FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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今回も英雄総選挙、もう10回目ですね………皆さんは誰に投票しますか?個人的には#FEのつばさとか、最新作じゃなくなるエンゲージのリュール、新参者のクルト辺りが強そうな気がします。中間発表でクルトが女の子でカウントされてたのは笑いましたが(原作の状況としては全く笑えないけど)
そしてその前哨戦でまさかのシャドウズ杯、言い換えると「誰をケモミミ闇堕ちさせますか」ランキング。やっぱりやってる事はトガリ散らかしてるのでキャラ次第では反発起きかねないですからねぇ………そこの市場調査も兼ねてでしょうね。ここで選ばれた英雄は後日ヒーローズに実装らしいですけどいつになりますかねぇ………5月の闇堕ちはクルト達シャドウズ組かこのシャドウズ杯で選ばれた人達のどっちかにはなりそうだけども。



97章 地の利

《いよいよ本日最後の試合となります!!1日目最後を飾るのはこの2人!!妖精の尻尾Bチーム、リューク・ソラネル!!VS!!蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、ジュラ・ネェキス!!》

 

大魔闘演武1日目も大詰め。この日最後の戦い、妖精の尻尾Bチームは"ミストガン"から選手変更したリュークが早速選ばれた。相手は蛇姫の鱗から"岩鉄"のジュラ。聖十大魔導の末席から7年で5位まで上り詰めた、大会出場者の中で最強魔導士筆頭格である。

 

「まさか、いきなりあのジュラが相手なんてね。」

「そんな強ェのか、あのボウズ?」

「私とエルザの二人がかりでも勝てるかどうか………」

「……………」

 

ミラとガジルがジュラについて話しているその横でラクサスは顎に手を当て押し黙っていた。だが彼の心配はジュラの実力に対してではなかった。

 

「(勝算としては五分五分………いや、リュークの方が優勢だろう。竜族の出力で繰り出されるエルザの武器戦闘力と滅竜魔法もどき、そしてルーシィの集団戦頭脳戦のハイブリッド………よくもまぁこんなのが何百年も大人しくしてたなぁ。)」

 

ラクサスのリュークに対する懸念点はただ1つ。

 

「(だがそれは"平時"での話だ。今………と言うか昨晩から様子がおかしい。………あれは"苛立ち"だ。しかも"あの時"の俺と同じ、ダメな燻り方をしてる。どこかでヘマやらかすか、最悪の形で爆発する可能性が高い。………ったく、何で俺がこんな事を、それこそあいつの役割だろコレは。)」

 

ラクサスは深くため息をついた。

 

「(頼むぞルーシィ、そしてあいつの姉ちゃん(チキ)………こいつの手綱はお前達しか取れねぇ。)」

 

==========

 

「キターーーッ!!」

「ジュラだーーーっ!!」

「初日から見れるとは思わなかったぜ!!」

 

観客からの声はほぼジュラ一色。

 

「リューク!!しっかりねーーーっ!!」

 

妖精の尻尾の応援席からチキが声を張り上げても周囲の声に一瞬で掻き消されてしまうのが現状だった。

 

「……………。」

「心配ですか?」

「アイズ………うん、少しだけ。」

「私は大丈夫だと思いますよ。あなたの"弟"の強さは、誰よりも見て来たのでしょう。」

「………うん。」

 

チキや妖精の尻尾の皆の声が掻き消されジュラコールで闘技場が震える中、リュークとジュラは闘技場の中心で相対した。

 

「覚悟はしてましたが、とんだ敵地(アウェー)に来てしまったものだ。」

「………貴殿とはもう少し対等な場で手合わせ願いたいものだったが。」

「気にしてませんよ。戦場なんて大概うるさいんですから………それに。」

「それに?」

「この観客を黙らせるのも一興、と思いましてね。」

 

リュークは獰猛で不敵な笑みをぶつけた。

 

「………それが貴殿の本性かな?」

「さてどうでしょう。拳を交えれば分かると思いますよ?」

「個人的には妖精の尻尾には頑張って欲しいが………ウチのマスター(オババ)がうるさくてのう。すまぬが、手加減はせぬぞ。」

「その言葉、そのままお返しします………こっちも、勝つと約束してしまったので。」

 

