ソシャゲであんだけ長い事やってから綺麗に畳むのを観れたのは良かったです。この先どうするんだろう、という問いは一旦脇に置いて浸ろうと思います。
では、こっちの世界の危機も救いに行きましょうか。
ナツがリュークと合流する直前。
「………。」
「攻撃する気が無いなら………邪魔しないでくれる?」
「ホホッ、ホー!!」
「ありがとう、なら………!!」
エンジェルの召喚した天使の攻撃を受け続けていたリネン。攻めに転じない理由は、エンジェルの天使魔法は召喚者の命をコストにしている事が判明し、下手に追い詰められなくなったから。
「………そろそろね。」
「………なんですって?」
だが理由はもう1つあった。
「!?」
「わっ。」
「ホーッ!!」
突然、エンジェルの前で攻撃を続けていた天使が氷漬けになった。
「"
天使を凍らせた張本人はリネンの横を通過すると、
「
氷の造形魔法で大鎌を作り出し、凍らせた天使を一振りにて両断した。
「ホーッ!!」
「案内ありがとな、フェルト!!ナツみたいに鼻が効く訳じゃないから助かった!!」
「ホホッ!!」
「んで、あんたが協力者か?」
「はい、リネンと申します。妖精の尻尾の方ですね?」
「グレイだ。で、あんたは何ができる?」
「紋章士の力で獣に変身して戦います。」
「リサーナみたいなもんか………俺のは、見た通りだ。」
「分かりました。」
援軍として現れたグレイと最低限の会話を済ませ、リネンは再びエンジェルの方へ向いた。
「グレイさん、1つだけ注文いいですか?」
「何だ?」
「ソラ………じゃなかった、エンジェルですが、親友の姉なんです。殺さないように倒したいのですが、頼めますか?」
「………努力はするが、期待はするな。」
言い終わるとグレイは造形魔法の構えを取った。
「引き続きお願い、アシュ。」
『はい!!誠心誠意、粉骨砕身の心構えで挑む次第でございます!!』
リネンも紋章士アシュと共に戦闘態勢に入った。
「………醜い。」
「「?」」
「本当に、醜い。」
そう呟くと、エンジェルは懐から残りのコインを一気に出した。
「私は天使となって空に消え、この醜い世界から解放されるの。それが私の願いであり、祈り………だから、邪魔をしないで。」
そして彼女は詠唱を始めた。
「コスト100。光から来て私の体の源に粉砕されて………終末の音を弾く天使ラグエル、召喚。」
詠唱と共に現れたのは、ラッパを咥えた頭が複数ある異形の天使。
「ラグエル。」
「っ!!アシュ、お願い!!」
『了解致しました!!』
再び紋章士アシュとの"化身化"を行い防御態勢に入ったリネン。
「天の使いとして、裁きを下しなさい。」
エンジェルの有する最強の天使の攻撃。それはラッパによる音波攻撃。
「ぐ、あ………っ!!」
『っ、っく………!!』
「ホ………ッ!!」
紋章士アシュの防御力を以てしても音は完全に防ぐ事はできず、神牛の巨体もろともリネン、グレイ、フェルトは押された。
「クソッ、前に進めねぇ………!!オイ、これで殺すなって言われても………」
『………私が隙を"開き"ます。』
「何っ!?」
リネンは尻尾に魔力を籠めた。
『奥義は再度打てるようになりました。これで突破口を開きます、グレイさんはその隙にとりあえずアレを凍らせてください!!その先はこの後考えます!!』
グレイは頷いた。
『もう一回行くよ、アシュ!!』
『(はい!!こちらは何時でも準備万端でございます!!)』
再び尻尾に炎を纏わせたリネン。
『神竜アスクの加護を………!!"壁炎"!!』
音波攻撃を耐えながら狙いを定め、炎を纏ったレーザーが放たれた。炎の赤を纏った一筋の青い光は真っすぐ突き進み、ラグエルの正中線を的確になぞった。
