汀渚のアーカイブ   作:buridish

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誰もこの三つ編みメガネの美少女が脳筋だとはわからぬだろう…知らなければプレイヤーすら騙せそう。


正義実現委員会

 セイアさんのお願いと意気揚々と正義実現委員会に出向いて、さぁ頑張るぞと思っていたところに私が直面した現実は。

 

「D、EのチームはBの援護を。それとA…ツルギは今どんな状況?」

 

 借りた正実のヘッドセットから聞こえる羽川さんの声。成程、これだけの人数を指示できる彼女は流石と言ったところ。

 

 ただ思った事は…。

 

 これ、私必要だろうか?という事だ。

 

 セイアさんから話が行っていたようで、現在の臨時のTOPの生徒と顔合わせと話をした時に私は正直に指揮の経験は特にないことを話した。

 

 その結果任されたのが羽川さんの補助、現在多くの部隊を指揮する立場にいる羽川さんの補助をして欲しいという事だった。

 

 突然現れた相手に指揮官を…それも大して経験が無い人間にさせるのは流石に躊躇うだろう、これについては仕方がない、寧ろ補佐という立場で動くのが最適な気がしてくる。

 

 取り合えず私はリオさんに試供品として貰っていた調月リオ製の高性能ドローンを3機操作しトリニティの上空から状況の確認を行っていた。

 

 というか実はほとんど”私”に身体を明け渡していた。久々に体を貸すのがこんなことで申し訳ない。

 

「羽川さん、Bへの援護はDだけで十分対応出来そうです。先程Eチームの近辺の飲食店でヘルメット団らしきものが暴動を起こしています。それの対応をEチームにしてもらいましょう。」

 

 目に映る情報を把握して即座に羽川さんと情報の共有を行っている。安全な場所でこういう事をしているのは新鮮である。

 

 私は現在トリニティ中を戦車で移動中…使わないのもかわいそうなので委員長代理に特別に許可を貰って自前の戦車を使っている。周囲のパトロールを自動で行ってくれる有能な戦車である。

 

 現在の戦車の装備は電子戦特化、特定の場所の電波を受信、傍受し相手の情報を抜きだしたりする…もちろん許可は貰っているし悪用するつもりは毛頭ない。

 

 目の前の画面にComplete!の文字がチカチカしている…もしかして褒めて欲しいのだろうか?

 

 それにしても忙しい、今日は特別忙しいとの事だが同時にいくつもの事件が起これば指揮が雑になるのも仕方が無いと言える。恐らくそこを突かれて犯人を取り逃がしてしまったりなどが羽川さんの失敗の原因なのだろう。

 

 となると必要になるのが羽川さんのサポーター、秘書的な立ち位置の人間だろうか?事務的な事は正義実現委員会の人間ではない私には出来ない為、こういう時間による情報の変化を伝えたり犯罪組織のアジトをこの戦車で見つけたりという事くらいしか出来ない。

 

 指揮官不足を補う為に来たというのにあまり力になれてなさそうで申し訳ない。かといってハナコさんの言う通り私が出張り過ぎるのもよくない、あくまで前面に出るのは正義実現委員会の子じゃなければならない。

 

 そんなことを考えながら腕を組みながら頭を悩ませていると私に対する個人回線で羽川さんが話しかけてきた。

 

「…来ていきなりこのような事をさせてしまい申し訳ありません…。本来私達だけで対処しなければいけない事を手伝ってもらって。」

 

「いえ、トリニティが平和になることは私にとっても良い事なので。寧ろあまりお役に立てずこちらこそ申し訳ありません。」

 

 そう言うと少しの間羽川さんが無言になる。気を使わせてしまっただろうか?

