ありふれて無い勇者達の力で異世界最強   作:龍牙

4 / 19
三話目

「覚悟しろ、鳴海! 俺が勝ったら、もう流星さんに付き纏うな!」

 

訓練場でそう宣言する光輝に地球外生命体を見る目を向ける俺。後ろを振り向くと、本人にも知らないうちに、訳の分からないナマモノに気に入られている我が幼馴染ことアーシュが、涙目で俺の後ろに隠れている。

 

ハジメも、他の四人もアーシュに対する同情と、光輝に対する呆れの意思の困った視線を向けている。

 

ただ一つ言っておこう。コイツと同類扱いするのは地球外生命体にも失礼だろう。かの宇蟲王ダグデドでさえコイツに比べれば会話が成立する。ってか、コイツを目の前にしたらサッサと帰りそうなレベルで話が通じないだろうし。

……あっ、あと、心の中で謝っておこう、ダグデドに。コイツの比較対象にした事を。

 

「勇斗、わらわが許す。そのアホをさっさと叩きのめしてしまえ」

 

どう見ても高校生に見えない外見の少女、『熊田すず』が他の四人の気持ちを代弁する様に言ってくれる。

 

俺はナイフを取り出して、聖剣を構える光輝の待つ訓練場の中央に向かう。メルドさんも頭痛を堪えてる様子だ。本当に申し訳ない。銃の生産の依頼が来たら一刻も早く量産できる様に俺もハジメに協力するんで、耐えてください。

 

 

 

 

 

さて、何故こうなったかと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練場に連れ立って向かっている、俺とアーシュとすずにもう一人、褐色肌で黒いロングヘアーの留学生『サーヴァ・K・ゼオス』さん。

今日はアーシュから光輝に付き纏われたく無いと、一緒に行く様に頼まれたのだ。

 

ハジメと後の二人、『真久間メガ』と『地封院ギャイ』の二人には先に行って貰っている。……主に、光輝と遭遇しない様に、様子見に。

 

「うぅ……勇斗くんに、熊田さん、ゼオスさんも、ありがとう」

 

「まあ、気にするな、本当にあれに付き纏われてるのにはわらわも同情しているからな」

 

「朕もそうおもいマース。すずちゃーん、とってもやさしいデース」

 

「は、離せ、きさま!」

 

光輝関連の事は勘弁してもらいたいが、ここが異世界でなければ何時もの会話だろう。

高校生には思えない小柄なすずをサーヴァが抱き上げて、体格差で良いようにされているすずが憤慨する。

そんな変わらない光景には安堵する。……変に光輝に目をつけられているアーシュを除いてだが。

 

「ん?」

 

ふと視線を向けるとハジメが檜山達に取り囲まれていた。

 

「熊田、ゼアス、アーシュを頼んだ」

 

「あっ、おい!」

 

後ろから聞こえてくるすずの声を聞き流して、勇斗は取り敢えず檜山の顔面に飛び蹴りを入れながら乱入する。

 

「くべぇ!」

 

突然の惨劇に呆気にとられてる他の取り巻きを他所に、勇斗は残りの子悪党に向き直ると、

 

「よう、お前ら……何やってんだ?」

 

「な、何って訓練だよ訓練!」

 

「そうそ、訓練だって!」

 

「ぎゃははは!」

 

「まぁ、訓練でも怪我は付き物だけどなぁ!」

 

「そうか、それは邪魔して悪かったな……。お詫びに。俺がお前達の訓練に付き合ってやろう」

 

「「「え……」」」

 

残りの三人を叩きのめすとハジメに手を貸して立ち上がるのを手伝う。

 

「大丈夫か、南雲?」

 

「う、うん」

 

「真久間と地封院の二人は……」

 

「ごめん、ちょっと二人と離れた時に捕まっちゃった」

 

そう思って二人と一緒にいる様に言っておいたのだが、そんな事を考えているとアーシュ達も追いついてきたので、ハジメと共に訓練所に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇者の天之川光輝。

剣士の八重樫 雫。

拳士の坂上龍太郎。

治癒師の白崎香織。

いつもの四人組は所謂、【勇者】パーティ的な扱いであり、天職からして鍛え方が非常に判り易い。

正にクラスの中核となるパーティであろう。人が複数居れば派閥というものが出来上がる。

勇者(笑)パーティ。

園部パーティ。

檜山パーティこと小悪党一味。

こんな感じにパーティを組んで、それが一種の派閥みたいな感じで訓練にも臨んでいった。

 

