コルンのアトリエ ~黄昏の星の錬金術士~ 作:アトリエファンA
飛行場、いざ空へ
エスカさんから冒険に誘われて数日が経った朝。
私はせっせと荷物の確認をしていた。
大きなリュックには着替えと下着、スレイアさんからもらった参考書とマイ枕、等々。
一通り確認を終え、家の前でエスカさんたちが迎えに来てくれるのを待つ。
「釜はさすがに持っていけないからしょうがないけど、どこで錬金するんだろうね。」
「あー、確かに。エスカさんが使っている釜を使わせてもらうのかな?」
お父さんと適当に会話をしていると、遠くの曲がり角からエスカさんとロジーさんが姿を現した。
エスカさんは私を見つけるなり駆け足で駆け寄ってくる。
ロジーさんはやれやれと頭を搔いていた。
「おはよう、コルンちゃん!いよいよだね!」
「おはようございます、エスカさん。改めてよろしくお願いします!」
「うん!よろしくね!じゃあ、行こっか!お父さん、コルンちゃんお借りしますね!」
「ああ、うん。うちの娘をよろしくお願いします。コルンも気を付けて。」
「はーい、いってきます!」
お父さんに挨拶し、エスカさんと一緒に出発する。
季節は秋と言えど、まだまだ暑さは残っていた。
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「これからどこに行くんですか?」
歩きながらエスカさんに尋ねると、エスカさんはふふんと胸を張って答える。
「ホルンハイムってとこだよ!飛行船に乗って移動するんだ。そこから知り合いのアトリエに向かうの。」
「アトリエってことは、エスカさん以外にも釜を使った錬金術を使う人がそこにいるんですか?」
さらに質問をしていく。するとエスカさんはうーんと考え、視線を巡らせて答えた。
「いないと思うよ、たぶん。でも一応許可はもらってるから大丈夫!」
「そ、そうなんですね。」
あははと苦笑いで返し、そのまま飛行場への道を行く。
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同じ中央ではあるものの、普段は行かない場所の景色に、少しずつ胸の高鳴りを感じていた。
自分の住んでいる地域からもよく見かけてはいたけれど、実際に飛行場まで来ると、迫力が違った。
大小様々な飛行船が出入りしており、人や荷物がそこかしこで移動している。
「確かお兄ちゃんが迎えに来てくれると思うんだけど……、あ!あれかな?」
エスカさんの視線の先、少し遠くに待機している飛行船のそばで茶髪の男性が手を振っていた。
「アウィンと会うのも久しぶりだな。」
「そうですね!コルセイトの飛行船を借りたいって支部に連絡したんですけど、そしたらお兄ちゃんが来てくれることになってびっくりしちゃいました!」
エスカさんとロジーさんの知り合いの様で、二人の表情がとても嬉しそうだった。
搭乗口まで来ると、もう一人長髪の女性が飛行船から出てきて出迎えてくれた。
「お久しぶりです、エスカ、ロジー。」
「リンカさんも来てたんですね!お久しぶりです。あとアウィンも久しぶりだな。」
「やあ、エスカにロジー。久しぶりだね。しばらく見なかったけど、ふたりともあまり変わってないなぁ。」
「お兄ちゃんは髪切った?最後に会った時よりさっぱりしてるね。」
「ああ、ここに来る前にちょっと気持ちを切り替えたくてね。最近すこしだらけちゃってたからさ。」
エスカさんとロジーさん、そして飛行船で待っていた2人が楽し気に会話しているのを、蚊帳の外からポカンと眺めていた。
すると、私の視線に気づいたのか、長髪の女性が私に声をかける。
「初めまして、あなたがコルンでしょうか。私はリンカです。冒険のお供として派遣されたので、これからしばらくよろしくお願いします。」
「内輪で盛り上がっちゃってごめんね。僕はアウィン、よろしく。」
「は、はい!こちらこそ、よろしくお願いします。色々お世話になります……。」
元気よく挨拶しようとしたけれど、大人たちに囲まれてすっかり緊張してしてしまい、声がしぼんでしまった。
お互いに自己紹介を終え、リンカさんから差し出された手を取り握手を交わすと、アウィンさんが手を叩いてみんなの注意を惹く。
「さあ、ひとまずみんな乗り込んで!積もる話は飛行船でしよう。早く離陸してあげないと、もう少ししたら次の貨物船が来るみたいだ。」
「はーい!それじゃ行こっか、コルンちゃん!」
エスカさんに促され、いつもより縮こまった姿勢でみんなの後ろをついて行き、飛行船に乗り込んだ。
座席につくと、アウィンさんの操縦で飛行船が浮上し始める。
ちょっとした浮遊感を感じながら窓の外を見てみると、少しずつ人や建物が小さくなっていくのが見えた。
すっかり人が点の様に見えるまで上昇すると、飛行船は大きくエンジンをうならせて中央から離れていく。
初めての空の旅に、興奮を隠せずにいた。
「エスカさん、これすごいですね!ずっと地上から眺めていた飛行船に乗れるなんて夢みたいです!」
「そっか。気に入ってくれたならよかったよ。実はこの飛行船も、錬金術で作ってるんだよ。」
「え!?そうなんですか?」
驚いた様子でエスカさんに尋ねると、エスカさんは得意げな表情を見せた。
「もちろん!私やロジーさん達と力を合わせてつくったんだ!コルンちゃんもいつか作れるようになるよ!」
私にも作れる、そう言われて再度船内の規模を見まわしてみたが、今の私には将来作れるかもだなんて、全く想像もつかなかった。