燃えている。
周りが炎に包まれている。
私は飛び起き、慌ててそこから逃げ出そうとした…。が、自分が熱さを感じていない事から、これは
周りを眺める…何かの建物…そこの一室のようだ。
そして、部屋の中心に酷く見覚えのある少女が背を向けた状態で立っていた。
服装は何故か、連邦生徒会の制服に酷似していた。
ここが夢であることは分かっていた。だが、そんな事は何も関係無かった。大切な友人が危険な目にあっているのだ、逃げろ!と声を上げた。
当然のように彼女に声が届くことはない。当たり前だ、私は『この世界にいない存在』なのだから。
燃えて崩れ落ちていく建物、何故そうなっているのか。これはもしもの未来なのか。この結末は変えられるのか。
見ていられなかった。目を背けたいのに、目を瞑りたいのに逸らす事が出来ない。
自分のせいでこうなったと知らされるように、お前には何もできないと言われているかのように。
その時、聞き覚えのある声で、友人である少女の声が部屋に小さく響く。
「……ごめんなさい……わたしには―――」
その言葉と共に友人の少女は膝をつき、やがて瓦礫に飲み込まれた。
「…っ…はっ!」
勢いよく悪夢から飛び起きる。
「夢で…よかった。」
いつもの見覚えのある自分の寝室。
見たくもない光景を見せられ全身に嫌な汗をかいていた。
べったりと汗で張り付く服が気持ち悪いが、夢の光景がどうしても頭に浮かぶ。
「あれは…未来…なのか?」
そうであってほしくない。ただの夢だ…と思いながらも、起こりうる可能性があるかもしれない…とも。
「……。」
片手で両目を覆う、今更だ、夢に踊らされるだなどと。
努力はしているものの、友人と思いながら彼女を利用している自分の至らなさに腹も立つし、もっと力が必要だと自分自身に活を入れ、情報を集め、協力者を募り、得意ではない外交も行っている。
…その外交すら意外と顔が広い友人の手を借りてしまったりもしているが…。交流…今の部活はまさに彼女にとって天職ともいえるレベルで向いていると思う。
それ程にナギサという少女は天性の人たらしである。あのハナコがあれ程に人を慕う姿を見るとは思わなかった。
…正直言って危険なレベルで熱い眼差しを向けている気がしないでもない。まだ、あのミカが健全に見えるレベル…いや、ミカもミカで聖園家の未来が心配になりそうな気配が垣間見えるが。
今日は早めに眠りについたからか、深夜というには少々早い、水差しから水を汲み一口、乾いたのどを潤す。
と、その時…唐突に鳴り響く携帯端末、何故か厄介事の予感がよぎる。
最近ミカのように勘が鋭くなってきた気がする、その感覚は正直、”夢”より信じられる。
しかし、気付いたからには出ないわけにもいかず。画面を見れば、先日、怪我をして蒼森ミネにベッドに押し込まれたはずの友人から。
厄介事の確率が大幅に上がる、彼女にはそう言った逆の信頼感が存在する。
「…もしもし、もうそれなりに夜も更けた時間だが、急を要する用事かな?ミカ。」
「…うえーん!セイアちゃーん!!……あのね?怒らないで聞いてね?…ちょっと退屈だなーってお外を散歩してたら怪我した子達を見つけてね?一人は動けない位怪我が酷くって…どうしたらいい?」
予想通り厄介事である。そして下手をすると表沙汰にできない事象の可能性がある。
「…取り敢えず…動き出すには少々遅い時間だ。そちらには救護騎士団の蒼森ミネを向かわせるから、君もしっかりと彼女に怒られてくれ、詳しい事は明日、外部交流会の部室で。」
「え!?ミネちゃん!?ちょ…ちょっとまって!セイアちゃ…」
また彼女に厄介事を押し付けるかもしれない罪悪感、八つ当たり気味に言葉を畳みかけ、相手が何かを言う前に通話を切る。
聖園ミカという少女はトリニティでも厄介な立ち位置にいる。そんな中でも立場など関係ないとばかりに自分の主張をぶつけられる人間は少ない。その内の一人、蒼森ミネ。救護の名のもとに時には暴威を持って自身の役割を果たす、といった人物。
過激ではあるが、彼女が関わった結果、結果が良かったことが多い。血筋も良く、結果を多く出している事から次期救護騎士団団長に推す声も多い。
その他にも明日の為にすることは山ほどありそうだ。
