FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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今更ですが、リュークの出番が薄いところだったり原作と変わらないところはダイジェストで進めてます。悪しからずお願いします。


101章 杞憂

ユキノの受けた仕打ちに対して怒り心頭になり、剣咬の虎のギルドに乗り込んだナツ。

 

「………で、案の定囲まれたわけだけど、どうするの?」

「簡単だ。マスターぶっ飛ばしておしまいだ。」

「そう言うと思ったよ………ならせいぜい露払いは受け持つさ。」

 

無謀にも現在のフィオーレ最強ギルドの本拠地ど真ん中に突撃すれば囲まれるのは必至。それでいて前しか見ていないナツの背中をカバーするようにリュークが剣を構えた。

 

「………本気でぬかしておるのか?」

「自分の所の仲間を仲間と言えねぇ奴は許せねぇ。」

「何の話か分からぬが、貴様には貴様なりの理があっての行動か。」

「………何の話か分からねぇ、だと!?」

「ナツ、これ以上は無駄だ。」

「分かってる。」

 

だが、剣咬の虎のマスター、ジエンマはまだ動こうとしなかった。

 

「ドーベンガル、適当に相手をしてやれ。」

「はっ。」

「逃げんのか。」

「ギルドの兵隊ごときが100年早い。上のモンとやろうってんなら資格を見せよ。」

 

するとジエンマに呼ばれた忍のような男、ドーベンガルがナツに向かって来た。

 

「マスターには近づけさせん!!」

 

だがドーベンガルの攻撃をかわすと、ナツは返しの一撃でドーベンガルを殴り飛ばした。

 

「お前に、用はねぇッ!!」

 

一撃。両手の指に収まる程の実力者であるドーベンガルが軽くあしらわれた光景は剣咬の虎の魔導士には少なからずの衝撃を与えた。

 

「くそっ………!!」

「あいつを止めろ!!」

「マスターに近づけさせるな!!」

 

ナツを止めようと数人の魔導士が束になってかかった。

 

「"ホリゾ・エルサンダー"。」

「「「!?」」」

 

だが唐突に横一列に雷が降り注ぎ、床を焦がして黒い線を形成した。

 

「その線は越えない事をオススメする。」

 

それを起こしたのは、紋章士クルトを顕現したリューク。

 

「尤も、ギルドを辞める覚悟があるのなら踏み込んで来い。俺が相手をしてやる。」

「「「………!!」」」

 

前日にジュラを下した相手が睨みをきかせているとあっては剣咬の虎の魔導士も踏み込めなかった。それを見たリュークはわざとらしくほくそ笑んだ。

 

「………ハッ、存外腰抜けばかりなんだな。」

「………なら、私が相手をするよ。」

 

するとリネンが黒焦げた線を越えリュークの前に立った。

 

「まさか、君が来るとは。」

「フラストレーションが溜まってるんだ………少しばかり、付き合ってもらうよ。」

「………応じよう。」

 

こうして、ナツがジエンマとの殴り合いを始めたタイミングでリュークとリネンは互いに臨戦態勢に入った。

 

「"クラスチェンジ"、ダークペガサス。」

「もう一回お願い、ニケ。」

 

リュークは霧のペガサスを駆り、"フレイムランス"と"ギガウィンド"の魔道書を手にした。一方リネンは紋章士ニケを再登板、それを見てリュークは武器を"フレイムランス"に絞った。

 

「先手必勝!!」

「"化身化"!!」

 

紋章士ニケや紋章士カイネギスのような獣牙族に強い"フレイムランス"で突っ込んだリューク。"化身化"して狼の姿となったリネンは飛び退いたが炎の槍は掠った。

 

『っ、"邪眼"!!』

「当たるか!!"疾風迅雷"!!」

 

紋章士ニケのスキル"邪眼"で動きを止めようとしたリネン。だがリュークはダークペガサスのスキル"疾風迅雷"の高速移動で狙いを定めさせずかわしたのだった。

 

「逃げ場を封じる!!"クロス・フレイムランス"!!」

 

今度はリュークが紋章士クルトの"魔法拡散"で"フレイムランス"の炎を面で放ちリネンの逃げ場を防いだ。

 