そして、自然と勇斗もハジメと共にアーシュ達五人とパーティを組む形となり、勇斗パーティこと次元勇者チームと言う扱いになる。七人と多い人数だが。

 

まあ、その辺は割とパーティのバランスは考えずに仲の良い者同士で集まるいつものメンバーという感じだろう。実戦となれば、複数のパーティにより合同、と言う形にも出来るのだし。

 

そして、訓練が始まる前に、光輝が勇斗に詰め寄って来た。

 

「鳴海! 檜山達から聞いたぞ!」

 

まあ、面倒なナマモノがまた絡んできたと言う表情で視線を向けていると、

 

「どうして、あんな虐めをしたんだ!」

 

「虐めをしてたのは、あいつらの方だろ? 非戦闘職を戦闘職四人で取り囲んで」

 

「檜山達がそんな事する筈ないじゃないか! 訓練のない時は図書館で読書に耽っていたり、真面目に訓練をしようとしない南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないじゃないか!」

 

訓練のない時に図書館に籠っているのはハジメだけでは無く勇斗やアーシュ達も同じだったりする。

なお、勉強が苦手なメガもこっちに位置するあたり、座学だけでは拙いと考えているのだろう。

 

「それはお前達だって同じだ! 流星さんも巻き込んで、皆少しでも強くなろうと努力して....そんな努力の機会を無駄にしているお前達は間違っている!」

 

「お前バカだろう……」

 

疑問では無く断言する。コイツの頭は飾りなのだろうかと思う。いや、飾りか頭突きのための武器なのだろう。

 

そう叫んで光輝は勇斗の胸ぐらを掴もうとしてきたが、それを読んで一歩後ろに下がり、空ぶった瞬間に足払いを掛けると頭から地面に激突する。

コイツの対処にも本当に熟れたな、等と考えていると、

 

「ちょ、ちょっと光輝! 落ち着きなさいって!」

 

すると雫が勇斗と光輝の間に入って光輝を止めようとしていた。

 

「だが雫!」

 

「てか、俺は戦争に参加する気は無いからな。必要以上に訓練する必要性が無いんだよ」

 

「でも! 他の皆は!」

 

「何だ? 皆がやったらやってないやつもやれってか。随分横暴だな。個人の意思は無視ってか?」

 

「鳴海くん! 変に光輝を煽ろうとしないで!」

 

「そうだぞ」

 

するとすずが、

 

「所詮コイツの様な愚か者にわらわ達の考えが分かる頭は無いからな。話すだけ時間の無駄だ」

 

「それもそうだな」

 

「だから二人とも光輝を煽るのはやめてって!」

 

そう言ってすずと勇斗が頷き合っていると、

 

「っ....! 決闘だ!」

 

突然光輝がそんな事を言ってきた。

 

まあ、狙い通りという顔を浮かべるすずと勇斗。基本、沸点の低い光輝への対処は適当に煽って叩きのめして気絶させるな限るのだ。

 

「はぁ?」

「お前達の考えは間違っている! 俺と決闘して負けたら訓練に真面目に参加して、流星さんにも付き纏うな!」

 

「ちょっと光輝!」

 

「へぇ....お前が負けたら?」

 

「俺が負けるはずがない! 不真面目に訓練に参加しないお前になんて!」

 

すると態とらしくすずが笑い、

 

「なんだ、お前も少しは学習したのだな。勇斗に何時もそう言って負けているから」

 

「負けた時のために態々負けないから必要ない、なーんて言って自分が負けても損はしないって事だろう」

 

「うわー、カッコワルーイ」

 

まあ、そんな勇斗とすずに追従してくるのは、メガと

 

「偉そうな事言っときながら、負けた時のことを考えるなんて、ダサいんちゃう?」

 

ギャイの二人だ。

 

そう言って四人で腹を抱えて爆笑してやると、

 

「……巫山戯るな! そんな訳ないだろう! だったら俺が負けたらなんでも言う事を聞いてやる!」

 

「光輝、あなたいい加減に....! 鳴海くんも、熊田さんも、真久間さんも、地封院さんも何時も光輝を煽るのやめてってば!」

 

「そんなこと言っておきながら、どうせ守る気ないだろ、お前?」

 

「オー、こう言うの日本ではこう言うデスネ」

 

「熊田さん、本当にやめて! あと、ゼアスさんは何も言わないで、お願いだから!」

 

まあ、天然で一番大きな爆弾を投げ込むサーヴァが雫としては、一番拙かったりする。

 

