カラオケに未収録なの悔やまれる。
ギルドの再建が進んでいたある日、魔導士達に待望の時がやって来た。
「みんなー、今日から仕事の受注を再開するわよー!!」
「「「うおーーーっ!!」」」
「「「仕事だ仕事ーーー!!」」」
幽鬼の支配者の襲撃以来止まっていた依頼が再開し、待ち望んでいたギルドの魔導士達は仮設で建てられたクエストボードに殺到した。
「何アレ、普段はお酒呑んでダラダラしてるだけなのに。」
「あはは。」
「まぁお酒飲むにもお金かかるしね。」
「リュークはいいの?」
「んー、俺は人混みが無くなってからでいいかな。まだ貯金はあるし。」
「いいなー、あたしにも分けてよー。」
「お嬢様のセリフとは思えないわよ?」
「違うんですミラさん!!あたし家のお金なんて一銭も持って来て無いんです!!」
そうして和気あいあいとしたギルドの雰囲気。
「もういっぺん言ってみろ!!」
だがその雰囲気はエルザの怒号で静まり返った。そのエルザが怒鳴った相手は、
「この際だ、ハッキリ言ってやるよ………弱ェ奴はこのギルドに必要ねェ。」
S級魔導士のラクサス。
「貴様………」
「ファントムごときになめられやがって。恥ずかしくて外も歩けねぇ。」
実力はあれどコミュニケーションに難のあるラクサスは好き放題言うと、レビィを指さした。
「オメーだよオメー。元はと言えばオメーらがガジルごときにやられたって?てかオメーら誰だよ?情ねぇなぁ!?」
「………!!」
「ひどい事を………!!」
「おおこれはこれは、元凶のねーちゃんじゃねぇか。」
さらにルーシィに絡みにいったラクサスだが、その前にミラが机を叩き止めた。
「もう全部終わったのよ。誰のせいとかそういうのは最初から無いの。戦闘に参加しなかったラクサスもお咎め無し、マスターはそう言っているのよ。」
「そりゃそうだろ、俺には関係ねぇ事だ………ま、俺がいたらこんな無様な目にはあわなかったがな。」
そんな時だった。
「………よく言うよ、雑魚以下の分際で。」
「………あ?」
聞き捨てならない言葉を聞き、ラクサスはその言葉を発した人物………リュークを睨み付けた。
「誰が雑魚以下だって?」
「お前だよ。戦場に出る勇気すらない"臆病者"なんざ雑魚以下のカスだって言ったんだよ。」
「てめぇ………!!」
「分かってたら黙りな。"外野"の雑魚の分際で俺達の戦いに口を出すなクソガキが。」
「………調子に、乗るなァクソチビ!!」
リュークの言葉に怒りが頂点に達したラクサスは雷魔法で姿を消し、一瞬の内にリュークに接近した。そしてそのまま雷攻撃が繰り出されるように思えた。
「ガ………ッ!!」
「だからお前はクソガキなんだよ。同じ手に引っかかりやがって。」
だが直線で突っ込んで来たラクサスを待ち受けるかのように突き出されたリュークの拳がラクサスの腹にめり込んだ。
「チッ………今日こそはぶっ殺してやるクソチビ!!」
「前と同じように返り討ちにしてやるよクソガキ!!」
距離を取り、さらに雷を纏ったラクサス。一方リュークは紋章士アイクを顕現し、
「二人とも、いい加減にしなさい!!」
「……………」
「……………」
しばらく睨み合ったリュークとラクサス。だがやがてラクサスが構えを解き、踵を返した。
「今日のところはここまでにしてやる………俺がギルドを継いだら弱ェもんと、クソチビみてぇな歯向かう奴は全て削除する!!そうして最強の、誰にもなめられねぇ史上最強のギルドを作る!!それまで弱者同士の傷のなめ合いでもしてな!!」
そう言い捨てるとラクサスは高笑いをしながらギルドを去った。
「……………。」
「継ぐ………って、ミラさん何ぶっ飛んだ事言ってるんですかあいつは。」
「それがそうでも無いのよ、ルーシィ………ラクサスはマスターの実の孫だからね。」
「ええーーーっ!?」
「だからマスターが引退したら次はラクサスになる可能性は高いの。」
「そんな………でもあたしは正直イヤだな………仲間をあんな風に言う人がマスターになるなんて。」
「だからマスターも中々引退できないんじゃないかって言う噂もあるの。」
「あの人がマトモになるのを待ってるって事?」
そこに構えも紋章士アイクの顕現も"クラスチェンジ"も全て解除したリュークが合流した。
「どうだろうね。そもそも次期マスターの話なんて一言も出てないし。」
「そう言えばリュークってラクサスに対しては珍しく口が悪かったわね?」
