俺はギャンブルなんてしないぞ!絶対に!(フラグ) 作:カリ梅
──1年の月日が流れた。
魔王がいなくなったこの1年は実に充実していた。
学校や休日の日には友人と遊び、家に帰ればネトゲ友達とゲーム三昧。
中学生の生活はこれなんだよなあ。
なんの気兼ねなく肩の力を抜いて"遊びを遊ぶ"。
あんな命の取り合いみたいな雰囲気の遊びなんてもうコリゴリだね。
……なんて思ってたんだけどなあ。
ため息がこぼれ、制服を正す。
今日から高校生。
これから入る高校の前で憂鬱な気分になりながら頭をかいた。
「……行きたくないなあ」
中学が終わりそのままエスカレーター式に高校に上がる。そう思ってたのに。
今日から俺は目の前にある、"私立百花王学園"に入ることになった。
「ああ、胃が痛い……」
なんでこんなことになったのか、時間は数ヶ月前に戻る。
朝起きて、学校に行き、イツメンと過ごして放課後には遊びに行く。家に帰るとネトゲ三昧。その後に夜ご飯を食べて風呂に入って寝る。
俺はごく普通の日常を取り戻していた。
そんなある日の事だった。
「カケルー、あんたに郵便ー」
「ん?」
リビングでくつろいでいた時のこと。
母君が封筒を片手に声をかけてきた。
なにか注文したっけ?いや、箱とかじゃなくて封筒だし違うな。
なんだ?
差出人もなし。書かれているのは俺の名前だけで俺宛に出されたものということだけしか分からない。
早速封を開け中身を……手紙だ。
今どき手紙て……この人いつの時代を生きてんだ?
誰からなのか分からぬまま広げて読んでみると……動きが止まった。
──九十九賭へ
卒業後、私立百花王学園に来なさい。
あなたを招待するわ。
桃喰綺羅莉──
「……………」
ぐしゃっと握り潰して起き上がる。
そのまま勢いをつけてゴミ箱へシュート!!超エキサイティング!!
魔王からの手紙なんてご〜み箱に捨てちゃえぇ〜♪
フッ、俺はなんも見なかった。そうだろブラザー?
私立百花王学園だって?
さすがの俺でも聞いたことがあるぞ。政財界のボンボンが数多く通ってるお金持ち学校だろ?え?魔王様まさかそちらの学校に行かれました?
……まあ確かに金持ちそうだったもんなあ。桃喰って名前も聞いた事……ないかも。ないな。政治とかそういうの興味無いし。
「………ふぅ」
息をこぼし、冷蔵庫へ向かう。
コーラを手に取りコップへ移す。
さ、魔王のことなんて忘れて今日も平和に過ごしましょっと。
………………………………………………………………………………………………………………………………………なんでうちの住所知ってんだ?
手紙出したってことは住所知ってるってことだよな?
………ふーむ──
「逃げられないってことじゃあないかぁ!!」
「わっ!いきなり大きい声出さないでよ!」
"あなたの住所はおさえてるわ。逃げようなんて考えない事ね"
そんな意図があけすけに見えるぞ!ちくしょうめぇ…!
それなら俺はまた高校から魔王の餌食になるってことかよォ!!
<ウゾダドンドコドーン!!
………行かなきゃいい?いや、無理でしょ。
住所は知られてます。行かないとなったらお迎えという名の拉致が待っているのは目に見えてる。
そんな犯罪まがいのことをやる。
あの人らはやると言ったらやる、"スゴ味"がある!
………くっそぅ…!
「……お母上様」
「な、なに?」
「私、百花王学園に行こうかなって思ってます」
「ブフゥ…!」
母ちゃんが飲んでいたコーヒーが降りかかった。
きっちゃない。
あれから、学校やイツメンやらに"俺、百花王学園に入るぜ(涙)"と報告したら驚かれた。そらそうだ。
誰だって驚く、俺だって驚く。
ただ、政財界の息子娘さん方が通うお金持ち学校ということで編入試験はクソみたいに難しいっぽい。
てなわけで猛勉強した。
それはそれはもう手首が腱鞘炎になるくらいには勉強した。
勉強なんてしなくても生きてけるでしょ鼻くそぽいーしてたクソガキである俺の学力は中の下。
中高一貫校に通ってたから受験なんてよゆーだぜと思ってたのに。
これで学力足りなくて入らなかったぜ☆なんて結果になったら魔王様に何されるか分かんない。死に物狂いで勉強したんだぜ(瀕死)
そんな苦労を経て、そんな試練を乗り越えて入学したのに…。
「次は100だ!100万賭ける!」
「こい…!こい…!これが当たれば今までの負けなんてチャラなんだ…!」
「残念ブタでしたー。ブタに負けるとかどんな気分?」
「これで借金300万……返せる宛てある?良かったらこっちで手配しようか?海外に臓器売れば300万なんてすぐだよ」
「まだ母さんから500万は借りられる…!もう一回!」
「お金ない?体でも売ればお小遣い程度なら稼げるでしょ?」
……なぁにこれ?(遊戯)
ルーレット、トランプ、ダイス。
小規模のカジノのような教室。積み上がった札束とチップ。
……なるほどね。どうやら俺は住所を間違えたようだ。こんなところが百花王学園なわけない。そうさ。きっとそうなんだ。
……俺同じ制服をみんなが来てても違うんだ。違うんだよ…!そうだと言って…!
「あ、えっと……君、編入生、だよね?」
「ふえ?」
椅子座ってこれからの学園生活に不安と絶望を感じていたところに声をかけてきた男が1人。
顔を上げると……なんとも普通な容姿。
気弱そうな目元。ふにゃふにゃした雰囲気。物腰柔らかそうな口調に髪も染めてない正しく普通。そんな男がいた。
「僕、鈴井涼太。よろしく」
「……九十九賭。よろしく」
なんてことだ。
こんな場所にもこんな普通の人がいたのか…!ありがとう…!君の存在は俺に希望をもたらしてくれた…!これで俺はまだ戦え…!いや戦いたくは無いな。うん。
「なんでみんなギャンブルしてんの?」
「えーと、昔からの校風で、これからの日本を背負っていくものとして大事なのは勝負強さ……ってことらしくて」
「ふーん……」
アホくさ。
え?じゃあ何?今の政治家たちもこんな風にギャンブル中毒者だったりする?終わってるだろこの国。
「この学園じゃギャンブルの腕と結果で序列が決まる。気をつけてね九十九君」
「…………」
……なるほどねぇ。理解した。
俺がさっきから"色んな人にちらちら見られてる理由"も察した。
でもな、俺はな──
──ギャンブルなんてしないからな!絶対に!
「ねえ君!編入生……だよね!この学園のこと教えてあげよっか!」
「え?………いや、その……」
「まあまあものは試しで私とギャンブルしよ」
「……は、はははは」(棒)
俺の意思はあえなく撃沈しちまったぜ…。
オリジナルのギャンブルとそのゲームの流れを考えるって難しいね。そら、賭ケグルイの二次創作が少ないのも納得する。
時系列
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賭ケグルイから(双は外伝として)
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賭ケグルイ双から