「巫山戯るな! そんな訳ないだろう! だったら、メルドさんに証人と立会人になって貰う! これなら文句は無いだろう!」

 

「良し、じゃあ、お前を含めた四人は俺達に二度と関わるな」

 

「ああ! その程度なら幾らでも受けてやる!」

 

「ちょっと、光輝! 私達まで巻き込まないでよ!」

 

その言葉に反応したのは雫だ。香織がハジメに好意を持っている事を知っている雫にしてみれば、香織もハジメと関わらなくなるのだ。

 

狙い通りになった勇斗とすず、ギャイとメガの四人は四人でハイタッチをしている。

毎回、絶妙なコンビネーションで光輝を煽って怒らせて、決闘を挑ませて勇斗が光輝を叩きのめして黙らせる。

これが、鳴海チームの光輝対策だったりする。

 

苦労するのは雫なのだが、所詮は勇斗達には光輝の取り巻きその2でしかないのだ。苦労したところで知ったことではない。

 

 

そして、怒りも冷めない光輝がメルドに今回の一件を話し、笑ってない笑顔で『こいつ、マジで殴りたい』と考えているのが丸わかりな、握りしめた拳を振り上げるのを堪えていたメルドが立会人となり、訓練前の練習試合という形式で光輝対勇斗の勇者同士の対決が組まれたのである。

 

 

 

 

そして、冒頭に戻る訳だ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「それでは、今日は訓練の前に勇者二人に練習試合を行なってもらう。皆の今後の訓練に活かせる事を願う」

 

頭痛を堪えるメルドに対して申し訳なく思いながら、ナイフを構えて聖剣を構える光輝と相対する。

 

「ルールは使えるものは何でも使っていい。ただし俺が危険と判断したか、戦闘不能になったら終了だ。二人ともいいな?」

 

光輝も勇斗もメルドの言葉に頷く事で返す。

そして、『始め!』の合図と共に光輝が動く。

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

頭に血が登っている光輝は開始の合図と同時に切り掛かっていった。だが、勇斗はその攻撃を涼しい顔をして避けている。

 

「おいおい、ただのナイフ相手に聖剣って、卑怯じゃないのかよ?」

 

「五月蝿い! 俺は勇者だ! 聖剣を使って何が悪い!」

 

揶揄う様に挑発を交えながら時にナイフで受け流し、時に華麗に避けながら対応する勇斗。IDアーマーもウィルナイフも使ったら秒で光輝を、光輝だったモノに変えてしまいそうなので、使えないがそれでも、毎回煽って喧嘩を売らせて剣道場で叩きのめす時の太刀筋と何も変わらない。

 

物凄く嫌ないつも通り、の感覚に苦笑してしまう。後ろからか答えるのはすずを始め、アーシュ以外の四人の光輝を煽る様な勇斗への応援もいつも通りだ。(約一名そんな意図なし)

 

此処が剣道場なら適当に場外ギリギリまで誘導して、更に頭に血を上らせて攻め手を単調にするために頭から場外にダイブさせても良いが、流石に剣道のルールと安全な竹刀を使った感動では無く、真剣を使った実践形式の練習試合。此方の武器も剣では無くナイフなのだ。

 

そう考えながらナイフで聖剣を受け流しながら空いた拳を光輝の顔に叩きつける。ステータスは総合的には光輝が混ざっているが、少なくとも肉弾戦では互角のステータスがあるのが、勇斗だ。

 

「ぶっ!」

 

殴り飛ばされた光輝が地面に転がりながら鎧と顔を土に汚す。

 

「ぐっ……卑怯だぞ!」

 

「卑怯? 最初に言ってただろ、なんでも使って良い、って。だったら、拳なんて使うものの選択肢の中に真っ先に加わるだろう」

 

立ち上がるまで待つ様に手をひらひらと振りながらそんな事を告げる勇斗。そもそも、勇斗からしたら初めから剣しか使わない光輝の方が愚かなのだ。

 

「黙れぇ!」

 

立ち上がって更に切り掛かるが激昂した事で更に単調さを増した攻撃が当たるわけもなく、ナイフで受け流しながら、出来た隙に打撃を叩き込まれ、光輝の顔に青痣が増えていく。

 

「っ!」

 

瞼が腫れて視界がぶれる中で、微かに光輝はそれを見た。

勇斗の持つナイフにヒビが入っている。受け流しているとは言え武器の質で勝るのは自分なのだ。

 

素手でも戦えるだろうが、それでも武器が無くなれば優位に立つのは己のはず、後は勇斗に聖剣を突きつけて勝利を宣言する己の姿を思い浮かべる。いや、もしかしたらメルドが危険と判断して止めに入るかもしれないが、状況的に優位にいる自分が勝利したと判断されるかもしれない。

 

勝利を前にして、激昂していた頭が冷静さを取り戻すのは十分な余裕なのだ。

 

「おおおお!」

 

(動きが変わった?)