言葉を交わすのはこれで終わり、双方構えた。

 

《それでは本日最終試合、開始ーーー!!》

 

試合のゴングがなった瞬間、先に動き出したのはリュークだった。

 

「"神竜王の………」

「あれ、リューク………」

「どうしたんですか、チキ?」

「あの技………今まではチキと"エンゲージ"してないと出せなかったのに。」

 

"神竜王の威厳"以外の"神竜王"とつく技は本来彼の有する"神竜"と"神霧"の力に加え紋章士チキの力を籠める事で発動できたものである。だが第二魔法源の解放と紋章士チキの誤召喚からの単独顕現が原因で使えるようになったのだった。

 

「咆哮"!!」

 

放たれた強大なブレス。

 

「"岩鉄壁"!!」

 

だがジュラは地面から分厚い壁を隆起させ、難なく受け止めた。

 

「"クラスチェンジ"、アサシン。」

「!!」

「"神竜王の………」

「ふん!!」

「撃鉄"!!」

 

その間にリュークは素早くジュラとの距離を詰めた。だがジュラは地面を自在に操って岩の壁を生み出し、リュークの拳は防がれた。

 

「甘い!!」

「!?」

 

だが"神竜王の撃鉄"は二段構えの技。拳を防いでも直後に衝撃波がジュラを捉えた。

 

「もう一発!!」

「同じ手は………」

「!!」

「乗らん!!」

 

続けて放たれた一撃。だがジュラは今度は岩の壁を二層展開し、リュークの拳と衝撃波を両方防いだ。

 

「そうでしょうね………本当に一緒ならば。」

「な………ぐっ!?」

 

だが防ぎ切ったと思った瞬間、更に2つの衝撃波がジュラを襲い、後退させた。

 

「"凶星の型"。」

 

"凶星の型"。それは一撃の威力よりも連撃の手数に重きを置いた戦闘スタイル。ジュラの防御力ならば一撃を磨くよりも、威力が落ちるのを承知で数を打ち、防御をすり抜けるのを狙ったものである。

 

「………なるほど。これは驚いた。」

「余裕そうな顔で言われましても。」

「いやはや、換装魔導士(エルザ殿)が来るかと思ったら滅竜魔導士(ナツ殿)を相手にしているような気分だ、驚かない方が無理な話だ。」

「ならばもう少し顔に出して欲しい、と言ってるのですがね。」

 

最初の攻防ではリュークが先制した形となったが、彼は手応えを感じていなかった。

 

「(さて………)」

 

息を吐きながら、リュークは目の前の"岩山"を見据えた。

 

「(敵地(アウェー)なのは雰囲気の話だけじゃあない………今俺はジュラさんの武器の上に立っているのと同じ状況だ。)」

 

ジュラの魔法は大地を操る魔法。考え方を変えれば無数の武器を自分の足元に仕込まれているも同然なのである。

 

「(となると、今取れる選択肢はこの人しかいない!!)」

 

戦法が決まったリュークは指輪を掲げた。

 

竜穿ろ(ほえろ)、選択の|紋章士!!カムイ!!」

『はい!!いつでも大丈夫です!!』

「そして"クラスチェンジ"、婆娑羅。"神器錬成………英雄の槍"レイプト"、選択の魔道"ブリュンヒルデ""!!」

 

あっという間にリュークは紋章士カムイを顕現し、両手に"レイプト"と"ブリュンヒルデ"を持ち構えた。

 

「ならお望み通りの姿でお相手しよう。」

「では次はこちらの番だ。」

 

ジュラが動き、彼の周囲の大地が迫り上がり、一斉にリュークへと殺到した。

 

「"ブリュンヒルデ"!!」

 

だが大地が迫る前にリュークが"ブリュンヒルデ"を発動すると大樹が生え、鉄のように硬い岩石を防ぐと大樹から生じる重力で崩れた。

 

「ふん!!」

 

