ありふれて無い勇者達の力で異世界最強   作:龍牙

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二話目

光輝の叫びを聞いた勇斗の顔には『面倒なナマモノに絡まれた』と言う意思が浮かんでいた。

 

「……何言ってんだ、お前?」

 

「だから、そんな卑怯な物は必要ないだろう!?」

 

うん、俺の顔に『何言ってんだ、コイツ』と言う表情が浮かぶ。こっちが呆れて黙ってるのを見て更に光輝は捲し立てる。

 

「銃なんて人殺しの道具を量産しようなんて、お前達は何を考えてるんだ!? 敵とは言えそんな一方的な虐殺なんて間違ってる! 何より、俺達が居るんだから、そんな物は必要ないだろう!」

 

ヒートアップする光輝に呆れた目を向ける勇斗とハジメとは対照的に、表情には出さないがメルドの立場としては憤りを感じていた。

 

メルド達が行なっているのは卑怯も何もない戦争だ。より優れた武器があれば犠牲が減るのは当然のことだし、敵は魔物を操って数の差を埋めているのだ。

魔人族以上に獣で有る魔物相手に、卑怯も何もない。

 

それに、初日にこいつは何と言ったのかもう忘れたのだろうか、とも思う。はっきり言おう、クラスの連中も呆れた目で見ている。

極論で言って仕舞えば、数を補える強力な武器を量産できれば、クラスメイト達が全線に出る必要もなくなり、戦争など訓練された兵士たちに任せれば良い。

銃の効かない強敵と戦うにしても、それが出てくるまでの間、十分に訓練を積む余裕だって出来るのだ。

 

王国側、クラスメイト側にとっても強力で弓よりも早く達人になれる銃の存在は、魔人族との『戦争』に於いて役立つ事この上ない。特にライフル銃やスコープなどの開発に成功さえすれば、その結果は考えるまでもないだろう。

 

内心では怒りを感じているであろうメルド団長が光輝を止めて、銃の量産と研究については、自分の一存ではどうにも出来ないので王に進言し、それから正式に依頼が行われてから、と言うことで話はまとまる。

光輝は納得がいかない様子だが、メルドはまだ召喚されたばかりで事情も完全にわかっていないのだと考えている様子だ。

 

その後は宝物庫に通されたが、武器の中にはウィルナイフ以上の武器は無く、防具としてもIDアーマー以上のものはなかった。

 

(流石はGGGの科学技術の産物)

 

このアーマーがいつの時期の物かは知らないが、IDアーマーはZマスターとの戦いを経たGGGの科学技術の産物である以上、それ以上の武具などそう簡単に存在する訳がない。

光輝が聖剣に選ばれてメルドに褒められて、周りの奴らは流石とか、こいつなら当然だろ、という雰囲気を出しているが、それを冷めた目で見ている者が数人いるのには気が付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

根本的に光輝にとって勇斗は相性が悪いのだ。

光輝が長年続けている剣道に於いて、光輝は高校入学までの間、一度も公式の大会に於いて優勝した経験は無かった。

それは、勇斗の存在が原因で何時も決勝前に勇斗と当たって負けている。

そう、運が悪ければ決勝どころか予選や一回戦などで敗退する事も多い。

 

彼、天之河光輝と言う人間は、その人生に於いて常に主人公だったのだ。才能にも恵まれ、尊敬する祖父を始め、愛情を注ぎ適度に叱ってくれる両親や、気の良い友人にも恵まれた人生を送っていた。そんな光輝の輝かしい人生に於いて、汚点を与え続けていたのが、勇斗だった。

 

そして、光輝にとっての初めての大会での優勝は高校一年、同じ学校に勇斗がいた。今度は負けないと思いながら入った剣道部には勇斗は居なかった。

そして、『飽きた』の一言で剣道部に誘う顧問や先輩からの誘いを断った事で、長年の壁になっていた勇斗がいなくなった事で光輝は優勝できた。

だが、そんな光輝への周囲からの対応は嘲笑だった。『勇斗が居ないから優勝出来た』と。

そんな惨めな状況に甘んじるしかない己の弱さを、彼は心の底から恥じて、憎んでいた。

 

それ以来、勇斗のことを本格的に嫌っているが、当の勇斗からは興味も無いとばかりに相手にされていない。

 

勇者と言う天職を得て聖剣に選ばれたと言うのに……。

 

(……何であいつも……)

 

次元勇者。同じ勇者の天職を得ていた。ステータスこそ光輝が優っているが、そのスキルの特殊性がそのステータスの優位も無いものにされた。

 

(……何であいつは……)

 

また、この世界でも味合わされる惨めさに光輝は唇を噛む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇斗はIDアーマーとウィルナイフを使わない訓練の為の鎧として軽装の鎧を使うこととなり、使い勝手の似たナイフを訓練用に使うこととなった。

 

メルドが言うには、流石に訓練の度にIDアーマーを使うのも、ステータス強化の恩恵が強すぎて訓練になりそうにない、との事だった。IDアーマーを使った訓練も必要だろうが、この世界において、現状では強力過ぎるので、魔物を相手にした実践訓練までは普通の物を使う様に言われたのだ。

 

(他のスキルは……)

 

初日の座学と訓練が終わった後、部屋の中でベッドに横になりながら、勇者宇宙(ブレイブ・ユニバース)に統合されたスキルを調べる。

 

スキルが広がるのを脳裏に感じる。複合されたスキルの中で他に使えるものを選択。

 

(ダグテクターの召喚と装着、それから人型サイズでの武装の召喚って所か?)

