アキ side
「アキさん、つきましたよ。」
「ここがモーメント制御装置....ミスティはここにいるのね。」
遊護が真実を明かしてくれたおかげで、私とミスティの間にわだかまりは無くなった。
それでも、私と彼女はシグナーとダークシグナー、戦う運命にある。
「来てくれたのね、十六夜アキ。」
「っ!ミスティ...」
「あなたも気付いているでしょう。残るダークシグナーは私一人。そして日没までの時間も残りわずか。」
「ええ。」
「ならば私たちがやることはただ一つ。....構えなさい。」
「(やるしかない。ミスティを倒し、私の役目を果たす!)」
「「デュエル!」」
「私の先攻、ドロー!」
アキ 手札5→6
「私は『ダーク・ヴァージャー』を守備表示で召喚。さらにカードを1枚セットし、ターンエンド。」
アキ 手札6→4
ダーク・ヴァージャー ★2 DEF:1000
リバースカード ×1
「私のターン。.....アキさん、ごめんなさい。」
「えっ...?」
「弟のこと、私はずっとあなたを勘違いして憎んでいた。そしてその憎しみであなたを傷つけたこともあったわね。」
「それは...私は無事だったし、あなたが私を憎んでいたのは仕方のないことだわ。」
「それでも私は...あなたと戦うことはできない。」
「えっ?」
「だから...これが私のせめてもの償いよ。」
そう言って、ミスティは右手をデッキの上に置こうとした。
でもその瞬間、ミスティの周囲に怪しげなオーラがあふれだしてきた。
「な、なに!?なんなのこれは!?」
「ミスティ!」
「ぐっ!うああああああああああああ!」
そのオーラはミスティを飲み込む。
ミスティの姿がまったく見えなくなり、ミスティの叫びも聞こえなくなった。
すると、突如としてオーラが霧散し、項垂れたミスティの姿が現れた。
「ミスティ...?」
「.....『終わらせはせぬ。ミスティ、お前は最後のダークシグナー。この戦いに我らの運命がかかっているのだ!』」
「っ!?(ミスティじゃない!明らかに乗っ取られている!)」
「あ、アキさん!」
「御影さんは下がっていて!」
「『最後のダークシグナーとして、戦いの決着をつけるのだ!』.......私のターン、ドロー!」
ミスティ 手札5→6
「くっ!」
せっかくミスティと和解し、戦いは終わる。
そう思っていたのに、こんなことになるなんて...!
「私は『レプティレス・スキュラ』を召喚!さらに魔法カード『レプティレス・ポイズン』を発動!相手の場の守備表示モンスター1体を攻撃表示に変更し、その攻撃力を0とする!最も、『ダーク・ヴァージャー』は元々、攻撃力0だがな!」
「くっ!」
ミスティ 手札6→4
レプティレス・スキュラ ★4 ATK:1800
アキ
ダーク・ヴァージャー ★2 ATK:0
リバースカード ×1
「さらに私は『レプティレス・コアトル』の効果発動!このモンスターを特殊召喚し、相手の場の攻撃力0のモンスター1体につき、手札から『レプティレス』モンスターを特殊召喚できる!来い、『レプティレス・メデューサ』!」
ミスティ 手札4→2
レプティレス・スキュラ ★4 ATK:1800
レプティレス・コアトル ★4 ATK:1400
レプティレス・メデューサ ★6 ATK:2200
「い、一気にモンスターを...このままではアキさんは...」
「バトル!『レプティレス・スキュラ』で『ダーク・ヴァージャー』を攻撃!」
「っ!きゃあああああああああああ!」
アキ LP4000 - 1800 → 2200
「『レプティレス・スキュラ』の効果発動!戦闘で破壊した相手モンスターを、効果を無効にして、私の場に守備表示で特殊召喚する!」
私のモンスターを奪うなんて...それにこのままだと残るモンスターの攻撃で私のライフは0になる。何とかこの場を凌がないと...!