「………ギルドに入って早々あんな絡まれ方したら誰だって腹立つでしょう。昔はあそこまで酷くは無かったらしいけど、その時の事を俺は知らないからあの最悪な印象しか持ち合わせていないし。」
そう言い、リュークは盛大にため息をついた。すると、その横にいたエルザがナツに声をかけた。
「………あいつに関わると疲れる。それよりナツ、仕事にでも行かないか?」
「え?」
「それにグレイ、ルーシィ、そしてリュークも一緒だ。」
「え!?」
「はい!?」
「俺も?」
「私達4人と、ルーシィのお目付け役のリュークは
「………そう来たか。」
ギルド屈指の実力者のエルザとリューク、そこにネクストブレイク候補のナツ、グレイと期待の新人ルーシィ。この面子がチームを組む事により、妖精の尻尾最強チームが結成される事となった。
「そうと決まれば早速仕事だ!!ルピナス城下町で暗躍してる魔法教団を叩く!!行くぞ!!」
「「「「「おおーーーっ!!」」」」」
==========
その夜。評議会で行われた裁判から戻って来たマカロフは仮設ギルドの上に座り酒をあおっていた。
「………引退、か。」
幽鬼の支配者の解散、マスタージョゼの聖十大魔導の称号剥奪に加え妖精の尻尾の無罪。最高の結果を勝ち取ったマカロフだが、その後評議員にしてマカロフの古くからの友人であるヤジマから言われた言葉を思い返していたのだ。
「ワシももうそんなに長くないのは事実………ギルドが新しくなるこの機会にマスターも次世代へ考えるべきか………」
そう言いながらマカロフは候補者となり得る魔導士を思い浮かべた。
「ラクサス………あやつは心に大きな問題がある。ギルダーツ………あやつは無理だしミストガン………ディスコミュニケーションの見本みたいな奴じゃし………となると年次は若いが、エルザかリュークか………」
さらにぐいと酒を飲んだマカロフ。
「リュークがやや優勢か………?過去どこで何をしていたかは知らんが、あやつは"人の上に立つ教育"を受けておる。時たま仲間に"民を見る君主の目"を向けている事があるし間違いないじゃろう。後はやる気があるか、じゃが………」
すると、下からミラがマカロフを呼んだ。
「あ、マスター、こんなところに。」
「ん、ミラか。何かあったか?」
「はい………エルザ達、またやってしまいました。」
「は?」
「仕事先で街を半壊させちゃったみたいです。」
「なんじゃと!?リュークもついていながらか!?あやつがいてもダメなのか!?」
「それが今回に限ってはリュークとルーシィが一番やらかしちゃったみたいです。」
「………!!」
報告を聞いたマカロフはわなわなと震え出した。
「………!!」
「評議員から早々に始末書の提出を求められてますヨー……って、マスター?」
「………い、引退なんかしてられるかーーーっ!!」
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ルピナス城下町………の跡地。町に巣食う魔法教団の討伐依頼を受けた、通称"妖精の尻尾最強チーム"は無事魔法教団のアジトを発見。そこに突撃、撃破し潰滅に追い込んだのは良かったがいつもの如く暴れすぎてしまい町にも甚大な被害を出してしまった。そして珍しくも今回、一番の被害を出したリュークとルーシィは、
「………ゃって、しまったぁ………っ!!」
「ホホホホホ………」
「あわわわわわ……………!!」
「プーン?」
瓦礫に座り、頭を抱えながらガタガタ震えていた。あまりにもガタガタ震えていたのでリュークの頭上のフェルトも振動し、プルーはルーシィに並んでプルプル震えていた。
「何落ち込んでるんだよ、いい暴れっぷりだったぜ!!」
「良い訳無いだろうが………!!」
「いやールーシィもやるじゃねぇか。俺達の出る幕があんま無かったぜ。」
「MOッ、自分もルーシィさんの圧倒的パワーにお仕置きされたかった………!!」
「すっかり妖精の尻尾に馴染んで何よりだ。」
「これは褒められているのかしら………?それとタウロスは変な事言わないのー、それ強制閉門。」
そしてこうなってしまった原因。それはリュークとルーシィの後ろにふよふよと浮かんでいた。
『………リューク、それにルーシィ………ごめんなさい。久しぶりにアルムと戦えてその、ちょっと舞い上がっちゃったわ………』
『僕からも、ごめん………久しぶりのセリカの前で、つい張り切りすぎちゃった。』
