汀渚のアーカイブ   作:buridish

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今回過去話をはさみます。ナギサの記憶飛んでた部分です。

体調崩してしまい更新遅れて申し訳ないです。完治したらまた頑張ります。


合流ともどかしさ

 ソレは、勝利を確信した。

 

 我が領域に侵入してきた敵を排除したと。

 

 こちらも少なくない損傷を受けたが、侵略者を撃破出来たのなら問題はない。損傷は修理すればいいだけだ。

 

 この場所を、あの方の端末が存在するこの場所を守護する事が我が使命、あの方の存在は知られてはならない。

 

 砲撃で起こった砂埃が晴れるとそこには一人のヒトカタが立っている。

 

 ?おかしい、あの威力ならば吹き飛ばせると確信があった。こちらの計算を違えたか、何らかの方法で威力を殺したか。

 

 問題はない、こちらも急ぎ換装した事と損傷が激しいが故に装備の接続が上手く入っていないがあと数発なら撃てるだろう、それで仕留めればいいだけだ。

 

 そう思い適切な場所に移動しようとした多脚戦車ケテルの前に頭から血を流し虚ろな表情をした攻撃目標が目の前にいた。

 

 !?センサーは正常、であるのに目標の接近に気が付かなかった?

 

 急ぎその場から距離を取るためワイヤーを射出、距離を取ろうとしたが攻撃目標に一本の脚を両手で掴まれる。

 

 背後に飛ぶ運動エネルギーが掴まれた腕に殺される。機体がそれをもろに受けギシギシと軋む。

 

 異常である。目の前の存在にそれほどのスペックはないはずだった。計算違い?それであるならばもっと一方的に自分がやられているだろう。

 

 センサーが攻撃目標を捉えているにもかかわらず攻撃目標の挙動が読めない、今も自分の砲塔を飛び蹴りで折られている。

 

 預言者ケテルは言いようもないものが自らに湧き上がるのを感じた。なんだこれは。今までに観測したことのないものが自分の内に生まれた。

 

 攻撃目標は拳を握りしめながらこちらへと近付いてくる。撤退?不可能。挙動が読めないほどの速度で近付かれたなら現実的ではない。ならばもう一度自傷覚悟の一撃を入れる?同じ理由で不可能。

 

 そしてケテルは握りしめられた手が何かをまとっているのを計測した。

 

 …これは、神秘…いや、恐怖?混ざり合っていて別のものになっている?

 

 ああ、成程この人知を超えたものこそが神、我が同士にして盟主のあの方は神の存在証明をし神に至る事を目的としていたが。

 

 神秘であり恐怖であり崇高、この存在こそが望んだ神であると。

 

 Q.E.D

 

 証明終了と共にその拳はケテルに振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 ミカさんとアバンギャルド君が援軍に来てくれたことで、一息吐く余裕が出来た。だが彼らでも攻めあぐねているのが現状である。

 

 私も参戦したいが意識の無いユメ先輩を放置しておくわけにもいかないので身動きが取れない、それが歯がゆい。

 

 もしここに「先生」がいれば違っただろうか?いや…今ここに居ない存在に

頼っていても現状が変わるわけでもない。なら私が出来る事は。

 

「アバンギャルド君はそのまま打ち続けてください!ミカさんが弾を交換する隙を狙われないように援護を!ミカさんは…。」

 

 少々ミカさんとの距離が遠い、この距離だと声がはっきり聞こえないかも知れない。危険だが近付かないといけないか。

 

 アバンギャルド君についてくるように言って私はミカさんと合流することにする、盾を持たずにフルアタック仕様のアバンギャルド君は移動しながら攻撃の手を止めず私に追随してくる。

 

 ここまで近付けば私の声が聞こえるだろう。私はミカさんに声をかけた。

 

「ミカさん!援護ありがとうございます!いろいろお話はありますが今はアレの撃退を最優先にしましょう。」

 

「ナギちゃん!うん!あれが何なのかはわからないけど、そんなことはどうでもいい。ナギちゃんに酷い事するのは許せないから。」

 

 そう言いながらビナーを睨みつけるミカさん。頼りにはなるがこっちの勝利条件はビナーの撃退か、我々が無事に撤退することだ。あまり無理をする必要はない。

 

「取り合えずリオさんとホシノがこっちに向かってくれているそうです。本格的な戦闘はその時に、今は出来るだけ時間を稼いでください。」

 

「うん、了解。程々に嫌がらせをすればいいんだね?」

 

 私がそう言うとミカさんは素直に頷いてくれた。

 

「ミサイルの処理は私とアバンギャルド君がやります。ミカさんはあいつがこちらに突撃出来ないように妨害をお願いします。出来ればあいつが口を開けたときに重い一撃を入れてくれたら助かります。」

 

 今、例の光線、アツィルトの光を撃たれればこちらが瓦解しかねない。誰かが倒れてしまえば時間稼ぎも難しくなるかもしれないからだ。

 

 そうして、しばらく私が指揮をし消費を抑えながら戦闘をしていると、流石に妨害行動ばかりしているこちらに業を煮やしたのか強引に突破してこようとする。ケテルもそうだったが預言者というのは皆こうなのだろうか?