 

現状使えるのはIDアーマーの召喚を含めてその三つ。武装の召喚も当然ながら手持ち武器に限定される。主に歴代主役勇者の剣と銃と言ったところか。

……手持ち武器のないガオガイガーは除外されているが。

 

「来い、カイザーソード」

 

手を翳してそう呟くと勇斗の手の中に羽状の束が特徴的な長剣が現れる。キングエクスカイザーの剣で有るカイザーソードだ。

 

(これは!?)

 

そして、もう一つに気が付いたことがある。武装召喚に付随したスキルも解放される。恐らく、召喚した武器によって同時に解放されるのだろう。

確かに同時に解放されると手札が多すぎて混乱する可能性も出てくるのでこれは有り難い。IDアーマーと武装召喚で呼んだ武器は同時使用も可能な様子で、これは今後の選択肢も増える。

 

明日の訓練で早速試すべきかと思うが、その前に新しく解放されたスキルを予め試しておこうと思い、部屋を抜け出して散歩に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中庭に出ると死んだ目をしている見覚えのある少女がいた。まあ、思いっきり知り合いなので、何となく察したので声をかける。

 

「何してるんだ、流星?」

 

「あ、勇斗くん……」

 

『流星 アーシュ』、勇斗の幼馴染の美少女であり、外見的には光輝の取り巻きの女二人にも負けない外見ながら、『二大女神』とあの二人が持て囃されているのには、その人見知りとコミュ障な性格が原因していた。しかも、入学後に一週間程休んだために、勇斗もハジメと言う気の合う友人を作り、すでにグループが出来上がっていた為に一時期ボッチとなっていた事があったりする。

 

いまは友人が出来ているので、問題は無いだろう。寧ろ、変に持て囃されて光輝に絡まれなかったのは、それはそれで運が良かったのかも知れないが。

 

入学当初は幼馴染の勇斗とは暫く……新しい友人を作って、楽しいJKライフを送りたいとの事で距離を置いていたが。

まあ、ハジメと仲良くなる傍で、中学までの間、勇斗以外に友人のいなかったアーシュを心配していたのだが、友人が出来たことには安心していた。

 

今ではアーシュ経由で知り合った彼女の友人四人に勇斗経由で仲良くなったハジメも加えて一緒に昼食を食べる程度には仲の良いちょっとしたグループが出来ている。

 

まあ、今度はそれで面倒事に巻き込まれてもいる。

光輝達のグループとアーシュの友人の数人が光輝とその取り巻きの男と仲が悪い事にある。

それでいて、取り巻きその1の長髪の女がこっちが食事中に毎回ハジメに絡んできて、光輝と関わりたくない女性陣が追い返そうとしたり、首を突っ込んできた光輝と取り巻きの男が来たりと、毎回食事の邪魔をされている。

幼馴染だか何だか知らないが、縁を切らない時点で同様のポニテの剣道女の取り巻きその2も大概だとは思っているが、向こうから首を突っ込んでこない分、マシな方だろう。

 

「それで、どうしたんだ? …………大体見当が付くけど」

 

「……うん、何でこんな事になったんだろうって、思って……」

 

アーシュが死んだ目をしながら空を見上げると、勇斗も夜空を見上げる。

地球よりも空気が澄んでいるのか、星も月も綺麗に見えるが、その中の星も地球から見えていたものが一つもないのだ、と思うと寂しい物がある。

 

「勇者になんてなりたくない! 私は、楽しいJKライフを送りたいだけなのに! なんで、異世界召喚なんてされちゃってるのーーー!!」

 

心からの嘆きの感情が籠ったアーシュの叫びに苦笑してしまう。

まあ、元の世界でも光輝達のグループとの対立とか楽しいJKライフとは遠いとは思うのだが、それはそれ、クラス替えにでなれば、まだマシになるかも知れないし。……クラスが変わった結果、アーシュ一人が光輝グループと同じクラスと言う最悪例も想像出来るので、それは言わないでおく。

 

「屋上とか他の場所で昼飯食べてれば良かったな……」

 

ふと、そんな事を呟いてしまう。あの時、光輝の足元から魔法陣らしき物が広がったのを思い出したのだ。

 

「え?」

 

「何で?」と言う顔で見てくるアーシュから目を逸らしながら……。

 

「いや、今となっては確かめようはないけど……」

 

光輝を中心に巻き込まれた可能性があると教えるとアーシュは俯いてしまう。

 

「何それ……何かあの人私に恨みでもあるの? 何時も変に私に絡んでくるし、風当たりも強くなっちゃってるし……」

 

毎回、アーシュが一人でいると光輝は『アイツらに脅されてる』とか『俺が守る』とか言って、アーシュを自分のグループに入れようとしてくるのだ。(友人四人が自然と組む事が多くて一人余る事が多いし、勇斗がいても男同士と言う事でハジメと組むし、二人組を組むと自然と残るのがアーシュだ)

当然ながら、アーシュ自身も光輝は苦手な為に毎回断って逃げてるが、それでも光輝のファンらしき女子達からの風当たりが強くなってる。

 

なお、成績は光輝は学年で四位、一位はアーシュで三位は勇斗となっていたりする。

 

「ま、まあ、メルドさんが、王様からハジメに正式に依頼が入る様に進言してくれれば、俺達は前線から離れて武器の研究とその手伝いに回れば良いんだし……」

 

「うぅ……それでも理想のJKライブじゃなくて、武器職人ライブじゃない……」

 

「その手の生産系ゲームみたいなライフだからな……」

 

アトリエライフはアーシュの理想では無いのだから、それはそれて仕方ないのかもしれない。

 

現状に嘆く幼馴染を慰めるのは、彼女の部屋に遊びに来た友人達がいない事に気がついて探しに来るまで続いたりした。

追加ヒロインは次の内誰が良いでしょうか?

  • 白上フブキ(ヤマト幻想怪異譚)
  • ベータ(陰実)
  • テラコマリ(ひきこまり吸血姫の悶々)
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