ユメ先輩インストールを無意識にしていた為ハナコに特攻ダメージが入ってます。それを半月の間毎日心に沁み込ませていってます。
ハナコさんとの出会いから早くも半月、なんだかんだで毎日外部交流会の部室にやってくるハナコさんともだいぶ仲良くなれたと思う。
名前を呼びあう仲にもなれたし例の誤解も解けたと…思いたい。たまに見つめられている事があるからまだ警戒されているかもしれない、私は無実なのに。
ミカさんとも話し合って誤解を解きに行った時にミカさんに変な事を吹き込んだ犯人も発覚したので後で説教をしよう。でも誤解を解いた時にミカさんは何故かがっかりしていたように見えた。
この半月の間したことはハナコさんをあちこち連れまわしたことだ。トリニティはもちろんD.Uやミレニアムにも行った。流石にゲヘナに行くことは出来なかった。私には翼もある上、今はトリニティ生なので。
D.Uでは例の空色の髪の超人が素晴らしい指揮でSRTを動かし事件を解決している場面に遭遇した。一瞬こちらを見た気がしたが…気のせいだろう。
ミレニアムでは菫色の髪の少女と白色の髪の少女と出会った。どうやらリオさんの知り合いらしく私の事を話していたことがあるらしい、主に戦闘能力で。もう少し別なところで評価して欲しい、リオさんとは友人のはずなのだが。
トリニティでは部室にミカさんが来て、変なこと言ってごめんなさいとハナコさんに謝りに来ていた。それを聞いたハナコさんは驚きの表情を浮かべていた。そう言えばミカさんはトリニティでは悪女ロールプレイをしていたのだった、私の前ではいつも通りだったから完全に忘れていた。
その事でハナコさんに謝ったことは内緒でお願い、と言っていた。今の立場を崩したくないのだろう。ハナコさんもそれには了承してくれた。ミカさんは去り際にハナコさんに耳打ちしていたのだがそれを聞いたハナコさんは顔を赤くしていた。いったい何を言われたのだろうか。
そして、あまり見るものもないし連れて行くのも悩んだのだが、アビドスにも連れていく事にした。というかハナコさんが行ってみたいと言ったのだが。彼女からそう言う風に言うのも珍しいのでそれならばと一緒に行くことにした。
アビドスの市街地、ネフティスのアビドス支部。勝手知ったるとは言うが流石に数年暮らしてきた場所だ。一番詳しく案内出来た気がする。
そして最後に向かうのはアビドス高等学校。私達が通っていた校舎ではなく移動した分校ではあるのだが、その場所もホシノに知らされていた為行ってみることにした。
そこでシロコさんからの襲撃にあうも返り討ちにした、動きがよくなってきている。ホシノに良く鍛えられているのだろう。結構粘られてしまった。
私とシロコさんの実践式訓練を見たハナコさんは呆然としていた。私はそれなりに実力があるとは伝えていたのだがそれほど驚いただろうか?かなり珍しい表情を見れたと思った。
そして、そのままアビドス生徒会室へと向かう。久々に会う仲間達のもとへ。
聞いてはいたが想像以上だったと言わざるを得ない。
「ん、相変わらずの速さ。ホシノ…先輩よりも速い。」
「あら、きちんとホシノを先輩呼びするようになったんですね。今日はお客さんがいるのであまり加減はしませんよ?」
アビドス高等学校の敷地内に入ってすぐに知らない少女…ナギサ先輩は相手を知っているようだったので恐らくはアビドスの生徒だとは思うのだが…。その彼女に攻撃され、現在ナギサさんが反撃をしている所だった。
「!…こっち!!」
「反応が良くなってますね、ホシノも熱心に後輩の育成に励んでいるようで。」
私は戦闘にそれほど自信はないが明らかにアビドス生徒は強いと感じる。しかしそれを軽くいなしているナギサ先輩もとんでもないと思う。軽く見積もっても正義実現委員会の上位…いや…トリニティでも最上位レベルじゃないだろうか?
