汀渚のアーカイブ   作:buridish

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 一応パワーはそこそこ、中の上から上の下あたりに設定しようと思ったんですが、思った以上に皆さんゴリラナギサを求めてらっしゃる?ミカと二人で二人はゴリキュアする?

 ナギちゃんメインの小説なのにわた、聖園ミカの姿が影も形もなくない?こんなのおかしいじゃんね?


入学式と暁のホルス

 今日はアビドス高等学校附属中等部の入学式の日。

 

 2桁ほどの在校生が講堂で椅子に座りながら待っていると数名の新入生が入ってくる。

 

 在校生の感想は、ああ、ついに2桁切ったかぁといった感じである。

 

 このままだと2、3年後には0もあり得るなぁとも。

 

 その中で成績トップで入学してきた生徒、つまりは首席の少女が講堂の中心、在校生の目の前まで歩いていく、その歩みはどこか優雅で育ちの良さが感じられる。

 

 幼いながらその長い髪をハーフアップでまとめ、顔は美しく、気品を感じられることから、どこのお嬢様がこんな学校に?と誰もが思うレベル。そんな子がアビドス中等部の制服を綺麗に着こなしていた。

 

 在校生が驚く中、中等部3年の一人の少女だけが驚きではなく笑顔で少女を眺めていた。軽く手まで振っている。

 

 首席の少女はその様子を見て少し呆れながら軽く息を吸ってから口を開いた。

 

「初めまして、在校生の皆様方、新入生代表を預かりました。結先ナギサと申します。この度はこのアビドス高等学校附属中等部に入学できたこと、とても嬉しく思います。先輩方に倣いこのアビドスに貢献できるよう誠心誠意努めてまいりますので、未熟な我々にご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い致します。短くはありますが、これで新入生代表挨拶を終わります。ご清聴ありがとうございました。」

 

 と、詰まることなくすらすらと、緊張の様子も全く見えず挨拶を終わらせた。

 

 在校生は、アレ?あの子本当に年下?歳鯖読んでない?あんな子が何でアビドスに?などと一人を除き全員似たようなことを考えていた。驚いてない一人の少女も、わー、流石はナギサちゃん、凄いなぁなどと考えていた。

 

 

 

 挨拶が終わり、総生徒数が少ないからこそできる簡単な歓迎会が行われた。

 

 そこで今私は、貰った飲み物をちびちびと飲みながら軽く周りの様子を見ていた。

 

 新入生首席なのに話しかけられないの?と思った人もいるかもしれないが、なんというか逆に圧をかけてしまったように見えたらしく誰も近付いては来なかった。いや…今近付いてくる少女が一人だけいた。

 

「入学おめでとう!ナギサちゃん!えへへ、さっきのご挨拶凄かったよー、この子が私の後輩さんだなんて私も鼻が高いね!」

 

 と、私が褒められているはずなのになぜかユメ先輩がふふんという所謂どや顔だろうか?そういう顔をしていた。

 

「ありがとうございます。ユメ先輩。ユメ先輩にはお世話になりましたし。入学前もいろいろお手伝いいただいて…余裕が出来たらぜひご恩を返させてください。」

 

「うーん、別にかわいい後輩の為だしそんなこと別に構わないんだけどなぁ。アビドスに通ってくれるだけで私としては恩返しして貰ってるまであるよ?」

 

 そう言いながら周りを眺めるユメ先輩、昔はそれこそトリニティやゲヘナにだって負けなかったらしいこの学校も今では廃校が目に見えるレベルで近付いてきている。

 

 年々砂嵐の被害でアビドス地域も荒れて借金まであると言う話だ。入学者も減って当たり前だろう。寧ろ借金があると聞いたら普通は入学しない、私はユメ先輩が口を滑らせていたし、原作知識があるから知っているが。

 

