コルンのアトリエ ~黄昏の星の錬金術士~   作:アトリエファンA

7 / 12
いざ、錬金釜で

 数日後、私は必要な素材を買いに、再びリヒトさんのお店を訪れた。

 

「こんにちはー。あ、今日はこっちに出ていたんですね。」

 

「あ、こんにちはコルンちゃん。うん、薬作りも落ち着いたから、休憩がてら店番してるの。」

 

 リヒトさんは陽が当たる場所で、椅子に腰を掛けていた。

 リヒトさんが言う様に、風邪薬からケガの軟膏まで、この前来た時には少なくなっていた医薬品が棚に整列していた。

 

「そういえば、この前コルンちゃんが言ってたトーンも取ってあるけど、持っていく?」

 

 そういうとリヒトさんは立ち上がり、レジの脇に置いてあった袋を持ってきた。

 

「あ、はい!ちょうど欲しかったんですよ。ちなみにいくらですか?」

 

「ううん、お代はいらないよ。薬作りで余った材料だから。」

 

「いいんですか?ありがとうございます!」

 

「うふふ、どういたしまして~。」

 

 私に袋を渡すと、リヒトさんは再び椅子に腰を掛け、空を仰ぐ。

 相変わらずリヒトさんはフワフワとした人だなあ。

 

 それからも少しの間談笑を交わすと、私は家へ帰った。

 

「ただいまー。」

 

 玄関の戸を開けると、部屋の端の大きな釜が目に留まった。

 

「おっ、おかえり、コルン。ちょうどよかった。」

 

 釜の陰からお父さんが顔を出した。手には軍手をしており、顔が少しほこりで汚れていた。

 

「どうしたのお父さん。こんな大きな釜。」

 

「うん、古式錬金術を使うなら、これを用意しなきゃと思ってね。」

 

 そういいながら、お父さんは釜の周りや中を丁寧に拭いていく。

 その様子を眺めながら、私は荷物を置いて椅子に腰かけた。

 机に置いてある参考書を手元に寄せ、せっせと作業するお父さんを横目に、私も参考書の読み込みを進めていく。

 

「よし、これで後は中和溶液を……。」

 

 お父さんの呟きに反応して釜の方を見ると、ぴかぴかに磨かれた釜と、フラスコや乳鉢等、学校でも使っていた機材が並んでいた。

 

「お父さん、これって?」

 

 参考書を放り、フラスコを手にした。

 少しくすんでいて、年季が入っているようだった。

 

「ああ、それもうちの倉庫にあったやつだよ。調合にはきっと使うとおもって、ついでに持ってきたんだ。さ、これを注いだらいよいよ調合を始められるぞ。」

 

 そう言いながら、お父さんがキッチンの方から大きなタルを転がして来た。

 そのままタルを持ち上げ、中に入っている液体を勢いよく釜に注いでいく。

 釜が液体で満たされると、お父さんは樽を置き、額の汗を拭った。

 

「さあ、これで準備完了だ。コルン、後は頑張りなよ。」

 

「う、うん。準備してくれてありがとう。」

 

 お父さんは疲れたのか、水を片手に部屋へと引っ込んでしまった。

 

 後を任されたので、先日と同じように、材料の下準備をしていく。

 使える機材は活用していき、刻んだトーンを乳鉢ですりつぶし、より混ざりやすくしてみた。

 これでよりダマになりにくくなったと思う、たぶん。

 足元のスイッチで点火してしばらく待つと、少しずつ釜から湯気が出てくる。

 この前と同じ手順で材料を入れていき、かき混ぜ棒でぐるぐると混ぜていった。

 

 今度はダマにならず均等に混ざっていったようだ。

 

 釜の火を止めてさらにかき混ぜ、粘度が上がり、かき混ぜ棒が重くなってきたので棒を取り出し、釜に蓋をした。

 後はこれで待つだけのはず。

 

 かき混ぜ棒に付いてるほぼ出来かけのヒーリングサルブを指ですくい、再び口にしてみる。

 

 

 吐くほどの不味さは無くなったけれど、私にとってはまだ苦い味だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。