「近付かれたら負ける…なら!」
そしてアビドス生徒は地面に何かを投げつけると周囲が煙に包まれる。煙幕か。
しかし、それを見たナギサ先輩は。
「成程…多人数なら効果があったかもしれませんが。」
そう言いながら煙の中に入っていき、その直後アビドス生徒が持っていたアサルトライフルが空に舞い打撃音が聞こえてきた。
煙が薄くなり人影がはっきりしていく。落ちてくるアサルトライフルを掴み取り倒れた少女に突き付けたのはナギサ先輩だった。
「…ん、また負けた…。」
「搦め手も使えるようになっていて驚きましたね。これからどれだけ強くなるのか楽しみです。」
「それでも脳筋に勝てなきゃ意味がな…うぐっ。」
少女の襟首をつかみハナコさんこっちですよ。と言って少女を引きずりながら校舎内に入っていくナギサ先輩。こういう事をしているから脳筋と言われるのではないだろうか?
とはいえ、先ほどの戦闘を見た感じ個人的主観ではあるがナギサ先輩は戦術と戦略を両方熟しているように見えた。恐らく最初に襲撃された直後に複数の制圧方法を考え付いていた可能性が高い。
相手がどのような行動に移ろうと焦らず直ぐに行動に移れる。戦術面も優れているから相手が予想外の行動をしようと即座にプランを修正して結果的には自分の思う通りになる。相手からしたら理不尽の極みだろう、どういう行動をしても結末は変わらないのだから。
そのまま、ナギサ先輩に付いていくと一つの扉の前にたどり着く。扉の上を見ると生徒会室と書いてあり、中から賑やかな声が聞こえてくる。
ナギサ先輩がノックをすると中からは緩い口調でどうぞ―という声が聞こえてきた。
ナギサ先輩に付いていくと部屋の中には3人の女性。とてもスタイルが良く育ちの良さが見える少女、車椅子に乗ったふわふわとした雰囲気のスーツを着た女性。
そして、この部屋で一番小さいながらも一番の存在感を放ちながら机に顎を乗せてうへー…と言っている少女。
「久しぶりに会ったと思えば…だらけていますね。
「おー、久しぶり、ナギサ。いやね?最近カイザーがアビドスにちょっかい出すことが増えてきてさ、毎回私が追い返してたんだけど、シロコちゃんが実戦経験欲しいとかノノミちゃんからは働き過ぎって怒られてね。最近は後輩に仕事を割り振ってるから暇になっちゃってね。」
驚いた。私の知る限りナギサ先輩が誰かを呼び捨てにすることはなかった。
つまりは此処がナギサ先輩の
目の前で楽しそうに歓談している姿を見ると言いようもない感覚に襲われる。我ながらちょろいと思うも、もう私は自分の心を自覚していた。
私は寂しかった。何でもない普通の青春を望み、期待を持って迎えた高校生活は私の期待を簡単に裏切った。
主席入学を果たした私に向けられたのは複数の派閥からの勧誘、ティーパーティ―、シスターフッド、部隊管理をする人間が欲しかったのか単なる人手不足か、正義実現委員会からすらも声が掛かった。
登校すれば常にかかる勧誘の声、我々の派閥に入ればこういう特権が、とか何々が免除される、とか聞き飽きた。断っても断っても何人も声をかけてきた。
次第に同級生にも手回しをしてきてそちらからも声が掛かり、誰も信用が出来なくなった。
こんなはずじゃなかった、こんな生活がしたいわけじゃなかった。
以前から交流があったセイアちゃんだけしかもう信用出来ず、さりとて彼女も巨大な派閥の人間だ。彼女すら信用できなくなってしまえば私は壊れてしまうかもしれなかった。
そして紹介されたのが彼女、桐藤ナギサ。
校内では彼女について様々な憶測や妄想が飛び交っていた。優秀過ぎるが故に家族から煙たがられた。家が厳しくて逃げ出した。キヴォトス内でも有数の実力者。単独で不良集団をボコボコにした。ティーパーティーの聖園ミカと百合園セイア、甘背テマリは彼女に懸想している。
