汀渚のアーカイブ   作:buridish

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正直ここからの展開はだいぶメチャクチャです。原作の設定で矛盾があると感じる方は、ここでは独自設定としてこういう流れになるという事を理解したうえで読んでいただければ幸いです。


砂漠に潜む脅威

 駆ける。

 

 こんなにも足を取られそうになる砂地に苛立ちを感じたことはない。

 

 もしも間に合わなかったらホシノに合わせる顔がない、いや私自身自分の事が許せないだろう。

 

 今日も心配してくれていたユメ先輩の顔が思い浮かぶ、あの暖かな笑顔、姉とも母とも思えるような包容力。

 

 彼女を失えばアビドスは崩壊する。ホシノはもちろん私も、そして現在の学生までもが彼女の存在に救われている。

 

 強くはなくとも象徴であることは出来る。ユメ先輩はアビドスにとってなくてはならない存在だ。だから救わなければ。

 

 何故だか広大なアビドス砂漠にユメ先輩がいるのがわかる。知っている、この感覚。

 

 あの時、ケテルと戦ったあの時の感覚に似ている。”私”に意識を向ける。なんとなく想いが重なる毎に精度が上がっている気がする。

 

 集中する。そして”私”に語り掛ける。

 

 ユメ先輩を見つけたい、ユメ先輩を救いたいと。

 

 ”私”もそれに同意をした。意識が一つに混ざる。今私達が思う事はただ一つ。

 

 ユメ先輩を救う事。

 

 その瞬間、感覚が一気に鋭くなる。見えた。

 

 ユメ先輩が倒れているのが見えた。

 

 私は無心でその場所へと駆け出した。

 

 

 

 

 

「ユメ先輩!!」

 

 私は倒れているユメ先輩に駆け寄る。ユメ先輩はピクリともしない。背筋が冷えるような感覚が身体を駆け巡った。

 

 私は震えながらユメ先輩を抱きかかえる、温かい、そして口元に耳を寄せた。

 

 呼吸がある。

 

 私は全身の力が抜けその場にへたり込む。よかった、まだ生きていてくれた。

 

 ぽた、ぽたと雫が落ちる。ああ、私は泣いているようだ。

 

 涙なんて久しく流していなかった。日本でのお別れ以来だろうか。それほどまでに彼女は私にとってかけがえのない存在なのだ。失いたくない人だ。

 

 私は意識のないユメ先輩を何とか背負う、こういう時自分が力が強めでよかったと感じる。

 

 そして、私は端末でホシノにユメ先輩を見つけたことを報告する為に、通話をすることにした。

 

「ナギサ?そっちはどう?ユメ先輩は?」

 

 見つからなくて焦りがあるのかホシノはいつもよりだいぶ早口になっていた。落ち着かせるために私はユメ先輩を見つけたことを伝える。

 

「大丈夫、こちらで見つけました。倒れていましたが息はあります。これからそちらに―――。」

 

 帰ると言葉にしようとした瞬間、大地が揺れたように感じる。

 

 いや、揺れている。徐々に揺れは大きくなる…近付いてくる。

 

「…ホシノ、必ず、連れ帰ります。ですが少々用事が出来てしまったので時間がかかるかもしれません。切りますね。」

 

「ちょっと、ナギサ?どういう…。」

 

 通話を切り、揺れの方に顔を向ける。揺れが大きくなり地面が割れた。

 

 そこからかなりの質量を持った機械でできた巨大な大蛇ともいえるような存在が現れる。

 

 以前戦ったケテルと同じ、いや、質量と武装をを考えると明らかにこちらが格上だろうか。

 

 絶望が私の前に姿を現していた。

 

 

 

 

 

「ナギサ?どういう事?ナギ…ッ。」

 

 通話が切れる、何かが起こったのだろうか。手が離せないような状態になる何かが。

 

「こんなことをしている場合じゃない、ナギサとユメ先輩の所に行かないと。」

 

 状況は分からないが、ナギサのあの反応を考えるとよくない状況なのは確実。ならば助けがいる。

 

 ああ見えてナギサは手段を選ばなければ私に勝ち越すほどには強い。その彼女が余裕がない相手と考えると。

 

「私一人じゃ足りないか…。あまり頼るのもよくないって分かってるけど…。」

 