『(捉えた………!!)』
再びの紋章士アシュの奥義はラグエルの正中線に線を描き、そこからヒビ割れ始めた。
『今です!!』
「よし来………待て、何かおかしい!!」
『!?』
ヒビ割れたラグエルの身体………正確には、その外骨格。そのヒビが広がり、外骨格が壊れるとその中から黒い泥のようなものが溢れ出した。
「アッハハハッ!!」
不定形の中に蠢くいくつもの顔。"天使"とは程遠い、悍ましい"ナニカ"はその真下にいたエンジェルに降り注ごうとしていた。
「何なんだ、あれは………っておい!?」
天使だったものの悍ましさに思わず一歩退いて戦闘態勢に入ったグレイ。その横にいたリネンはと言うと、紋章士アシュとの"化身化"を解除し、関係無い方向へ走り出した。
「どこへ行く!?」
そのまま逃げ出すのか、とすら考えたグレイ。だがその予想は外れ、ある地点で急に止まるとリネンはグレイに向かって叫んだ。
「床を凍らせてください!!」
「ああ!?っ、"氷造形・
「(紋章氣に触れて力は溜まった………!!)」
リネンが止まった場所にあったのは紋章氣。魔力やエネルギーの滞留する場所の一種を指す名称であり、"エンゲージ"や"化身化"に必要な紋章士の力を最大まで溜める効果を持つ場である。そこでリチャージを済ませたリネンは、グレイの凍らせた床へ躊躇無く突っ込み、全速力で滑っていった。
「これで私は、天に………私の"祈り"を、叶えられる………」
降り注ぐ、"天使"なる"ナニカ"を受け入れようと両手を広げ、目を瞑ったエンジェル。そんな彼女の
『普くを喰らえ、"獅子王"。』
そして次の瞬間。
『グオオオオオオッッッ!!!!!!』
天使の姿を保っていた時のラグエルの音波攻撃に匹敵する音圧。それが響き渡り異形の泥の身体を吹き飛ばした。
「な………っ!?」
エンジェルの目の前に立っていた者。それは赤い身体の大きな獅子だった。その獅子はエンジェルを一瞥すると前脚でエンジェルを押し倒し、床に抑えつけた。
「く………離せ!!」
『同じ潰されるんだ、異形でも獅子でも変わらんだろう。』
「この………っ!!」
振り解こうと藻掻くエンジェル。だが力の差は歴然、振り解く事はできなかった。
「おい、後ろ気をつけろ!!」
『……………。』
取り込み損ねたエンジェルを、獅子諸共呑み込もうと黒い泥から何本もの手が伸びてきた。
『話の途中だ、下がれ。』
だがその獅子………"獅子王"たる紋章士カイネギスと"化身化"したリネンが低く唸るように発した言葉で泥の腕がピタリと止まった。
『話が終わったら食らってやるから、そこで待ってろ。』
獅子王。それは最強の生物の称号、"百獣の王"たる
「ったく、させるかよ!!」
グレイが氷のドームを形成し異形の侵入を食い止めた。
「くそっ………何故ここまで邪魔をする!?もう少しで天に昇る事ができたのに………!!」
『あんな悍ましい化物に呑み込まれて天国に行けると思ってるのか?あんなドス黒い、何なのかも分からないモノに呑み込まれて行き着く先なんて天国とは真逆の無間地獄だろう。』
「うるさいうるさい!!あんたなんかには関係無いでしょ!?」
暴れるエンジェルを獅子の姿のまま抑えつけながら、リネンはにべもなく答えた。
『関係無いね。ここで初めて会った敵同士、どこで勝手にくたばろうが、"私の"知ったことでは無い。』
「なら何で私の
天使に手を伸ばす、と言うよりは縋るまでに今生に絶望していたのだろう。だが、リネンにエンジェルの慟哭ははっきり言って"どうでも良かった"。
『あなたの
ここで"化身化"を一度解除したリネン。だがエンジェルの身体は抑えつけたまま続けた。
