「待たせたな、勇斗! 私の名はブレイバーン! 私が来たからにはもう安心だ!」
取り敢えず、此処はこう答えておこう。勇斗はそう思う。
「ああ、待ちくたびれたぜ! ブレイバーン!」
絶望の象徴とも言うべきベヒモスを片手で受け止め力強く宣言する、その姿だけは心から頼りになるのだし。何より、戦いはノリのいい方が勝つのだと割り切ってブレイバーンの言葉にそう答える。
光輝以外の男子生徒達は巨大ロボットと言うべきブレイバーンの姿に目を輝かせ、メルドを初めとした騎士団からはベヒモスを片手で受け止める姿に驚きの目を向けられている。
「……何だ、知り合い、なのか?」
「えっと、スキルで召喚したみたいだから、呼べるのはわかってたんじゃないかな?」
すずとアーシュの呆れた様な視線が痛い。ベヒモスの突進をカイザーソードで受け止めた時の手よりも痛い気がする勇斗だった。
「ああ、勇斗。私が全力で戦うには君の力が必要だ。イサミの代わりに力を貸してくれ!」
「ああ!」
胸の緑色の部分から放たれる光に導かれる様にブレイバーンの中に入ると真上にレバーの様な物が見える黒い空間、サイズ的にスケールダウンされた状態で召喚されているのでコックピットのサイズが不安だったが、問題はない様だ。
巨大ロボット物は現代社会において男の子の必修科目。スーパーロボットは日本男児の義務教育だ。受けていないのは光輝くらいな物だろう。
外から見ている他の生徒達にとっては、ヒーロー然としたブレイバーンの存在は(イサミ関連の言動を除けば)正に希望の象徴となる。
取り敢えず、まだ使い道がなさそうな真上に見えるレバーを無視して左右に現れたレバーを握り、外部の映像を視界に映す。
「行くぞ、ブレイバーン!」
「ああ! 勇斗!」
コックピットの中に鳴り響くブレイバーンの歌うテーマソングが響くが、これはこれで慣れれば気分が乗る。
勇斗が乗り込むと同時に受け止めていたベヒモスをブレイバーンが投げ飛ばす。
「おおおおお!」
騎士団と男子生徒達からの歓声が沸く。真正面からベヒモスの突進とぶつかり合い、その拳で押し返す、その様は正にスーパーロボットアニメの光景が現実になった様な光景だ。
だが、勇斗の思考は別だ。
(可笑しい、あの魔物はブレイバーンの力に対抗出来る? いや、違う)
「気付いた様だな、勇斗」
勇斗の思考を読んだ様にブレイバーンの声が響く。
「確かに今の私にはイサミィが居ない! 私が真に力を発揮するにはイサミが必要だ! だが、それが無かったとしても君の力はまだ完全な物ではない」
迫るベヒモスをハイキックで蹴り飛ばしたブレイバーンの言葉に勇斗以外の心は一つになった。
『イサミって誰?』
と。
「君が力を高めれば私達も完全な形で君に力を貸す事が出来る! 私達の意思も君の元に届ける事は出来なくなる! だから」
『
一応、イサミ関連以外なら割とまともなブレイバーンの言葉を聞きながら、イサミ関連の言動をスルーしていく。
「君の力が完全な形に近づけば、何れ、私達の力も完全に扱える」
その先の言葉は言わなくても分かる。勇者王の力さえ完全に扱えさえすれば、地球への帰還の一番大切な条件は満たす事ができる。
ブレイバーンの言葉を聞きながらベヒモスと戦う中、ベヒモスの頭が赤熱化し、その状態で突進してくる。
「ブレイバーン、武器を!」
「ああ!」
流石に素手では不味いかと判断するとブレイバーンの背面から支出された物を手に取る。
「バーンブレイド!」
「はぁ!」
赤熱化した頭部で突撃してくるベヒモスをバーンブレイドで迎え撃つ。
ベヒモスのその眼には、憤怒の色が宿っていると感じるのは勘違いではないだろう。鋭い眼光が己に無様を晒させた怨敵を見据える。
顔の半分を潰され、突然現れた赤と白の巨人には一方的に圧倒されている。
それは、強大な魔物として生まれたベビモスにとっての屈辱であった。
「次の一撃で決めたいけど、な」
勇斗自身が完全な形で召喚できていないためか、圧倒する事こそ出来ているが、トドメを刺すチャンスが中々掴めない。
「勇斗、残念な知らせが一つある」
「……嫌な予感がするけど、聞かせてくれ」
「今、私が君の力になれる時間はそろそろ尽きようとしている」
この召喚が緊急時のための物だとしたら召喚、維持が出来る時間も限られると言う事なのだろう。
「錬成!」
そんな時外からハジメの声が響くと、足元に出来た穴にベヒモスの体が落ちる。
「今だよ、勇斗!」
「良し、勇斗! 友の行動を無駄にするな!」