眉唾な話ばかりであくまで噂程度の話しかなかったので、結局は自分の目で確かめるしかないと向かった先であった彼女の印象は。
変な人、だった。
いきなり遊びに連れ出されたり、令嬢らしく見えるのにたまに庶民的になったり。
自分の持ち物をあっさり知らない相手に譲ったり、女の子が好きという疑惑があったり。
距離感の取り方が適切で、私が嫌だと思うことはせず、かといって距離を取り過ぎない。懐に入るのが上手い。
気が付けばトリニティに来てから周りに作っていた壁をナギサ先輩に対してだけは無くしていた。授業が終われば彼女がいる部室へと逃げ込み、入ってきた私に対して優しく出迎えてお茶やお菓子を出したり、どこか行きたい所はないかと提案してきたり。
暇なのかとつい口に出すと、まだ特にすることもなく暇なんですよね。と返ってくる。
外面はトリニティのようなのに中身は全くトリニティではない。かといって何も考えてないわけではなく私を気遣ってくれている事はよくわかった。
酷い人だなと思う、いつの間にか心の中に入ってくる彼女が。彼女になら騙されてもいいとすら最近は思っている。
そんな彼女が心から楽しそうに笑っていた。私の前でも笑っていたことはある、けれども今の笑みはそれと違っているように見えた。
羨ましい。私も仲が良い友人とこんな風に楽しみたい。
自分が言ってここに連れてきてもらっているのにこんな感情を持ってはいけない、こんなの嫉妬しているみたいじゃないか。
そっと感情に蓋をする。汚い私は見られたくない。
紹介されたアビドスの生徒達。ホシノという少女に説教をし、シロコと呼ばれる少女に次はもっと頑張るとリベンジの熱意を向けられ、ノノミという少女とは最近あった出来事を話し、ユメという女性がミスをしてそれをナギサ先輩がフォローする。
本来私が学園生活に望んでいた光景に近いものを眺めながらただ私は微笑む、羨む感情を胸の内に隠して。
しばらくすると帰らなければいけない時間になっていた。ナギサ先輩はアビドスの人たちと名残惜しそうにしていたが、こちらに振り向くと口を開く。
「それではハナコさん、戻りましょうか、トリニティに。」
ではまた。と言って部屋を出ていくナギサ先輩を追おうとするとホシノという少女に声をかけられた。
小鳥遊さんは私に近付き誰にも聞こえないように小声で喋る。
「…少しはぶちまけた方が良いよ、それくらいで嫌う奴じゃないし脆くもない。ナギサがそっちにいる間は甘えちゃえばいいよ。」
スッと目を細めながら小鳥遊さんは言った。これが彼女の素だろうか?再び雰囲気を和らげながらじゃあねーと手を振っていた。
帰り道、私はナギサ先輩に向かって考えていたことを口にした。
「あの、ナギサ先輩…。」
これを言えばもう引けない、今までのように中途半端ではなく明確に自分の居場所を決める事になる。
「私を…外部交流会に入部させてもらっても良いですか?」
ナギサ先輩は少し驚いた表情をしていた。
「いいんですか?どこかに縛られるのは望んでないのでは?」
心配そうな表情で言うナギサ先輩。確かにその通りではあるけれど…でも。
「私が決めた事ですから。これからもいろんな所、連れてってくれますよね?」
それでも居場所が欲しいと願ってしまった、ならばこの人がいる場所がいい。
ナギサ先輩は優しく笑い、あなたが自分で決めた事ならと言って私に手を差し出した。
「ようこそ、外部交流会へ。これからよろしくお願いしますね?」
優しく私だけに笑う彼女はとても綺麗だった。
ドロドロしてらっしゃる、栄養を与えすぎたかな?
ホシノはまだおじさんしてませんが少し近付いてます。ホシナギを見たハナコは、あ、ピンク髪だと思ってます。