続けてジュラは隆起させた大地を自在に曲げ、"ブリュンヒルデ"の大樹の範囲外からリュークに殺到した。

 

「はあっ!!」

 

それをリュークは"レイプト"の槍で薙ぎ、凍らせた。すると迫っていた岩石は氷塊となってジュラの制御から離れ、その場に落ちた。

 

「足元がお留守だぞ!!」

「どうかな!?"竜脈"!!」

「む………!?」

 

遠距離攻撃に気を取られている内にリュークの真下から攻めようとしたジュラ。だがリュークが紋章士カムイを選んだ理由がここにあった。

 

《なんと!!いつの間にかリューク選手の足元に太い………植物でしょうか!?植物が根を張り地面の隆起を抑えています!!》

「ほう………!!」

 

"竜脈"によって現れたのは足元を安定させ、武器を弾き飛ばされないようにする効果を持つツタ。それに根を深く張らせ、地面の隆起を防ぐとリュークは横へ走り出した。

 

「させぬ!!」

「押し通る!!」

 

リュークの意図を理解したジュラはリュークの進行方向から無数の岩石を繰り出した。

 

「塵になるがいい!!」

 

それを"ブリュンヒルデ"の大樹と重力で防ぐと足踏みで"竜脈"を起動、ツタの範囲を更に広げ気付けば闘技場の半分以上は根を張ったツタに覆われた。

 

「そろそろ頃合い………!!」

「"崖錘"!!」

「よっ、とっ………!!」

 

競り上がる岩石の柱を登ったリュークは再び指輪を掲げた。

 

「"エムブレム・エンゲージ"!!」

 

紋章士カムイと"エンゲージ"し、ジュラの生み出した柱を登り切るとそこから跳び上がった。

 

『植物には水をあげないとね………!!』

 

すると彼は"ブリュンヒルデ"を手放し、左手を異形の顎へと変化させた。

 

『アクエリアス程ド派手にはできないが………"竜穿砲"!!』

 

異形の顎から放たれた激流はゲリラ豪雨のように闘技場に降り注いだ。

 

「む、これ、は………!!」

 

紋章士カムイのスキル"竜呪"とエンゲージスキル"呪縛"が乗った豪雨はジュラの動きを鈍化させた。だがそれは現時点では"ついで"。

 

《な、なんということでしょう………!?リューク選手、この短時間で闘技場の地形を、そして天候をも変えてしまいました!!》

 

"竜穿砲"の水で成長し、更に深く根を張ったツタ。そしてツタの無いエリアは泥濘んでいるか、水溜りになっていた。

 

『はあああっ!!』

 

腕を元に戻したリュークは"レイプト"を手にジュラ目掛けて急降下。

 

『"破天"!!』

「"巌山"!!」

 

氷の槍を振り下ろしたリュークの攻撃を、ジュラは巨大な岩石の仏像で防いだ。

 

「ぬぅっ………!?」

『………!!』

「地面が柔らかく………リチャード殿との戦いを、思い出す!!」

『ぜやあっ!!』

「!!」

 

しかし"竜穿砲"の水で泥濘んだ土を使っているので本来の硬さが出せず、更にリュークは相手の魔力を威力に上乗せする奥義"破天"を使用。これによりジュラの守りは崩れた。

 

『そのまま………凍てつけ!!』

 

"レイプト"の力に加え戦技"氷槍"、紋章士カムイの"竜脈"を合わせた追撃の一薙ぎによりジュラは崩れた岩石の巨像とその一帯諸共氷漬けにした。

 

《まさかの大番狂わせ!!大会最強の魔導士と呼び声高い、あの"岩鉄"のジュラを相手に………なんと、一方的な展開を押し付けています!!》

『………こんな程度じゃ終わらないでしょう?』

 

展開としてはリュークが押し込んでいる状況。しかしこれでジュラが倒れると思っていないリュークは"レイプト"を自分の周りでクルクル回してからジュラを閉じ込めた氷像に鋒を向けた。すると氷像が割れ、ジュラがゆらりと出て来た。

 