 私は協力を頼むために端末に手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 こちらを認識した機械の大蛇ビナーが雄たけびを上げる。そしてその巨大な身体をこちらへ向けて一直線に向かってくる。

 

 巨大な質量を持った身体はそれだけで武器になる。あれに踏みつぶされてしまえばひとたまりもないだろう。

 

 その上、私の背中には今ユメ先輩が居る、ユメ先輩を背負ったまま戦うことは不可能だ。

 

 私は全力で砂漠を駆けながらビナーの攻撃を躱す。

 

 あちらは機械の体である為に体力など存在しない。時間をかければかける程にこちらが不利になる。だが私の背中には意識のないユメ先輩がいる為、今私は反撃に移る事が出来ない。

 

 八方塞がりな状態でどうにか状況を打開できないか考える。ユメ先輩を降ろさなければ戦う事は出来ない。だが、もしも降ろしたユメ先輩が襲われたらと思うと実行に移せない。

 

 戦ったところで勝てるかわからない。準備はしてきたとはいえビナーの装甲に私の攻撃が通じるのか、ケテルの時ですら苦戦したのだ。アビドス高等学校の総力を使って勝てるかどうか。

 

 打開策を考えているとビナーは複数のミサイルを放ってきた。何とかユメ先輩を片手で支えて片手を自由にする。その手で愛用の拳銃を握り。即座に弾道と速度を計算、打ち抜く。

 

 ミサイルは爆発しいくつかに誘爆するもまだいくつか存在する。こんどは先程の爆破範囲を計算しどのミサイルを撃てばいいかを選択する。

 

 的確に選択したミサイルを、私が放った銃弾が射抜き再度爆発が起こる。何とかしのげたか。

 

 息つく暇もなくビナーは次の行動に移る。ビナーは大きく口を開く動作をした。

 

 そして開いた口からは嫌な感じがする。何かを溜めているような…まさか…!

 

 私はその場から退避するように全力で走った。アレに当たれば恐らく死ぬ。

 

 ビナーの開いた口から光が放たれる。間に合わない!私は背中のユメ先輩ごと前に跳んだ。

 

 私とユメ先輩は地面を転がりながらなんとかビナーの光線を回避した。ユメ先輩、放り投げてごめんなさい。だけどそうしなければ危なかった。

 

 光線が撃たれた場所を見ると、砂地がガラス状になっていた。あの熱量を直撃していたら…。

 

 私は急いで立ち上がりユメ先輩を抱える為近付くと、先ほどよりも多いミサイルの弾幕が見える。流石にこれは防ぎきれないか…ッ。

 

「…くっ…。」

 

 万事休す。だが諦める訳にはいかない、ホシノが待っているのだ、帰らないと。

 

 そして私は拳銃を両手に構える。多少の被弾は諦める。致命傷だけ防げればそれでいい。

 

 そして私がミサイルを撃ち抜こうとした瞬間。

 

 大量のミサイルは凄まじいほどの弾幕に破壊され爆発した。それとほぼ同時に空から降ってきた何かがビナーに直撃し、あのビナーを大きく仰け反らせる。

 

『何とか…間に合ったようね。』

 

 大量の弾幕が放たれた方向から声が聞こえる。そちらに顔を向けると見覚えのあるものが見える。

 

 以前私と戦った事のあるリオさんの作った戦闘用ロボット。アバンギャルド君の姿がそこにあった。

 

『今、小鳥遊さんを乗せてそちらに向かっているわ、先行させている高機動アバンギャルド君砂漠仕様をうまく使って何とか持ちこたえて。』

 

 おそらくアバンギャルド君に通信装置をつけているのだろう。アバンギャルド君からリオさんの声が聞こえてきた。

 

 本当にリオさんにはどれだけ借りを作ればいいのか。不幸な結末にならないよう未来に必ず力になると決めた。

 

 そして。

 

 私が居る方向とは別方向、そこから銃弾が放たれている。その銃弾はビナーの装甲の表面を削り取っており、ビナーはそちらに気を取られているようだ。

 

 そこには、もう1人の私の友人がいた。

 

「私の大切な友達に何してるのっ!!」

 

 絶望の状況から頼もしい援軍がその場に現れたのだった。




援軍登場、まだまだ続きます。
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