「あなたの話はよく聞いていたよ。「ドジばかりの自分をいつも庇ってくれた、優しくてキレイな、自慢の姉」だって………黒魔術教団に攫われて以降行方知れずだけど、必ず生きているハズだって。」
「……………。」
「あなたが生きてたら嬉しい人がいる。あなたが死んだら悲しむ人がいる。そして何より、あなたにまた会いたいと願っている人がいる。」
この時、氷の壁が壊れ、抑えられていた黒い異形がリネンとエンジェルに向かって来た。それを一瞥するとリネンはエンジェルから手を離して振り返り、再び"化身化"。
『だからあなたは、今ここでは死なせない。』
一呼吸置くと、迫り来る黒い泥の壁と向き合った。泥の壁からは迫り出す複数の頭からはビームも放たれたがこれしきで獅子王は怯まない。
『オオオオオオッッッ!!!!!!』
放たれるは紋章士カイネギスの奥義"咆哮"。百獣の王の音圧は異形のビームを弾き飛ばしただけでなく、その圧で異形の壁は動きを止めた。
『とりあえず………邪魔!!』
泥の壁が止まったのを確認し、リネンは飛び掛かると荒っぽく爪を振り回し泥の壁をズタズタに斬り裂いた。
「ホホーッ!!」
不意に響いたのはフェルトの鳴き声。すると、異形が散らばった身体を集めようとしていた所に一発風の刃を繰り出した。
「そこだな………これでも食らえ、"
風の刃の先にあったもの、それはこの異形の"核"となる魔力の塊だった。予めの示し合わせで、"透視魔法"で天使の核を探していたフェルトは、それを風の刃で伝えた。それを受けてグレイが素早く核を凍らせ、再結集を防いだ。
「柔らかくしておいた!!ここで決めろ!!」
『お気遣いどうも!!これで………終わりだ!!』
再度、一瞬だが動きが止まった異形。それを逃さずリネンは駆け出すと氷に齧りつき、核諸共一撃で噛み砕いた。
「あ……………。」
その瞬間、エンジェルの胸元で「パキッ」と何かが割れた音がした。それは天使魔法によってエンジェルにできていた魔力の繋がり。魔法の代償としてエンジェルの寿命を奪っていた元凶。それが砕けた音だった。
「……………。」
戦いが終わり、"化身化"を解いたリネンは呆然とするエンジェルの前に再び向き合った。
「私の勝ちで、あなたの負け。そして敗者は、勝者に従うのが道理。」
「………何が、望み?」
「死にたいのなら勝手にくたばればいい。介錯が欲しいのなら、今日戦った誼として私がやってあげる………でも、それはあなたの妹に、ユキノに会ってから。」
リネンは続けた。
「一瞬でいい、一言でいい。あの子に会って、何でもいいから声を聞かせてあげて。その後に、それでも尚死にたいのなら止めない………けど、それまでは絶対に生きなさい。それが
「……………。」
「分かった?」
「………分かった………ゾ。」
エンジェル、戦意喪失により戦闘不能。無限時計を動かす為の刻印はまた一つ解除されたのだった。
==========
遡ること数分前、無限城最奥。
「おらあああっ!!」
「っ………!!」
炎を纏った手足で猛攻を繰り出すナツを"屈折"で軌道を曲げかわしているブレイン2世。
「さっきからぐにゃぐにゃと、どんだけビビりなんだオメーはよ!?」
「なんとでも言うがいい!!そして大いなる犠牲を代償に得たこの力で………グハッ!?」
反撃を繰り出そうとしたブレイン2世。だがそれは、横から吹き飛んだイミテイシアが激突した事で失敗に終わった。
『どうした?痛みも感情も無い割には、随分と攻め手が鈍くなったじゃあないか。』
イミテイシアを吹き飛ばしたのは"ゲイボルグ"の槍を手元でクルクルと回しながら近づくリューク。紋章士リーフの"即応"と"急所ずらし"のスキルでイミテイシアの剣は封殺されていた。