「実際に同級生も何人も別の学校にいっちゃってるし、年々入学する子も少なくなってる。中等部だってもしかしたら遠くないうちに無くなっちゃうかもしれない。そんな中でこの学校に来てくれた、それだけでも私は嬉しいよ。」

 

 そう、心からの笑顔をこちらに見せてくるユメ先輩、本当にこの人は、簡単に悪い人に騙されちゃいそうな人だなと思った。

 

 しばらくユメ先輩と話し込んでいると、一人でポツンとしている小さな少女の姿が見えた。

 

 短く切られているピンク色の髪、鋭い左右色違いの瞳、無表情で飲み物を飲みながらぼーっとしている少女、あれは、まさか。

 

「あれ?一人の子がいるね。ねね、ナギサちゃん、あの子に話しかけに行かない?せっかくの歓迎会だしもっとみんなで楽しんで欲しいなぁって私は思うんだよね。」

 

 私が彼女を見ているのに気付いたのか、ユメ先輩は推定小鳥遊ホシノに目を付けたらしい、これは、恐らくこれも原作崩壊だろう、私がここにいる以上もう気にしていないが。

 

 何故か私もユメ先輩に手を引っ張られながら少女のもとに向かっていく、どうして私も巻き込んでいくんだろう。

 

 流石に誰かが近づいてくるのが分かったのかこちらに顔を向ける推定ホシノ、頭の上に?が見えそうな表情をしている。

 

「初めまして!私は3年生の梔子ユメって言います。歓迎会、楽しんでくれてるかな?」

 

 そうぐいぐいと彼女に迫るユメ先輩、あの、もうちょっと距離感を考えて…。

 

「え…?ああ、えっと、それなりに?」

 

 困ったようにそれだけ言葉を返す少女、初対面の相手にいきなり迫られたらそうもなるだろう。私は彼女の様子に小さくため息をこぼす。

 

「よかったー、これからいろんなことがあると思うけど学生生活いっぱい楽しんでもらえると嬉しいなっ!それで、えっと…あなたのお名前は?」

 

「…ホシノ…小鳥遊ホシノです。」

 

 どうやら推定ホシノは小鳥遊ホシノであっていたらしい、ユメ先輩のコミュ力はやっぱりすごいなと感心しているとユメ先輩は私の腕を引きながら次はナギサちゃんだよっと言ってきた。

 

「…はぁ…先ほども挨拶をさせていただいた結先ナギサと申します。小鳥遊さん、これから同級生としてよろしくお願い致しますね?」

 

 ユメ先輩の強引さに溜息をつきながら私もホシノさんに挨拶を返す。

 

「ああ、さっきの首席の。よろしく。」

 

 と言葉少ない返事をした。まぁ初対面だしこんなものだろう。

 

 だけれどユメ先輩は納得いかなかったようでむっとした表情を浮かべて。

 

「もー!二人とも!硬い、硬いよ!同級生なんだからもっと仲良くしよう?」

 

 何を言ってるんだろうこの人は、私とホシノは今顔を合わせたばかりなのだけど。ホシノもそう思っているのか私に顔を向けながら、お前の知り合いだろ?何とかしろと言わんばかりに呆れた顔をしていた。

 

 気持ちは分かるが、今の私は彼女のヒモの様なものなのだ、私から彼女に逆らうのは難しい。お金も貸して貰っている上に実は家にも住まわせて貰っている。家がないと言った時あっさりとじゃあうちに住んだらいいよと即答した。何度も言うけど悪い人に騙されそうだこの先輩。

 

 軽く首を振って無理と意思表示をする。ごめんホシノ。

 

 それを見たホシノは溜息をつきながら。諦めた様子で口を開いた。

 

「…それで?仲良くするって、何をすればいいんですか?」

 

 特に何も考えてなかったのかユメ先輩は、え?と言いながら何かを考え始める。しばらく考えた様子のユメ先輩は、何か思いついたのか、あ!と言いながらニコニコ笑う。

 