「これはこれは………こうして己の魔法の弱点を開示されるとはな。」

『………思ったよりピンピンしてる。コレは骨が折れそうだ。』

「そう言う貴殿も、言葉と表情が合っていないようだが?」

『ただの虚勢ですよ。味方の士気落とさない為のウソも時には必要なんですよ?』

「とんだ謙遜を………存外悪い男だな、貴殿は。」

『戦術で飯食ってる男が、性格良い訳無いでしょう?』

 

どよめく観客を声を背に"虚勢"と言い張ってニヤリと、悪い笑みを浮かべるリューク。つられてジュラも不敵な笑みを浮かべるが、戦況がどちらに傾いているかは歴然だった。

 

『………今の所は完璧です。この攻防で流れは完全にこちら側に傾きました。』

「………ルーシィの"師匠"だな、こう見ると。」

『相手の得意を封じながら自分の盤面を整える。そして満足に動けなくなった相手を、手勢と手数で上回り押し潰す………堅実な戦い方ですね。』

「だけどまだ安心はできないのでは?」

「あのジュラの事だ、この盤面なんて簡単にひっくり返すんじゃ………」

『皆さんの心配する通りでしょう。この植物と氷の大地を"リセット"しに来るハズです………ですが。』

「「?」」

『恐らく、それをリュークは狙っています。』

「「??」」

 

そんな中、ジュラが動き出した。

 

「さて………」

『!!』

「こうもやられっぱなしでは示しがつかんのでな………」

 

手を合わせ合掌したジュラ。

 

「"鳴動富嶽"。」

『!!』

 

次の瞬間、地面が光り出し大爆発を起こした。ジュラの魔法の要である大地を縛っていたツタの根と、蓋をしていた氷はその一撃で粉砕され土煙をあげた。

 

「さて、これで邪魔なものが撤去………むっ!?」

 

突如感じた"複数"の殺気。殺気の感じた上を向くと、そこには霧の竜騎士の一団が弓に矢を番えながら飛んでいた。

 

『"灰燼射撃"、始めっ!!』

 

土煙に紛れたリュークの号令により矢の雨がジュラに降り注いだ。

 

「ふんっ!!」

『続けて騎馬隊、前へ!!』

 

矢を防ぎ切ったかと思えば四方から霧の騎馬兵が土煙から飛び出しジュラに殺到。

 

「ぬ………ふんっ!!」

 

能力こそは大した事が無く、ジュラのレベルでは容易く蹴散らすジュラ。だが数が多く防ぎ切れず、少しずつダメージを受け始めたところで地面を隆起させ騎馬隊を打ち上げて一呼吸置いた。そこで辺りを見回すと土煙が晴れ状況が見えて来たが、広がっていたのは予想外の光景だった。

 

「なんと………!!」

《こ、これはーーー!!》

 

"鳴動富嶽"により、起伏に富んだ山道のようなデコボコの地形になった闘技場。そこには兵種も武器もバラバラの、霧の兵隊がジュラを取り囲むように武器を構えていた。その数は数十体程の軍勢だった。

 

《再び地形が変わったかと思えば、大軍がジュラ選手を包囲しています!!そしてリューク選手は………どこでしょうか、姿が見えません!!》

 

これには流石に観客席から怒号が飛び始めた。

 

「どこ行きやがった!?」

「出て来い卑怯者!!」

「尻尾巻いて逃げ出したんじゃないだろうな!?」

 

するとどこかから声が聞こえた。

 

『聖十相手に真っ向勝負なんざ、誰がするもんか。』

 

するとデコボコの闘技場の地面に薄く霧が張り始め、そこから更に数十の霧の兵隊が生まれた。

 

『"自ら手を汚さずに勝ってこその軍師"………とは誰の言葉だったか。と言う訳で………第2ラウンドは、俺の霧の軍勢、紫煙騎兵団(パープルヘイズ)が相手だ。では………進軍開始!!』

 

すると総勢100近くの霧の兵隊が、包囲網を構成しながらジュラに迫った。

 

『いくら聖十でも、この数は骨が折れるだろう………踏み潰せ、"車懸り"で"一斉突撃"だ!!』

 

