俺はギャンブルなんてしないぞ!絶対に!(フラグ)   作:カリ梅

3 / 12
第3話

 

 

 

「──お、カケルおはよー」

「「よっす」」

 

「うぃーす」

 

会長とのチェス勝負から一夜明けた翌朝。

学校に登校してくれば陽気に挨拶をしてくる我が友人たち。

 

これだよ。この平和な日常が何よりも心地いい。素晴らしきかなピースフルワールド。

 

昨日の魔王との勝負なんてなかった。なかったんだ。

 

「昨日、放課後どこいってたんだ?カラオケ一緒に行こうと思ったのに」

「すまん。昨日は……魔王を討伐しに旅に出ててな……」

 

「「……?」」

「なんだそれ…?」

 

首を傾げる友人たち。

魔王は怖かったよ。旅に出たばっかの勇者がレベル1でひのきのぼう装備してラスボスを討伐しに行ってた気分だよ。

 

「そういや、小テストサボったな?先生後で1人でやらせるって言ってたぞ」

「うっへー……だるいなそれ」

 

マジか。なんも勉強してね。

オワタで工藤。風呂食ってくるわ。

 

それにしても……机に広げられたトランプ。それを囲む友人3人。

 

「何してんの?」

 

「神経衰弱。暇だしなー」

 

神経衰弱か……こいつらほんとに現代っ子?

今の時代暇さえあればスマホだろ。トランプてこいつら。いやまあいい事だと思うけどね?うん。

 

「てか、カケルが来たなら混ぜようぜ」

「え、でもまだ途中だぞ」

 

「んじゃ中止で」

 

そう言うと友人Aは手に入れてたトランプをばらまいたトランプと混ぜて回収し始めた。

 

「お、おい」

「……負けそうだからって無理やり中止したぞこいつ」

「うっせー、いいから別やるぞ」

 

「……やるならジュース賭けよう。負けが奢りね」

 

「汚ねぇぞ」

「カケルは絶対勝つからずるいわ」

「……まあ実質三人の戦いか。乗った」

 

やったぜ。これでジュース代が浮いたぜひゃっほい。

 

「なにやる?」

「シンプルにババ抜きで」

「カケル無双始まるぞ」

 

いいなーこれ。この空気。

この和気あいあいとした空気。これこそが遊びなんだよなあ。あんな殺伐とした中で獲物を前にした化け物と餌みたいに震えてやる遊びなんてもはやデスゲームなのよ。

 

「じゃあジジ抜きにしね?」

 

ババ抜きなら表情見てれば勝てるし………なんて?

 

「なんだっけそれ?」

「適当に1枚抜いてババ分かんなくするやつだろ」

「それならババ持ってても俺たちですら分からねーしカケルに表情読まれることもないか」

 

……うっそーん。

 

 

 

 

 

時間は経過し現在。

 

「………」

「………」

 

睨み合う俺と友人1人。

他2人?ああ、もう抜けてったよ。

 

ジョーカー分からないとか完全運ゲーすぎて……ペアになったカードと持ってたカードでジョーカーを推測はできたけど……こいつらはジョーカーがどれか分からんからなあ。表情が読めん。

 

俺は1枚。友人2枚。

俺が引く番。つまりここで俺が引かなきゃ負けが濃厚。

 

……何故か分からんが完全な運ゲーすると途端に俺が勝てなくなるんだよなあ。ジャンケンとかもクソ弱だし。

 

さてどうしようかな。

 

「…………」

 

……目線が鋭い友人と目が合う。

やっぱり会長程じゃないな。全く怖くない。

 

にしてもどっちかジョーカーだ?

……分からないなら分かるようにしてやればいいか。

 

「ちな、俺持ってるのスペードの10な」

「え?……あ」

 

「こっちー」

 

「お、おい…!ちょたんま…!」

 

声を無視して1枚引く。

引いたのはハートの10。

 

「はいあがりー」

 

「ず、ずるだろ最後のは!誘導尋問だ!抗議する!」

「尋問してませんが?俺はただ持ってたものを報告しただけですー」

 

「……ずると言えばずる?」

「普通は別になんだけどカケルだからなあ」

 

おいなんだそれは。差別ですか?くたばってどうぞ。

 

「じゃあ次やる時はルールでちゃんと決めとけよ。今回は俺の勝ちで」

「く、クソ…!納得いかねぇ…!」

 

ちなみにこの後コーラを奢ってもらった。

コーラこそ至高。我がソウルドリンクである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お昼時。

イツメンで教室でだべっていたその時間。

 

「うわーこれしんど」

「何してんの?」

 

「スマホでチェス。カケルがやってたから俺も始めたんだけど勝てなくてさー」

「ほうほう……さっぱりわからん」

「先生ー、出番ですぜー」

 

はいよーと声を返しスマホをのぞき込む。

 

なるほど、相手はそれなりの経験者だな、これは。

 

「3手で形勢逆転できるねこれは」

「え!?まじ!?」

 

「まずはこう」

「ほうほう」

 

「続いてこう」

「なるほどなるほど」

 

「あとはこうすれば」

「ほへー……何が変わったかわかんねー」

 

思わず膝から力が抜ける。

いやそら初心者だもんな。盤面見ても違いはよくわからんか。

 

でもお相手さんの考える時間が伸びた。やっぱり相手はそれなりに強い人か。

 

「それで!?こっからは!?」

「あとは自分で考えい。俺がやったら腕上がらんぞ」

「うっ……」

 

一仕事終えてメロンパンに齧り付く。

それをコーラで流し込むこの時間。たまらんねぇ。

 

さて、そんなことをしていたらガラッと教室の戸が開いた。

 

いつもなら気にしない些細なもの。ただ、そこにたっていた人物を見て俺は動きが止まった。

 

「おい、お前たち、俺の体を隠させろ」

「え?なんだいきなり」

「あれてかあそこにいるのって──」

 

 

 

 

 

 

「九十九賭はいるか?」

 

 

 

 

 

 

なんでこんなとこに副会長がいるんですかねー!?

