それとブルアカと言っておきながら四〇話を超えてまだ原作の気配を感じなくて申し訳ない、各キャラの表現を多くしようと思ったらどんどん文章量が増えてしまって…。
外でナギサ先輩達が戦っている頃、私達、外部交流会と梔子ユメさんは戦車の中で退避させてもらっていた。
「ごめんね?さっきは慌てちゃって警報鳴らしちゃって…うるさかったよね?」
少し前にあった事を言っているのだろう、今回の事は誰にも予測できなかったことだしパニックになってしまうのも仕方がない、それ以上に治安維持組織であるゲヘナの風紀委員はともかく、対多数に対応できる十六夜さんとシンプルに強いナギサ先輩を矢面に立たせる事になったことを少々歯がゆく感じる。
とはいえ慣れない戦闘に参加したことで、私達を守るためにナギサ先輩に余計な苦労を掛ける事になるのも許容できず、ただここに隠れ潜んでいる。
「いえ、まだ戦闘も始まる前でしたし、大丈夫ですよ。」
状況が状況のせいか少し言葉が硬くなってしまう、普段ならもう少しマシな冗談も言えるようになってきたのだけど。
「それにしてもこの戦車懐かしいなー、これ元々ナギサちゃんがアビドスにいた頃にいつの間にか置いてあったんだよね、ナギサちゃんが捨ててもついて来るから諦めたって言ってたんだよ?ワンちゃんみたいでかわいいよね?」
かわいい…だろうか?という事はトリニティにも持ってきたのではなく勝手についてきた?寧ろ恐怖の方が上回る気がしないでもない。
「それにね?とっても頭がいいんだよ?高性能AIが積んであるとかでお願いも聞いてくれるんだ。…えっと、AIさんお外の様子が見たいです!」
梔子さんがそう口に出すも答えはしん、とした沈黙のみ。ひぃん、ナギサちゃんとリオちゃんの言う事は聞いてくれるのにぃ…としょんぼりしながら言う姿は卒業した社会人とは思えない。
諦めきれないのかあちこちのボタンを押していく梔子さん、その様子を見てヒフミちゃんが慌てる。
「あ…そ、その…機械をあちこち触るのは良くないんじゃ…外の人の迷惑になっちゃいけないと思いますし!」
ヒフミちゃんが止めるも、ボタンを押した後に複数のモニターが外の様子を映した。偶然…だろうか?
複数のモニターはどうやら前後左右を映しているようで、声までは拾えないものの慌ただしく人が動いているように見える。
「よかったぁ、ちゃんと映ったよー。…あ、後ね?リオちゃんから教わったんだけど、戦車付属のドローンと、このVRヘッドセットを付けると画面のリンクをさせられるんだって!前に私がやってみたら酔っちゃって全然ダメだったんだ…ナギサちゃんは平気だったのに…。」
成程、情報の取捨選択が出来なければ扱うのは難しいだろう、というかナギサ先輩は使えるんだ、本当に何でも出来るなあの人は。
そう思ってふと頭によぎる、ドローンの視界も共有出来るのなら手伝いができるのではないかと。
緊急時に連絡が出来るよう渡されたインカムを手に取る、足手纏いでいたくはない、少しでもあの人の役に立ちたい。
「そのヘッドセット、貸していただけますか?上手くすればナギサ先輩の役に立てるかもしれません。」
私がそう言うと梔子さんはVRヘッドセットを渡してくれた、少し心配そうにしながらではあるが。
「あの、ハナコちゃん!気分が悪くなったらすぐやめてね?無理はしないでね?」
「大丈夫、経験は無いですけど少しすれば慣れると思います。それとヒフミちゃん、戦車の運転…出来ましたよね?私の指示に従って運転、出来ますか?」
私がそう言うと、ヒフミちゃんが両拳を握って頑張ります!と元気良く返してくれる。こういう時この子の度胸は凄いと思う。
そうしてヘッドセットを付けて操作をする、取り合えず周囲モニターのリンクの項目があったのでそれを選ぶ。
…!想像以上にきついかもしれない、この上ドローンの視界まで映すとなると難しい、必要な部分以外切らないと。
あれこれ数分ほどいじっていると何となく使い方が分かってきた、これなら大丈夫そうだ。
と思った瞬間、ゲヘナの風紀委員の装甲車辺りで爆発が起きる、ここまで攻め込まれたのかという驚愕とその場所の様子を見る為にズーム機能を使う。
その瞬間私の視界に映ったものは。
「…あらあら……。」