「続きなさい!『レプティレス・メデューサ』!ダイレクトアタック!」
「トラップ発動!『オフェンシブ・ガード』!直接攻撃を宣言されたとき、カードを1枚引き、攻撃してきたモンスターの攻撃力を半分にする!」
アキ 手札4→5
「だが攻撃はとおる!」
「いいえ!私が今引いたのは『薔薇の妖精』...このカードは魔法、罠、効果モンスター 効果によってデッキから手札に加わった場合、特殊召喚できる!」
アキ 手札5→4
薔薇の妖精 ★3 DEF:1200
「何っ!?...くっ...ならば『レプティレス・メデューサ』は攻撃を中止!『レプティレス・コアトル』で攻撃する!」
『薔薇の妖精』が現れたことで、『レプティレス・メデューサ』は動きを止めた。
でもそのあとすぐ、『レプティレス・コアトル』によってあっけなく破壊されてしまった。
「っ...」
「無駄なあがきを...私は手札の『DT-這い寄るヒュドラ』の効果を発動。自分フィールドの爬虫類族モンスター1体をリリースし、そのモンスターのレベル分、自身のレベルを上昇させて特殊召喚する!」
「ダークチューナー...!」
「気を付けて、アキさん!」
「私は『レプティレス・スキュラ』をリリースして、『DT-這い寄るヒュドラ』を特殊召喚!そしてレベルを4つ上げる!」
ミスティ 手札2→1
レプティレス・コアトル ★4 ATK:1400
レプティレス・メデューサ ★6 ATK:1100
ダーク・ヴァージャー ★2 DEF:1000
DT-這い寄るヒュドラ ★10 ATK:0
「さらに『DT-這い寄るヒュドラ』が場に存在する限り、私のモンスターはすべて爬虫類族として扱う!私はレベル2の『ダーク・ヴァージャー』に、レベル10の『DT-這い寄るヒュドラ』をダークチューニング!闇と闇重なりしとき、冥府の扉は開かれる!光無き世界へ!ダークシンクロ!出でよ!『レプティレス・メルジーヌ』!」
「『レプティレス・メルジーヌ』....これがミスティの、ダークシンクロモンスター...!」
「なんて禍々しい...でもどこか寂し気で...」
「まるでミスティの心の闇そのもの...」
「くくく...『レプティレス・メルジーヌ』は、爬虫類族モンスターのみを素材としてダークシンクロした場合、戦闘、効果では破壊されなくなる!」
「(完全な耐性を持った厄介なモンスター...しかも、攻撃力は2500。私の切り札である『ブラック・ローズ・ドラゴン』では倒せない。)」
「ふふふ...私はこれでターンエンドだ。」
ミスティ
レプティレス・コアトル ★4 ATK:1400
レプティレス・メデューサ ★6 ATK:1100
レプティレス・メルジーヌ ★ー8 ATK:2500
「私のターン、ドロー!」
アキ 手札4→5
「っ!(このカードなら!)私は墓地の『薔薇の妖精』を除外し、魔法カード『薔薇の刻印』を発動!このカードを『レプティレス・メルジーヌ』に装備するわ!」
「そのカードは...!」
「これにより、私は『レプティレス・メルジーヌ』のコントロールを得る!」
「くっ!馬鹿な...私のダークシンクロモンスターが!」
こんな禍々しいモンスターには、さっさと退場してもらいましょう。
そしてこのデュエルに勝ち、ミスティを救う!