「…はぁ…早めに休めたと思えば悪夢で目を覚まし、友人からの連絡が来れば厄介事…。色々手を回しておくのも必要そうだ…やれやれ、今日もゆっくり出来なそうだ…。」
はぁ…とため息をつきながら根回しの為、携帯端末を手に取る。申し訳ないと思いながらも、なんとなくナギサの力も借りることになると勘が告げていた。
それとあの夢…。
「あんな未来は起こさせないし、自分自身も諦めたくない。」
あの夢を未来の出来事だと、変えられない運命だと信じていたなら、私はこうも諦めが悪くなかったかもしれない。恐らく逃げてしまっていたか、それとも自分の殻に包まれ諦めてしまったか。
未来は変えられる、そしてそれは自分の手で掴むものだ。
「ああ、セイアだ。少々厄介な事になってね…ナギサ…君の力を借りることになるかもしれないのだが――」
翌日、終業後の外部交流会部室にて。
今までで最大であろう人数がこの部室内に集まっていた。
「えーっ…と、今日は皆に集まってもらって…」
中心にいる桃色の髪の少女、ミカさんが普段の自信に満ちた態度を潜め、しょんぼりとしながら口を開いた。
「そのー…昨日、お散歩してたら…ね?えっと…」
叱られる前の子供の様な態度で両手の指を絡ませながら、要領を得ない言葉を漏らした。
「えっと!この子達と!もう一人、女の子を保護しました!取り敢えずセイアちゃんに言われてここに連れてきたんだけど…」
一気に言い切った後はまた声が小さくなり、人差し指同士をつんつんとさせている、本人が可愛らしいからかその仕草が妙に似合う。
そして、彼女の言葉から保護したという少女達、私の薄れてきた記憶の中でもその顔ぶれから誰かを連想できる。
「この顔を覆ったマスクつけてる子が秤アツコちゃん、この、おどおどしてる子が槌永ヒヨリちゃん、こっちの短めの髪の子が戒野ミサキちゃん、それで、一番小さい子が白洲アズサちゃん。」
どうやら偽名を使ってる訳ではないようだ。そして、ここで何かしようとも思っていない。彼女達のリーダーと言える少女が今ここにいないという事が理由になるだろうか。
槌永ヒヨリさん以外は黙して語らず、槌永さんもこの空気…息苦しいですよね…。と言葉を呟きながら床を見ている。
「えっと、ね?とりあえずこの子達をここに連れてきてってセイアちゃんに言われて…そう言えば!ねぇ!ずっと気になってたんだけど、ナギちゃん!その目!どうしたの!?」
話を逸らすつもりはなかったようだけれど、気になったからつい言葉に出てしまったらしい。
そう、今、私は片目を医療用の眼帯で覆っている。
別に怪我をしたわけではないのだが、少々生活に支障が出ている為、緊急措置でつけているだけである。
それについてはヒフミさん、ハナコさんも気になっているのか、心配そうな目をこちらに向けている。
「これは…怪我をしている訳ではないので大丈夫です。近い内に何とかしようとは思っているので。」
あの力を使ってからの影響なので、知識がある人間以外にはどうにも出来なさそうだ、その為近い内にミレニアムのリオさんを訪ねようと思っている。最悪は正直、関わりたくないあの男に頼るしかないのかもしれないが。
「そ…そっか…む…無理はしないでね?それで…えっとぉ…」
ミカさんがまたも言いよどんでいると、部室の扉が開き、身体のあちこちに包帯を巻かれた少女と、救護騎士団に所属する蒼森ミネさん、少々私とも関わりを持った、シフターフッドに所属している歌住サクラコさん。
サクラコさんに軽く手を振ると、対外的ないつもの笑顔でなく少々ぎこちないながら、微かに頬を染めてかわいらしい笑顔を浮かべた。この表情を見れば妙な誤解は解けると思うのだが。
なお、ナギサの知らぬことではあるが、ナギサとサクラコがこういうやり取りをしている時、あのサクラコ様が女の表情を桐藤様に向けていますわ!まさか、お二人はそういう…?と違う意味での誤解を受けていたりも。
そして、友人のセイアさんが姿を現す。
「なんとなくこうなっているという事は予想していたよ。まぁ、ミカがまともに説明できているとは思わなかったから、私から説明させてもらおうか。」
ふぅ、と口から溜息を吐き出す。お疲れのようだし、今度一緒にお昼寝でも誘ってみようか?
