俺はギャンブルなんてしないぞ!絶対に!(フラグ)   作:カリ梅

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ギャグ成分がなかったから今回は多めに。
定期的に接種しとかないと…!(禁断症状)


第11話

 

 

『──勝てない』

『ふふふ』

 

笑う目の前の女と幼い俺。

 

小学生低学年くらいか。この時の俺はゲーム全般苦手だった。

この女の人どころか周りの友人にすら"お前は顔に出るからわかりやすい"なんてよく言われてたものだ。

 

『ちくしょう。全然勝てねー、面白くなーい』

『まずはポーカーフェイスを覚えてみましょうか』

 

そう言って色んなゲームを教えて貰って、勝つためのあれこれを吹き込まれたあの日々。

 

『相手の表情をよく見てみましょう』

 

『相手の少しの変化はヒントになりますよ』

 

『人体について勉強してみればいいかもしれません』

 

負けず嫌いだった俺はそんな言葉を聞いては勝つための技術を少しずつ覚えていっていた。

 

努力して、公園に行けばお姉さんがいて、勝負を挑んでは負け。

家に帰って努力して、また公園に行くそんな毎日。

 

黒髪ロングの綺麗な高校生だったのを覚えてる。

悔しかったのはもちろんだったがそれでも楽しかった。

 

が、そんな日々も唐突に終わり、あの人はめっきり姿を現さなくなった。

今どこで何をしてるのか。元気にしてるのか。

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

懐かしい夢を見たな。

ベットから体を起こし骨を鳴らす。

 

似た人物と出会ったから思い出したのか。

 

「……強くなったんだけどなあ」

 

次に会った時はコテンパンに負かしてやろう。

いきなり姿を消した恨みも込めて。

 

そんなことを思いながら今日も一日が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「債務整理大集会?」

 

学校に来て、いつものように生徒会室に入り浸る代わり映えのない日常。

そんな中、るなパイから聞かされるイベント。

 

「そーそー。多重債務者への救済措置ってやつ」

「ふーん」

 

救済措置ねぇ。

なんともまあ体のいいお言葉だこと。

 

真意は別だな。まあさすがに俺には教えてくれなさそうだけど。

 

「てなわけでさー、カケちゃんお手伝いしてくんねー?」

「……え?何をよ」

 

「ディーラー」

「……なんでさ」

 

「ぶっちゃけ参加者多そうで選挙管理のメンバーだけだと足りなさそうで生徒会にも手伝ってもらおうと思って」

「俺は生徒会のメンバーじゃないんですが?てか、それなら足りるんじゃないんすかね」

 

「妄ちゃんの代わりだよ代わり」

「生志摩でも別にいいでしょうよ」

 

「……あの子がディーラー出来ると思う?」

「……確かに」

 

なんか焦れったくなって銃をバンバンしそう。

にしてもディーラーねぇ。

 

債務整理大集会。

内容は多数の参加者が4人1グループに別れて"2枚インディアンポーカー"で戦い合うもの。

 

2枚インディアンポーカーとは配られた2枚の手札でポーカーをする。

 

1枚は自分だけで確認。もう1枚は額にあて、自分は見ずにほかの3人には見えるようにするというもの。

数字が揃ってるのがいちばん強く、2番目に強いのがマークが揃ってるもの。何も揃わなかった場合はブタだ。

 

まあ運要素が強すぎるよな。

だがここでキモになってくるのはイカサマOKなところだ。

 

まあ真正面からいいですよってわけじゃないが、ディーラーはイカサマしてるのを見つけても指摘しない。あくまでプレイヤーが気づいて申告する。申告したらイカサマを取り締まるが……基本は不干渉。

 

だからこそ"運だけじゃない"勝負になる。

 

チップ各10枚ずつで各々の借金が賭け金。

1000万の借金なら1枚100万だし、1億の借金なら1枚1000万になる。まあつまりバラバラの額のチップを奪い合えってことだ。

 

最終的にチップの枚数ではなく金額換算した時に1番の額を手にしてたやつが優勝……てな感じだ。

 

まあなんでこんなゲームをするかって話なんだが、要は"借金の付け替え"だ。

 

例えば4人の中で1000万の借金が1番少ない額、1億の借金か1番多い額だとして、1億の借金持ちが優勝したら1000万の借金に。1000万の借金持ちがドベなら1億の借金に付け替わるってわけだな。

 

ちなみに1000万のやつが優勝したら借金は帳消し、チャラになる。

まあハイリターンハイリスクなイベントだ。

 

そんなにイベントのディーラーをやれと?この俺に?

 

「嫌っすわー」

「なんでさ」

 

「荷が重いっつーか。てか俺も家畜だから参加させて欲しいんすけど」

「あ、会長からカケちゃんの参加は絶対ダメって話になってるから」

 

「どうじでだよォ……!」

「カケちゃん出れば絶対勝つし、額が額だからねえ」

 

ちくしょう…!許すまじ魔王め!

