遊星 side
「遊星、さっきの話は本当なのか。ダークシグナーを倒せば、消えた人間たちが戻ってくるというのは。」
「っ...」
「どうなんだ!」
「......わからない。」
「なんだと!?」
「どういうことなんだ、遊星!」
俺の言葉に、ジャックと牛尾は怒りをあらわにしていた。
二人は子供たちに優しかったからな...俺が不用意に希望を与えたことに憤りを見せているんだろう。だが....
「俺が...そう信じたかっただけだ...」
「くっ...くそっ!」
「そんな一時しのぎの嘘をついてなんになる!」
「やめなよ!マーサやラリーたちがいなくなって、遊星だって悲しいんだよ!」
「それに...遊護さんが遊星のお兄さんだったなんて...」
「遊星は幼い頃に家族を失った。そんな彼が、唯一生き残っていた肉親がいたというのに、それも気付かないうちに失ってしまった。今一番つらい思いをしているのは遊星だわ。」
「それは....そうかもしれねえが...」
遊護...おまえはいったいどんな気持ちで俺と接していたんだ。
お前は俺が弟だと知っていたのか?だとしたら俺は....
「私は遊星の言ったことを信じるわ。やつらを倒せば、みんなはきっと帰ってくる!(そう...遊護だってきっと...)」
「アキさんの言う通りかもしれません。どのみち、冥界の扉を閉じに行かなければなりません。」
「ああ、その通りだ。今は俺たちの未来を信じるしかない。」
「「うん!」」
「....(俺たちの未来.....カーリー....)」
「ところで奴らは、宿命の地でお前たちを待つと言っていたな。宿命の地とはなんだ?」
雑賀がそんな話を切り出した。確かにわからない。
宿命の地と言っても、俺たちにそんな場所の覚えなどないからな。
「おそらくそれは、旧モーメントを管理していた4つの制御装置のことだと思われます。」
「制御装置?」
「旧モーメントが暴走する直前、その封印が解かれたそうです。その制御装置には、4つのコードネームがついていました。CcapacApu(コカパクアプ)、Ccarayhua(コカライア)、AsllaPisuc(アスラピスク)、Cusillu(クシル)...これらはケチュア語で、巨人、トカゲ、ハチドリ、猿を意味します。」
「それは、消失した地上絵の...」
「でも、蜘蛛が抜けているわ。」
「蜘蛛は、旧モーメントそのものを指すコードネーム、Uru(ウル)のことです。旧モーメントを封印するためには、その制御装置を作動させなければなりません。」
「では、さっきのルドガーという男がダークシグナーのボス。」
「4人を倒してから自分のもとへ来いというわけか。」
「皆さんが使っているカード...まだ『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』は敵の手にありますが、それらのカードは元々、その制御装置の封印に使われていたカードらしいのです。」
「それは本当なのか。」
「長官はそのカードを、不動博士から託されたそうです。」
「俺の親父が...まさか、それじゃあその封印は!」
封印を解いたのは、俺の父ということなのか...!
「いえ...むしろその逆です。遊星さんのお父さん、不動博士ははがされたカードを奪い返し、再び封印するために長官にカードを託したのです。」
「そうか....ゴドウィンは俺の親父について、何か話したのか?」
「いえ、私が聞いたのはそれだけです。」
ゴドウィン....奴は俺の知らないことをもっと知っているかもしれない。
親父のこと、そして何より...兄...遊護のことを。
「それで?なんでそのカードが遊星たちの手にあるんだ。」
「長官はシグナーを探すために、あえてカードを野に放ったと言っていました。そしてそれは叶い、こうしてシグナーである遊星さん、アトラス様、アキさんのもとに渡った。」
「過程はともあれ、結果として俺たちはゴドウィンの手のひらの上で踊らされていたわけか。」
「ですが、長官の思惑はここまでです。すでに賽は投げられました。ダークシグナーを止めることは、あなたたちシグナーにしかできません。この世界の未来は、あなたたちの手に委ねられたのです。」
俺たちの手に...世界の未来が...重たい使命だが、俺にはそれを成し遂げる責任がある。旧モーメント開発の責任者であった、親父に代わって...