逃げ場を封じ、迫る霧の軍勢。ジュラは周囲の地面を操り軍勢を潰し回るが霧の兵隊は霧散するかすり抜けるばかりで一向に数は減らない。更に紋章士カムイの"竜呪"の効果も残っており、身体のキレがイマイチだった。

 

『身体が鈍そうだけど………具合でも悪いので!?』

 

すると不意にリュークがジュラの目の前に現れた。蜃気楼で自らを隠す"神霧の楼閣"を使いジュラの目前に接近したリュークは"エンゲージ"を紋章士ユーリスに切り替え、エンゲージ武器"サンダーダガー"と"銀の短剣"で斬りつけた。

 

「自ら手を汚さないのでは、無かったのかな?」

『いつそんな事を言ったかな!?"神竜王の双刃"!!』

「ぬんっ!!」

『"トリック"!!』

「ならばこちらか?」

『ハズレ!!"神竜王の霹靂"!!』

 

突撃する霧の兵隊と断続的に"トリック"で入れ替わりながら一撃離脱を繰り返すリューク。そして"トリック"を許す度に霧の兵隊はジュラに接近しやがて乱戦に持ち込んでいた。これでは一網打尽にしようとすると自分まで巻き込みかねない状況になっており、ジュラは踏み込めずにいた。これがリュークの狙いだった。

 

『対策"された"ではなく"させた"………地形のリセットに手番を使わせた間に包囲網を形成し、千重波の如く押し寄せ制圧する………これでジュラはより後手に回り、踏み込めなくなりました。この戦場の主導権は完全にリュークのものとなりました。』

 

"紫煙騎兵団"を習得した最大の理由、それがこの"制圧力"である。兵力が多ければその分相手の注意力も分散させる事ができ、また紋章士も周囲に味方がいる事でより強くなる者が多いのでその底上げにもなる。現にリュークが"エンゲージ"している紋章士ユーリスも味方がいてこそ"トリック"の入れ替えによる撹乱戦法なので、"紫煙騎兵団"の習得は大きかった。

 

『("竜呪"の弱体化はそろそろ切れるだろうが、今度は短剣の毒が回って来る頃………そもそも蓄積ダメージも溜まっているハズ。ならばそろそろ………仕掛け時か!!)』

 

仕掛け時と判断したリュークは武器を"薄闇の王の刃"に切り替え、それを軍扇のように振った。

 

『遊びは終わりだ!!もみくちゃにしてやれ!!』

 

その号令に霧の兵隊は前後左右に上からと八方からジュラに突撃。

 

「"巌山"!!」

『足元がお留守だ!!』

 

するとジュラの視界が霧の兵隊により塞がり、同時にジュラの足元から魔獣が出現。防御魔法を使ったが為に逃げ場の無いジュラは呑み込まれ、そこに追撃の火矢が炸裂。

 

『跪け!!"鉑鎖の群狼"!!』

「ぐは………!!」

『これで終わりだ!!"神竜王の撃鉄"!!』

 

短剣で連続斬りを繰り出してからトドメの掌打。これで決まった、と誰もが思った。

 

「………ようやく、隙を見せたな?」

『!?』

 

リュークの連撃を耐え切ったジュラは合掌。するとデコボコの闘技場の八方から岩石が飛び出しリュークを捕らえた。

 

『ぬぐ………っ!!』

「さて、さっきまで一方的に殴り続けて貰ったお返しはしなくてはな………」

『くそ………』

「"覇王岩砕"!!」

 

リュークが大技を仕掛けるタイミングを耐え忍んでいたジュラ。そのタイミングでリュークの技を受け切ると霧の兵隊に目をくれずリュークを岩石で拘束。反撃や離脱を許す前に爆砕した。

 

『がっ、は………っ!!』

 

大ダメージを受け、膝をついたリューク。

 

《決まったーーーッ!!ここまで一方的な展開を許していたジュラ選手、勝負を仕掛けたリューク選手の攻撃を受け切り、返しの一撃で膝をつかせたーーー!!やはり聖十大魔導は伊達では無かったーーー!!》

 

