱で赤くコーティングされていく。その中で、レイヴンの前に一機のACが降り立った。
『俺とお前の決着に、そう時間は必要ないだろう』
もう何度、その機体と対峙しただろうか。ヴェスパー部隊でありながら、ベイラム社製のパーツを混ぜている不忠なAC。その周りに、殻から現れたドローンがフワフワと漂う。
『お前も、俺と同じ口だろう。戦いが楽しくて仕方ない、どうしようもない
墜落間際のザイレムに現れたのは、ヴェスパー部隊最後の生き残り、V.Ⅰフロイトだった。