「4つの制御装置の位置はこの4か所です。」
御影が地図を広げ、制御装置の場所に印をつけて教えてくれた。
場所は旧モーメント跡地を囲むように東西南北に分かれており、それぞれの位置もそこそこ開いていた。
「どうする。全員で一か所ずつ回るか?」
「そんなことは時間の無駄だ。所詮デュエルは1対1...俺は1人で行かせてもらう。この赤き竜の痣がダークシグナーとのデュエルを望んでいるのなら、金魚の糞のように全員でくっついて回っても意味はない!」
「でも...せっかく仲間になれたのに...」
「ジャックの言う通りかもしれない。離れていても、俺たちが仲間であることに変わりはない。」
「遊星...」
俺の言葉に、不安がっていた龍可は少し安心したような表情となった。
仲間というのは言葉だけじゃない...心のつながりだ。たとえ離れていようと、それが揺らぐことはない。
「相手はどうする。」
「おそらく、巨人の紋章で待つのは鬼柳....そこには俺が行こう。」
「トカゲはミスティ...私はそこに向かう。」
「猿はディマク...私は『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』を取り返したい!」
「俺は龍可を応援する!」
「ハチドリは...........俺が行こう。」
「よし!龍亜と龍可ちゃんは俺が車で運ぶぜ。」
「うん!」
「アキさんは私の車に。」
「ええ。」
「よし...明朝、出発する!」
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そして明朝...
「大丈夫か、龍可、龍亜。」
「うん。」
「俺だってついてるし!」
「ふっ...わかった。」
「ここから先、勝敗を分かつのは己の実力のみだ!」
「みんな!ダークシグナーは簡単に勝てる相手じゃない...俺たちは苦戦を強いられることになるだろう。だが、その時こそ思い出すんだ!俺たち仲間一人一人のことを。俺たちは離れていても、強い絆でつながっている!」
俺の言葉に、皆が頷く。
「みんな!必ず勝って、もう一度会おう!」
「互いの健闘を祈る!」
こうして俺たちは、互いの目的地に向かって走り出した。
鬼柳...待っていろ。必ずお前を倒し、お前を....
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龍可 side
みんなと別れて、牛尾さんの運転する車で制御装置の元へと向かっている私たち。
この戦い...怖いけどきっと大丈夫...だって私に龍亜がついているもの。
「ねえ。」
「うわああああああああああ!」
「ひゃっ!」
私が龍亜の肩に手を触れながら呼びかけると、龍亜は大声を上げながら驚いた。
「お、脅かすなよ龍可!」
「そっちこそ脅かさないでよ!」
「あぁ...びっくりしてカラスと勇気がドッキングしちゃうところだったよもぉ...」
「ごめん...私が強引に頼んだから...」
「な、なに言ってんだよ!俺たち兄妹だろ!俺はいつだって龍可を守るって決めたんだから。...あ、そうだ!じゃじゃーん!」
そう言って龍亜は、しまっていたデュエルディスクを取り出して腕につけ始めた。
「もう...龍亜がデュエルディスクをつけてどうするのよ。」
「ひひ!気合だよ気合!さあ、来るなら来てみろダークシグナー!」
「また....デュエルするのは私なんだからね。」
「ふっ....無邪気なもんだぜ。」
『........ッ............!』
「えっ?」
「どうした?」
一瞬、何かの声が聞こえたような気がした。
まるで悲鳴みたいな....前からも時々聞こえていた声だ。
サテライトに来てから、どんどん大きくなっている気がする。
「精霊の世界で、誰かが私を呼んでるのかもしれない...」
「それって、『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』?」
「おい。精霊の世界ってどういうことだ?」
「龍可はデュエルモンスターズの精霊と話しができるんだ。」
「えっ?....おいおい、なに言ってるんだ。」
「本当なんだって!」
「そんな話を信じろってか?まったく...これだから子供ってやつは...」
牛尾さんはそういうけど、実際本当に話せるのよね....