何しに来おった!魔王の側近がはじめの町に襲来してきたみたいなイベントやでこれは!

 

く…!ここは撤退一択!だが出入口には向かえん!こうなったら窓からでも──

 

「見つけたぞ」

 

「ひぇ……」

 

──気づけば横に。

不気味な仮面が顔をのぞき込むように、目を合わせるようにそこにいた。

 

「付いてこい」

「いや、ちょ、待……!」

 

腕を引っ張られ……いや、力強いね!思ったよりね!お兄さんびっくりだよ!

 

助けを求めようと友人たちに視線を送ると──

 

「何したんだアイツ?」

「うっわー!負けたー!」

「がんばえー」

 

興味なしかよお前ら!!

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

「…………」

 

連れてこられたのは屋上。

そこにはやはりというかなんというか、予想通りの人物がいた。

 

「よく来たわね」

「来たというより連れてこられました」

 

妖しく微笑む会長。

あ、やばいですね。胃が痛くなってきたねこれ。保健室行っても?ダメ?ああそう…。

 

「で、なんですか?」

「暇だったから相手をしてもらおうと思って」

 

「身勝手ここに極まれりー」

「……なにか?」

 

「なんでもねーです!姐さん!」

 

 

ひいぃ……こっえ……。

なにあの眼光人殺せるだろ。もしかしたら俺死んでたりするかも?生きてるかな?頬抓って……あ、痛い。生きてるー。良かったぁ。

 

「さて、ゲームをしましょう。昼休みだしすぐ終わるリバーシがいいわね」

 

そう言って立ち上がり副会長へと声をかけた会長。

 

その時……ふと違和感を感じた

 

会長だけ、副会長だけだと分かりづらかった。

でもこうして立った2人が並んでいると何となくわかる。

 

「副会長…?」

 

「「………っ」」

 

……今、一瞬。ほんとに一瞬だけ見えた2人の感情。

驚きと多少の焦り……そして特大の歓喜。

 

やばい。なんかとんでもない地雷を踏んだ気がする。

 

そう思っていたら控えていた副会長……らしき人物がその仮面を外した。

 

「よく……気がついたわね」

 

そこから覗いた顔は会長と全く同じ顔。

……おいおいドッペルゲンガーかよ。こりゃ片方死ぬな。

 

「てことは会長が副会長で副会長が会長であってます?」

「ええ、その通りよ」

「………」

 

まあ、御二方どっちも桃喰だもんね。姉妹か双子かってのはまあ分かるとしてもここまで瓜二つは驚きだ。

さらには仕草や口調、声のトーン……一挙一動が全く同じ。

 

こりゃ見抜ける人はそうそういないだろうなあ。

 

「リリカ。髪をお願い」

「…………」

 

会長の髪型にしていた副会長が髪を下ろし、指示をした会長の髪を結いはじめた。

 

それはまさしく異様な光景。

同じ人間が2人いる。それの片方がもう片方を世話しているこの光景は少しばかりの恐怖を覚えた。

 

「それで、どうしてバレちゃったのかしらね?教えて貰ってもいいかしら?」

 

悠々と椅子に腰かけた会長は頬笑みを浮かべて、無邪気な子供のように好奇心を隠すことなく俺に向かって問いを投げてきた。

 

「……動作全てが全く同じで表情管理から感情管理まで徹底してたので最初は分からなかったですね。違和感を覚えたのは会長……いや、副会長が立ち上がって会長と肩を並べた時です。人を真似しようとしても真似出来ない部分はあります。中身とガワを極限まで似せても形作るもの……例えば骨格までは同じにできない」

 

「……続けて?」

「恐らく2人は容姿まで似てるので一卵性双生児ですよね。でも……例えば指紋と言ったように個人を特定するためのものまで瓜二つなわけが無い。それと同じで指紋のように個人を特定するためのものって結構あります。そのひとつが"背骨"です」

 

「……骨、を見てくるとは思わなかったわ」

「と言ってもほんとに誤差という他ないでしょうけどね。目視では分かりづらいので。座っている状態だとまず分からないし、立ち上がって並んだ時に見比べて2人の姿勢に若干の違和感があった、不確実な要素での判断ですよ」

 

そう言うと少しの間、その場には静寂が広がった。

……と思ったら、会長がその両手を何度も叩き合わせる音が響いた。

 

「素晴らしいわ。いい目をしているのね」

「え、いやぁ……そんな」

 

「気付かれたのはあなたが初めてよ」

 

「え…?」

 

俺が初めて?

それって家族とか、友人とかも合わせてってこと?

 

……いや、まさか。そんなねえ。流石に家族は抜いての話だろうし。

……そうだよね?

 

「いいわね。これからはどっちが私でショー……なんてクイズをやるのも悪くないわね」

「……え?」

 

「早速明日……いいえ、今日の放課後からやってみましょうか」

「……………………うぇ!?」

 

や、やだァー。やりたくねぇーよぉー。

 

なんか間違えたら海外に臓器売られそう。そういうことしてくる人でしょ絶対。俺には分かるね。

 

「ふふふ、カケル。間違えちゃ……嫌よ?

「へ、へへへ……はぁ……」

 

胃が痛いし、頭まで痛くなってきたな、これ。




なんでこの主人公、こんなに能力あるの?
……なんでだろね(何も考えてない作者)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。