「昨日の夜、怪我をして病室のベッドで寝かされていたはずのミカが勝手に抜け出して散歩などをしていたそうでね。その散歩先で怪我をした彼女達と出会ったそうだ。」
内容から厄介事だと瞬時に察して一瞬顔を顰めるハナコさん、ヒフミさんは口を両手で押さえている。
「それで、こちらの方の名前は先程ミカさんから聞きましたが、そちらは?」
傷だらけの少女を立たせているのも良くないので、椅子を用意しながら少女に尋ねると、目を瞑りながらうつむく。
「ああ、彼女は錠前サオリ、そして彼女達は、過去のトリニティから弾圧を受け、追放されたアリウス分派。そのアリウス分派の生徒が所属する場として非公式に学園を立ち上げた。そのアリウス分校に所属する生徒だそうだ。」
「!ッッ…リーダー!?」
短い髪の少女、今まで一言も話さなかったミサキさんが、何故、といった表情でサオリさんを睨みつける。
「アリ…ウス…」
ヒフミさんはきょとんとした顔をしているが、どうやらハナコさんはアリウスについて知っているようだ。唇に指を当て、少々深刻そうな表情を浮かべていた。
俯いているサオリさんが小さく呟くような声で言葉を発した。
「…百合園セイアにはおおよそあたりを付けられていたようだ。マダムに気を付けろ、と言われていたのはこういう事だったのかもしれない。」
アツコさんはマスクから表情は読めず、ヒヨリさんはあ、もう終わりなんですねぇ私達…と言いながら持っている荷物を握りしめる。そして、アズサさんの周りは空気が一気に鋭くなるように感じた。
そんな彼女達にサオリさんは待て、と一言告げた。
「今ここで暴れたところで何も為せず制圧されるだけだ、私はこの様で足手纏いにしかならない。」
さっきまで挙動不審だったミカさんは空気の変化を感じてあわあわと慌てだした。ハナコさんもヒフミさんを抱き寄せながらミカさんの後ろに身を寄せている。
勿論ここで暴れさせるつもりはないし、万一そのつもりなら制圧に動いていた。それ以前に、ミカさんもミネさんも強いので彼女達の思惑通りにはいかないだろう。
「先程こちらに来るまでに百合園セイア、歌住サクラコと話をした。我々が何故このような状況に陥ったか、それと、今後どうしたいかのか…と。」
口調は淡々としているものの、サオリさんの表情は暗く目に光が無い、すべてを無くしたかのような空虚さを感じた。
「アリウスは終わりだ、マダムは襲撃を受け、負傷し姿を消した。他の生徒達も力及ばず制圧された。我々がしてきた事は、我々が生きてきた意味は…すべて虚ろに消えた。」
その言葉を聞いたアリウスの少女たちは皆、俯いていた。彼女たちのリーダーのその言葉に自分たちの今までを否定されたように感じたからだろう。
「あの日、いつもと変わらないはずだったあの日、変わらない日常の中で唯一の変化と言えばトリニティに潜入し情報収集に行ったはずの一人のアリウス生がおかしなことを言っていたこと程度だ。」
何故我々は不幸なのか?何故幸せになってはいけないのか?私もあの子達とまた遊びに行きたい、約束をしたと。そう言っている少女がいたのだと。
「その生徒に対しマダムが教義をもう一度教え込むと、再教育を行うと言っていた。そして、彼女らが姿を消して少し時間が経った頃、自治区中を揺るがす程の揺れと爆発音が聞こえた。」
当時の事を思い出しているのか、ミサキさんは表情を硬くしている。
「我々が爆発の現場へと向かうと、そこには負傷し倒れ伏した生徒達、同じく負傷したマダム、そして。」
「マダムに連れていかれた生徒にてんしさまと呼ばれた、身を覆うほどのローブを羽織り仮面を着けた奇妙な存在が立っていた。」
その言葉に既視感を感じる。知識に、記憶に”物語”にそのような存在がいなかったか。