それに今私たちが戦ってるダークシグナーや地縛神、冥界の扉なんて話も普通は信じられない話だと思うけど....
『クリリ~!』
「っ!クリボン!」
『クリリ~!クリリ~!』
「精霊界で何かが起きているのね...」
「ん?誰と喋ってるんだ?」
「うん...わかった!」
私はクリボンの話を聞いて、精霊世界に何かがあったんだと思った。
その瞬間、私は光に包まれてどこかに飛ばされるような感覚に陥り、意識を失った。
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「クリリ~!」
「うぅ....ん.....ここは...」
目が覚めると、さっきまでいたサテライトとは別の場所に寝転がっていた。
辺りを見渡すと森が広がっていて、目の前には『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』が封印されている山が見えた。
「ここは...精霊世界...!」
早く『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』を助けてあげないと!
それに早く現実世界に戻らないと、もしかしたら龍亜が私の代わりに...
「(『エンシェント・フェアリー』...あなたが私を呼んだの?あなたが解放しないと、『地縛神』に勝つことはできないのね。)」
しばらく森を走っていると、森の中に町が見えてきた。
あんなところに町があるなんて...
「クリボン、行ってみましょう!」
「クリリ~!」
町の中に入ると、辺りは静まり返っていた。
これだけ大きな町なのに、誰もいないのかしら。
「あら?」
よく見ると、魔法使い族の精霊たちが物陰から私を見ていた。
「ねえ、あなたたち何をしてるの?」
「「わああああああ!」」
「え、ちょっと!」
私が近づくと、精霊たちは何かにおびえるように逃げていった。
一体何が起こってるのかしら...しばらく街を歩き回っても、みんな逃げちゃって話もできない。そんな時だった。
「奴らが来るぞ!」
「みんな逃げて!」
「え?どういうこと?」
精霊たちが慌てて走り出したけど、一体何が....っ!あれは何!?
突然嫌な気配を感じる何かが出てくると、そこから猿のようなモンスターが現れた。
「ダメ...逃げよう、クリボン!」
「クリリ~!」
それから物陰に隠れてやり過ごしていた。だけどあれはいったい何なの...?
私のデッキの精霊たちもおびえてる....っ!
「わああああああ!」
「あっちだ!捕まえろ!」
「ん?ここにもいるぞ!」
「あっ!」
「クリリ~!」
ついに見つかってしまった、そう思ったけどクリボンが私を助けるかのように物陰から飛び出し、猿のモンスターたちの前に姿を現した。他にもサンライト・ユニコーン、サニー・ピクシーも姿を現し、飛び出していく。
「くらえ!」
「きゃああああ!」
「ヒヒーン!」
「クリリ~!」
すると猿のモンスターたちは持っていた杖のようなものから何かを射出すると、それを浴びた精霊たちは石板に封じ込められてしまった。
「そんな...クリボン...みんな...!」
「あっちにもいるぞ!」
「捕まえろ!」
「ダメ....逃げなきゃ...!」
ここで捕まったら、クリボンたちがかばってくれた意味がなくなっちゃう!
何とか逃げ回っていたけど、ついに行き止まりに追い込まれてしまった。
「どうしよう...」
「おい、こっちじゃ!」
「えっ!?」
床の石が動いて、中から魔法使い族の精霊が私を手招きしていた。
私は精霊と一緒に床の中へと隠れて、猿のモンスターたちをやり過ごす。
しばらくすると私を見失い、ほかの精霊たちを探しに猿のモンスターたちはどこかへ行ってしまった。
「行ったようじゃな。」
「ありがとう。おかげで助かったわ。」
「よっと....お嬢ちゃん、さては違う世界から来なすったな?」
「えっ?」
「やれやれ....小さな子がたった一人で精霊世界にさまよいこむとは。わしがついておらんかったらどうなっていたことか。」
「ちょっと!お姉さんに対してそんな言い方ないんじゃない?」
この子、どう見たって私より小さいじゃない!