『………狙い、通り。』

「!!」

『そこっ!!』

 

リネンの狙いは、リュークが攻撃を仕掛ける為に減速したその時であった。そこで"邪眼"を発動した事でリュークの動きが止まり、霧のペガサスも消えリュークは自由落下。

 

「(くそっ………シグルドの"猛進"なら防げたけど、間が悪い………!!)」

 

生憎、紋章士シグルドはマークの所にいてすぐに出せない。結果リュークは"邪眼"を甘んじて受ける事になった。

 

『今だ………!!"威風"!!』

「"クラス………チェンジ"、ウォーリア!!」

 

土壇場でダークペガサスより守備力の高いウォーリアに"クラスチェンジ"したリューク。だが防御態勢までは取れず、リネンの繰り出した紋章士ニケの奥義をまともに受けたのだった。

 

『ぐっ………!?』

『("カウンター"か!!)』

 

しかし、ただでやられるリュークでは無い。ウォーリアのスキル"カウンター"で受けたダメージを返した事でリネンに隙が生まれ、リュークは立て直す時間を稼いだ。

 

「(痛ってぇ………!!それに、狙いが定まらん………!!)」

 

紋章士ニケの奥義"威風"はダメージを与えるだけでなく技量を鈍らせる効果があり、そのため手が震えて狙いが定まらなかった。

 

「(だけど容易に踏み込めないなら、準備はできる………"神器錬成、響きの弓"………!!)」

 

"神器錬成"で生成した武器は"月光"。紋章士アルムのエンゲージ武器にもある弓であり、その弓から放たれる戦技がこの状況を打開するものだった。

 

「"月光閃"!!」

『ぐうっ………!!』

 

戦技、"月光閃"。リュークは技量の低下を必中の奥義で補い、高速の矢で狙い撃ちをした。

 

『………!!』

「お姉ちゃん!!」

『わわっ、リネンと戦ってるの!?』

「うん。ニケの"邪眼"対策でお姉ちゃんの力を貸して欲しい。」

『分かった。』

 

再び"邪眼"で睨まれたリューク。その打開策として彼はチキを紋章士として顕現し、傷と状態異常を治す彼女のスキル"命玉の加護"で解消させた。

 

『………流石に、そう崩せないか。』

「………これは骨が折れる。」

 

技量低下が収まり、しっかりとした手つきで"月光"に矢を番えたリューク。再び飛びかかろうと姿勢を低くしたリネン。だが、その睨み合いは同時に起きていたナツとジエンマの戦況の変化で終わった。

 

「"雷炎竜の撃鉄"!!」

 

ジエンマにラッシュを打ち込み、炎と雷を纏った拳で決めに行ったナツ。

 

「今宵の宴もこの辺でお開きにしまいか?」

「………ア?」

「ミネルバ!?」

「御嬢………」

『……………。』

 

現れたのは古風な出で立ちの女性、ミネルバ。

 

「ミネルバ貴様………勝手な事を。」

「もちろん、そのまま続けていても"父上"が勝つだろう。だがそちらから攻めて来たと言え、大魔闘演武の最中に出場者を消してはこちらの立つ瀬が無くなる。」

「………お目出度いな。」

「何か言ったか?」

「ものは言い様だな、と言ったまでだ。今後の参考にさせて貰うよ。」

 

戦闘態勢を解いたリュークのぼやきを無視してミネルバは続けた。

 

「そして父上も部下の手前、引くに引けぬと見えた。どうだろう、ここは妾の顔を立ててはくれまいか?」

 

するとミネルバは魔法を使い、その手にハッピーを抱き寄せていた。

 

「さすればこの子猫は無傷でそなたに返す事もできよう。」

「ごめんナツー………!!」

 

ハッピーが敵の手に捕まってしまったのを見てナツも戦闘の構えを解いた。それを見てミネルバはハッピーを解放し、ハッピーはナツのもとへ駆け寄った。

 

「オイラ入口で捕まっちゃって………ゴメン。」

「いいんだハッピー、俺こそ悪かった。」

 

ハッピーを抱き抱えるとナツは踵を返した。

 

「帰ろう。」

「あい。」

「リュークも悪かったな、付き合わせちまって。」

「構わないよ。」

 

