ちなみにですがここのナギサは運動も適度にこなしている為ちょっと発育が良いです。髪も動きやすいようにまとめています。
一回書いてコレジャナイ感凄かったので書き直したせいで時間かかりました…申し訳ない!
退院してからしばらくの時間が過ぎ、苦労が実を結び力加減の調節が上手く出来るようになった。
上手くできるようになるまでは本当に大変だった。今まで生きた中で一番の恥辱を味わったと言って良い程だ。これが桐藤家の令嬢の姿だなんて…淑女とは程遠い姿…嘆かわしい。
食器類を破砕してしまう為、食事の際にはユメ先輩やニヤニヤしたホシノに直接口に運んでもらったりした。創作物などで稀に見る光景なのだが現実で生活に支障がでるレベルはダメだと確信した。
生活用品や家具などの破壊も頭を抱えた。本気で誰かの介護を受けないといけなくなってしまうとなったら私の品位が地に落ちてしまう所だった。
そう、介護。というところでユメ先輩が足が動かなくなってしまったため。慣れるまでは誰かが傍で協力してあげなければならない事になった。
そしてそれに白羽の矢が立ったのが近くに住んでいる私。一緒に住めばお互いに協力し合えるよー、とニコニコ顔で笑うユメ先輩。誰かが助けてあげないといけないしそれには賛成だった。
そこで問題になったのが、介護するにあたってユメ先輩の体に触れることが多くなるという事。
その時の私には力の調節が上手く出来ず、ユメ先輩を車椅子から移動させようとしたときに痛い思いをさせてしまったりした。
流石の私もそれには顔が青ざめホシノに協力を申し出ることになった。溜息を吐きながらも私の力加減が上手く調節出来るようになるまでを期限に協力してもらう事になった。ユメ先輩はそれに対してホシノが泊まりに来てくれることを純粋に喜んでいた。
そして、それからは訓練の日々だ。基本小柄な割に体が丈夫なホシノに協力してもらい、手を握ったりなどをして練習した。
「人の体で練習した方が慎重になるし、相手の反応とか言葉でわかるでしょ?」
ということでホシノには悪いが実験台になってもらう事に、真剣にホシノの様子を見ながら手を握ったりを何度も繰り返したのだが、流石に見られ続けるのは恥ずかしいのか左右で違う色の綺麗な瞳を潤ませ、顔を赤らめたりしていた。
そして最大の問題、ユメ先輩の入浴である。
そう、ユメ先輩は現在足を動かせない、湯船に入ってしまうと一人で出るのは困難になってしまうのだ、つまりは誰かが協力しないといけない。後程、介護用リフォーム(内装のみ)をした為負担は減ったが、それまでは私とホシノが協力することになった。
初めはホシノが手伝いをしていたのだが風呂に入るたびに顔を真っ赤にしていた。私の力の調節が少しずつ出来るようになってからは体格を理由に私の仕事になったのだが。
そして、いざお風呂に入れるとなるとユメ先輩の体がどうしても目に入る。入院前はドジっ子よろしく転んだりであちこちに絆創膏を貼ったりしていたが、入院後は基本車椅子の移動であるが故か怪我は減った。そして、その場合目に映るのは傷もなく美しい自己主張の激しい身体。
女同士ではあるのだがあまりにも私と違い過ぎて(きちんと私も成長している)脳が混乱しながらも、これは介護と言い聞かせて入浴の手伝いをした。
私の方は頭がおかしくなりかけていたのにユメ先輩はというと楽しそうにしていた。その姿を見ると毒気を抜かれてだいぶ精神に余裕が出来たが。
私とホシノの精神衛生上よくないという事で急遽家をリフォーム。お金はかかるが私達の精神負担には代えられない。
しかし、結局ユメ先輩は心地が良くなるとすぐに眠くなってしまうようになってしまっていた為、私が監視役として一緒にお風呂に入ることは避けられなかったのだが。
そうこうしているうちに私の力の調節ができるようになっていき、ホシノは自分の家に帰っていった。ユメ先輩は寂しがっていたがナギサが傍にいるから平気でしょう?と窘められていた。
それからしばらく騒がしい日々が続いたある日、私達の前に尋ね人が現れる。
私が日常生活を普通に送れるようになり久々に生徒会の仕事を始めると、生徒会の仕事をほとんどホシノに任せてしまっていたこともあってかなり仕事が溜まってしまっていた。
ユメ先輩は普段以上に多い仕事量に、リオさんから送られたミレニアムと言った感じがする近未来的な車椅子に座りひんひん言いながら仕事をしていた。