 

 流石にあの質量はまずいと思い散開させようとすると、何かがビナーの横面を撃ち抜きよろけさせる。私は飛んできた方向に目を向けると、いつの間にかアビドスにあった高性能な戦車がこちらに向かって走って来ていた。

 

 戦車の天井が開いてホシノが顔を出す。私はホッとしながら戦車に駆け出す。おそらくここが一番安全なのと私も戦線に立つためユメ先輩を預ける為だ。

 

「まったく…ナギサはいつも無理をして…!」

 

「…返す言葉もないですが、ユメ先輩を失えば一生後悔すると思いましたので。」

 

 ホシノが文句を言ってきたのでそう返すと、それを言われると…と、眉を下げながらしゅんとする。おっと、こうしている場合ではない。

 

「リオさん?ここにいるんですか?」

 

「ええ、私はアレに正面から戦えないからこちらで援護するわ…この戦車、電子制御機能とかジャミング機能の他にも色々と付いてるのだけど、いったいどこで作ったの?ミレニアムでも見たことがないわ。」

 

 いや、私もいつの間にかあったから知らないんだけど、そんな機能まで付いてるの?本当にいったいだれが持ってきたんだろう。怪しいけど今は置いておこう。

 

「取り合えず私も戦線に立とうと思うのでユメ先輩をお願いします。ホシノ、ホシノは戦車を守ってください。ショットガンではかなり近付かなければいけないでしょうから。」

 

「…了解、でも不利になったら私も参加するから。」

 

 そう言って戦車の防衛をしてくれるホシノ、後ろを気にしないでいいなら私も全力で戦える。

 

 そのままビナーを抑えてくれていたアバンギャルド君とミカさんのもとに向かい妨害ではなく反撃を始めることを指示した。撤退するにしても追ってこれないほどのダメージを与えなければいけないからだ。

 

 ミカさんは了承し、アバンギャルド君はリオさんが直接命令を出してくれる為、臨機応変に動いてくれるそう、ならば私がやることは最前線でビナーにダメージを与える事。

 

 ミカさんと私が前進し攻撃をする。皆で無事に帰るための闘いを始める為に。

 

 

 

 

 

「……。」

 

 視線の先でアバンギャルド君と聖園さんとナギサが機械の大蛇、ビナーというらしいそれと戦う姿を見て私も飛び出していきたい気持ちが湧き上がる。

 

 でもナギサに調月さんとユメ先輩を守るように言われたし、私もそれに同意した。大事な事、優先するものが何かなのも分かってる。それでも。

 

 聖園さんを見る、ナギサと一緒に戦えている事で生き生きしているように見える、少し不謹慎だけど楽しいんだろう、それに若干の羨ましさを感じる。

 

 ナギサ達とビナーの攻防を眺めながらそんなことを考えると、戦車から調月さんと調月さんから肩を借りたユメ先輩が出てきた。どうやら目を覚ましたようだ。

 

「ユメ先輩っ!大丈夫ですか?痛いところは?」

 

「ホシノちゃん…ごめんね。ナギサちゃんにも迷惑かけちゃった…情けない先輩でごめん。」

 

 しゅんとして申し訳なさそうに謝るユメ先輩、迷惑かけたのもそうだし、心配したのもその通りだ。でも無事で本当に良かった。

 

「…身体も…痛くはないんだけど、足が動かなくて…。何かされたっていうのは()()()に背中から何か注射みたいのを打たれたって事だけでよくわからないの。」

 

 そうか、だから調月さんに肩を借りてるのか。だけど足が動かないと言うのは心配だ。薬物か何かを打たれた副作用だろうか?

 

 それに女の子、つまりこの事態を引き起こした犯人がいるという事。そうなるとこれからユメ先輩を一人では行動させられない。

 

「分かりました、取り合えずユメ先輩はおとなしくしていてください、アレはナギサと聖園さんがきっと何とかしてくれます。」

 

 撤退後は急いでユメ先輩を病院に連れて行かなければならない。今は良くても体調が急変するかもしれない。

 

「ホシノちゃん。」

 

 ユメ先輩は調月さんに目線を送ると調月さんが何かを持ち上げて手渡してくる。これは。

 

「私はお手伝い出来ないから…これを使ってナギサちゃんたちを守ってあげて。私達は大丈夫だから。」

 

 ね、リオちゃんとユメ先輩は言いながら調月さんに手渡されたそれを受け取る。私は溜息を一つ吐いて。

 

「安全圏まで下がる事、これが条件です。リオさんがあのロボットに直接指示できるギリギリのラインまで下がってください。」

 

 それを聞いたユメ先輩はにこりと笑い調月さんと戦車の中へと戻る。

 

 はぁ…先輩に任されちゃったなら…行くしかないか。そう言い訳がましくしながら大きな盾を背負った私の口は小さく笑みが浮かんだ。




合流したし次は反撃!

…リオ会長も怪しい戦車に乗り込むのはどうかと思いましたが、ちょうどいいところに置いてあったのと、かなり速度が出るスペックだったので諦めて乗りました。
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