「無論、私達もただ立っていた訳じゃない。全力でマダムを守り応戦した。だが、相手は尽きる事のない兵力を持っていた。いくら倒したところで倒した相手は霞のように消え、新たな敵が現れる。」
まるで亡霊を相手にしているようだったと、口にするサオリさん。わたしが聞いた様相で思い浮かべるのはこの世界の災厄、そして、亡霊。その亡霊もまだ存在しないはず、現れるのが早すぎる。まだ
「マダムはアレが何かを知っているようだった。何故ここにいる、と言っていた。」
ここにいる全員は知らない事だったが、アリウスにそれが現れる数分前、パラドックスとの戦いでナギサがあの力を放出していた。要はタイミングが悪かっただけと言える。
「私達は戦い続け、損耗していった。私達が相手に勝てないと思ったのだろう、マダムは奴に計画が狂ったと叫び声を上げながら、突如起こった爆発と共に消えた。」
椅子に座り、だらりと身体を脱力させたサオリさん。相当精神にダメージを負っているようだ。
「故郷と言える場所を追われ、憎んでいたはずのトリニティに拾われた。その上でどうしたいかを自分で決めろとの事だ。」
自嘲の笑みを浮かべるサオリさん。
「スクワッドのメンバーには申し訳なく思っている。あそこで助けられたのがまさかのトリニティの重鎮だったこと、そのせいでこのような状況になったこと。」
その言葉に拳を力強く握りしめる事しかできないアリウススクワッドのメンバー。
「で…でもさ!ほら!無事だったわけだし!喧嘩腰にならずに仲良くしよ?」
あまりに重い空気に耐えられなかったのか、ミカさんが何とかしようと試みるも、今ここでその言葉は悪手である。
「…はぁ…ミカ、君はアリウスとトリニティの関係について軽く考えすぎている。この様子を見るに、余程トリニティ憎しの感情を植え付けられていることくらいわかるだろう?」
「うっ…勉強不足でごめんなさい。」
自分の言葉でさらに空気が悪くなったのを感じたのか反省をしているミカさん。今回の件の中心人物であるが故に目に見えるように肩を落としている。
「それで?ここにいる生徒はトリニティなんだよね?百合園セイアとそこのポンコツお嬢さんはともかく、はっきりとトリニティに対して良い感情を持ってないって言っちゃってるけど、他の子達は大丈夫なの?」
リーダーであるサオリさんが思った以上に精神的に参っているからか、代わりにミサキさんが探りを入れてくる。
「ああ、ここにいるのは信頼できる人間だよ。口も堅いし、ナギサはアビドスからの留学みたいなもの、外部交流会のメンバーもそうそう口を滑らせるメンバーではない。なぁ?ミカ。」
「ちょっと!なんでそこで私の名前が出てくるのかなぁ!私だって立場ある人間だからそれくらいの腹芸くらいできるもん!」
こんな状況でありながら軽口を言い合う二人、こんな状況でそんなやり取りができる二人を驚いた表情で見るアリウススクワッド。ごめんなさい、これ、いつもの日常風景なのです。
「とにかく、いきなり好きなようにしろと君たちに言っても…難しいだろう、まずアリウスの生徒、と言われても何かしらの仕事にありつくのは難しい。サオリから聞いた話から推察すると、君たちは思った以上に世間知らず、ものを知らなすぎる。」
その言葉に目を逸らすスクワッドのメンバー。戦闘においての知識ならばSRTなどのスペシャリストと比べても遜色ないと言えるのだろうが…。
「君たちをこのまま放りだせばまぁ、悪い大人や不良達に利用されて散々な目に遭う事は容易に想像できる。社会的な立場が微妙なのも良くない。アリウスは公的な学園ではない、背後関係が弱ければそこを突かれるだろう。キヴォトスは弱い立場の人間には優しくない。」