ナツはリュークにも声をかけてから帰路についた。

 

「………。」

『それなりに楽しめたぞ、リューク。続きはいずれ、な。』

「ニケ。」

「………ええ、いずれまた。そしてリネン。」

「何?」

「言伝だよ。"私のせいで辞めるなんて思わないで"、だそうだ。」

「………分かった。」

「それじゃ。」

 

リュークは警戒だけは解かずナツの後ろについてその場を去ろうとした。だがここでナツが振り向きざまに剣咬の虎の魔導士へ告げた。

 

「お前らなんかには負けねぇ、と言うか追いつけねーよ。ギルドなら仲間、大切にしろよ………俺が言いてぇのはそれだけだ。」

 

そう言い残し、ナツ達はその場を後にした。

 

==========

 

「どうしたのリューク?考え事?」

 

宿へ戻る途中、考え込むリュークを見てハッピーが問いかけた。

 

「………いや。杞憂に終わったな、と思っただけだ。」

「?」

「気にしなくていい。こちらの問題だ。」

 

==========

 

中盤戦に入った大魔闘演武3日目の競技パート。ここは妖精の尻尾の独壇場となった。

 

競技は伏魔殿(パンデモニウム)。迷宮に巣食う100体のモンスターから、クジ引きの順番で挑戦者が挑むモンスターの数を選択。倒した数がポイントとなり、次の挑戦者に回る。これを繰り返しモンスターか挑戦者の魔力が0になるまで続ける………と言うものだったが、トップバッターのエルザは100体全てを相手すると宣言。結果、ボロボロになりながらも妖精女王(ティターニア)の名に恥じぬ大立ち回りで宣言通り100体のモンスター全てを撃破、完全制圧したのだった。

 

その後、残りチームの順位を決める為に用意されたのが魔力測定機(マジックパワーファインダー)、通称MPF。魔法をぶつけると魔力を数値として表示する機械で、その数値が高い順に順位を決める事になった。しかしここで大番狂わせを生み出したのがカナ。観戦に来ていたメイビスによって再度貸し与えられた"妖精の輝き(フェアリーグリッター)"を撃ち込んだ結果、9999(カンスト)を叩き出し、蓋を開ければ妖精の尻尾でワンツーフィニッシュ。

 

7年の時を経て、かつての最強ギルドの復活の兆しを目の当たりにして、初日の時のような妖精の尻尾を小馬鹿にする声はこの辺りで完全に無くなっていた。

 

==========

 

午後のバトルパートでは引き続き激戦が繰り広げられたが、最初の2試合はワンサイドゲームだった。

 

第1試合は人魚の踵のミリアーナvs四つ首の仔犬のセムス。競技パートでは目立った活躍を見せられなかったミリアーナが本領発揮、魔法を封じるチューブでセムスを雁字搦めにして完封した。

 

第2試合は剣咬の虎のルーファスvs青い天馬のイヴ。雪魔法で攻め立てるイヴに対し、ルーファスは記憶の造形魔法で火炎属性の造形で返り討ちにして危なげなく勝利した。

 

そして第3試合。妖精の尻尾Bのラクサスvs大鴉の尻尾のアレクセイと聞いて、妖精の尻尾陣営は一斉に動き出した。本番直前にウェンディとシャルルの魔力を奪われ、初日はグレイが得点度外視で集中的に妨害され、ルーシィは勝利目前で台無しにされた。次も必ず仕掛けてくるに違いないと厳戒態勢に入った中、当のラクサスは落ち着いていた。

 

「……………。」

「おっ、いたいた。」

 

そんなラクサスに、リュークが近づいた。

 

「落ち着いているようで何よりだ。」

「どっかのクソチビが浮足立って頼りないからな。少しは楽できるかと思ったんだが………」

「………いつも通りで安心したよ。」

「で、雑談しに来た訳じゃないだろ。何だ?」

「1つは忠告だ。対戦相手のアレクセイ………あれ十中八九イワンだ。アイズが数回あいつと戦っているからそれで気づいたそうだ。」

「………本気で言ってんのか?マスターは出場できないんだろ?」

「そんなルール、向こうが守るとでも?」

「………だな。頭の片隅に入れておく。他は?」

「もう1つは………"提案"、と言うか"お願い"だな。」

「"お願い"だぁ?」

 