「私は『レプティレス・メルジーヌ』をリリース!『ギガプラント』をアドバンス召喚!」
アキ 手札5→3
ギガプラント ★6 ATK:2400
「さらに魔法カード『ワンダー・クローバー』を発動!手札からレベル4の植物族モンスター、『ロードポイズン』を墓地に送り、私のモンスター1体はこのターン、2回攻撃ができるようになる!」
「くっ!」
「バトルよ!『ギガプラント』で『レプティレス・メデューサ』に攻撃!」
「ぐっ!」
ミスティ LP4000 - 1300 → 2700
「さらに続けて、『レプティレス・コアトル』に攻撃!」
「ぐああああ!」
ミスティ LP2700 - 1000 → 1700
「私はこれでターンエンドよ。」
アキ 手札1
ギガプラント ★6 ATK:2400
「くっ...まさかこんなに簡単に突破されるとは....でも、私のダークシンクロモンスターはこの程度ではない!墓地の『DT-這い寄るヒュドラ』の効果発動!相手ターンのエンドフェイズ、私の場にモンスターが存在せず、このターン、相手によって爬虫類族モンスターが戦闘、効果で破壊されている場合、ライフを半分にし、このモンスターを除外することで墓地のダークシンクロモンスター1体を特殊召喚できる!」
「なっ!?」
「そんな...アキさんがせっかく対処したダークシンクロモンスターが...」
「甦れ!『レプティレス・メルジーヌ』!」
ミスティ LP1700 / 2 → 850
レプティレス・メルジーヌ ★-8 ATK:2500
「そして、私のターン、ドロー!」
ミスティ 手札1→2
「このままバトルに入る!『レプティレス・メルジーヌ』で『ギガプラント』を攻撃!」
「っ!」
アキ LP2200 → 100 → 2100
「ふん...私はこれでターンエンド。」
ミスティ
レプティレス・メルジーヌ ★-8 ATK;2500
手札はたった1枚、そしてフィールドはもぬけの殻。
絶体絶命の状況...でも不思議ね。理屈はまだわからない。
でも不思議と、この状況を楽しく想える。
「(遊護のおかげかしらね。)」
「何を笑っている...!」
「私のターン、ドロー!」
アキ 手札1→2
「っ!私は『黒薔薇の魔女』を召喚!そして効果発動!デッキからカードを1枚ドローし、互いに確認する。それがモンスター以外だった場合、そのカードは墓地に送られ、このカードは破壊される!」
「モンスターの効果を発動したな!『レプティレス・メルジーヌ』の効果発動!相手モンスター1体の攻撃力を0にする!」
「っ!でも関係ないわ!(このドローに賭ける!)....ドロー!」
アキ 手札1→2
「っ!私が引いたのは『ガード・ヘッジ』!」
「チッ...モンスターを引いたか。」
「さすがね、アキさん!」
「さらに私は魔法カード『二重召喚』を発動!これにより、このターンは2度の通常召喚が可能!私は『ガード・ヘッジ』を守備表示で召喚するわ!」
「それだけ並べて何を....っ!」
「私はレベル3の『ガード・ヘッジ』に、レベル4の『黒薔薇の魔女』をチューニング!冷たい炎が、世界のすべてを包み込む。漆黒の花よ、開け!シンクロ召喚!現れよ!『ブラック・ローズ・ドラゴン』!」
信じていたわ、ここで『ブラック・ローズ・ドラゴン』を召喚できると。
そしてこのカードが、ミスティの心の闇を振り払う!
「『ブラック・ローズ・ドラゴン』の効果発動!互いのフィールドのカードをすべて破壊する!ブラック・ローズ・ガイル!」
「くっ!ば、馬鹿な!1度ならず、2度も...我がダークシンクロモンスターをここまで容易く...!」
『ブラック・ローズ・ドラゴン』を中心に、すさまじい嵐が吹き荒れる。
でも誰も傷つけはしない。私はもう、サイコパワーの制御を誤ったりしない。
「消えなさい、邪悪なモンスターよ!」
「ぐああああ!」
嵐が収まると、互いの場には一枚もカードは残されていなかった。
これで互いに残されたのは、手札のカードのみ。
「私はカードを1枚セットし、ターンエンドよ。」
アキ 手札1→0
リバースカード ×1
「ぐっ...調子に乗るなよ、小娘が!私のターン、ドロー!」
ミスティ 手札2→3
「チッ...!」
「攻撃力があるモンスターを引けなかったようね。」
「っ!」
「アキさん、どうしてわかるの?」
