FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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ルーシィ&ユキノ救出回です。

救出メンバーが原作より多いので、敵側を1人増やします。


112章 奈落

王城の城門付近にて。

 

「なんだ、そいつらは。」

 

王城兵の1人が、ナツとウェンディを縛り連行していた。

 

「侵入者だ。大方、あの妖精の娘を助けに来たんだろう。」

「妖精の尻尾か!?だがどうする?」

「陛下も国防大臣もいないしな………牢屋に入れておくしかなかろう。」

「了解。」

 

ナツとウェンディを牢屋へと連れて行こうとした王城兵。

 

「どこへ行くんだ、牢はこっちだぞ。」

「あ………すまない、ここに配属されたのは最近でな。」

 

正しい方向へとナツとウェンディを連行した王城兵。"彼"が城の中へ入り、他の兵の目が無い所まで来た時、"彼女"の顔が変化した。

 

「ふふっ。」

「流石ミラさん。」

 

王城兵の正体は変身魔法で変身していたミラだった。これが作戦の第一段階。

 

「くんくん………お前も無事入れたような。」

「………うん、無事潜入成功。」

 

するとポラリスも姿を現した。正確にはミラのすぐ近くにいたのだが、紋章士クリスのスキル"影の騎士"で気配を消して見つかるのを免れた。これが第二段階。次はポラリスが兵種と紋章士を切り替えた。

 

「"クラスチェンジ"、司祭。そして、疑欺け(あざむけ)、影狼の紋章士(エムブレム)。」

 

司祭に"クラスチェンジ"し、紋章士クルトを顕現した彼女は杖を1本取り出した。

 

「"クロス・レスキュー"。」

 

"魔法拡散"で範囲を広めた"レスキュー"を唱えるとポラリスの目の前にリューク、リネン、ハッピー、シャルル、リリーが現れた。

 

「うまくいったね。」

『はい、安心しました。』

「これで揃ったね。では第三段階と行こうか………"神竜王の威光"。」

 

救出組が揃ったタイミングでリュークは"神竜王の威光"で魔力のエコーロケーションを発動。

 

「………あった。ハッピー、シャルル、リリーは俺と共にルーシィの鍵と指輪、ユキノの鍵を回収。回収できたらポラリス、君に念話を送るから再度"レスキュー"を使ってくれ。」

「分かったよ。それまでに、母さん達の牢屋を探すね!!」

「頼むね。それじゃあ行こうか、こっちだ。」

 

今度はリュークが紋章士クリスを顕現し、気配を消しながらエクシード達と共に鍵と指輪の回収に向かった。その間、ナツやウェンディの嗅覚、それに獣牙の紋章士で五感が鋭くなったリネンを頼りに残りのメンバーは牢屋の方へと進んだ。

 

==========

 

「"クアド・レスキュー"。」

 

5分後。牢屋のすぐ近くまで来た所でリュークの念話がポラリスに届き、彼女は再び紋章士クルトと"レスキュー"の杖による複数人の輸送を行った。

 

「無事取り返せた?」

「バッチリだ。そして牢屋も目前………ここまでは順調過ぎるくらい順調だ。」

 

ナツとウェンディが嗅覚を頼りに先頭に立ち、見つかりそうになったらミラの変身魔法やリネンと紋章士ニシキの"狐火"でやり過ごし、リューク達が鍵と指輪を奪還した間に牢屋目前まで来たのだった。

 

「最後まで、油断せずに行こう。」

 

看守がいないのを確認した一行は牢屋の区画へ入った。

 

「右手手前から3番目。」

「看守はいません。」

「よし、行こう!!」

 

滅竜魔導士の鼻で確認し、ついに一行はルーシィとユキノが幽閉された牢屋に到着した。

 

「………やっぱり、助けに来てくれた。」

「当たり前でしょ。それじゃ、さっさと出よう。」

 

するとナツが炎で熱した両手で檻を掴み、力でこじ開けたのだった。

 

