コルンのアトリエ ~黄昏の星の錬金術士~ 作:アトリエファンA
昼休みのチャイムが鳴り、ハッと気が付く。
すぐに昼ご飯を楽しむ生徒で中庭は埋め尽くされた。
他の生徒の昼ご飯を見ていると、私のお腹が鳴り、とりあえずご飯でも食べようと、教室へ弁当を取りに行く。
教室では数人の生徒がおしゃべりしながらご飯を食べていたが、ほとんどの生徒はもう帰っているようだった。
課題が言い渡された以上、家で作業するも良し、学校の設備を使うのも良しなので、後は各々の判断で行動を始めていたのだった。
私も自分の席に座り、作ってきた弁当を広げる。
そして、隣の席の机を引き寄せ、先生から預かった参考書と、授業で支給されている翻訳辞典を並べた。
片手でパンを頬張りながら、参考書をめくり始める。
最初は食欲が頭を支配していたのでパンを頬張る手と、咀嚼する口が止まらなかったのだが、いつの間にか書いている内容がどんどん頭の中に入ってきて、食事の手が止まってしまっていた。
読める。読めている。
自分でも読めていることに驚いた。翻訳書を開く事もなく、すらすらと書いてある内容がはっきりと解るのだ。まるで好きな小説を読むような感覚で、読み込むことが出来、調合に必要な素材と調合の手順が書かれていた。
私はすぐにメモ帳を取り出すと、必要事項を簡潔に書き写していく。
これでまずは一歩前進だ。
一通りメモを取ると、参考書を閉じ、残っていた昼ご飯を平らげた。そして、カバンに参考書と空の弁当箱を詰め込み、教室を後にする。
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向かったのはいつもの帰り道から外れた方向にある薬草屋さん。
いつも風邪やケガの時、ここでお世話になっているけれど、今回はまた別の用事だ。
「こんにちはー。リヒトさんいますかー?」
店の奥に向かって声をかけると、ガタゴトと物音を立てながら、店主が出てきた。
「あ、コルンちゃんだ。いらっしゃ~い。
今日はどうしたの?お薬が必要って雰囲気じゃないみたいだけど。」
「そうなんです、今日は薬の素材がほしくて。」
「薬の素材?薬そのものじゃなくて?」
「はい、ちょっと授業の課題で必要なんです。
トーンが欲しいんですけど、置いていますか?」
「どうだったかな、ちょっと待っててね。」
そういうとリヒトさんは店の奥へと戻っていき、またガタゴトと音が鳴りだした。
しばらくすると、再び申し訳なさそうな顔をして店の奥から顔を出した。
「ごめんね、ちょうど切らしているみたい。
次の仕入れまでに何日かかかっちゃうんだけど……。」
「そうなんですね。それじゃあまた今度買いに来ます。」
そう言い、店を後にした。
素材が買えないとなると、いよいよ採取しにいかないといけないのか……。
リヒトさんの店にまた買いに行くのもいいけれど、せっかく参考書を読めたのだから、この勢いで調合まで漕ぎつけないものかな……。
まだ昼になったばかり。
夕方までは時間があるので、ひとまずトーンを探しに、中央の外へ足を運ぶのだった。