なのに私を小さな子扱いなんて、失礼しちゃう!
「子供じゃないぞ。こう見えても立派なじいさんじゃ。」
「えっ?」
「わしはトルンカというもんじゃ。よろしくな、お嬢ちゃん。」
それから身を潜めながら、私はトルンカからいろんなことを聞いた。
マイナスの呪いのせいで子供の姿になってしまったこと、ほかの精霊はマイナスエネルギーによって石板に封印されてしまったこと。
「そんなことが.....あ、ねえ!あなたはレグルスのことを知ってる?」
「レグルス?なんであんたがレグルスのことを...」
「私、『エンシェント・フェアリー』を助けるためにこの世界に来たの。」
「っ!あんたもしや、シグナー?」
「知ってるのね!どこに行けばレグルスに会えるの?お願い、教えて!」
「いや...今会いに行くのは危険すぎる。」
危険...?レグルスは『エンシェント・フェアリー』の僕のはず...それなのにレグルスに会うのが危険ってどういうことなんだろう。
「レグルス殿は最近、どうも様子がおかしくてな。近づくものすべてに牙をむくようになってしまった。あるいはエンシェント・フェアリー様を守れなかったということが、心を乱してしまっているのかもしれん。」
「でも、レグルスがいないと『エンシェント・フェアリー』を助けられない!クリボンや、捕まった精霊たちも早く助けないと!お願い、教えて!レグルスはどこにいるの!」
「ポヤールの森に身を隠しておられるのだが...」
「ポヤールの森ね。トルンカ、案内して!」
「無茶じゃ!今出ていったら捕まりに行くようなもんじゃ!」
それでも...それでも行かなきゃ!みんなを助けるために、私たちの未来を守るために!
私はすぐに建物から出て走り出す。トルンカも何とかついてきてくれているみたい。
途中でモンスターたちに見つかってしまったけど、何とかやり過ごして私とトルンカは森に向かう。
「ここがポヤールの森...」
「霧が濃くなってきたのぉ。」
「ここでもいろんなものがマイナスで動くようになってるのね。」
「気を付けるんじゃぞ、龍可ちゃん。前にも言うたが、レグルス殿は平静を失っておられるからな。」
「レグルス!出てきて!お話があるの!」
「えぇ!?しー!しー!襲われたらどうするんじゃ!」
「大丈夫よ。ちゃんと話せば、きっとわかってくれる。レグルス、お願い!私たちは敵じゃないわ!」
「ぐるあああああああ!」
「「っ!」」
私の呼びかけに応えてくれたのか、草むらの中から1体の獣が姿を現した。
でもその姿はボロボロで、とても痛ましい姿だった。
「れ、レグルス殿...!」
「これが...レグルス...怖がらないで!あなたを傷つけたりしないから!」
「ぐるあああああああ!」
「ひゃあああああ!」
「お、お止めくだされ!この子はエンシェント・フェアリー様を救うため、はるばる異世界からやってきたのですぞ!」
「なんだと...!」
「そうなの!だから安心して...?」
「ふざけるなあああああ!」
「きゃああああ!」
私たちの言葉に、レグルスは怒りをあらわにしてとびかかってきた。
私とトルンカは何とか避けるけど、レグルスの怒りは収まらないみたい...一体どうして...