「ああ! これで終わりだ!」
「バーンブレイド! ブレイズアップ!」
掛け声とともに、刀身にエメラルドグリーンの六角型エネルギーから形成されるオーラが纏う。
「共に叫ぶぞ! 必殺技を!」
さて、仮に本来の二十代後半の真面目な自衛官では戸惑ったかもしれないが、勇斗はこう言うのが大好きな十代の男子高校生。何より、こういう場面で叫ぶ事など、勇斗にとっては常識の一つ。
……異世界召喚後のスキルの使用の関係で割と抵抗も薄い。
「ああ! 必殺!」
勇斗の叫びと同時に穴の中から弾ける様に飛び出してきたベヒモスが全力で赤熱化した頭を向けて一直線にブレイバーンへと向かう。
その姿に光輝以外の生徒達が応援の声を上げる。いや、強大な怪物と、今正に決着を着けんとするスーパーロボットの姿に、応援の声を上げずには居られない。
「行っけー! 勇斗くん!」
アーシュの応援の声が確かに聞こえる。乗ってるのが問題だが、勇斗の勇気に応える様にGストーンが輝きを増す。バーンブレイドのオーラがGストーンの力を受けて更に輝きを増す。
「「勇気一刀流奥義!!!」」
スラスターで勢いをつけ、バーンブレイドで対象をすれ違いざまに一閃で斬り裂く。
「「ブレイブズバッシュ!!!」」
切り裂かれ、崩れ落ちるベヒモス。
「どうやら、間に合った様だ。勇斗、また共に戦える日を待っているぞ」
それと同時にブレイバーンの姿が消えて勇斗が地面に降りる。
ベヒモスが倒された姿に信じられないという顔で唖然とする騎士達だったが、誰からともなく生徒達が、メルド達騎士達が歓声を上げる。
「やったな、ハジメ」
「うん、勇斗くん。それにしても、まさか、喋るロボットまで召喚出来たなんて思わなかったよ」
勇斗はハジメと拳をぶつけ合い握手をする。勇斗が勝利した事に安堵するアーシュ達五人。
だが、状況はそれを許してはくれず、勇斗達の周りにトラウムソルジャーが召喚される。
反応が遅れてしまったと考える中、トラウムソルジャーにあらゆる属性の攻撃魔法が殺到した。
メルドが勇斗達への援護を支持した様だ。
夜空を流れる流星の如く、色とりどりの魔法がトラウムソルジャー達を打ち据える。
「良し!」
転ばないよう注意しながら頭を下げて全力で走るハジメと、ハジメの早さに合わせて走る勇斗。
ハジメにはすぐ頭上を致死性の魔法が次々と通っていく感覚は正直生きた心地がしないが、チート集団がそんなミスをするはずないと信じて駆ける。
だが、その直後、ハジメの表情は凍りついた。無数に飛び交う魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。
……ハジメの方に向かって。
明らかにハジメを狙い誘導されたものだ。
(なんで!?)
疑問や困惑、驚愕が一瞬で脳内を駆け巡り、ハジメは愕然とする。
咄嗟に助けようとする勇斗だが、
「――〝天翔閃〟!」
純白の斬撃が勇斗を襲う。全身を包むIDアーマーの防御力を突破できない様だが、無防備な状態で受けてしまった為に吹き飛ばされてしまう。
視界の中では火球の爆発の衝撃に吹き飛ばされるハジメの姿が見える。互いに左右の石橋の外へと、
「いやぁぁぁぁぁ! 勇斗君!」
アーシュがそんな勇斗を助けようと自身も飛び降りようとするが、メガとサーヴァに止められている姿が映った。
(……アーシュ……)
アーシュの姿を視界にとらえながら、片手をかざす。
「……召喚……」
丁度アーシュ達五人の手元に現れる様に彼女達の元にGストーンを召喚する。
「え……勇斗?」
それをどんな意図だと理解したのかは分からないが、この言葉が伝わったかは分からない。自分がいない間のお守りとしてそれを託した。
「アーシュ、必ず戻るから」
勇斗の姿が闇の中に消える中、
「勇斗ぉぉぉぉ!」
涙を流しながら自分を呼ぶアーシュの姿を眺めながら……勇斗は奈落の底まで落ちて行った。
後は完全に運次第になるだろうが、ハジメも探さなければならないか。と考えながら……
追加ヒロインは次の内誰が良いでしょうか?
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白上フブキ(ヤマト幻想怪異譚)
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ベータ(陰実)
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テラコマリ(ひきこまり吸血姫の悶々)