ゲヘナの指揮官である少女を抱き寄せるナギサ先輩の姿。ナギサ先輩が何か話すと顔を赤くしながら離れて姿勢を正している。
…状況はなんとなく理解した、恐らく爆発の位置にあの指揮官がいたのだろう、それをナギサ先輩が助けた、それだけのことのはずなのだけれど…。
ゲヘナの指揮官の表情も相まって少しだけ嫌な気分になる、仕方がないと分かっていても感情を抑制しきれない。
深呼吸をして気を取り直す。面倒な女になりたくない、だけど。
「今日はこんなことになってしまいましたし、また今度に一緒にお出かけのお願いくらいなら、しても良いですよね?」
そう言葉にしながら私はインカムの通信をナギサ先輩に繋げた。
あの後、エージェントAさんに押されていたゲヘナ側の援護に向かってもらい、さて私もと参戦しようとしたのだが、突然ハナコさんから通信がきて何かあったのかと考えていると、戦車とドローンを使って周囲の状況を見てくれるらしい。
いや、あれって”私”の協力でギリギリ扱えるようなものなのだが…改めてハナコさんの優秀さに驚く。
索敵と強力な防衛戦力が入ったことで戦況は安定し再び相手を押し返すことに成功する。
その後しばらくして敵の勢いが和らいだ、嵐の前かと警戒しているとハナコさんがドローンで確認してくれた、どうやら味方の増援が来てくれたらしい。
そしてその先頭にいたのは。
「やっほー!ナギちゃん!怪我はないかな?」
眩しい笑顔をこちらに向ける少女、聖園ミカ、結局ミカさんも来てしまったか。
「ええ、ミカさんありがとうございます。流石にあの数相手に避難民含めて守り抜くのは厳しいと思いましたので。」
私がそう言うとミカさんはここまで来るまでの状況を教えてくれた。
「前線は今正実のエースの…えっと、剣先ツルギちゃんが暴れてくれてるから大丈夫だよ、それと…。」
ちらりと周りを見渡すとミカさんは私に近付き耳元で小さく言葉を発した。
「…ここに来る途中に変なのを見たんだ、ゲヘナのヒナちゃんが単独でそれと戦ってたけど、特にダメージは与えられてなかったから割ととんでもない相手かも。」
流石にミカさんとゲヘナ風紀委員長の間に繋がりがあるのを聞かれるのはまずいと思ってるのか周りに聞こえないよう小声で話してくる、それにしても変なのとは?
「ミカさん、その…変なのとは?」
気になったそれについて尋ねると、ミカさんは困ったような表情を浮かべる。
「うーん…変なの…としか言えないんだよね…あれが何だかよくわからないし…。」
見たことのない兵器、ビナーの様な預言者だろうか?
「さっきヒナちゃんにモモトークを送ったらこっちに合流するって言ってたからヒナちゃんに聞くのが早いかも…でも、なんとなくあれは倒さないといけないモノって感じたかな。」
そう言って目をスッと細めるミカさん、いつもの優し気な空気は消え、よく切れそうな刃物のような気配を発している、彼女にしては珍しい。
そんな話をしているとミカさんの携帯端末から音が鳴った、私にちょっとごめんね?と言って通話を取る
「どうしたの?…あーそれは大丈夫、ゲヘナ側の増援だって。…攻撃はダメだよ?今回は味方、…うん、うん、聞き分けのいい子は好きだよ?」
少々圧を感じる声色で通話相手と話すミカさん、成程こんな感じなのか、確かに本来の彼女を知らないと怖いかもしれない。
ミカさんが通話していると私の方に天雨さんから連絡が来て増援部隊と風紀委員長が到着したとの事、空崎さんに聞きたい事もあるし私もそちらに合流するか。
ミカさんの方にちらりと視線を向けるとあちらも話が纏まったようだ、ミカさんも頷くとこちらについて来た。
「…あ……桐藤さん、そのヒナ委員長はあちらにいらっしゃいますので…。」
ミカさんと風紀委員が集まっている場所に向かうと何故かしおらしい天雨さんの姿、ミカさんはそれを見てんー?と首をかしげている。
そのまま風紀委員長の場所まで案内してくれる天雨さん、ここからでもゲヘナ風紀委員長である彼女の姿は見えた。
小さい身長でありながら放つ雰囲気は常人のそれではない、敵を前にした時のホシノの様な圧倒的な威圧感。
周りからゲヘナ生の視線は感じるが天雨さんが案内してくれているからか敵意はないようだ。
風紀委員長、空崎ヒナさんの前に到着すると、天雨さんが彼女に対し口を開いた。
「ヒナ委員長、お客様をお連れしました。」