「やはり無理じゃ!ここはひとまず逃げよう!」
「お願い、信じて!私、エンシェント・フェアリーと約束したの!この精霊界を守るって!」
「やはりそうか...貴様もこの私を捕らえ、エンシェント・フェアリー様の力を悪用しようとしているのか!」
「えっ?」
「はて...どうも話がかみ合っておらんような...」
「っ!トルンカ、あれ見て!」
「あれは!」
レグルスの足に、猿のモンスターたちが持っていた杖がつけられていた。
しかも針がマイナス方向に向いてることで、私たちの言葉が反対に聞こえているってこと...!
「なんちゅうこった!レグルス殿のご乱心はあれのせいじゃったか!」
「グルルルル!精霊世界を穢す悪党め!貴様らの好きにはさせんぞ!」
「誤解よ、レグルス!私はあなたの敵じゃない!」
「グルルルル!ぐるあああああああ!」
「きゃああああ!」
やっぱりだめ...!あの杖をなんとかしない限り、レグルスは私の話を聞いてはくれない!このままじゃエンシェント・フェアリーも、この世界も、そして私たちの世界も救えない...!
「ようやく見つけたじ、レグルス!」
「っ!」
「くっ...また貴様らか!」
「ゼーマン様の申しつけだ!貴様を捕らえる!」
「くらえ、マイナス...」
「待て!奴の足についてるアレを忘れたか!」
「そ、そうだった。マイナスにマイナスをぶつけたら、巨大なプラスエネルギーになってしまう。」
マイナスにマイナスをぶつけたら、プラスになる....そうだ!そうだわ!
だったらレグルスの足についてるあの針に、猿のモンスターが持ってるアレをぶつけたらレグルスを正気に戻せる!
「トルンカ、やりましょう!」
「う、うむ!」
レグルスはこの場から去ってしまい、猿のモンスターたちもそれを追っていく。
でも1体だけ遅れてこの場を去ろうとしたから、私はそのモンスターの前にわざと出て挑発する。
「こっちよ!」
「キキ!貴様、町にいた小娘!なぜここに!」
「捕まえられるものなら捕まえてみなさい!」
「キキ!調子に乗るな!」
「今よ、トルンカ!」
「おう!」
私は襲ってきたモンスターの攻撃を避けると、トルンカが仕掛けた罠を発動させる。
マイナスの針はモンスターを上空へと吹き飛ばし、その衝撃でモンスターは手に持っていた杖を落とすことになった。
「やった!これで...!」
「キキー!」
「っ!」
「ま、まずい!龍可ちゃん!」
そんな!もう1体いたなんて...!
ダメ....助けて、龍亜!
「はあああ!」
「キキー!」
怖くて身を屈めた瞬間、誰かの声とともにモンスターが悲鳴を上げた。
何かと思って目を開けると、そこにはモンスターが木にぶつかって気絶している姿が目に入った。
「一体何が...」
「大丈夫か、龍可。」
「えっ...あ、あなたは...遊護さん!?」
「知り合いか、龍可ちゃん。」
「う、うん....でも、どうして遊護さんがここに!?」
「ああ...俺もわからないんだ。ダークシグナーとのデュエルの後、黒い霧に飲み込まれて....意識を失ったところまでは覚えている。だがそのあと、気づけばこの森に倒れていて、声が聞こえた方に来てみたら君がいたんだよ。」
そんなことが....私は今の状況を遊護さんに伝える。
この精霊世界でのこと、そして現実世界でのこと。
「そうか....わかった。俺も君に協力する。まずはレグルスを正気に戻さなくてはな。」
「うん!ありがとう、遊護さん。」
「気にするな。それに早くしないと、ダークシグナーと戦う君がいなくては世界が破滅するからな。」
--------------------
「もう追ってこないか。...っ!」
「レグルス!」
「グルルルル!」
何とかレグルスに追いつき、私はレグルスを呼び止める。
レグルスは私に気付くと、臨戦態勢に入っていた。
私は杖の針をマイナスに変え、大木でできた橋を渡し始める。
「お願い、レグルス!私の本当の声を聞いて!一緒にエンシェント・フェアリーを助けに行きましょう!」
「来るな!これ以上近づけば容赦はしないぞ!」
「龍可...いけるな?」
「うん!」
「ぐるあああああああ!」
私が近づくことをやめなかったので、レグルスは再び私たちに襲い掛かった。
でも私の狙いはただ一つ!私は手に持った杖を、レグルスの足につけられた針に向かって突き出した。
「「「「っ!」」」」
すると杖についた針と針がぶつかりあい、ものすごいエネルギーが発生した。
そのエネルギーはすさまじく、大木の橋が木端微塵に吹き飛び、私たちは橋の下の川へと落ちていく。
「っ....龍可...!」
「遊護さん..!」
落ちる途中、遊護さんが私を抱きとめて衝撃を抑えてくれた。
でも川の流れは激しくて、私たちは簡単に流されてしまう。
『龍可ああああああ!』
「っ!」
龍亜...龍亜の声が聞こえた...!
