レッドガンの死神   作:抜殻

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エピローグ

 ルビコン3におけるコーラル戦争を発端とした、ベイラム・アーキバス間の武力紛争が勃発してから、一年余りが過ぎた。ベイラム経済圏は、開戦前の30%程度にまで減少し、ベイラムグループは劣勢に追いやられていた。

 コーラル戦争の後、損耗した両陣営は再度のルビコン進駐を図って戦力の再編を始めた。しかし、アーキバスグループが、安定した成功率を誇る第十世代強化人間手術を確立させ、ヴェスパー部隊を再興させたのに対して、ベイラムグループの戦力再編は遅々として進まなかった。旧態依然とした物量戦術に傾倒しながらも、それを支える経済力が、長年の勢力争いで疲弊してしまっていた。

 ファーロン・ダイナミクスは、レッドガン総長ミシガンの戦死を契機にベイラムとの貿易を停止し、ベイラム敵対企業であるアーキバスと同盟を結ぶ。

 そして、ファーロン・ダイナミクスからベイラム内情の裏付けを得たアーキバスは、ベイラムグループへと宣戦布告した。木星戦争にアイランド・フォーの動乱、そしてコーラル戦争と続いた両陣営の対立は、遂に全面戦争へと発展したのである。

 ベイラム経済圏へ侵攻したアーキバスは、次々と惑星を占領していった。ベイラムグループは、企業連盟にアーキバスの違憲行為についての嘆願を送ったが、旨味を狙う企業連盟は逆にベイラムのルビコンへの違法進駐を理由に侵攻を正当化した。

 企業連盟からの後ろ盾も失い、上述の疲弊と、ファーロンの敵対によって数の優位も失ったベイラムは、アーキバス精鋭部隊であるヴェスパーに対抗することもできず、敗北を重ねた。

 劣勢に追い込まれたベイラム上層部は、ようやくその認識を改め、自社精鋭部隊である「レッドガン」の再編を決定する。そして、ルビコン3から生還し、コーラル戦争で英雄的活躍をした元レッドガン隊員「レッド」が、新生レッドガン総長に任命された。

 レッドは、自社での養成パイロットでは到底ヴェスパーに太刀打ちするのは不可能だとして、部隊の中核に独立傭兵を起用することを提案。上層部に意見を押し通したレッドは、ある独立傭兵に、レッドガンへの復帰を要請するのだった。

 その傭兵こそ、後に「レッドガンの死神」として恐れられる、コールサインG13「レイヴン」であった。

 

 惑星を、灰が覆っている。大量の火山灰が、曇天のように空を塞ぎ、雪のように降り注いで積もっていた。その灰を舞い上げながら、一機のACが駆けていく。

「G13!目標地点まであと三分だ。目標は、侵攻中のアーキバス部隊長V.Ⅱペイターの排除。一年ぶりのレッドガンとしての任務だ、存分に暴れて来い」

 戦況は芳しくなかったが、レッドは不意に笑みをこぼしそうになるのを堪えた。今では指令室で作戦指揮を執る身になり、あの狭いコックピットを懐かしく感じるようになった。あの中では、仲間の活躍に喜ぶことを隠す必要はなかった。

「それにしても、その番号で良かったのか?その番号は縁起が悪い……いや、貴様にそんなものは通用しないか」

 ルビコンで、レッドはG13の剛運を見た。コア拡張機能の連続使用という自爆に等しい危険を冒して、V.Ⅰフロイトを撃破した。普通ならば、不発か、爆発に巻き込まれて死ぬ。だが、G13はその無茶を通して生き延びた。

 地上部隊の突破が確実になった後、レッドは増援としてザイレムに駆け付け、重傷を負いながらも生きていたG13を救助した。

 バスキュラープラントと主要戦力を失ったアーキバスはルビコンから撤退し、コーラル戦争は終結した。レッドたちベイラム勢力も、解放戦線との協力関係が終わりルビコンを離れることになった。

 G13とはルビコンで別れ、その後の行方は知れなかったが、噂ではブランチという集団が各地の紛争に介入するようになり、その頭目がレイヴンを名乗っていると聞いていた。そしてレッドは、レッドガン再建と同時にブランチに接触した。

「そういえば、封鎖機構がまたルビコンの封鎖に失敗したらしい。どうやら、軌道上の衛星砲に撃退されたそうだ。アーキバスですら掌握できなかった封鎖システムに解放戦線がアクセスできるとは思えんが……何だG13、心当たりでもあるのか」

 G13の口角が、わずかに上がっている、ようにレッドには見えた。

 レイヴンのオペレーターを名乗る女が、作戦地点に到達することを告げる。レッドは、再びG13の戦いを見れることに期待を抱く。それはかつて見た、木星戦争の中継映像に映っていた英雄の姿を想起させた。

「G13!楽しい遠足の始まりだ!」

 

 

 

 

 あなたは、人とコーラルがともに生きる未来を、その可能性を守ってくれた。ウォルターが恐れた「破綻」……それを回避する方法も、きっと見つかる。

 ですが……あなたにその道をともに歩むことを、私は強制できない。ルビコンでの戦乱は、じきに収まる。その時、あなたが何を望むのか。フロイトと戦うあなたを見て、それが分かったのです。

 あなたがルビコンを離れれば、きっとこの繋がりも切れてしまう。その前に私は、自身の意志で、あなたとの交信を終えようと思うのです。

 ……ある人物に、コンタクトを取りました。彼女なら、あなたの後見人として助けになってくれるはずです。

 私は、あなたを閉じ込める檻にはなりたくない。あなたが自由に飛ぶことを、私は望んでいます。

 いつか、人とコーラルが共生する、そんな世界が実現した時に、また、会いましょう……レイヴン。




 ということで、これにて完結となります。長らく付き合ってくださった皆様、本当にありがとうございました。感想をいただけることが私のやる気に火を点けてくれました。
 後半は駆け足になってしまい、雑で無理のある展開も増えてしまいました。都合のためにキャラの行動原理を捻じ曲げてしまった自覚もあります。不快になられた方がいたら申し訳ないです。
 勢いで書き始めた妄想の羅列でしたが、なんとか完走できたことは自分でも嬉しいです。正直、終わり方はあまり締まりがない気がしますが…。
 分かりにくい稚拙な文章で、説明不足感もありましたが、私自身は楽しく書けたかと思います。付き合ってくださった皆様には、本当に感謝しかございません。
 次はカクヨムで一次創作を書こうかなと思っています。物好きな方がいましたら、読みに来ていただけると幸いです。
 それでは、またどこかでお会いしましょう。ありがとうございました。
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