『コブラもそんな事言っていたが………しょっぱいな、お前達の"犠牲"とやらは。』
その言葉に、ブレイン2世が噛みついた。
「お前に何が分かる………!!敬愛する父上と二度と会う事は叶わない、その大いなる犠牲を以て、父上に匹敵する大いなる魔力を得た!!」
リュークに向けて手を翳したブレイン2世。
「闇に呑まれ消え果てろ!!」
そして手から放たれたのはブレイン………否、その裏人格のマスターゼロに匹敵する闇の波動。
『………茶番だな。』
一方、リュークは小さく、吐き捨てるように呟くと、槍の穂先で闇の波動を易く叩き落としたのだった。
『だからしょっぱいって言ったんだ。』
「な………っ!?」
『"その程度"で強くなれるなら、俺は今頃世界を滅ぼせるだろうに………不幸自慢は、相手を選ぶ事だな!!』
リュークは再びクルリと"ゲイボルグ"を回してから持ち直すと投擲した。
「ぐ………!!」
『読み通り………"神器錬成・系譜の魔道"………"ダイムサンダ"!!』
ブレイン2世の"屈折"で曲げられるのは一ヶ所のみ。その特性を逆手に取り、連撃をお見舞いした。
『……………。』
「大丈夫か、リューク?」
『(ちょっと黙ってろ。)』
魔力消費のペースが尋常では無い事に気づいたナツは心配する声をかけたが、リュークはナツにしか聞こえないように釘を刺した。
「………!!」
「心配いりませんぞ、ブレイン2世様。」
「クロドア。」
「どう言う訳か、奴らは時間をかけ始めています。我々を追い詰める腹積もりでしょうが、その前に………」
そこで無機質な声が響いた。
「警告。残る刻印は2つ。全ての刻印が解除されると無限時計は活動を停止します………」
それは無限時計の動力源らしき球体に拘束されたルーシィの声。エンジェルが倒れ、そして時を同じくして墜落後に復活したコブラがエルザに倒された事で発生したメッセージである。
「………そうか。」
「ルーシィ・ハートフィリアが無限時計に取り込まれればこちらの勝ちでござ………何ですと!?」
「!?」
『………チッ!!』
ある事に気づいたクロドアが叫びをあげ、ブレイン2世がクロドアと同じ方向へ顔を向け、その反応を見たリュークが盛大に舌打ちをした。
「はぁ………はぁ………」
「拘束が、弱まっているだと………!?」
「小娘、貴様何をした!?」
四肢が拘束されていたはずのルーシィ。だが今見ると片手と片足の拘束が外れていたのだ。
「はぁ、はぁ………ごめん、リューク………バレちゃった。」
『………。』
息を切らしながらリュークに謝罪をするルーシィ。その背後には紋章士セイズ、グルヴェイグ、クワシル、加えて紋章士アルム、紋章士ベレトもいた。
「どう言う事だ?」
『………無限時計の本質は"時を操る"事、なら"時を戻す"事で脱出できないかと考えたが………』
円環の紋章士の3人、そして"ミラの歯車"、"天刻の拍動"と時を戻すスキルを持つ紋章士の力を使って抜け出そうとしたのだ。
「せっかく、気を引いてくれてたのに………欲張って、ドジしちゃった………」
だがそれは容易な事ではない。星霊と紋章士を両立していたルーシィなら複数人の紋章士の力の行使もできるだろう、だが無限時計に呑み込まれようとしている中でのこの行為は自滅行為に等しく、激しく消耗していた。
「あと、少し、で………鍵にも、手が届く………そう、すれば………!!」
「逃がすものか………!!」
『させるかよ!!』
「………姉さんは、渡さ………」
「こっちのセリフだコノヤロウ!!」
ルーシィを止めようとしたブレイン2世にリュークが"ひかりの剣"を手に立ちはだかり、そのリュークを排除しようとしたイミテイシアをナツが割り込んで止めた。だがそれで止まらなかったのがクロドアだった。