龍亜、あなたも戦っているのね!
「レグルス!レグルス!」
「ぐっ.....ハッ!(あれは、シグナーの痣!)」
私の呼びかけに意識を取り戻したレグルスは、私たちの方へと泳いできて私たちを助けようとしてくれた。でも川の先が滝となっていて、私たちはそこから落ちてしまう。
「きゃああああ!」
「うわああああああああああ!」
「ぐっ!」
「っ....頼む、俺に力を貸してくれ!」
遊護さんは突然1枚のカードを取り出すと、そこに1体のドラゴンが現れる。
「えっ...これって、エンシェント・フェアリー...?(でもなんだか少し違う...)」
「馬鹿な...エンシェント・フェアリー様は封印されているはず...!」
「(『妖精竜エンシェント』...!この精霊世界ならお前が一番のはず!俺に力を貸してくれ!)」
エンシェント・フェアリーに似たドラゴンは、私たちを背に乗せると上空へと飛び上がり、川上へと送り届けてくれた。そしてそのまま姿を消してしまった。
「今のはいったい....遊護さん....」
「すまない、龍可....今は話せない。」
「はい....(どうして遊護さんがエンシェント・フェアリーに似たドラゴンを....それに遊星やジャックのスターダスト、レッド・デーモンズと似たカードも使ってた...)」
「い、命拾いしたわい...」
「(遊護さん....遊星のお兄さんだから、きっと悪い人じゃない...だけど一体何者なの...?)」
「貴様....一体何者なのだ。なぜエンシェント・フェアリー様と同じ力を....」
「レグルス...今は彼女の話を聞いてあげてくれないか。」
「むっ....仕方あるまい。.....やっとお会いできましたね。」
そう言って、レグルスはまるで私に傅くように私の前に座り込む。
「シグナーの少女よ。あなたがこの世界に来られるときを心待ちにしておりました。」
「っ!レグルス!」
「あなたのおかげで、私は正気に戻ることができた。ありがとうございます。」
「ううん、いいのよ。さあ、次はエンシェント・フェアリーを助ける番よ!」
「エンシェント・フェアリー様は猿魔王ゼーマンの呪いによって、岩山に封印されています。」
「ならば、ゼーマンを倒せば呪いは解ける...そういうことか?」
「ええ。なのでゼーマンの城に乗り込み、奴を倒しましょう。他のマイナス化されていたものたちも、それでもとに戻るでしょう。」
そういいながら、レグルスは私に背を向けて座り込む。
「さあ私の背中に。」
「うん!トルンカ!」
「あいよ。」
「あなたもどうぞ。」
「すまない、助かる。」
私たちはレグルスの背中に乗る。
私が先頭で、トルンカがその後ろ、遊護さんは私たちを抱きかかえる形で一番後ろに乗っている。
「さあ、しっかり捕まっていてください。」
そしてレグルスが走りだし、私たちはゼーマンの城へと向かいだした。
待っていて、エンシェント・フェアリー....必ずあなたを救ってみせるから!
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