「ふんぬっ!!」

「一応、"鍵開け"の準備もあったんだけど………まぁいいや。それよりこれも取り返しておいたよ。ユキノの分も。」

 

リュークは盗賊に"クラスチェンジ"し"鍵開け"の準備をしていたが無駄に終わったので"クラスチェンジ"を解除し、ルーシィに鍵と指輪を、ユキノに鍵を渡した。

 

「ありがと。あとは戻るだけね。」

「ありがとうございます………」

「あとはどうやって脱出するかね。」

「さっきの要領で"リワープ"を使って城外まで出られたら楽だったけど………ちょっと遠いかな?」

「うん、数回どこかを経由しないと難しいね。経由に安全そうな場所を探すから少し時間をちょうだい。」

「ならその間に………ルーシィ、着替えを持って来たわ。」

「ありがとう、ミラさん!!」

「リサーナの………私の妹のでよければユキノさんの分もあるわよ?」

「わ、私は結構です………」

 

リュークが安全な経路を探す間、ポラリスとウェンディが布を広げその奥でルーシィが着替え始めた。

 

「………父さんも、ナツさんも、覗いちゃダメだよ?」

「しねーよ、リューク怒らせたくねーし。」

「……………。」

 

その時だった。牢屋の床が丸ごとガコン、と2つに割れた。

 

「なっ!?」

「地面が!!」

「割れた………!?」

「罠か………!!」

「あたしまだ着替えてる途中なんだけど!?」

 

脱出方法を考えていたり、救出できた事に安堵していたり、着替えていたりで床が無くなった事への対応が遅れた一行は真っ逆さまに落ちたのだった。

 

「ちっ………飛べる者は飛べない者を抱えて!!」

 

リュークの檄でハッピーがナツを、シャルルがウェンディを、リリーがミラを掴んだ。そして紋章士ティバーンとシンクロしたリネンがユキノを抱え、竜の翼を出したポラリスがルーシィを捕まえた。

 

「そして、"トーチ"!!」

 

ポラリスと同じように竜の翼を出したリュークは"トーチ"の杖で底を照らした。するとそこまで深くない所に地面があったので一行はそこに着地した。

 

「なんとか間に合った………」

「けど、上が閉じちゃった………」

 

怪我なく着地できた一行。しかし開いた床が閉じ、出口が無くなってしまった。

 

「さて、脱出経路をイチから練り直しだけど………」

「なんだここは………」

 

リュークの"トーチ"で照らされた周囲は昨日の竜の墓と似たような洞窟だった。違いは辺りに散らばっているのは竜の骨ではなく、人骨であった事。

 

《ようこそ、"奈落宮"へ。》

 

すると声が響いた。

 

《見事に罠にかかりましたね。》

 

聞こえたのは女性の声。やがて声の主が魔法による映像として一行の前に浮かび上がった。

 

《ここは死の都、奈落宮。罪人の行き着く最後の自由………しかしここから出られた者は一人もいない。そこで朽ちて行くが良い、賊よ。》

「誰だアイツ!?」

「姫です、この城の。」

「確か………ヒスイ姫、だったか?」

「お姫様!?」

「それよりも出口どこだ出口ー!!」

 

ナツの叫びに答える事は無く、声の主であったフィオーレ王国の姫、ヒスイの映像は消え辺りは静寂に包まれた。

 

==========

 

「天井は全部塞がってるよ。」

「出口は無さそうね。」

「リュークはどう?」

 

ハッピー達の飛行による偵察もむなしく出口は見つからず、リュークも出口探しに難儀していた。

 

「"神竜王の威光"の限界を思い知らされた気分だ………ここまで"死んで"いると難しいな。」

 

"神竜王の威光"はあくまでもエコーロケーション。周囲に魔力を放ち、その反射を捉え"感じる"魔法であり、フェルトのように直接"視る"魔法ではない。だがここはヒスイ姫曰く死の都。場所そのものが"死んで"いて、魔力を放つものが少ないのである。故にリュークはこの奈落宮の全容を掴みかねていた。しかし、他に感じるものが無いのでごく小さな魔力反応を見つけた。