==========

 

そしていざ始まった第3試合。ラクサスは仮面姿の謎の男アレクセイに追い詰められている………と言うのは幻覚魔法の一種で映し出された真っ赤な嘘。

 

「ハァーーー………」

 

盛大にため息をついたラクサスの前にいた者。

 

「父親を前にしてため息とはなっとらんな、バカ息子。」

「お前の教育の賜物だよ、クソ親父。」

 

それはアレクセイの仮面を取った、大鴉の尻尾のマスター、イワン。そしてその傍らにはオーブラ、ナルプディング、フレア、クロヘビと大鴉の尻尾の精鋭がズラリと並んでいた。

 

「ハァ………で、わざわざくだらん幻を見せて何がしたい。」

「マカロフは死んでも口を割らんが、お前は違う………教えて貰おうか、"ルーメン・イストワール"の在り処を。」

「………何だそれは。」

「とぼけなくていい………マカロフはお前に教えているハズだ。」

「初耳なんだが。」

「いいや、お前は知ってるハズ………」

「………そうやって決めつけて、無関係の人様も迷惑をかけたわけか………救えねぇな。」

「おいおい、この状況で強がるのか?この状況で"勝ち"を譲るって言ってんだぜ?条件が飲めねぇなら………幻で負けるだけじゃ済まねぇぞ?」

 

イワンの脅しに、ラクサスは特大のため息で返した。

 

「いちいちめんどくせぇ………ジジイが見切りをつけた理由がよく分かる。」

 

そして戦闘態勢に入り挑発した。

 

「まとめて来な。マスターの敵は俺の敵だ。」

 

対してイワン達、大鴉の尻尾は一様に不気味な笑みを浮かべた。

 

「………どうやら教えてやる必要があるみてぇだな………対妖精の尻尾特化型ギルド、大鴉の尻尾の力を。」

「………対妖精の尻尾特化型ギルドだ?」

「そうだ。我々大鴉の尻尾は妖精の尻尾の主だった魔導士の苦手な魔法の使い手で構成されている。ここにいる4人はその中でも特に精鋭だ。」

「………の割に滅竜魔導士がいないのはあまりにもお粗末だと思うがな。」

「お?そんな強気の言葉を使ってもいいのか?こっちはいつ"戦争"を起こしてもいいんだぞ?」

「………"戦争"、ねぇ。」

 

再びため息をついたラクサス。

 

「それには"準備"が………正確には、"仕込み"が不十分じゃあ無いか?」

「「「「「ッッッ!?」」」」」

 

雷を全身に纏わせたラクサス。すると、バトルフィールド全体に雷が迸り、大鴉の尻尾の魔導士全員に奇襲をしかけた。

 

「ぐっ………お前、何をした!?」

「"仕込み"だよ。俺が意味も無くため息ついてるとでも思ったか?」

「何を理由のわからないこと、を………!?」

 

イワン達が辺りを見回すと、バトルフィールドにはいつの間にか無数の小さな"雲"が浮かんでいた。

 

「"霧"食って"雲"に変質するとは思わなかったが………使えるな。名付けるならば………"雷竜神の鱗雲"、ってところか。」

「何だ、これは………!?」

「対妖精の尻尾特化型ギルドなどとほざくクソ親父なら知ってるハズだ………ウチには"霧を使う竜"がいる事をな。」

「な………まさか!!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「これを食ってくれないか。」

「は?」

 

リュークがラクサスに差し出したもの、それは魔力で固めた霧の塊だった。

 

「お前が天狼島でナツにした事と同じだ。」

「どう言う風の吹き回しだ?」

「これは"妖精の尻尾の魔導士"では無く、"ソラネルの里の王"としての"お願い"だ。」

 

リュークは続けた。

 

「イワンが求めているのがギルドの秘宝だか秘術だか知らないが、それを求めてギルドができる数百年も前に滅んだ里を荒らそうとした。そしてその度にアイズは巻き込まれ迷惑をかけられたんだ。」

