ホシノと出会ってから早くも2年の年月が過ぎた。
入学時に3年生だったユメ先輩は卒業し、アビドス高等学校に進学した。まぁ私は近くに住んでいるし校舎自体はほぼ近くにあるものだから普通に会いに来るのだが。
そう、私はヒモを脱却した、桐藤家の人間としてあるまじき行為であったヒモ生活だったのだが、色々アルバイトを続けて何とか部屋を借りたのだ。その時ユメ先輩は私の腰にへばり付きながらいかないでーと泣いていたが。流石にずっとお世話になるのも問題であるし。
あと、私達の代をもってアビドス高等学校附属中等部が廃校することになった。理由は私達以降の生徒が入学しなかったためである。原作にはシロコと他の中学校に通っているノノミ以外にも2学年下に別の後輩がいるはずなのだが、どうやら別の学校に通っているのかアビドス中等部に入ってくる事はなかった。
私とホシノは現在最後の中等部の生徒会の役員として活動している。生徒会と言っても生徒会長の私と生徒会副会長のホシノだけなのだが。あまり自己主張が激しいわけでないホシノが生徒会に入ってくれた理由は、現在高等部の生徒会役員であるユメ先輩のお手伝いがしたいからだそうだ。愛されていて何より。
そんな私は現在生徒会の業務に勤しんでいる。生徒数が少ないことから書類系統の業務は殆ど無いしどちらかというと借金返済のためのバイトに勤しんでいる訳だが、あ、後連邦生徒会やその他もろもろを巻き込んでカイザーの不当な利率を多少減らすことに成功した。何度もD.Uに赴きアビドス中等部生徒会として活動している。
その際に何故か聖園ミカと百合園セイアと接触した事もあった。そう、この二人現時点で仲が良いようだ、二人とも何故か私を見てかなり驚いた顔をしていたが。そういえば今私はアビドスにいるが未来のティーパーティーはどうなるんだろうか?おそらくは私の代わりに誰か入るのだろうが。
そんなことを考えながら、仕事をしていたらもう書類仕事は終わってしまった。元々作業が早い方な上、仕事量も少ないのですぐ終わるのも仕方のないことなのだが。
これが最後の書類か、と思って内容を見てみると、連邦生徒会からではあるのだが匿名…という事で仕事の依頼があった。正直かなり怪しい。普段は静かにしているもう一人の私も怪しいと感じている。
「ただいま、今日もお仕事終わったよ、アビドス旧市街の廃墟区域の不良は壊滅させてきた。」
私が依頼書を難しい顔で眺めていると、外で仕事をしていたホシノが帰ってきたようだ。私が内政と外交、ホシノが武力、中々それで上手いこと回っている。
「ん?どうしたの?なんか難しい顔してるけど。」
私が依頼書について悩んでいると、ホシノが私が悩んでいるのを察して声をかけてきた。
「いやこの依頼書、連邦生徒会のものなのですが、匿名依頼なのですよね、しかも私に対しての指名依頼です。」
「へ?連邦生徒会の仕事なのは間違いないけど依頼者は不明って事?しかもナギサを指名している…。」
ホシノもそれを聞いて怪しく思っているようだ、かなり報酬はおいしいのだがそれが怪しさを増長させている。
「それって危ない仕事なの?それとも頭を使う仕事?」
「両方、でしょうか。単純な話で言えば、情報収集、探索、希少素材の入手…ですね。」
情報収集と探索はまぁ頭脳労働がメインだが、行く場所が行く場所だから武力も必要とされる。
「両方か、なら確かにナギサの方が向いてるかもね。ナギサはいざって時逃げ足が速いし。」
うへへ、といいながら私に対して少し挑戦的な目を向けてくるホシノ、逃げ足って…確かに正面でのホシノとの銃の撃ち合いは私が全敗である。そもそも私は防御力が高いわけではない為正面からの撃ち合いだとダメージトレードに負けてしまうのだ。その為、私は遮蔽物や速度を生かしたかく乱、銃がまともに撃てないような超密着での近接格闘などで何とか勝ち星をあげている。私の例の力を使ってちょっとしたズルは使っているが。
銃を使った近接格闘術は拳銃を使う私の方に優位性がある。最近ホシノが稀に銃器を鈍器のように扱ったりしているが、決して私の影響ではない、私のせいではない。
「でもそれならなんで危険なの?未開の地の探索とか、危険生物がいるとか?」
「それも言ってみれば両方です。すべてが解明されている訳ではない、という意味で未開の地、生物ではありませんが戦闘能力を持った危険な機械が多数存在します。」
その上、知識上では厄介な存在の拠点でもある。そう、目的地は。
「依頼の指定場所はミレニアム近郊の廃墟。その場所の情報収集と希少機械部品の入手、それが依頼の詳細内容です。」
結局私はこの依頼を受けることにした。ホシノにはさんざん危なくなったら逃げる事、危なそうなところには近付かないことを口を酸っぱくして言われたが、私も危険な目にあいたくはないしそれには同感だ。
現在地、「廃墟」に到着した私はとりあえず目標の一つ、情報収集を始めることにした。
この世界がキヴォトスとなる以前存在していたと言われる者達、無名の司祭。詳しい設定などはよくわからないものの、生徒という存在を敵対視しており、生徒達の先生という立ち位置のプレイヤーにとっても敵対者となる。
その者たちが残した技術の残滓が世界に散らばるオーパーツであり、今回の納品を頼まれている機械部品の一部もオーパーツと呼ばれるものだ。こんなもの何に使うのやら。
私は”私”にマッピングを頼みながら探索を進めていく、こういう記録や情報の解析などは私よりも”私”の方が得意なのでよく頼んでいる。私達は2人で1人なのだ。こういう時頼れるのはとてもありがたい。
いいように使われているといった不満を”私”から感じなくもないが、これは仕方のないこと、要は効率を求めた結果である。
そうしてそれなりの時間、私は探索を進めたものの、どうやら目標のものはとある機械に内蔵されている一部品であり超大容量の記憶媒体の部品となる予定らしい。可能なら新品同様で入手したいとの事だ。オーパーツなのに新品とはこれいかに。
という事はそこらの戦闘機械を倒さないと入手できないのだろうかと思いながら、何機か手に持ったリボルバーで撃ち抜きながら、私は機械の中身を確認していった。
結局目的のものは見つからず、要求されているものに近いものはあったのだが劣化していたりしたため持ち帰るのは諦めた。時間も時間だしそろそろ帰らないとホシノに心配をかけるな…と思っていた時。
不意にゾクリと危険を感じるサインを感じた。それと同時に”私”が背後から危機が迫っていることを警告した。
即座に私は全力で走って近くにあった遮蔽物に飛び込む、それと同時に機関砲だと思えるような攻撃が辺りにばら撒かれた。
私はそっと遮蔽物から顔を出し、私に攻撃をしてきた下手人を探す。すると探すまでもなくその存在を確認する事が出来た。
その相手は巨大な多脚戦車、私がここで最も相対したくなかった相手。デカグラマトンの預言者と呼ばれる危険な存在。その名は。
「…ケテル…っ!」
私はこの世界で初めて命の危機を感じていた。
不利状況に追い込んだ上、自身の得意な状況を作った状態とはいえホシおじに勝ち星上げられんの流石に盛り過ぎたかな…?こういう一種の競合出来る相手がいると未来のホシおじ強化されそうでまずいか…?
ここでみんな大好きケテル君の登場です。