コルンのアトリエ ~黄昏の星の錬金術士~ 作:アトリエファンA
翌日、いつもより疲れが取れていないような感覚で目が覚めた。
錬金術士としての修業が始まる事に緊張しているのだろうか。
寝起きで頭が働かず、まだ眠りたい欲に負けて二度寝をしようと目を閉じると、部屋のドアが勢い置く開かれた。
「おはよう、コルンちゃん!今日から錬金術の修業、がんばろうね!……って、あれ?」
大きな音と声に驚いて体を起こすと、エスカさんが呆けた顔で私の事を見ていた。
エスカさんが、部屋に来て、私を見ていた……?
「ええええ!あの、ちょっと待ってください!どうしてここにいるんですか!?」
一気に眠気が吹き飛び、今の状況を整理しようと、エスカさんに質問を投げる。
するとエスカさんは少し照れた様子で話し始めた。
「いやー、そういえばこれからどうしようかって話をすっかりし忘れちゃって……。ロジーさんと相談して、コルンちゃんの家を訪ねてみようってことになったんだけど、まさかまだ寝てるとは思わなくって、えへへ。」
そう言いながらエスカさんは部屋を見まわし始める。
その視線に気づいた私は、慌ててベッドから飛び出した。
「すぐ着替えていくので、どうかリビングでまっていてくださいっ!」
「あはは、ごめんごめん。じゃあ下で待ってるからね。」
勢いに任せてエスカさんを部屋の外に追い出し、熱くなった顔をパタパタと仰ぐ。
まだ初対面に近いのに失礼な事をしちゃったかな……。
同じ女性同士とは言え、友達を部屋に招く機会が無かったので、かなり焦ってしまった。
部屋を見まわし、ヘンなものとか置いていない事を確認し、一安心。
急いで着替えると、リビングへと下りて行った。
テーブルにエスカさんだけじゃなく、ロジーさんとお父さんが座って談笑をしていた。
「お、起きてきたね、コルン。おはよう。」
「おはよう、お父さん。……じゃなくて!どうして部屋まで案内しちゃったの!」
「あはは、まあいいじゃないか。聞いたよ。この人たちがコルンを鍛えてくれるんだってね。」
お父さんは、頬を膨らませ明らかに怒っている私を軽くあしらった。
「おはようコルン、朝から元気そうで何よりだ。」
「あ、えっと、おはようございます。ロジーさんも来てたんですね。」
不意に声を掛けられたことに驚き、何とかお父さんに対する怒りを抑えながら挨拶をした。
隣に座っていたエスカさんは気持ちを察しているようで、苦笑いを浮かべている。
「ごめんねコルンちゃん。怒らせるつもりはなかったんだ。」
「い、いえ。そんなに怒ってないので大丈夫ですよ。ただちょっとびっくりしたというか……。」
やや気まずい空気が流れる。
これからよろしくやっていかないといけないのに、まだ少しお互いにぎこちない様子だった。
その空気に耐えかねたのか、、お父さんが一つ咳ばらいをする。
「さて、コルンも起きてきたことだし、僕は部屋に戻るとするよ。エスカさんとロジーさん、娘をお願いします。」
一つ挨拶をすると、お父さんはそのまま自分の部屋へと引っ込んでしまった。
「えっ、ちょっと、お父さん!?」
私の事もお構いなしに、気まずい空間を放置されてしまった。
そのまま沈黙が流れるかと思ったら、次はロジーさんが一つ咳ばらいをした。
「ま、まあ、とりあえず座りなよ。朝食も用意されてるみたいだし、食べたらどうだ?」
「えっと、はい……。」
言われるがまま朝食が置かれている席に座り、粛々と食事を始める。
そして次にエスカさんが咳ばらいをして口を開いた。
「えっと、食べながらでいいんだけど、今日から錬金術士の能力を磨くために一緒に頑張っていこーって話なんだけど。この本、スレイアさんからの課題なんだよね?」
そう言って机の下から本を持ち上げ、表紙を見せてくれた。
「あ、はい、そうです。いつのまに……。」
「あはは、机の上に置かれていたからもしかしてって思って、さっき軽く読んでたんだ。」
そういえば、持って帰ってから机に置きっぱなしにしてしまっていたんだっけ。
「それでね、この本に書いてる錬金術のレシピなんだけど、結構難易度が高いと思うんだ。だから――」
エスカさんは一度言葉を区切ると、ロジーさんを見る。
ロジーさんもその視線に気づき、エスカさんを見つめ返すと、何も言わず頷いた。
そしてエスカさんも頷き返すと、私に向かって少し真剣な表情を向ける。
「だから、私たちと一緒に、冒険しながら特訓しよっか!」