「……………」

「ギルドの因縁だ何だは関係無く、俺はただ自分の故郷と民を脅かしたあいつを、二度とふざけた真似ができないように叩き潰したい………だが、それで自分達をあいつらと同じ土俵に落とすのも癪な話だ。」

 

だから、とリュークは結論を告げた。

 

「だから俺の分まであいつを叩き潰して欲しい。そしてこれはその前払いの報酬として受け取って欲しい。」

「……………」

 

しばらくの沈黙の後、ラクサスはリュークの霧を受け取り口に入れた。

 

「ごちそうさん。後悔すんなよ、クソチビ。」

「使いこなしてから言いな、クソガキ。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ナツの雷炎竜のように、リュークの霧を食べたラクサス。その結果ラクサスが扱えるようになったのは"霧"から変質した"雲"、正確には"雷雲"。彼はため息に見せかけてイワン達に悟られないように無数の小さな雷雲を生成し、自分の帯電と共に一斉に放電する時限爆弾として使った。

 

「ふぅ………威力はともかく、いい"制圧力"だ。」

「ぐ………やれ、オーブラ!!魔力を消せ!!今こそ対妖精の尻尾特化型ギルドの真の力を解放しろ!!」

 

イワンの命令でオーブラは腕を広げ、ウェンディ達やルーシィの時のようにラクサスの魔力を奪おうとした。

 

「こいつがウェンディとシャルルを襲った奴か。」

「!!」

 

だがオーブラがどうこうする前に、ラクサスはオーブラを殴り飛ばした。

 

「次、グレイの分だ。」

「ぐほっ………!!」

「お前はルーシィだな!!」

「きゃっ………!!」

「んでお前は………よく分からん。」

「ぐあっ………!!」

 

続けてナルプディング、フレア、クロヘビに次々と攻撃を仕掛けたラクサス。すると今度は無数の紙人形が襲い掛かった。

 

「俺はこの日の為に日陰で暮らして来たんだよォ!!全ては"ルーメン・イストワール"を手に入れる為!!」

「………ちっ。」

「ギルドの中も!!街も天狼島も!!ギルドゆかりの場所は全部探した!!僅かな可能性をかけてくたびれた遺跡すらも探そうとした!!それでも見つからねぇ!!」

「………ハァ。」

「"ルーメン・イストワール"はどこにある!?言え、ラクサス!!俺の息子だろうがァ!!」

「はぁぁぁ………」

 

大きくため息を出したラクサス。

 

「知らねぇもんは知らねぇって………言ってるだろうが!!」

「!!」

 

激昂と共に紙人形を吹き飛ばしたラクサス。すると周囲がにわかに暗くなった。

 

「ゴチャゴチャと、いい加減鬱陶しいんだよ………」

 

暗くなった理由はラクサスが生成した雲。それも鱗雲のような細かい雲では無く、大きな入道雲。

 

「"雷竜………」

 

その入道雲に"雷竜の咆哮"を放ったラクサス。

 

「入道方天戟"!!」

 

すると雷雨の代わりに無数の"雷竜方天戟"が降り注ぎ、イワンや態勢を立て直していた他の魔導士に纏めて襲い掛かった。

 

「わ………我が、精鋭部隊が!!」

 

無数の"雷竜方天戟"によりイワンは大きくダメージを受け、他の魔導士は全員戦闘不能に。

 

「さて。目的は分からず終いだが仲間を傷つけた分と、仲間の故郷荒らした分のケジメはつけて貰おうか。」

「ま、待てラクサス!!俺はお前の父親だ!!父を………家族を殴ると言うのか!?」

「どの口が言う………」

 

今更の言葉と共に雷雲を拳に纏わせたラクサスは一歩ずつイワンに近づいた。

 

「よーく覚えておけ。俺の家族は妖精の尻尾だ。そして………」

「待て、やめろ………!!」

「家族の敵は、俺が潰す!!」

 

雷雲を纏った拳をイワンの土手っ腹にめり込ませたラクサス。

 

「"雷竜神の撃鉄"。」

 

初撃の正拳突きの直後に雷雲が爆裂、凝縮された雷魔法がイワンを意識もろとも吹き飛ばし、壁に叩き付けた。それと同時に幻も消え、今まで全く違う光景を見ていた闘技場全体からどよめきが起こった。