 

「………ん?」

「何か見つけたの?」

「うん………2時の方向に魔力反応を見つけた。小さ過ぎて何かはよく分からないけど………」

「他に手がかりが無いなら、そっちに行くしか無いみたいだね。」

「ちょうどその方向に通路があったわ。行きましょう。」

 

シャルルが見つけた狭い通路を通る事にした一行。

 

「狭いわね………あっまずい、引っかかった!!リューク、押して………!!」

「………どこを、どう押せと?」

「………父さん。ダメだよ。」

「分かってるから言ってるんだが………」

 

人一人通るのも難儀な非常に狭い、通路というよりは隙間をなんとか通り抜けると、また別の何も無い洞窟に辿り着いた。だが先程とは違い、そこにはリュークの察知した魔力反応の主がいた。

 

「アルカディオス様!!」

「昨日の………!!」

 

魔力の主はアルカディオスだった。

 

「息はある………ポラリス、ウェンディ!!」

「分かった!!」

「はい!!」

 

ポラリスは"リライブ"の杖を、ウェンディは回復魔法をアルカディオスにかけた。

 

「オイ大丈夫か!?しっかりしろ!!なんでこんなトコにいるんだ!?」

「まさか、あたし達と同じように………」

 

すると回復魔法が効いたのか、意識を取り戻したアルカディオスは掠れ声で言った。

 

「逃げ、ろ………」

 

次の瞬間。一行の目の前にどこからともなく瓶を咥えた大柄な男が現れた。

 

「ぱーん。」

「っ、下がれ!!」

 

下がる間もなく振り下ろされた男の拳。

 

「ジュワー………」

「毒………というよりは酸、か。フィヨルムの氷を溶かして来るとは。」

 

リュークは紋章士フィヨルムの顕現が間に合い、彼女の"氷壁"で大柄な男の拳を防いだ。しかし男の拳に纏っていた酸が"氷壁"を溶かしていた。

 

「まだ来るぞ、気をつけろ!!」

 

敵は1人ではなく、次々と現れた。

 

「タイタイターイ、大漁ォ〜!!」

 

続けて現れた、漁師のような男が大漁旗を振り上げると一行は空中へと打ち上げられた。

 

「何だコイツら………!!」

「今度は重力操作………"紫煙騎兵団"、天馬隊!!」

 

態勢を崩しながらも息を吐き、霧の天馬騎士の小隊をけしかけた。だが霧の天馬騎士隊は敵の目の前で吹き荒ぶ花吹雪と紙吹雪によってその大半がズタズタに切り裂かれた。そして花と紙の吹雪を切り抜けた少数の天馬騎士は、突如上から舞い降りた獅子と山羊と蛇の特徴を併せ持つ怪物に食われ霧散。それと共に、和装の女、帽子とドレスの女、そして眼鏡にセーラー服の女と3人の女が現れた。

 

「紙を操る魔法に植物生み出す魔法、それに召喚魔法か………?」

「………陰から王国を支える独立部隊………」

「知ってるのか?」

「王国最強の処刑人、餓狼騎士団………奈落宮からの生還が不可能なのは奴らがいるからだ。」

 

次々と現れた5人に加え、最後に一対の鎌を背負った仮面の男が歩み寄り号令をかけた。

 

「餓狼騎士団、一五〇〇任務開始。特別権限により、これより罪人の死刑を執行する。」

 

一行を見据え、整列して逃げ場を塞いでいた餓狼騎士団。

 

「ぷはっ、ぶはははっ、あはははっ!!」

「こんな時にどうしたのよ。」

「だって、どう見ても"騎士団"ってナリじゃねーだろ!!」

「確かに。」

 

騎士団と呼ぶにはあまりにも自由な服装。それを見てナツは吹き出し笑い始めた。

 

「見た目に騙されるな………奴らの魔法は、"人を殺す為の魔法"だ。」

「上等!!何だ、出口が向こうから歩いて来たぞ!!」

「全くだ。鴨が葱を背負って来た、とはこの事だ。」

「出口を教えてもらうのにちょうどいいわ。」

「………まさか、餓狼騎士団と戦って、そして勝つ気でいるのか………」

 