「ミスティのデッキ、『レプティレス』モンスターは攻撃力0が中心のテーマ。それを扱えるのはデッキを知り尽くしたミスティだけ。邪悪な力ごときに、ミスティが作り上げた魂のデッキを扱えるはずがないわ!」
「ぐっ...黙れ、黙れ!私は『レプティレス・ガードナー』を守備表示で召喚!これでターンエンドだ!」
ミスティ 手札3→2
レプティレス・ガードナー ★4 DEF:2000
「私のターン、ドロー!」
アキ 手札0→1
「(これは...)....私はカードを1枚セットし、ターンエンド。」
アキ 手札1→0
リバースカード ×2
「ミスティさんも攻撃力があるモンスターを引けなかったけど、アキさんもモンスターを引けていない....状況が膠着したわね。」
「私のターン、ドロー!」
ミスティ 手札2→3
「ふっ.....ふふふ....フハハハハハ!どうやら冥界の神は私にシグナーを倒せとチャンスを与えてくれたようだ!」
「ど、どういうこと!?」
「見ろ、私が引いたカード!」
そう言って、ミスティは私にカードを見せてくる。
そこには『地縛神』のカードがあった。
「じ、『地縛神』....でも、ミスティさんの場にはモンスターは1体しかいない。『地縛神』の召喚にはモンスター2体のリリースが必要だわ!」
「くくく...そう焦るな。慌てずとも、我が神に合わせてやる。私はフィールド魔法『レプティレス・リコイル』を発動!さらに続けて、魔法カード『レプティレス・スポーン』
を発動!墓地の『レプティレス・メルジーヌ』を除外し、『レプティレストークン』を2体、特殊召喚する!」
「な、なんですって!?」
「....」
「フハハハハ!恐怖で言葉も出ないか!だが恥じることはない。我が神の前にはすべてが無力!私は『レプティレストークン』2体をリリース!現れよ!『地縛神 Ccarayhua』!」
『地縛神 Ccarayhua』...あの時、私はこのカードを見て恐怖した。
でも今は違う。仲間とともに戦う...この気持ちがあれば、恐怖など感じない!
「バトル!『地縛神 Ccarayhua』でダイレクトアタック!」
「トラップ発動!『グランド・キャプチャー』!戦闘ダメージを半分にする!その後、戦闘ダメージが1000ポイント以上ならカードを1枚ドローする!」
アキ LP2100 - (2800 / 2) → 2100 - 1400 → 700
「ぐっ...!」
地縛神の手が私へと迫るが、私のサイコパワーによって現実のものとなったバリアが私を守る。それでもその衝撃はすさまじく、私は思わず膝をついてしまった。
「無駄なあがきを...!」
「無駄かどうかはすぐわかるわ....カードを1枚ドロー!」
アキ 手札0→1
「ならばあがいて見せよ!私はこれでターンエンド!」
ミスティ
レプティレス・ガードナー ★4 DEF:2000
地縛神 Ccarayhua ★10 ATK:2800
「私のターン、ドロー!」
アキ 手札1→2
「っ!魔法カード『シャッフル・リボーン』を発動!私の場にモンスターが存在しない場合、墓地のモンスター1体を特殊召喚する!そのモンスターは効果が無効化され、エンドフェイズに除外される。私は『ブラック・ローズ・ドラゴン』を復活させる!」
「今さらシグナーの竜を召喚したところで、何の意味もない!」
「まだよ!さらに『シャッフル・リボーン』の効果発動!墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのモンスター1体を対象に発動できる!そのカードをデッキに戻し、私はデッキからカードを1枚ドローする!そしてこのターンのエンドフェイズ、私は手札を1枚除外する!」
「一体何を...まさか!」
「ドロー!」
アキ 手札2→1, 1→2
「....来て、くれたのね。」
「一体何を引いた...!」
「私は『夜薔薇の騎士』を召喚!このカードの召喚に成功したとき、手札のレベル4以下の植物族モンスターを1体、特殊召喚できる!来なさい、『ボタニカル・ライオ』!」
「アキさんの場に2体のモンスター...1体はチューナーモンスター、そしてレベルの合計は...」
「な、7...!」
「私はレベル4の『ボタニカル・ライオ』に、レベル3の『夜薔薇の騎士』をチューニング!冷たい炎が、世界のすべてを包み込む。漆黒の花よ、開け!シンクロ召喚!現れよ!『ブラック・ローズ・ドラゴン』!」
私の背後に、再び『ブラック・ローズ・ドラゴン』が降臨する。
このターンで、ミスティを倒す!