この世界が優しくない事はアリウススクワッドが一番わかっているだろう、そういう環境だったから。
「3つ提案がある。…一つ、回復次第このまま君たちを自由にする。だがさっき言ったように社会は君たちに厳しい、追手もあるかもしれない状況で神経をすり減らしながら生きていくのは容易ではないだろう。」
セイアさんが指を立てながら、説明をする。ちらり、とこちらに視線を向けてくる。
「二つ、他の学園の入学、正直これは難しいと思っている。最低限の学力すら怪しい所がある、錠前サオリとの会話では地頭は悪くないと感じているが…簡単なものではない、が、ナギサの伝手を伝えばアビドスには入れる可能性が高い。」
アビドスは万年人手不足、実は原作ほどに人がいないわけではないのだが、それでもやはり外に人が出て行ってしまうのは止められず、入学希望者は喜んで迎え入れる、私が一言ホシノに言えば生徒会長の権限で試験などを無視して入れてくれる可能性もなくはない。
「が、ここでも君達の背後関係が邪魔をする可能性がある。アビドスは少数精鋭、君たちに気を配っている余裕も余り無いはずだ、これは私個人の事情だが、ナギサをこちらに貸してくれている相手にこれ以上迷惑をかけたくない、選択は君たちの自由だが、個人的には却下したい。」
「…じゃあ、何で言ったの…」
セイアさんの言葉に呆れた口調を向けるミサキさん、一応の選択肢として挙げているだけなのだろう、そして次が恐らく本命。
「三つ、私とミカ、サクラコの権力を使い、ここ、トリニティに留学してもらう。私とミカ、そしてサクラコ、ミネは派閥のTOPとして推薦されている。…一つだけ懸念はあるが、何とかなるだろう。メリットは生徒数が多いから隠れ蓑には最適だ、余程のことがない限りはバレることはない。君たちの主もまさか宿敵の根城に入り込んでるとは思わないだろう。デメリットは君達の気持ちかな、窮屈さを感じるのは間違いないだろうね。」
厄介事は懐に入れて逆に制御しよう…と表面的に思っているが裏では恐らくここが一番安全だ、と思っているからの言葉だろう。
が、かなり危険でもある。トリニティに憎しみを持っている人間を内に入れる事、情報を抜かれる危険性、何よりも何か起きたとき、セイアさん、ミカさんの立場が危うくなる。
今まで黙っていたサオリさんが、光の無い目で、口を開く。
「私達を内に入れて危険だと思わないのか?内からトリニティを壊すかもしれない、隠れ、準備を進め重要施設の破壊などを。」
「その時はさっぱりとトリニティをやめようかな、私達が逆にアビドスの世話になるのも悪くない、私は
このキヴォトスにおいてチームとしての連携力を見てスクワッドレベルはそうはいない、贅沢な装備を与えればSRTのTOPに並んでも遜色なさそうだ。
「なるほどな、悪くはない条件だ、お互いに利用し合う関係、という訳か…。」
だが、とサオリさんは口を開く。
「断る、私達の今まではそんな軽いものではない。泥水をすすり、飢えに苦しみながら生きてきた過去をなかった事には出来ない。私達はアリウススクワッド、形だけでもアリウスを裏切ることは出来ない。」
彼女達にも背負ってきたものがある、だからこそ受け入れられないという事だ、メンバーを危険に晒してもそれは出来ないと。
「…そうか、残念だが――」
拒絶の意思を向けられたセイアさんは本心から残念そうな声をだした瞬間。
「あら、ならばアリウスに利のある理由があるならよろしいのですか?」
そこにいない筈の声が響く。
「…君に気付かれないようにしていたはずだが…何故君がここにいる?甘背テマリ。」