「無駄な抵抗をするな!!」
「きゃあっ………!!」
リュークとナツをすり抜け、クロドアがルーシィに攻撃をした。それにより疲弊していたルーシィは紋章士の姿が保てなくなった。だがここで戦局が大きく動いた。
「今、何をした………?」
「ん?」
「姉さんに、手を出したな!?」
「おわっ!?」
ナツを押し退けてルーシィとクロドアのもとに駆け出したのはイミテイシア。だが様子がどこかおかしく、クロドアへ斬りかかったのだ。
「危なっ、何をするのですかイミテイシア様!?」
「うるさい!!姉さんを傷つける者は、皆私の敵だ!!」
「………邪魔はさせない。」
『っ!!』
"屈折"でリュークの剣の軌道を曲げたブレイン2世は牽制攻撃を入れつつリュークから離れ、今度はイミテイシアの攻撃を止めた。
「無限時計を手中に収め、7年前父上が果たせなかった願いを、世界を闇と混沌に染め上げる事を、邪魔はさせない。」
「うるさい!!私は姉さんとずっと一緒に過ごせるなら他はどうでもいい!!こうすれば私は姉さんとずっと一緒だって信じてたから従っただけで、姉さんを傷つけるなら………!!」
「………ああ。」
次のブレイン2世の言葉で、イミテイシアが止まった。
「言ってなかったかい?ルーシィ・ハートフィリアは無限時計と一体化されたら肉体も魂も失う。そして時計の部品として、この世から消滅する。」
「……………は?」
「ずっと一緒に、は叶いますな。なんせただの道具に成り果てるのだからな………お前のような"モノ"には似つかわしい相手であろう?」
イミテイシア、ブレイン2世、クロドアの会話を聞いていたリュークとナツ。
「どうなってんだ?仲間割れか?」
『………イミテイシア、いやミッシェルは利用されていたって訳か。だが………』
イミテイシア、またはミッシェル。何かがチグハグで違和感があるのにリュークは気づいたが、その違和感が何かが分からず踏み込み倦ねていた。だが答え合わせはすぐに訪れた。
「違う………そんなの、私の"祈り"じゃない………!!」
わなわなと震えだしたイミテイシア。
「わあああああっっっ!!」
するとクロドアを蹴飛ばしルーシィの拘束されたオレンジ色の球体まで駆け寄ると"シリス"の剣と盾で球体を攻撃し始めた。
「ごめんなさい………姉さん………!!」
「………ミッ、シェル………」
「ごめんなさい、ごめんなさい!!」
大粒の涙を流し、繰り返し謝りながらルーシィを助け出そうと攻撃を続けるイミテイシア。無限時計の起動がルーシィを守る事に繋がると騙され、信じていたイミテイシア。それが分かった事で自責と後悔に襲われ、一心不乱にルーシィの拘束を解こうと攻撃を続けていた。だがそれは続かなかった。
「………これはダメですな。」
クロドアの言葉に頷いたブレイン2世。
『何を………』
「終わりだ。元のゴミに戻れ。」
「あ………。」
イミテイシアに手を翳したブレイン2世。するとイミテイシアを魔法陣が覆い、輝き出した。
「ごめん、なさい………姉、さん……………」
光と共にイミテイシアの姿はみるみるうちに小さくなり、やがて形を変えた。
《………大好き!!》
それは古びたぬいぐるみだった。青いドレスを身に着けた、金髪の可愛らしい女の子のぬいぐるみ。
「………!!」
ルーシィはそのぬいぐるみに見覚えがあった。それは彼女が幼い頃、母レイラから貰ったぬいぐるみだった。まるで本当の妹かのように愛情を注ぎ、大切にしていたルーシィ。しかしレイラの死やジュードとの確執から、注いだ"愛情"過去を思い出させる"呪い"になってしまい、彼女はその心と共にぬいぐるみを奥底にしまったのだった。