王国最強の処刑人。そう聞いても怯むどころか勝つ気でいる一行の姿勢に餓狼騎士団の団長、カマは眉を顰めた。

 

「無知なる罪人め………フィオーレの土へと還るがいい。」

 

その言葉が号令となり、まず和装の女が前に出た。

 

「"紙吹雪・赤の舞"!!」

 

無数の赤い紙が飛ばされた。

 

「んなもん燃やしてやらぁ!!」

 

ナツは火炎を放ちそれを燃やそうとした。しかし赤の紙吹雪は燃えず、逆にナツの炎を裂いて突っ切って来たのだった。

 

「赤い紙は炎の神、舞い散るが良い!!」

「させません!!"天竜の咆哮"!!」

 

だが赤の紙吹雪はナツに届く前にウェンディのブレスによる暴風で散らした。

 

「ナイスよウェンディ!!」

「………美しいわ。美しく踊る人形………」

「!!」

「それは血の咲く骸の花。」

 

今度は帽子とドレスの女が動き、ウェンディの足元に食人植物を召喚。その食人植物は瞬く間に口を閉じウェンディを呑み込もうとしたが"サタンソウル"を発動したミラが殴り、破裂させた。だが植物はそれだけでなく、背後からも棘のついた太い植物が迫っていた。

 

「させるものか!!」

「ルーシィとユキノはアルカディオスを守れ!!」

 

迫りくる植物をリリーと共に剣で切り裂いたリュークは魔法を使うダークナイトに"クラスチェンジ"。"紫煙騎兵団"で生み出した馬に乗り正面から切り込んだ。

 

「タイターイ、"地形効果・重力(タイ)"!!」

「見切ってるよそんなの!!"ブリュンヒルデ"!!」

 

漁師のような男は重力操作でリュークの突撃を止めようとしたがリュークは"神器錬成"で重力を操る"ブリュンヒルデ"の魔道書を手にしそれを相殺。

 

「山羊と蛇の頭を持つ獅子よ………」

「!!」

「不遜なる咎人を、骨の髄まで喰らい尽くしなさい。」

 

しかし、眼鏡にセーラー服の女が手持ちの本をめくると共に先程霧の天馬騎士を食らい霧散させた怪物、キマイラがリュークの前に立ち塞がった。

 

「"クラスチェンジ"、ワイバーンナイト!!」

 

キマイラはリュークに向けて爪を振りかざしたがリュークはワイバーンナイトへと"クラスチェンジ"し、空へと退避。

 

「"神器錬成、聖魔の槍"、"ウィドフニル"、そして"貫通"!!」

 

魔物特攻の槍"ウィドフニル"を手にし、空から守備を貫く一撃を繰り出したリューク。

 

「へぇ………」

「(倒せたが、微妙な手応え………魔物とは、少し違うような?)」

「ですが、騎兵は軍団で突撃してこそでは?このように………ね。」

 

再び本をめくると、ケンタウロスの集団が現れリュークに向かって来た。

 

「半人半馬の弓兵隊よ、空を飛び回るあの飛竜を射ち落としなさい。」

「!!」

 

続けて現れた10騎程度のケンタウロスはリュークを射ち落とさんと一斉に矢を番えた。だがその狙撃は、リュークの頭上に現れた太陽の如き光炎によって阻止された。

 

「させるもんか………!!"神器錬成、暁の魔道"!!灼き尽くせ、"エクス・シムベリン"!!」

 

"神器錬成"で炎の最上級魔法の1つ、"シムベリン"を繰り出したポラリスは紋章士クルトを顕現して"魔法拡散"でX字状に広げるとそれを落とした。リュークはそれを避けたがケンタウロスの弓兵隊は直撃、もしくはX字状の炎に分断された。

 

「そこっ!!」

 