まあ、借金の返済は魔王とのギャンブルのみでしか履行しないって話になってるからしょうがないっちゃしょうがないけどね。

 

「にしたって俺だけハードモードがすぎるって…、世界が俺に優しくない…」

「ファイトー。あ、あとディーラーの件、受けてくれたら会長が借金多少減らしてあげようかなーなんて言ってたよ」

 

「……まじ?いくら?」

 

そう聞くとるなパイは三本の指を立てた。

 

「……それは三千?万?」

「んにゃ、億」

 

「億ぅ…!?」

 

なんてこったい、そりゃでっけえや。

……まあ俺は総額いくら借りてることになってるか分からないほど借りてることになってるから雀の涙程度なんだけど。

いやでも、3億はでかい。

 

「受けてやろう…!魔王の気まぐれを…!」

「どこぞの大佐みたいな言い回しだねー」

 

「…………」

 

にしたってるなパイさっきから生返事。

ずっとゲームに夢中じゃん。

 

何をして……ほう新作のゾンビゲーか。俺はもう全クリしたんだぜ…。

 

「……そこ右行けばショットガン手に入りますぜ」

「え!嘘!どこどこどこ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、集会は今日の午後かららしい。が、それまで暇だ。

てなわけで校舎をぶらぶらーっと。

いつものようにぼっちなんだぜ。涙が出てくるんだぜ。

 

鈴井はどこだァ!鈴井はァ!

 

と、そんな時だった。

目の前から歩いてくる着物姿の糸目の美人。

 

あ、あれは西洞院パイセンなんだぜ!

最近顔芸検定一級の資格を無事取れたと聞いていたが、なるほど貫禄が上がったな。さすがです。

 

「……なぜ私を拝んでるんですか?」

「合格祈願で」

 

「……なんの合格?」

「顔芸検定の」

 

「あの馬鹿にしてます?」

 

そんな、馬鹿になんて…!

もはや尊敬の域。一生ついて行きますぜ姉御。

 

とりあえず変顔をしてみよう。

 

「……何してるんですか?」

「センパイの真似」

 

「ぶち殺してあげましょうかほんとに」

 

ひぇぇ怖いめぅ。

まさかの覇王色の使い手…!限られた状況下のみで使える縛りでも結んでたか…!?……なんかごっちゃになったな。

 

そんな会話をしつつ肩を並べ西洞院パイセンと廊下を歩く。

これでぼっちじゃない。やったね!

 

「……あの、なんで着いてくるんですか?」

「独りぼっちは、寂しいもんな。いいよ、一緒にいてやるよ」

 

「なんで私と話す時だけ会話ができないんですか?」

 

どうしてだろうね。これは迷宮入りだ。

 

「ところで、センパイってばあの早乙女とギャンブルをしたとか聞いたんですけど」

 

早乙女はあの後、借金1000万を取り戻すために伝統文化研究会へカチコミした。相手はこの西洞院パイセン。

まあコテンパンにやられ、4000……何百万くらいに借金が膨れ上がったらしいけど。言わんこっちゃない。

 

「……ええ、そう言えば九十九さんの友人でしたね。今日はその報復を……なんてところですか?」

「いんや、別に負けは負けだし自業自得の部分もあるんでそんなこと考えませんがな」

 

「そうですか」

「そんで、その後に蛇喰と戦ったらしいっすね」

 

「………っ」

 

ドキリとした反応。

ふむ──

 

「勝った、って聞いたすけど、その様子だとまるで"本当は負けてたけど横槍入れられてなんか勝てた"感じすかね」

「な……!?」

 

「いえーい、当たったー」

 

なるほど。

やっぱあの女怖いよ。西洞院パイセンでも実質負けさせるとか生粋のギャンブラーじゃん。

 

関わってろくな事にはならんね。胃痛の原因は魔王だけで十分だっての。

決めた、俺今後蛇喰に関わらん。

 

……あ、でも待って。鈴井って蛇喰と仲良いんだっけ?

 

おのれ蛇喰…!俺から鈴井を奪いおって…!

はっ!これがNTR…!?

 

そんな時だった。

 

 

 

「カケルじゃねぇか!」

 

 

 

「「!?」」

 

まずいこの声は。

恐る恐る振り返るとそこに居たのは──

 

「げっ!変態怪獣ネク〇フィリアじゃん!」

「九十九さん!?今すごいこと言いました!?」

「ネク……なんだって?」

 

まずい。ちゃんみだに見つかった。

死体に興奮する女。ただし、この女の場合"自分の"がつくが。

 

野生のラスボスが現れたってとこか……いやラスボスは魔王か。

 

んじゃ生志摩ってどういう立ち位置だ?中ボス?いやなんか違うな。

あれか。最初の街で出てくる"あれ?こいつ強そうだな。経験値いっぱい貰えそう"と思って戦ったらボコボコにしてくる敵だ。

 

そう、ボストロールみたいな。

 

こいつ見た目は可愛いっちゃ可愛いし、目はイッてるから正しくボストロ……いや、ボストロール可愛いか?

……まあそういう価値観を持つ人もいるだろう。今の世の中色んな人達に配慮しなきゃいけないからな。可愛いことにしとこう。

 

さて……野生のボストロールが現れた!

 

 

何をする?

 

 たたかう  じゅもん

▶にげる   どうぐ

 

 

「生志摩よ、この世にはこんな言葉がある」

「あ?なんだ急に?……んな事よりアタシとギャンブ──」

 

「逃げるは恥だが役に立つってなぁ!」

「ちょ…!九十九さ…!引っ張らないで…!」

「お、おい!待てよ!」

 

西洞院パイセンの手を引き逃げ出す。

全く、神出鬼没すぎるボストロールだな。

 

「わ、私は別に関係ないでしょう!?」

「いや、いざと言う時に生志摩に差し出す供物として…!」

 

「張り倒しますよ!?」

 

 

 

「カケルぅ!百合子ぉ!一緒に遊ぼうぜぇ!なぁ!」

 

 

 

「ほれ、センパイも狙われた」

「ああああああああもう!!」

 

ほーれ、頑張れ頑張れ。




主人公の能力というか強さは他作品のキャラを参考にしてたし隠すつもりもなかったけど……"思いやり"を言うと気づく人は気づくよなって。
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