「『ブラック・ローズ・ドラゴン』の効果発動!このカードのシンクロ召喚に成功したとき、互いのフィールドのカードをすべて破壊する!ブラック・ローズ・ガイル!」
「くっ!馬鹿な...ダークシンクロモンスターだけでなく、地縛神までも...こんな小娘ごときに!シグナーの竜に敗北するというのか!」
「私だけじゃない...」
「何!?」
「私は仲間の想いも背負って戦っている。私はもう一人じゃない...自らの心を覆い隠し、他人を傷つけ、心を踏みにじっていたころの私じゃない!私には仲間がいる!大切な....私を救ってくれた仲間のために、必ずダークシグナーを倒すと誓った!だから私はお前には負けない!」
「くっ!ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
『ブラック・ローズ・ドラゴン』が激しく咆哮すると、風は勢いを増してフィールドを嵐尽くす。その力に、地縛神も悲鳴を上げるように咆哮し、霧散していく。
「ハァ...ハァ...地縛神を倒したからと言って、いい気になるな!これで貴様のフィールドはがら空き、手札も0!貴様になすすべなど.....っ!」
「私は、破壊された『薫り貴き薔薇の芽吹き』の効果発動!」
「な、なんだそれは....一体いつ....っ!」
「そう、これは私の場にセットされていた、最後のカード...このカードには2つの効果がある。1つは発動することで手札、墓地から『ローズ・ドラゴン』モンスター1体を特殊召喚する効果。そしてもう一つは、セットされたこのカードが破壊されたとき、墓地、または除外されている『ブラック・ローズ・ドラゴン』、またはそのカード名が記載されたモンスター1体を特殊召喚する効果。」
「ば、馬鹿な...それでは...!」
「そう....その効果により、『ブラック・ローズ・ドラゴン』は再びフィールドに舞い降りる!」
私がそう宣言すると、地縛神の地上絵の影響か曇っていた空を掻き分け、再び『ブラック・ローズ・ドラゴン』が姿を現した。
「これで終わりよ、ダークシグナー!ミスティの体から出ていきなさい!」
「くっ....くそおおおおおおおおおおおおおおお!」
「バトル!『ブラック・ローズ・ドラゴン』でダイレクトアタック!ブラック・ローズ・フレア!」
「っ...ぐあああああああああああああああああああああああああ!」
ミスティ LP850 - 2400 → 0
--------------------------------------
「ミスティ!ミスティ!」
デュエルが終了し、私はそのまま倒れてしまったミスティへと駆け寄る。
ミスティから邪悪な力は消え去っていたけど、体が光の粒子へとなり消えかかっていた。
「アキさん.....どうやら、私を倒してくれたようね....」
「ええ、勝ったわ。」
「そう...良かった....これで、ダークシグナーの野望も....潰えた...」
「ええ、そうよ!だからミスティ...死なないで!」
「...ふふ....魔女と恐れられたあなたのそんな表情を見られて、ちょっと得した気分だわ....」
そう言うミスティの頬には、私が流した涙がこぼれていた。
私とミスティは、ボタンを掛け違えただけだった。
今ならこう思う...私とミスティはきっと、良い友人になれたはずだった。
「さあ、行きなさい....私を倒しただけではダメ....制御装置に、そのカードを....」
「っ...分かってる....分かってるわ....」
「アキさん....私のために、泣いてくれて.....ありがとう......でも、後悔はないわ....だってこれで....ようやく、トビーの元に行けるんだから.....」
「ミスティ....!」
「さようなら、アキさん.....私の分まで、幸せに生き....て....」
そう言い残して、ミスティは崩れ落ちた。
私はミスティだった光をかき集めるように抱きしめる。
「アキさん......」
「.....大丈夫、大丈夫よ。ミスティが言ったように、私にはまだ果たすべき役目があるもの。」