 

《な、何と言う事でしょう………!?ラクサスとアレクセイの戦いは幻だったのか!?立っているのはラクサス、試合終了………ですが、5人がかりな上にマスターの参戦………これは………!?》

 

戸惑いが晴れぬ中、大鴉の尻尾の魔導士はイワン含め警備兵に連行され、その後ギルドそのものの失格と大魔闘演武への3年間の出場停止命令が下された。

 

「………ああ、スッキリした。」

「………リュークさん、もしかして最初から。」

「うん、透視能力持ちの相棒からの"視覚共有"があるから。」

「じゃあ何で黙ってたんだ?」

「そりゃあ………ねぇ。Bチームの大将が搦め手しか知らん奴等に負ける訳無いでしょう。」

 

なんとも微妙で、何とも言えない雰囲気になった闘技場。その空気を一気に入れ替えたのが3日目を締め括る第4試合、妖精の尻尾Aからは復活したウェンディと、蛇姫の鱗のシェリアの対決だった。天空の滅神魔法の使い手で戦闘力も格上だったシェリアに対してウェンディが懸命に食らいつき大激戦の末引き分けに持ち込んだ。更に戦いの中で芽生えた友情も花開き友達となった事で、前の試合とは打って変わって爽やかで見応えのある対戦で3日目が終わった。

 

 

続く




まずは前回から出た紋章士ニケの紹介。

◎狼女王(歩行)
◯ニケ(才賀みつき)
◯シンクロスキル
・邪眼
攻撃後、敵とその周囲3マスの敵を技/2%でフリーズ状態(移動不可)にする
◯化身スキル
攻撃、速さ+周囲3マスの味方の数×2
◯威風
強力な攻撃後、相手の技を半分にする

これでラグズの王は1種類除いてコンプですね。
残ったラグズの王?ちょっと他のラグズと比べて輪を掛けて特殊なんで正直どうしようか悩んでます。仲間外れは良くないので何らかの形では出すつもりです。あと、ラグズ以外でアシュとベルベットを出したので他に数名登板予定ですのでそちらもお楽しみに。

・雷竜神の力
ナツの雷炎竜のノリでリュークから差し出された霧をラクサスが食べて得た強化。ただし霧が雲へと変質し、雷雲を生み出す能力に変化。
威力の上昇はほぼ無い(ので当人はちょっとガッカリしてる)が、雷雲による範囲攻撃や時間差攻撃など、戦術面や頭脳戦のトリッキーな方向への応用が大幅に拡張される。
習得経緯は、何度か相手をしたアイズが魔力の雰囲気からアレクセイの正体を看破。そのお礼参りでリュークはイワンを一発ぶん殴って叩き潰したかったがそのためにこっちもルール違反するのは違うと判断。そこでちょうどラクサスが行くので、自分の貸した力で殴って貰えば自分が殴った事にもなるかと思い譲渡に至る。

技の一例
・"雷竜神の鱗雲"
周囲に細かい雷雲を生成する。自らの放った雷を広範囲に拡散させたり、マリオカートwiiのカミナリぐものように時間差で放電する時限爆弾にしたりと攻撃の起点にするような設置技。
・"雷竜入道方天戟"
頭上に入道雲を生成し、真上から雨のように無数の"雷竜方天戟"を降り注がせる。包囲された時や掃討戦のような多対一で使える技。
・"雷竜神の撃鉄"
雷雲を拳に纏わせた攻撃。正拳や掌打で物理ダメージを与えてから雷雲を爆裂させ、凝縮した雷の追加攻撃を叩き込む二段構えの技。

強化方面としては頭脳戦仕掛けるタイプのスキルツリーを開拓した感じですね(他作品の雷属性キャラだとワンピースのナミとか、金色のガッシュのガッシュ&清麿ペアとかの系統。)
そっち方面の強化、正直いる?と言う声もごもっともですがラクサスもバカキャラじゃないしBOFの仕込み見てるあたり頭脳戦仕掛けるのも得意そうだからやらせました。
パワーもスピードも頭もあるとか盛り過ぎか?と言う声も今度はあがるかもしれませんが、ラクサスはルーシィよりも強さを盛って許されるキャラのハズなので許してください。
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