発端はリュークが紋章士セリカを、ルーシィが紋章士アルムを顕現し、"エンゲージ"した事にあった。
「アルムとセリカ………物語通り、いやそれ以上に愛し合ってる2人で戦えたらロマンあるわよねー、って提案してみたけど、何と言うか愛の力?を過小評価してたわ………」
「俺もだ………そりゃあ数百年ぶりの再会と共闘だ、張り切らない訳が無いのにそこを見誤った俺の落ち度だ………」
縁の深い紋章士が隣にいる状態にあるとより力を発揮する事をリュークは知っており、それを体験した事もあった。だが心から愛する者をまだ持たないが故に見誤ったのだろう。長い戦いの末に結ばれ、共に数千年続く国を作り上げたアルムとセリカの深い愛と絆を。そしてその力が数百年ぶりの再会を以てリュークにすら制御不可能なまでに膨れ上がり暴発し、結果として町の一部を瓦礫に変えてしまったのだと。
『でも、僕達もビックリしたよ………まさか、ここまでの力を出せるとは思わなかったよ。何でだろう?』
『紋章士は私達だけの力じゃないもの。私達とリュークやルーシィとの絆………そしてもしかしたら、リュークとルーシィの絆も、もう深く強いものになってるかもしれないわね。』
「………そう、なるのか?」
『そう思うわ。もしかしたら、私達以上になるかもしれないわ。』
「ええ………セリカとアルム以上は流石に無理かと………」
「アルムとセリカ、以上………!?いやいや無い無い!!それは無い!!」
「いや気持ちは分かるがそこまで否定されるのは、それはそれで傷つくな………」
何を想像したのか顔を赤くし始めて否定するルーシィ。それを見てナツ達がニヨニヨと笑みを浮かべながら近づいた。
「「どぅえきてぇる。」」
「だから何度も言ってるけどできてないって!!」
「じゃあ何でお揃いの魔法なんか使ってるんだ?」
「そんなの俺のご先祖に聞いてくれ。」
「戦っていて息も合っていたし、お似合いなんじゃないか?」
「だから違うってー!!」
しばらく瓦礫に座り、他愛もない会話をしていた妖精の尻尾最強チーム。
「………さて、戻ろうか。マスターへの謝罪の言葉を考えないと………」
「それなんだが、その前に少し寄り道をしないか?」
「と、言うと?」
「実はマグノリアの少し西、鳳仙花村の近くに住み着く盗賊団の討伐依頼も受けているのだが、それと同時に鳳仙花村で宿を取ったんだ。チームを結成した記念に、さらに親睦を深めようと思うんだが………どうだ?」
反対意見は出なかった。できるだけの事後処理を終えた一行は東洋建築の並ぶ観光地である鳳仙花村へと向かった。
続く
・ラクサスとの確執
他のギルドの仲間と違い、リュークはルーシィ同様にバリバリの問題児のラクサスしか知らず、あの調子で絡まれるのでリュークから見たラクサスへの印象は控えめに言って最悪です。
ただ戦績としてはラクサスは怒りで突っ込んで来るが故に軌道が読みやすく、そこをカウンターで返り討ちにして大体リュークが勝っています。
・アルムとセリカ
ぶっちゃけ言えば、こう言う事がしたいからルーシィに紋章士を持たせたところもあります。ただ久しぶり過ぎる再会と共闘で完全に舞い上がった状態でそれぞれリュークとルーシィと"エンゲージ"してしまい、恋はハリケーン状態で"覇神断竜剣"と"真ライナロック"ぶっ放してしまい町は半壊………となってしまいました。
今回の話を書くにあたり、アルムとセリカのラブラブっぷりがどうだったか確かめる為にEchoesのストーリーだったり、バレンタインの比翼アルム&セリカの会話を確認したんですよ………あまりにも口の中砂糖まみれになってヤバかったので小麦粉を直で口に突っ込めそうでした。これはアルム一筋のエフィでも手を引くレベルよ………
他にも現時点だとロイとリリーナ、ヘクトルとリリーナなんかもできるし、今後も色んな展開を経て紋章士を増やしていくつもりですのでお楽しみに。
・リュークのヒロイン
描写的に察するかとは思いますが、リュークのヒロインはルーシィで行きます。やれ愛と勇気の物語だ、やれときめきエムブレムだと言われてる作品とクロスしててヒロイン無しはねぇだろ………となった中で、この作品始めた段階でルーシィしかいねぇ!!となってたのでそのまま行きます。
原作(特に100 Years Questに入って)ナツ×ルーシィが固まってるように思えましたが、二次創作なのでそこは許して欲しいです……ナツにはリサーナと、になるかなぁ(この時点ではおらんけど)