そう言って立ち上がると、懐かしい声が聞こえてきた。
「おーい、アキ!狭霧さん!」
「その声は...遊護!それに遊星、みんなも!」
「白波くん!それに皆さんも!」
声の方へ振り返ると、遊護や遊星、龍可と龍亜、牛尾さんがやってきた。
「勝ったみたいだな、アキ。」
「ええ....その、ありがとう遊護。あなたが無事でよかったわ。」
「お、おう...」
「あれ~?なんだか二人とも顔赤いけど、どうしたの?」
「こら龍亜。二人をからかわないの!」
「え、いや...本当に気になっただけなんだけど....」
「龍亜、大人をからかうんじゃない。」
「そ、そうよ...私は別に、赤くなってなんて...」
「ごほん!」
「「っ!」」
「あ~、なんだ、十六夜。制御装置に行かなくていいのか?」
「そ、そうね!ちょっと行ってくるわ!」
牛尾さんにそう言われ、私は制御装置に『ブラック・ローズ・ドラゴン』のカードをセットし、制御装置を起動する。そしてカードを回収して、外に出ると突然激しい揺れが私たちを襲った。
「な、なんだこれは!?」
「あれはなんだ!?」
「シティの方か!」
みんなに再び合流し、遊星の言葉にシティの方を見ると、コンドルの地上絵のようなものが空に浮かび上がっていた。
「まさか...まだダークシグナーが残っていたとでもいうのか...!」
「っ...また揺れ....今度は何!?」
「旧モーメントだ...!」
「まさか、冥界の扉が完全に開かれたとでもいうのか!」
----------------------------------
遊護 side
「おーい、遊星!ジャックを連れてきたぞ!」
「皆、無事か!」
激しい揺れに襲われていると、ジャックを探しにいってくれていたクロウが戻ってきた。
どうやら無事に合流できたようだ。
だが、安心はできない。旧モーメントからヘドロのような化け物が現れたのだ。
はっきり言って、このあたりに話はきっちりとは覚えてない。
だがおそらく、こいつが冥界の王なんだろう。
「あの化け物、シティの光を目指しているみたい。」
「あれが冥界の王...!」
「「っ!」」
突然、俺の目と龍可の腕の痣が光りだした。
俺の脳内に、何者かの声が響く。
『あれをシティの光へと近づけてはなりません。』
「ダメ...あれをコンドルの光に向かわせてはいけない。クリボンが訴えてる!」
「ああ....俺にも声が聞こえた...」
「どういうことなんだ!?」
「あそこに行かせちゃダメ!」
「で、でもさ!あんなでっかいの、どうやって止めるんだよ!」
その時だった。遊星たちの痣も光だし、辺りに聞きなれた咆哮が響いた。
「あれは...」
「赤き竜!」
赤き竜が雲を掻き分け、俺たちの前に姿を現した。
そしてそのまま、俺たちは赤き竜によってワープさせられた。
「一体どういうことだ!あれはゴドウィンの屋敷の地下にあった神殿だぞ!」
「サテライトから出ていた光は、ここから出ていたの...」
「待っていましたよ、シグナー諸君。どうやら、ダークシグナーとの闘いには勝利したようですね。だが、冥界の扉を閉ざすことはできなかった。」
「長官!?」
「ゴドウィン...」
「ゴドウィン、教えてくれ!俺たちは負けてしまったのか!この世界はもう...」
「終わりです。」
「「「「「っ!?」」」」」
「なん...だと...」
ゴドウィンの言葉に、遊星たちは言葉を失っていた。
状況を理解している俺は、ゴドウィンをにらみつける。
ゴドウィンはそんな俺を一瞬見て笑い、すぐ真顔になって話をつづけた。
「冥界の王は刻一刻とこの場所へ向かっています。」
「冥界の王がなぜここへ向かっている!」
「この神殿が、神聖なる儀式の地だからです。」
「儀式...?」
「そう、その儀式のために、赤き竜を使い、私があなた方を呼んだ。」
そう言いながら、ゴドウィンは培養カプセルを取り出した。
その中には、シグナーの痣が光り輝く腕が入っていた。
「それが、最後の痣....ドラゴンヘッド...!」
