コルンのアトリエ ~黄昏の星の錬金術士~ 作:アトリエファンA
「はぁっ!」
ストレイドッグの爪が私を捉えようとした時、鈍い音がしたかと思うと、キャウンという鳴き声と共に、ストレイドッグの気配は一気に離れていった。
目を瞑っていてもわかるくらい眩い光が、ストレイドッグを突き飛ばしたのだった。
「大丈夫?」
あっけにとられていると、両肩を抱きかかえるようにして、女性が私に声をかけてきた。
「は、はい……。大丈夫、です……。」
「そっか、よかった!」
女性は私に微笑むと、次はストレイドッグに怒りの表情を向けた。
持っている杖を振ると、光弾が飛び出し、再びストレイドッグに直撃する。
よろよろと立ち上がったストレイドッグは女性の方を見ると、分が悪いと思ったのか、一目散に逃げていった。
ストレイドッグが遠くまで逃げていったのを確認すると、女性は再び私に声をかけてきた。
「あ、膝の方ケガしちゃってるね。待ってて、これを使えば……。」
女性が取り出したのはヒーリングサルブだった。
持っていた水で傷口を洗い流すと、ヒーリングサルブを塗り、ハンカチを巻き付け、応急処置を済ませる。
手際よくなれているようだった。
「これで一応大丈夫だけど、帰ったらしっかり養生してね。」
「は、はい。ありがとうございます……。」
お礼を言うと女性はまた微笑み、私を立たせてくれた。
「ちゃんと助けられたみたいだな、エスカ。」
声を掛けられた方を二人で振り向くと、銀髪の男性がやれやれとした表情で隣の女性を見ていた。
「あ、ロジーさん遅いですよー。」
「中央へ入るための手続きをしている最中に、エスカが飛び出していくからだろ。
それに、あれくらいならエスカだけでも大丈夫だと思ったからな。」
「でも人の命がかかっているんだから、もう少し急いでください!」
「それは悪かったよ……。」
二人が痴話喧嘩のような会話をしているのを隣でぽかんと見ていると、それに気づいた男性は、咳ばらいを一つし、口を開く。
「俺はロジー、こっちはエスカだ。ちょっとケガしたみたいだけど、無事でよかったよ。」
「あ、はい。私はコルンって言います。助けてくれて、本当にありがとうございました!」
「ううん、大丈夫だよ。コルンちゃんかー、よろしくね!」
「はい、よろしくお願いします。」
「そろそろ日が暮れるし、中央の中へ行こう。コルンは歩けるか?」
言われて足を動かしてみると、ケガをしたところを中心に痛みが走る。
歩けなくはないが、ちょっと辛いかも。
そんな表情をしていると、ロジーさんは背を向けてしゃがんだ。
「ほら、背負ってくよ。家まで送ってくから。」
「いや、そんな大したケガじゃないので大丈夫ですよ!」
「遠慮しなくていいよコルンちゃん。せっかくだし、家まで送らせてよ。」
エスカさんが優しく肩を押し、おんぶを促してくれた。
お言葉に甘えてロジーさんの背中に乗り、帰路に就く。
緊張が緩み、疲労も相まってうつらうつらしながらも、家への道案内をしていった。