アキ side
「ほら見て。この間届いた、ミスティからの手紙。相変わらず忙しいみたい。」
「「わあ~!」」
「ふふ...良かったわね。」
シグナーとダークシグナーの戦いから、数日が経過した。
あの戦いで犠牲になった人々は、全員生き返ったと御影さんや牛尾さんから聞いている。
ただ、ダークシグナーのリーダーだったルドガー・ゴドウィンと、最後の敵となったレクス・ゴドウィンの二人だけが、生き返ることはなかった。
遊護と遊星が言うには、二人は私たちが背負った運命を終わらせるために犠牲になったのだという。私たちにすべてを語った遊護の表情は、いつも笑顔を絶やさなかった彼にしては珍しい、今にも泣きそうな表情だった。
「ボマーさんと鬼柳さんも、それぞれの旅でしばらくは戻らないって。」
「そういえば、遊星たち遅いね。」
「ジャックとクロウも来てねえな。」
「あ、牛尾さん。」
「なんですって!?」
私たちが話していると、Dホイールに乗った牛尾さんが現れた。
そんな話の中に、突然老人の恰好をしていたカーリーが割って入ってきた。
「あの人たちがいないなんて怪しいじゃない!何か重大なスクープネタがあるかもしれないんだから!」
「お前こそ、スクープネタの宝庫じゃねえかよ。」
「だって、全然覚えてないんだもん!ダークシグナーになってからのこと!シティの人たちも何にも覚えてないっていうんだもの!もう!悔しいんだから!」
「アハハ....でもよかった。シティもサテライトの人も、みんな戻ってこられて。」
「「うん!」」
「そうね。」
「おう。マーサたちも無事でよかったぜ。」
本当に良かった。
それにしても、確かに遊星たち遅いわね。
でも多分、遊星たちは今頃デュエルでもしているんでしょうね。
まったく、あの人たちと来たら...
「ふふ...嬉しそうね、アキさん。」
「そうかしら。」
「そうだよ!アキ姉ちゃん、遊護兄ちゃんが無事に戻ってきたとき、遊護兄ちゃんに抱き着いてずっと泣いてたもん!」
「こ、こら龍亜!」
「あ、あれは...忘れてちょうだい...」
あれは、今でも思い出すと顔が熱くなる。
目の前で消えてしまった遊護が、あんなボロボロの状態で帰ってきたんだもの。
驚きと嬉しさで感情がおかしくなってしまって、居ても立っても居られなくなったから...
「ふっ...魔女と呼ばれた十六夜も形無しだな。」
「そりゃそうだよ!もうアキ姉ちゃんは魔女なんかじゃないもん!」
「そうそう。」
「ええ、そうね。アキさんは新たな一歩を踏み出した、恋する乙女だものね。」
「うぅ...御影さん....」
「「「アハハハハハハ!」」」
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遊護 side
「(神崎さん....いや、お祖父さん。俺は成し遂げることができました。ルドガーさんを倒し、そして世界を救いました。そして弟の遊星とともに、これからも未来を歩んでいきます。だから...どうか安らかに眠ってください。)」
「ここにいたのか、遊護。」
「っ!遊星....」
ダークシグナーとの戦い、そして17年前の因縁にケリをつけた俺は、遊星以外に残されていた家族へと報告を行っていた。あの戦いで、ルドガーさんに操られたお祖父さんは、すでに病で限界だったらしい。
騒動の後にマーサたちとともに甦ったけど、体はボロボロでそのまますぐに亡くなってしまった。マーサのご厚意で、マーサハウスの近くに墓をたてさせてもらった。
「俺もいいか?」
「ああ、ぜひ。」
俺がそういうと、遊星は墓の前に膝をつき、祈るように目をつぶった。
遊星はさすがにあったことはなかったようだが、血のつながった存在だ。
思うところがあったのかもしれないな。
「遊星!遊護!」
「ここにいたか!」
「っ!クロウ、それにジャック。」
俺が遊星と墓を見つめていると、Dホイールに乗ったクロウとジャックが現れた。
どうやら俺たちを探していたみたいだな。
そうして、俺たちは特に何も語らず、Dホイールに乗って走り出す。
目指した場所は、ダイダロスブリッジ。その下で、俺たちは目の前に広がる光景を見る。
「とうとうやったんだな、俺たち。」
「ああ。」
「夢じゃ、ねえんだな...」
「ふっ....長い戦いだった。」
「これで、サテライトとシティは一つに繋がった。」
「ダイダロスブリッジの伝説は、現実になったんだな。」
「だがまだ、成し遂げられていないことがある。」
「そんなことはわかってるぜ!俺たちの決着がな!」
「望むところだ!」
そう言って、遊星たちはDホイールにまたがる。
だがそれに続かない俺に、遊星たちは不思議そうな表情を浮かべる。
「どうしたんだ、遊護。」
「そうだぜ。さっさとやろうぜ!」
「何か、都合でも悪いのか?」
「え、いや...俺は....」
「おいおい、まさか勝ち逃げするつもりじゃねえだろうな!」
「ふっ...クロウの言う通りだ!お前には負けたままだ!このジャック・アトラス、負けたままで終わらせはせん!」
「遊護...いや、ここではあえてこう呼ぶ。...兄さん。これから先の未来にも、俺たちのそばには兄さんがいてほしい。俺たちとともに、未来を切り開いてほしい。」
「っ!遊星...ジャック...クロウ...」
なんとなく、俺は自分の使命を終えた気でいたんだ。
赤き竜によってこの世界に呼び出されて、シグナーを導く者として戦い、ダークシグナーとの戦いを終えたことで、俺の役割は終わったんだと。
あとは遊星たちの物語が続いていくだけなんだと。
でも...もし許されるなら、俺はもっとみんなと一緒にいたい。
憧れたみんなと、大好きなこの世界で、一緒に笑いあっていたいんだ。
「おいおい、泣いてるのか?」
「ふっ...見なかったことにしてやる。さあ、早く準備しろ。」
「さあ行こう、兄さん!」
「ああ、行こう!俺たちの未来へ!」
俺は3人の言葉に頷き、Dホイールに乗る。
そして、1つに繋がったサテライトとシティを結ぶ橋で俺たちは叫ぶ。
「「「「ライディングデュエル、アクセラレーション!」」」」
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