俺はギャンブルなんてしないぞ!絶対に!(フラグ)   作:カリ梅

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お久です。


第8話

 

 

 

「──もう無理……ギブ……」

 

とある一室で机に項垂れる。

あぁ、テーブルの冷えが俺のオーバーヒートした頭を労ってくれてる。気持ちぃ……。

 

「起きろ九十九。まだまだ終わらん。弱音を吐く暇があるなら頭を回せ、手を動かせ。……全く、どうして俺がこんなことを」

 

そう言ってメガネをクイッと上げため息をつくのは"豆生田楓"。

 

生徒会役員、その会計を務めるこの男の元で今、俺は"勉強"をしていた。

 

「会長からの命令だから面倒見てやってるんだ。お前に限界などとくだらない弱音は許さん」

「そんなつれないこと言うなよ楓〜。少し休憩しようよ〜」

 

「ダメだ。ペンを持て。それから俺を名前で呼ぶな」

 

勉強。俺が最も苦手なものだ。

編入試験に合格するくらいには勉強はした。が、ここは名門校でもある。入れたとしても普通にテストは難易度が高いし、生徒たちのレベルも高水準。

 

俺の学力は全校生徒の中でも中の下。いや、下の上辺りだろう。

 

下手すれば学力で退学も有り得る。

それを見兼ねた魔王がこうして楓に指示を出し俺の面倒を見てるわけで……うーむ、複雑な気分。

 

「なぜ、ギャンブルはあれほど強いのに勉強は出来ないんだお前は……」

「おいおい楓。お前は頭がいいのに馬鹿だなあ。いいか?好きなことと嫌いなことが同じ上達速度なわけが無いだろう?」

 

「……ドヤ顔で言うことでは無い。それから名前で呼ぶな」

「…………」

 

だって苗字呼びとか他人行儀で嫌じゃない?

 

「……ごめんね楓」

「話を聞いてたのか?」

 

「申し訳ないと思ってるよ"かえかえ"」

「勝手に愛称を作るな」

 

「……じゃあ銀さん?」

「危ない発言はやめろ…!」

 

「そこは『オイィィィィィィッ!!』ってツッコめよ。キャラ崩壊上等の精神を持て」

「……付き合ってられんな」

 

メガネをクイッとしてため息を吐く楓。

おい!ため息を吐くなよ!吐かれたため息の気持ち考えろよ!

 

と、そんな時だった。

 

 

 

「お邪魔しまーす!!」

 

 

 

扉をバタンと開き入ってきた一人の女子生徒。

 

皇伊月。生徒会役員の1人。

そして、楓を慕っている子である。色んな意味で。

 

「皇、もう少し静かに入ってこい」

「いやー、すみませんねー。……ってあれ?九十九先輩もいたんですね?」

 

「ふっ、まあな。いつものように楓に家庭教師をしてもらっていたよ」

「誰が家庭教師だ」

 

それにしても皇がここに来たということは……。

 

……………。

 

「よし、じゃあ今日の勉強終わり!これにて解散!閉廷!おつかれ!」

「おい待て。まだやることは残ってる。勝手に終わろうとするな」

 

「んじゃこれにて」

「おい待て」

 

あとは若いふたりで楽しんでくれよーっと。

 

そうして出入口に向かおうと、

 

 

 

 

 

「九十九先輩……ありがとうございます」

 

 

 

 

 

かすかに聞こえる皇の声。

ふっ……。

 

「九十九賭はクールに去るぜ…」

「待てと言っているだろう…!」

 

……おいおい、この男ったら。

察せよバカ。そんなんだから頭はいいのにバカって言われんだよこのニブチンが。

ニブニブチ〇チ〇め。

 

「んじゃ、そゆことで」

「おい!」

 

扉を開け放ち逃走中。

捕まえられるかな、ニブチン野郎が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

「…………」

 

生徒会室。

そこは静寂だけが広がっていた。

 

「…………」

「…………」

 

魔王の席に座る俺の傍らには副会長の桃喰リリカ。

差し出されたお茶を飲むだけの時間。

 