先に膝をついてしまった事で流れを奪われつつあるリューク。

 

『(ジュラさんの硬さを見誤った………!!)』

 

口の中の血を吐き出したリューク。

 

『(そして、当たりどころが悪かったか………!!)』

 

想定以上のダメージを受けてしまい思わず膝をついてしまったリュークは舌打ちした。

 

『(やらかした………勝負を逸ったが為にあの一撃でひっくり返された。俺もまだまだだな。)』

 

だが反省会はここまで。リュークは次の事を考えていた。

 

『(さて………弱体化は結構させたんだけど、それでも尚貫けない防御力。どう貫くか。)』

 

"エンゲージ"を解除したリュークは息を吸ってから、呼気と共に霧を吐き出した。

 

「(倒す事だけを考えれば竜化だが………それは論外、こんな大勢の前で暴れたら討伐対象一直線だ。となると、だが………)」

 

頭の中で自らの手札を確認したリューク。

 

「(………リン。)」

『(なあに?)』

「(エリウッドを呼んでおいてください。あの人の"強化増幅"が欲しいです。)」

『(分かったわ。すぐに必要?)』

「(いいえ。その代わり、数分後、万全に出られるようにお願いします。)」

『(了解………ごめんね。)』

「(リンが謝る必要は無いでしょう?"繋がりにくい"のも、事情があっての事でしょうから。)」

『(………時が来たら、必ず話すから。)』

「(お待ちしてます。)」

『(でも、ならそれまでは誰で行くつもりかしら?)』

 

リンの質問に、リュークはニヤリと笑ってから答えた。

 

「("新入り"で行こうかと。)」

『(!!)』

「(顕現できるようになってから、どうやったら活躍させられるかを考えてましたが………今、閃きました。)」

 

再度深呼吸をしたリュークは、足元の霧から"紫煙騎兵団"の兵隊を出した。

 

「作戦会議は終わりかな?」

「ええ。おかげで見えて来ましたよ………勝利の道筋が、あなたのその頑丈な守りを粉砕する未来が!!」

「言ってくれるではないか。では………見せて貰おうか。」

 

構え直したジュラに対し、リュークは指輪を掲げた。

 

疑欺け(あざむけ)………影狼の紋章士(エムブレム)。」

 

それはクロッカスに来るまでに新たに顕現できるようになった新たな紋章士。しかしそのあまりにも癖の強い特性から、自他共に認める"最も扱いの難しい紋章士"。

 

『………本当に、私で大丈夫でしょうか。』

「気に病む事はありません、ダメだったら俺はそこまでってだけの話ですから。ですが………"最も紋章士の力を引き出せる者"として、そして神竜王の名にかけて。必ずあなたを使いこなしてみせます。」

『………ありがとうございます。』

 

蒼炎のようなオーラに包まれ現れたのは、灰色の髪の毛と同じ色の獣の耳と尻尾が見え隠れする、中性的な見た目の紋章士。

 

「それではよろしくお願いします………紋章士クルト。」

『はい。アスト王国王子クルト、行きます!!』

 

 

続く




・神竜王の〇〇
今までは双神の力に紋章士チキの力を合わせないと出せない力でしたが、第二魔法源とチキの単独顕現が合わさり使えるようになった。

・凶星の型
一部の技を50%の3回攻撃に変える型。要は連撃の型です。"あんこくきょうだ"じゃなくて"すいりゅうれんだ"になるアレです。

・ジュラ対策
足元の大地全てがジュラの武器ですからね。実質Fateシリーズの"王の財宝"とか"無限の剣製"を常時発動してると言っても過言では無いですもの。となると地形を変えて操れないまたは操りにくい状況を作らないと始まらないので紋章士カムイの"竜脈"による地形塗り替え合戦に持ち込みました。

ホウエンか異次元ミアレからスマブラ経由でゲンシカイオーガ引っ張ってこれたら簡単でしたけどねぇ、そんな訳にはいかないので紋章士カムイでチマチマと地形変えてました。

次回は紋章士としてクルト王子に出てもらいます。我ながら面白い形で着地させれたと思いますのでお楽しみにー。
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