「それはお前の腕なのか!」
「違う...あの腕は、ゴドウィンの兄....ダークシグナーだったルドガーのものだ。」
「ふふ...やはり知っていまたか、不動遊護。」
「それをなぜお前が持っている!」
「ふふふ...」
遊星の問に、ゴドウィンは不敵な笑みを浮かべながら背を向けた。
するとその背中には、コンドルの痣が浮かび上がった。
それを見て、俺以外の全員が驚きの表情を浮かべていた。
「その痣は...お前、まさか...!」
「ふふふ.....うおおおおおおおおおおおおおお!そう!私は!ダークシグナーとなった!」
「ええ...!?」
「そんな....!」
「馬鹿な...!」
「ふっふっふ...」
ゴドウィンはみんなの反応に笑いながら、まるでそれだけではないと言いたげに培養カプセルのロックを解除し、自身の左腕の義手を破壊した。
「何をしている!?」
「ダークシグナーの力で、この腕を私のものにする!」
そういい、ゴドウィンは腕を左腕に合わせた。
「ぬうううううううううん!....ほう...赤き竜の力が抵抗しているか。我がものとなるには時間がかかるようだ。」
「ゴドウィン!お前、何をしようと...!」
「我は神となる!赤き竜と邪神、この二つの力を得て、究極の神となるのだ!」
ゴドウィンがそう告げると、神殿がさらにせり上がり始めた。
「みんな逃げろ!」
「フハハハハハ!」
ジャックの言葉に俺達はDホイールに乗り、Dホイールを持たない人たちを抱えながらその場を離れる。しばらくすると地鳴りが収まり、ゴドウィンの声が響き渡った。
「これより、冥界の王を迎える儀式を始める!それはこのコンドルの地上絵によるライディングデュエルによって執り行われる!そう、この私がシグナーである君たちを完膚なきまでに叩き潰し、冥界の王への生贄とするのです!」
「ゴドウィン、なぜだ!」
「お前が遊星たちに頼んだんじゃねえのかよ!ダークシグナーを倒せって!」
「さあ、どうします?もうすぐ冥界の王はここへやってきますよ?」
遊星とクロウがゴドウィンに問いかけるが、ゴドウィンはそんな二人の言葉を無視する。
今のゴドウィンに、俺たちの言葉は通じない。デュエルで語るしか、俺たちにはできない!
「ゴドウィン!このデュエルに勝ったら、冥界の王は!」
「消えるでしょう。だが、それは私がさせない!神たる我が!」
「このデュエル...受けて立つ!」
「ゴドウィン!貴様など、蹴散らしてくれる!」
遊星とジャックが、ゴドウィンに向かってそう叫ぶ。
そんな中、クロウはなぜか俺の方を見ていた。
「クロウ?どうした?」
「いや...俺も戦おうと思ったが、ここはシグナーであるあんたに任せた方が....」
「いや、それは...」
「くくく...不動遊護、君にはこの場から退場してもらおう!」
「な、なに...?」
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
ゴドウィンがそう告げると、冥界の王の咆哮が轟いた。
「っ!みんな俺から離れろ!」
「え?」
「くっ!」
俺は嫌な予感がしてそう叫び、近くにいたアキや龍亜、龍可を突き飛ばした。
すると俺の足元から冥界の王と同じようなヘドロが現れ、俺を足元から包み込む。
「くっ...!なんだこれは...!」
「遊護!」
「遊護さん!」
「遊護兄ちゃん!」
「フハハハハ!赤き竜の力を得た今の私は、君という存在の異常さがわかる。だからこそ、イレギュラーな存在には消えてもらわなければならない!」
「くっ...!(まさかゴドウィンの奴、俺が本来存在しない人間だと気づいたというのか!)」
「冥界の王の一部となり、この世界が滅びるさまを見ているがいい!」
「く...そ....!」
「遊護!遊護!いやあああああああああああああああああああああああああ!」
俺が最後に聞いたのは、俺の名前を叫ぶアキの声だった。
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