 

光輝に冷静さが戻り、剣戟が変わるのを感じ取る。激昂した単調な攻め手ではなくなり、明らかにナイフによる防御をさせる事を狙う様な動きになった。

 

そう思った瞬間、勇斗の持つナイフが折れる。

 

(これが狙いか?)

 

(俺の勝ちだ、鳴海!)

 

一瞬動きが止まる勇斗に剣を突きつけて勝利を宣言しようとした瞬間、

 

「来い、カイザーソード!」

 

勇斗の手の中に現れた翼状の鍔を持つ剣、キングエクスカイザーの剣であるカイザーソードが聖剣を受け止める。

 

「なっ!?」

 

確信していた勝利が覆された事に動揺する光輝、

 

「何だそれは!?」

 

「あの後気がついた勇者宇宙(ブレイブ・ユニバース)の今使える複合スキルの一つで、武装召喚だ。しかも……」

 

勇斗がそう言って片手を上空に向けると、

 

「カイザーブラスター」

 

片手から放たれた炎の本流が上空に放たれる。

 

「連動してその武器に対応した魔法が使える様になるみたいだ」

 

「今日の訓練の時に報告しようと思っていた」と告げる勇斗に光輝は唇を噛む。

 

(巫山戯るな! そんな物を隠し持ってたなんて、卑怯だろう! そんなスキル! 騙し討ちみたいな事を!)

 

取り戻せていた冷静さも投げ捨てて剣を振るう光輝と、剣を取った事で時に受け流し、弾き返しながら剣をぶつける勇斗。

 

聖剣をカイザーソードで弾かれ、腹を蹴り飛ばされる光輝。そろそろ限界かと考えたメルドが試合を止めるタイミングを考える中、

 

「巫山戯るな! 巫山戯るな! お前なんかに!!!」

 

武装の召喚などと言う騙し討ちの様にスキルを隠していた事、相性が必要な筈なのにそのスキルによって連動して使える様になる魔法は相性もなく魔法を使えると言う反則は、卑劣だと考えて怒りを露わにする光輝。それに呼応してか彼の聖剣が輝き出す。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」

 

「馬鹿者!」

 

メルド団長の声を無視して、光輝は大上段に振りかぶった聖剣を一気に振り下ろした。

 

その瞬間、詠唱により強烈な光を纏っていた聖剣から、その光自体が斬撃となって放たれた。曲線を描く極太の輝く斬撃が僅かな抵抗も許さず勇斗を縦に両断しようとする。

 

「っ!?」(拙い!)

 

避けようとしたが、後ろに視線を向けると其処にはアーシュ達の姿が有った。避けたらアーシュ達に当たってしまう。

 

「仕方ない!」

 

カイザーソードを翳すとカイザーブラスターによる炎を纏わせる。

 

「カイザーソード!」

 

炎を纏ったカイザーソードから光の刃が天空へと伸びる。狙うのは天翔閃を相殺する事。

 

炎と雷を纏うカイザーソードを振りかぶる勇斗の姿に、メルドは炎と雷の魔法剣と言うべきそれに驚愕を露わにする。

 

「サンダー……フラッシュ!」

 

自ら光の斬撃に飛び込み、その光景にアーシュが悲鳴を上げる中、カイザーソードを振り下ろすと必殺の一撃は光の斬撃を容易く粉砕する。

 

カイザーソードを召喚時にのみ使えるキングエクスカイザーの必殺技『サンダーフラッシュ』。勇者ロボ達の中の最初の勇者の必殺剣は

 

「俺の勝ちだ」

 

光輝の顔に一閃の傷を残してその言葉と共に止められた。呆然とする光輝だったが遅れて襲って来た顔の痛みに悲鳴を上げる。

 

「それまで! この試合、鳴海の勝ちだ!」

 

勝利の宣言と共に血払いをする様に振ったカイザーソードを消すと、興味も向けずに光輝に背中を向けて、自分を待つアーシュ達の元に戻るのだった。

追加ヒロインは次の内誰が良いでしょうか?

  • 白上フブキ(ヤマト幻想怪異譚)
  • ベータ(陰実)
  • テラコマリ(ひきこまり吸血姫の悶々)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。