そんな中、現在アビドスのインフラ関係の中枢を再び担う事になったセイント・ネフティスカンパニーのアビドス担当者から連絡があった。どうやら会って欲しい人がいるとの事だった。
生徒会長のユメ先輩はそれに了承、しばらくするとネフティスの責任者に連れられた一人の少女、私立ネフティス中学校の制服を着た生徒。薄れかけた記憶だが私はこの少女の事を知っていた。
「あの…私は十六夜ノノミと申します。」
「わぁ…ノノミちゃんって言うんだ!いらっしゃい!私はアビドス高等学校生徒会長の梔子ユメっていうの、よろしくね!」
相変わらずのユメ先輩節である。初対面にもかかわらずこの距離間、ある意味で尊敬できるところかもしれない。真似はしないが。
「アビドス生徒会副会長の小鳥遊ホシノ。好きに呼んでもらって構わないよ、十六夜さん。」
気持ち程度の圧をかけながら若干冷たい態度をとるホシノ。別にノノミさんが気に入らないのではなく、ユメ先輩のあの一件以降顔見知り以外にはずっとこんな調子だ。元々身内と他人の差が大きい子だから仕方ないと言えば仕方ない。
「ホシノ…年下の子、それにお世話になっている企業のご令嬢ですよ。もう少し柔らかい対応をしてください。」
私がそう言うとホシノはノノミさんに視線を移し、なるほどね。と一言言った。
自身の事を知られていたからか少しだけ身体を硬くするノノミさん。別に私達はネフティスに悪感情を持っている訳ではないのだから怖がらないで欲しい。そしてユメ先輩は予想通りお世話になってるご令嬢…?と分かっていない様子だった。
「は…はい、ネフティス・グループは私の家が運営してる会社です…。」
それを聞いてユメ先輩はやっと合点がいたのかにこやかな笑顔を返す。
「あっ、そうだったんだね!いつもお世話になってます。ネフティスさんとリオちゃんのおかげでアビドスは少しずつ賑やかになっていってるよ!ありがとうね!」
そう言ったまったく邪気のないユメ先輩の言葉に少し辛そうな表情をするノノミさん。どうやら過去の事を未だ気にしているらしい。当時の事なんてこの子にはまだ理解すら出来てなかっただろうに。
「い、いいえ…そんな、お礼を言われるような事は…ネフティスは…私は…。」
ユメ先輩の攻勢で話したい事が飛んでしまったか、いや、礼を言われると思ってなかったんだろう。罵倒や門前払いも覚悟してたのかもしれない。
私はノノミさんを落ち着かせるために準備していたお茶とお茶請けをノノミさんの前に置いた。今のアビドスでは売ってない為、わざわざミカさんに買ってきてもらったトリニティの高級茶葉と自作で申し訳ないが手製のクッキー、時間があればもう少し洒落たものを用意できたのだが。
一息つきながらクッキーを一つ口にして、あ…おいしい。と一言、どうやらお口にあったようで何より。
その後、お茶の香りを楽しみ口をつける。所作がきれいな子だ、流石はご令嬢。
お茶を飲み、小さく深呼吸。それで落ち着いたのか先程の様な要領を得ない状態ではなくなり、こちらに顔を向けて口を開く。
「ありがとうございます。えっと…。」
そう言えば私の自己紹介がまだだったか。相手は令嬢なので久しぶりにそれに相応しい挨拶をさせて貰おう。
「私はアビドス生徒会会長補佐をやっております結先ナギサです。よろしくお願い致します。」
そして、出来る限り綺麗に見えるように挨拶をする。こう見えて令嬢なのだ私は。決してホシノが言うお嬢様(笑)ではない、断じて。
私の姿に若干目を大きく見開くノノミさん、どうだ、分かる人にはわかるのだとホシノに視線を向ければどうでもいいと言いたげな呆れた顔。
そんな私達の応酬を気にも留めないユメ先輩はノノミさんがここに来た理由を聞こうと思ったのか口を開いた。
「それで、ノノミちゃんはどんなお話がしたくて来たのかな?あ、ネフティスさんのお仕事で何かあった?」
「その、ここに来たのは私自身の事というか…ネフティスも完全に無関係ではないのですが…。」
そう俯きつつ言葉を口にするノノミさん。なんとなくだけど彼女の言いたいことがわかった気がする。私の想像通りかはわからないが、ノノミさんは俯いていた顔を上げ続きの言葉を口にした。
「私も…ここで、アビドス復興のお手伝いをさせていただきたいのです!」
ノノミさんの言葉は私の予想通りだった。アビドスが背負った負債を自分も背負おうとしているのだろうこの子は。