分断されたケンタウロスを各個撃破しようと突撃をかけたポラリスは背中の剣、"絆剣リベラシオン"を引き抜き1体を撃破。

 

「させるか、よっ!!」

 

その背後を狙おうと弓を番えたケンタウロスの1体。そこに今度は霧のワイバーンから飛び降りたリュークが手にしていた"ウィドフニル"を投げ仕留めた。

 

「「"神竜の撃鉄"!!」」

 

そして同時に拳に桃色の魔力を纏わせ、迫った最後のケンタウロスを正拳と衝撃波で仕留め切ったのだった。

 

「"紙吹雪・紫の舞"!!」

 

ここで和装の女が辺りに紫の紙吹雪を飛ばした。その紙が一行に引っ付くと身体が動かなくなった。

 

「紫の紙は縛りの神。」

「これぞ美しき連携………"グロウ・フロウ"!!」

 

更に帽子とドレスの女が天井に巨大な食人植物を召喚。動けない一行を吸い込みにかかったのだった。

 

「きゃ………!!」

「させるか!!」

「父さん!!」

「食せ、美しく、罪人の命を。」

「………!!」

 

ここで動いたのがウェンディだった。

 

「状態異常回復魔法、"レーゼ"!!」

 

ウェンディの回復魔法により身体の不自由は解除された。

 

「治った!!」

「けどあれ、どうする!?」

 

全員が頭上の巨大植物を見た。そしてナツが簡潔に答えを述べた。

 

「壊す!!」

「OK!!」

「オオオッ!!」

 

一斉に大技を放ち、辺りを爆発と土煙が覆った。

 

==========

 

「はぐれてしまったか………」

「………母さん。」

「大丈夫だ、ポラリス。ルーシィも、皆も強いから、大丈夫。」

 

一斉攻撃により巨大植物は撃破された。しかし攻撃は勢い余って天井も破壊してしまい、天井は瓦礫となって奈落宮に振り注ぎ、一行は散り散りになったのだった。

 

「ここまで"死んだ"場所だ、"神竜王の威光"を使えばすぐに皆を見つけられる。」

「………だけど、探しに行くには………」

「目の前の敵を、倒さないとね。」

 

リューク、ポラリス、そしてリネンの目の前にいるのは餓狼騎士団の1人。石の上に座り、眼鏡を片手でくいとあげながら本を読むセーラー服姿の女だった。

 

「『「俺には帰る場所があるんだ!!こんな場所とっとと抜け出して、俺は………!!」………そう言って、王国の宝庫に迷い込み、奈落宮に堕ちた自称"義賊"は大口を広げる大蛇に斬りかかり、その口の中から二度と出て来なかった。』………今読み上げたのは、5年前に王城の宝庫泥棒として奈落宮に堕ち、裁きを受けた咎人の最期の記録です。」

 

一節らしき言葉を語り終えた女はパタン、と本を閉じて立ち上がった。

 

「紹介が遅れました。私の名前はミストラル。普段は王都が誇る図書館で書庫番を務めていますが、それは世を忍ぶ仮の姿。私の本当の姿はこの奈落宮にて罪人の最期を記録する書記官………そして、咎人を喰らう"執行官"の管理人にございます。」

 

再び本を広げると、ミストラルと名乗った眼鏡とセーラー服の女の周囲に何種類もの怪物が現れた。

 

「さっきはキマイラにケンタウロス、今度はグリフォン、ワイバーン、ガーゴイル………なるほど、幻獣使いか。」

「御名答………御伽噺の人々を喰らう、実在しない処刑人達。それが私の魔法、"伝承書架(ビブリオ・ミスティカ)"のあらすじです。ご要望とあれば、あなた方を喰らう処刑人を選ばせてあげますが、リクエストはありますでしょうか?」

 

しかしリュークも、ポラリスもリネンも全く怯まず、指輪をかざした。

 

「リクエスト、ねぇ………何でもいいけど。」

「そちらが伝承の幻獣なら………」

「こちらは伝承の英雄(紋章士)だ。どちらが上か、試してみるか?」

 

 

続く

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