埃をかぶったまま放置されたそのぬいぐるみ。だが六魔将軍はルーシィを生贄に捧げるべく調査をする内に、ルーシィへの想いが籠ったこのぬいぐるみにたどり着き、ルーシィを誘き寄せる為の道具としてぬいぐるみに人格を付与し、それがイミテイシア/ミッシェルだった。だが想いが思わぬ方向へ向かい暴走したイミテイシアはブレイン2世に取って用済みとなり、付与された人格を外され元のぬいぐるみに戻ったのだった。
「………っ!!」
そのぬいぐるみを見たルーシィの感情はどうだったか。それを窺い知る事は叶わなかった。
「警告。残りの刻印はあと一つ。繰り返す、残りの刻印はあと一つ………」
それを言い残すと、ルーシィはガクリと項垂れた。魔力の消耗と無限時計からの干渉により意識を失ったからである。だが故に、次の光景を見ないで済んだのは幸運だったのか。
「薄汚い人形の分際で。」
ぬいぐるみを踏みつけ、グリグリと踏みにじるブレイン2世。
「おやめください、ブレイン2世様!?靴が汚れますよ!?」
「「はははっ!!」」
ゲラゲラと笑い始めたブレイン2世とクロドア。だが次の瞬間、ブレイン2世は壁に叩きつけられていた。
「へ?ブレイン2世様?」
何が起こったのかを把握する前。クロドアは骸骨の頭部を掴まれた。
「何が面白かった?」
「貴様、いつの間ぎゃあああっ!?」
「無駄口は許可していない。質問に答えろ。」
リュークはクロドアを掴み、頭蓋を握り潰そうと力を入れながら問いかけた。
「
「ぎゃあああっ、いだだだーーーっ。」
『答えんか………なら、"元のゴミに戻れ"。』
クロドアを握り潰そうとする手に神竜の力を籠め、そのままフルパワーで握り潰したリューク。すると断末魔をあげる暇も無く、クロドアは木っ端微塵に砕け散り霧散した。
「……………。」
紋章士リーフとの"エンゲージ"を解いたリュークは踏みにじられた人形を拾い上げた。
「擬態と虚偽………か。見抜けずすまなかった。」
独りでに謝罪するとぬいぐるみをしまい、代わりに"竜石"を出した。
「
そして紋章士チキを顕現し、"エンゲージ"に加え滅竜魔法の奥義ドラゴンフォースに似た強化の"竜神化"を重ね、拳を構えた。
『ナツ、行けるな?』
「おう。アレが笑えるってんなら………」
ここで2人の声が合わさった。
『「笑えなくなるまでぶん殴る。」』
続く
解説コーナー、今回はカイネギスです。取り敢えず現時点でラグズの紋章士はあと一人を除いて全員出しました(予想はつくでしょうが、多分その人で当たりです)。アシュじゃなくてその人出した方が、とも考えましたが話の展開上、アシュの方が動かしやすかったのでこのような形となりました。
剣咬の虎に所属させた時点でお察しでしょうが、リネンは大魔闘演武編にも出る予定なので(というか元々は大魔闘演武編からのキャラでしたし)、残りのラグズと、蒼炎暁以外の獣の紋章士はそこで出す予定です。誰が出るかは来年以降のお楽しみに。
◎獅子王(重装)
◯カイネギス(白熊寛嗣)
◯シンクロスキル
・威圧感
戦闘時、相手のレベル-2
◯化身スキル
遠距離から攻撃された時、守備、魔防+5
○咆哮
強力な攻撃後、相手を行動不能にする
"若き獅子"ロイが自分のレベルを上げるのなら、"獅子王"カイネギスは相手のレベルを下げる、そんな塩梅にしてみました。
しかしカイネギス、まだ超英雄無いんですね。オリジナル紋章士のスキルはヒーローズを中心にピックするので、そこを調べていた時に気付いてビックリしました。他のラグズは大体貰ってる(もしくはデギンハンザーとかビーゼみたいに超英雄のみ実装)ので珍しいですね。