 

「…いいえ、桐藤様の協力、大変助かっております。今回の事で我々に足りなかったもの、今後の事についての未来が少々見えてきましたので。」

 

「それならよかった、大丈夫ですよ。トリニティの正義実現委員会は優秀ですから。」

 

 優秀なのには違いない。キヴォトスの治安維持組織の中でも上位に位置するくらいには組織として纏まっていると思う。

 

「おおよそ事態が解決したようなので一回りしたらそちらに向かいますね。」

 

「はい、お願いします。」

 

 そう言って通信を切る羽川さん、もう少し何とかしてあげたいと思うも過干渉も良くないと思考を切り替える。あちらが頼ってきたらその時に行動すればいい事だ。

 

 そう思い、私はトリニティの街に戦車を走らせた。

 

 

 

 

「えっと、今日はよろしくお願いします。」

 

 そう言って現れたのは、私の友人かつ上司のような立場のセイアさんからの紹介で現れた留学生の桐藤ナギサ様。

 

 良家の桐藤家の出であり、先日までアビドスに通っていた様々な噂のある留学生。そんな方と出会った最初の感想は。

 

 荒事とか得意じゃなさそうだ、といった印象だった。

 

 長い髪を三つ編みにして横から前面に垂らし眼鏡をかけた大人しそうな容姿。とても綺麗な方ではあるが自己主張が出来なさそうな印象だった。

 

 委員長代理からはとりあえず羽川の補佐に付けるから上手く活躍の場を作ってあげてくれ、ティーパーティーから睨まれたくないから色を付けて報告してもいい。と言われそこまでの期待もしていなかった。

 

 そして、自前で用意した高そうな戦車に乗り込み町のパトロールを行うと言い出した。警護の者を付けると言ったのだが。

 

「大丈夫ですよ、逃げ足は速いので。」

 

 と言われてしまった。流石に後で何か言われると怖いのでこっそりと警護の人間を付けたのだが。

 

 そして彼女が出て行ってしばらく、複数の場所で事件が発生、場所が離れており人数を分けて対処しなければならなくなった。

 

 …ここ最近示し合わせたようにこういうことが起こる、裏でそういうやり取りがあるのかは定かではないがそのせいで犯人を取り逃がすことも増えている。

 

 そんな悩みををセイアさんに溢してしまい、そんな彼女から遣わされたのが彼女、正直この時点ではセイアさんには申し訳ないが全く期待していなかった。寧ろ警護に人数を割かねばならなくなったと厄介事が増えたと思ったのだが。

 

 彼女から私に通信が来た時状況が変わった。

 

 分けた部隊の状況、犯罪者の動きをリアルタイムで報告してきたのだ。すべて離れた場所で行われた事件にもかかわらず。

 

 現場の状況の変化、相手の武装、人数、隠れている場所。細かな情報までもが伝えられ、こちらからするとすさまじくやりやすかった。私を通してではなく直接指揮した方が良いのではないかと思うほどには彼女は有能だった。

 

 本当に指揮経験が殆ど無いのかと疑問に思う位には必要な情報をくれる。おかげで今日は取り逃がす事も無かった上に、同時犯罪を起こさせていた企業と犯罪者の通信までも傍受、どうやら犯罪者を囮にして別の犯罪を行っていたようだった。

 

 そこにツルギに行ってもらい他の問題を残りの人間で対処、警護に付けていた人間も結局事件の対応に向かわせた。

 

 正直今日の犯罪の件数は最近でも最高だったがその中でも最高に楽だった、有能な人間が補佐するだけでここまで楽になるとは思わなかった。

 

 正直彼女が欲しいと思ったのだが、彼女の立場上それも難しい。ティーパーティーですら口出しできない立場の人間だからだ。

 

 言い方は悪くなってしまうが彼女が手伝ってくれている間、少し利用させてもらう事にしよう。彼女だからこそできる事のデータを取り、良い成果が出ればティーパーティーに報告し今後の活動の一つの指標にさせて貰おう、その為にも。

 

「ただいま戻りました。…?羽川さん?どうかしましたか?」

 

「お疲れ様です。今後の事で少々お話が…お願いがありまして。」

 

 いつまでも手伝って貰う訳にはいかない、だからこそ今だけは協力して貰おう。

 

「桐藤様…あなたに一つ部隊の指揮をお願いしたいのです。」




自分の有能さがいまいちよくわかってないナギ上、ナギサ様(の能力)が喉から手が出るほど欲しいハスミ。活躍できてうれしい戦車君、指示があればなるはやで装備を変更してくれる有能君。

一方そのころ、ナギサに高性能多機能ドローンを提供した人間のあらゆる可能性を模索中の調月リオはUZQueenというライバルに出会っていた。おもしれ―女と化してきたリオ嬢。未来の何かの部活の部長はターゲットにされているようです。怖いね。
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