「ご苦労様、アコ。…それで、そちらは?」
と言いながら私、ミカさんの順に視線を向け、ミカさんに視線が移った瞬間ヒナさんの表情が一瞬ピクリと動く、横目でミカさんを見ると笑顔で片手をひらひらと振っていた。
はぁ…と面倒そうにため息を吐く空崎さん、彼女らは顔見知りではあるが、私は一応初対面なので自己紹介しておく。
「初めまして、私はトリニティの桐藤ナギサです。この度救援に来ていただきありがとうございます。」
私が名乗ると表情は変わらないものの、何かを考えている様子、どうかしたのだろうか。
「…成程、あなたがいたのなら大して被害が出ていない理由が良く分かった。取り合えず私の部下を助けてくれてありがとう。」
天雨さんについては勝手に体が動いたのだが、お礼は素直に受け取っておこう。
「ねぇ、ヒナちゃん。さっきここに来るまでに変なのと戦ってたよね?あれって何なの?」
そうだ、今はゆっくり話している暇はあまりないのだった、ミカさんが単刀直入に気になっていた事について聞いてくれた事に感謝した。なお天雨さんはミカさんのヒナさんへの態度に目を見開いて驚愕していた。
「おそらくだけど、あれが元凶。ここに来るまでに大きな集団が攻撃してきたから軽く当たってみたのだけれど、集団の中心に妙なものがいたの。」
ミカさんも変なものと言っていたが空崎さんも妙なものと称するものとは何なのだろうか。
「黒い靄のようなものに覆われたなにか。それが集団の中心にいて明らかに守られていたからそれを狙ったのだけど、ダメージを与えられた様子は感じなかった。」
空崎さんが難しい顔をしながら言う、キヴォトスの中でも最高位の実力を誇る彼女が退く程の相手か。
「ただ、明らかに中心にいた黒い靄に当てた瞬間にこちらに対しての攻撃が激しくなったからあれが指揮官かそれに相当するものなのは間違いないと思う。そっちで戦ってた相手のいくらかもこちらに流れてきてたし。」
成程、勢いが和らいだのは空崎さんのおかげだったのか、それに目標が指揮官ならばそれを何とかすれば統制は崩れる、ただ、相当に戦力がなければ難しいかもしれない。
いや、これ以上ない位に戦力は揃っているのだけれど、守りにも人数を割くことを考えると…。
「ミカさん、正義実現委員会の主要メンバーは誰が来ていますか?」
私がそう聞くと、話を振られたミカさんはんー、としばらく考えてから答えた。
「主力は連れてきてるよ?半数は残してるけど戦力で見るならツルギちゃん、指揮官としてならハスミちゃんかな?もっと連れてきたかったけど流石に怒られそうだから…。」
視線を逸らしながら頬をかくミカさん。急だったのもあるが無理をさせてしまったようだ、申し訳ない。
しかし、彼女たちが来ているなら…。
「指揮の出来る方たちを残して主力で本陣に当たるのはどうでしょうか?エージェントAさんはユメさんの護衛で来ているので残って貰いますが。」
空崎さんがエージェントA…?と言って首を傾げたので、ここからでも見える大きさのロボットの様なパワードスーツを装備した彼女の事だと説明する。空崎さんはああ、と納得のいった顔をした。
正直な所、彼女の火力は魅力的なのだが、こちらの戦力も残さなければいけない。守りをなくすのは本末転倒だ。
「んー、だったらトリニティはハスミちゃんに防衛部隊の指揮をして貰って前線に出るのはツルギちゃんと私かな。」
と言いながらこちらを見て笑顔を見せるミカさん、共闘はあの時以来になるか。
「そうね、このまま引き籠っていても不利になるだけだし打って出るのは賛成。ゲヘナ側は防衛部隊にアコを残して指揮をしてもらう、前線には私が行くわ。」
腕を組み自信に満ちた表情で空崎さんが頷く、流石のゲヘナ最強格、味方にしたならば相当に頼もしく感じる。
空崎さんが天雨さんにお願いね、というとお任せください、ヒナ委員長。と頷いた。絶対的な信頼を感じる。
「トリニティ外部交流会からは私が前線に出ます。ハナコさんには周囲の索敵とエージェントAさんへの指示を私からお願いしておきます。」
こうして、私達は謎の相手との戦いに打って出ることになったのだった。
単独で相手ボスと戦おうとするゲヘナ最強マジ強者。敵の取り巻きも50~100位いますけど…まぁ何とかなるか?タンクが欲しいですね、はよ来てホシノ!