「ホシノちゃんとナギサちゃんと私の3人でナギサちゃんのお気に入りのカフェに行こうよ!そこのデザートとってもおいしいんだよ?」

 

 ホシノはもう呼び捨て…と言いながらもそれくらいならいいか、と思ったのか良いですよ、と言った。私?私に拒否権はない。ヒモの様な私にそのような選択肢は存在しない。

 

 そうして、歓迎会が終わった後、私たち女子中学生3人は砂嵐の影響の少ないアビドスの街へと遊びに向かった。

 

 

 

 

 ユメ先輩の奢りという事もあり、私もホシノも遠慮をせず注文をした。食べている間も私達3人は年相応の女子らしく女子トークと洒落込んでいてお互いに遠慮もなくなっていった。ユメ先輩は思った以上の出費でひぃんと泣き声を上げていたが。

 

 ここまで仲良くなれたのはユメ先輩が緩衝材になってくれた事が大きい。彼女がいるとふわっとした雰囲気になってなんだか絆されてしまうところがある。私とホシノもまだ出会って1日もたっていないにもかかわらず、いつの間にか名前呼びになっていた。ユメ先輩効果恐ろしい。

 

 そうして過ごしていたらいつの間にか空の色が茜色に代わっていた。楽しい時間は過ぎるのが早い。

 

「もうこんな時間かー、そろそろ帰らなくっちゃね。ホシノちゃん、家どこ?送っていってあげる。」

 

 何この先輩、合法的に自宅特定しようとしてる。出会ってまだ数時間にもかかわらずとんでもない距離感の詰め方だ。

 

「一人で大丈夫ですよ、ユメ先輩、こう見えて私は強いので。」

 

 むしろ逆に送ってあげましょうか?なんて冗談まで言い出した。ホシノもホシノで中々とばしてくる。いや根っこの部分はこういうノリがいい子なのかもしれない。

 

「ううん、大丈夫、私はそんなに強くないけど自衛は出来るし、ナギサちゃんも結構強いんだよ!」

 

 それを聞いてホシノは疑問が浮かんだような顔をする。ああそっか、ホシノは私がユメ先輩の家に住んでることを知らないんだった。

 

「…私が少々訳ありでして…ユメ先輩の家に住まわせてもらっているんです。纏まった資金が得られるようになれば他に部屋を借りる予定なので。」

 

 そういえばホシノは驚いたような顔、それはそうか。新入生首席、佇まいが普通じゃない少女が家無しだ、厄介事しか感じられないだろう。

 

「ええー、ずっと居てくれてもいいのに、家事はちゃんとしてくれるしご飯も美味しいし、寧ろ私がダメ人間にされちゃいそうだけど。ね、ナギサちゃん悪い人に騙されちゃだめだよ?」

 

 えへへ、とかわいらしく笑うユメ先輩、その言葉そのままお返しします。どちらかと言えば詐欺師に騙されそうなのは貴方ですよ。

 

 日本でお手伝いは沢山したし料理もそこそこ習ったのでまぁそれなりではあるけど自信はある。厄介事の塊の私を受け入れてくれていることは本当に感謝しているからこれぐらいは何でもない。

 

「…そうですか、ユメ先輩一人なら心配でしたけど、ナギサがいるなら大丈夫でしょう。」

 

 そう言いながら、コホン、と少し恥ずかしそうにしたホシノが口を開く。

 

「今日は、その、楽しかったです。また、一緒に遊びに行きましょう。」

 

 ホシノはそれだけ言って背を向け走り出した。最後に見えたホシノの顔は赤かった。

 

 ホシノの背中が見えなくなるとユメ先輩は私に向かい笑顔を向ける。

 

「それじゃナギサちゃん、私たちも帰ろっか。私達の家に。」

 

 そして私達2人も家路につく、私達の家に向かって。




 誤字報告とても感謝しております。今後も見つけ次第報告いただけると助かります。
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