「ふふふ、面白そうなお話をなさっているようでしたので…大丈夫ですわ、この程度の事で皆様の立場を悪くすることなど致しませんわ?」
セイアさんは苦み走った表情を浮かべる。一番知られたくなかった相手に知られたからだろう、テマリさんは髪色は病的な白色のままではあるが、以前よりも健康的な血色の良さが見える。蠱惑的な表情を浮かべ、裏の事情も知ってそうな雰囲気をしている事から…おそらく今の彼女は裏の人格だろう。
「どこから聞いていた?そして、何をするつもりだい?テマリ。」
「うふふ、全部、でしょうか。そして、ごきげんよう、アリウススクワッドの皆さん。」
セイアさんとテマリさん…パラドックスの間に剣呑な空気が流れる、パラドックスは寧ろニコニコ笑顔なので一方通行であるかもしれない。そして、アリウススクワッドに向かい笑顔を向けた瞬間。
「ッ!まて!アズサ!」
持っている銃をいきなりパラドックスに向けたアズサさんを制止するサオリさん。
「…お前は誰だ?マダムと同じ匂いがする。」
その言葉に驚く、とてつもなく勘が良い。彼女はあの組織にいたことがあると聞いたから協力関係にあったのは事実だろう。それに気が付くのもマダムに強い反骨精神があるからか。
「あらあら、マダムだなんて…。わたくしいい歳しながら生徒会長などと名乗る年増などではありませんわ?」
彼女のある種辛らつな言葉にアリウススクワッドは警戒心を抱く。ミサキさん、アズサさんはサオリさんの盾になるように前に出た。
「甘背テマリ…マダムを知っているのか?マダムは今どこにいる。」
「存じ上げませんわ?ですが、アリウスには戻れないでしょう、彼女を追い出した存在が未だアリウスにとどまっている上、まともな方法では入れはしないと思いますし。」
どうやら彼女はアリウスの現状を知っているらしい、話し合いではトリニティとアリウスの話し合いだったので口に出さなかったが、私もそれについては知りたかったので質問する。
「テマリさん、アリウスを制圧した相手をご存じですか?」
「……さぁ?逃げたアリウス生徒会長なら知っているかもしれませんがわたくし、そう言う事は詳しくありませんので。」
アリウス生徒会長との繋がりを隠す気もない彼女だが関係性は悪いようだ。実験動物にされたようなものだからだろうか?
「警戒する気持ちもわかりますけれど、今はアリウスの利になる話をしましょう。私としてもあの年増…こほん、あなた方がマダムと呼ぶ女に一泡吹かせたいと思っておりますので。」
アズサさんはサオリさんに目を向けるとサオリさんは小さく頷いた。それを見てアズサさんは銃を降ろす。
「アリウススクワッドの皆さん、アリウスの名を掲げたまま、太陽の下を堂々と歩きたいと思いませんか?」
甘背テマリはそう言いながらニヤリと言ったように口角を吊り上げた。
長くなってしまったのでここまで、長くお休みして申し訳ない。新規シナリオ見て練っていた構想と大きくズレが無いなーと思っていたので、投稿しました。
セイア実は夢を見たせいか焦ってます。余裕が無いゆえにちょっと強引な手に出てる。戦力が欲しいようです。
何気にアズサを入れてスクワッド完全体ですね。だがサオリのメンタルは死ぬ。
ベアおばはいつも通りにしてただけなのに、生徒に絶望与えていたらヤバいのpopして退場させられました。タイミングが悪かった。
テマリ(仮)さんは面白そうな物語の紡ぎ手候補が出てきたのでニコニコ、悪意はないです。胡散臭いだけで。寧ろ手助けしてやろって思ってます。彼女の政治力は甘さが無くて情け容赦がないナギサ、ただし求心力は大きく劣るって感じですかね、普通に有能。
久々かつ急いで書き上げたので誤字脱字、内容に違和感あるかも…?気になったら感想お願いします。