しかし、アビドス衰退の切っ掛けの一つとはいえネフティスも手を尽くした上での失敗だったのだ。しかもノノミさんはネフティスの人間とは言え当時の事業に直接関わっていた訳ではないだろうし。
少々胸に刺さる部分もある。私は責任から逃げ出した。彼女は責任と向き合った上で背負おうとしている。とても立派だと思う。
「えっと…それは、アビドス高等学校に入学してお手伝いをしたいって事なのかな?」
ユメ先輩も彼女の言いたい事を理解したのか疑問を返した。
「はい、アビドス生徒会の皆様にはネフティスのアビドスでの名誉を回復させていただいた御恩があります。その恩返しをどうか。」
その言葉にユメ先輩は少し困った表情をしていた。純粋に後輩が出来る事は嬉しいのだろう、だけれど。
「あのね、ノノミちゃん。あまり地元の、自分の通う学校の事を悪く言いたくはないんだけど…。」
ユメ先輩は私達の前では決してアビドスに対して不便はあっても不満は漏らさなかった。けれど後輩になるかもしれない子に辛い思いはして欲しくないのだろう。アビドスはこれからも苦境に立たされていくことがわかっているから。
「今のアビドスは不便だしそれに何より今中等部は存在してない。ノノミちゃんの同級生になる子が現れるかもわからないんだ。」
そう、アビドスにはもう私達の後輩はいない。高校から入学してくる子が来る可能性を信じるしかない。記憶の通りなら後輩も入ってくるが、現実はどうか、最悪ノノミさん一人が最後の学生になってしまう可能性すらある。
「大丈夫です。その覚悟もありますし家族にも反対されましたが説得して納得してもらいました。」
家族の説得まで済んでいるとは相当な覚悟だ、憂いが無いのは良いことだけれど。強い意志を見せるノノミさんにホシノは感心したような表情をしていた。
ユメ先輩はそんなノノミさんの言葉を聞いてうーんと悩んでいる様子を見せる。
「ノノミちゃん、一つ聞いていい?」
「え、はい…どうぞ。」
言いたい事が纏まったのか、ユメ先輩がノノミさんに向けて一つ質問をした。
「アビドスは好きかな?」
「え…?」
ユメ先輩が言った質問は単純ながら難しい質問だと思う、私にとってのアビドスは大切な人がいる場所で今の私の帰る場所と言えるがノノミさんにはそういうものがあるだろうか?
「……。」
ノノミさんは即座に答えることは出来なかった。あまり難しく考えなくても多分大丈夫なのだが重く真面目に考えてしまっているのかもしれない。
「…よし!」
答えに詰まったノノミさんを見てユメ先輩は手を打ちながら笑顔を浮かべた。
「一旦その話は保留にしよう!アビドス高等学校に進学するのも保留!まずは私達と友達になってアビドスのあちこちを回って遊びに行こう!」
その言葉を向けられたノノミさんは疑問顔、ホシノはまた始まったと言わんばかりに溜息を吐くが口元は小さく笑みが浮かんでいる。
「実家の事とかそう言うのも置いておいて取り合えずはアビドスを遊びつくそう!ノノミさんもアビドスに住んでるからアビドスの事はよく知ってるかもしれないけど、友達とあちこちを回るのはまた違った楽しみがあるんだよ?」
相変わらず突拍子もないことを言い出す先輩だ。だからこそ飽きないし私達もびっくり箱のような彼女の起こす事を楽しんでいるのだが。
何の事はない、ただ友達になって一緒に遊ぼうと言ってるだけだ。
「私達が生徒でいられるのも短い間だけ、それなのに義務とかそう言うので縛られるのももったいないし楽しくないでしょ?だからみんなでいっぱい遊んで作ろう、今しか作れない青春の思い出を!」
そう言ってむふーっと言ったような顔でノノミさんに手を差し伸べるユメ先輩。ノノミさんもその勢いに若干話に付いて行けてないような顔をしながらもユメ先輩の手を握り返す。
「それでアビドスの事が好きって言えるようになったら、もう一度入学したいって言って欲しいな。」
ノノミさんと握った手を両手で包み込んでにこりと笑う
「えっと…。それじゃ…よろしくお願いします…?」
こうして、アビドス生徒会主催入学希望者アビドス遊楽が行われることになった。
やっとアビドス原作キャラを出せた…、まだ高校1年生編が終わらない!アビドス過去編細かい描写少ない上に内容が濃密なんじゃぁ…。
出会う事のなかった先輩後輩の話良いですよね…。ノノミが入学するとこの作品のユメ先輩は卒業しちゃうんだけど。
というかほぼユメ先輩が喋ってる…。この作品の主人公ユメ先輩だったっけ…?ま…まぁユメ先輩恐らく1年生編終わったら大幅に出番減るだろうから…。