「……平和だねぇ」

「…………」

 

声を出しても返答は無い。寂しい。

桃喰リリカ。魔王こと桃喰綺羅莉のコピーのような存在。

 

なんとも空虚な生き方をしている彼女。だが、彼女との時間は悪くないものだ。なぜって?平和だからだよ。

 

「…………」

「…………」

 

平和とはいえ暇だな。

よし。

 

そうして副会長の方へ向き直る。そのまま手を出し──

 

「お手」

「…………」

 

無言の時間。

数秒の間、副会長は俺の手を見つめつつ、おずおずとその手に指をチョンと触れさせた。

 

よしよしよし。

 

「おかわり」

「……………」チョン

 

「3回回って」

「……………」クルクルクル

 

「チンチン」

「……………」ピタッ

 

動きが止まった副会長。

どうした?お?やれよ?お?

 

「……セクハラも大概にしてください九十九さん」

「サンボー、いつからそこに」

 

「少し前からです。あとそこは会長の席です。どいてください」

 

気配を殺していつの間にか部屋の中にいるサンボー。

気配を消すスキルを持っていたとは、さながらスネーク。近くにダンボールが転がってないか?

 

「チンチンは立派な犬の芸だぞ。決してセクハラじゃない」

「セクハラです」

「…………」アワアワ

 

どうすればいいのかアワアワする副会長。なんだお前可愛いな。ほんとに魔王の双子かよ。

 

「副会長は犬ではありません。やめてください。あと早くそこからどいてください」

「いいじゃぁんたまにはさ!魔王のせいで胃に穴が空きそうな毎日送ってんだよ!?たまにはメンタル回復したいわけよ!玉座にふんぞり返って座ったりとかしてさ!」

 

 

 

 

「へぇ、あなた玉座を狙ってるの?」

 

 

 

 

 

「「……!?」」

 

驚くサンボーと俺。

振り返った先には腕を組み怪しげなほほ笑みを浮かべた魔王が立っていた。

 

「か、会長、いつからそこに…!?」

「ついさっきよ。それにしてもカケル、あなたがまさか私の首を狙っているとはね。嬉しく思うわ」

「いやー、そんな大層なこと考えてる訳じゃないんですけどね……」

 

ま、まずい。まさか聞かれていたとは。

九十九賭、一生の不覚なり。

 

「それじゃああなたの意を汲んで私とギャンブルしましょうか」

 

「嫌です」

 

誰がするか。

もう嫌です。ゴリゴリです。

 

"あんな必敗"のギャンブル、二度と引っ掛けられたくないんだよ。

 

「そんなつれない事言わないでやりましょうよ」

「嫌です」

 

「やりましょ」

「嫌です」

 

「やりましょ」

「嫌です」

 

 

 

「アンタとギャンブルは──」

 

「「やりません/やりましょ」」

 

 

「「………」」

 

 

やるやらないの押し問答。

それを傍から眺める2人の構図。

 

ずぇ〜〜ったいに魔王とやらない。

……時が来るまではね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王からの誘いを何とか躱してから数日後。

今日も呑気気ままにひとりぼっちで廊下を歩く、そんな日。

 

他生徒からの腫れ物を扱うような、そんな視線や対応にももう慣れた。

……慣れたくないけどね!

 

今日は何をしようか。

るなパイにだる絡みしに行こうかな。それともユリチュウをからかいに行くか。

生志摩は……会いたくないな、うん。楓のとこはありだな。あいつの部屋静かだし。いや、皇いそうだな。あの子の邪魔はしちゃいけないか。

 

久しぶりに鈴井の元へ……アリだな。

 

そんなことを思っていた時だった。

 

聞こえてきたとある二人の会話。

 

 

 

 

 

 

「──なあなあ、華組の"早乙女"が転入生にギャンブルで負けて1000万の借金背負ったらしいぜ」

「うっそ、まじ?あいつもその程度だったってことか」

 

 

 

 

 

ふーむ、あいつがねぇ…。

 

……………………え?まじ?




最近書く時間がねぇ。ないよねぇ。
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