「私に触れないで」、そこから転じて「心を開く」
ですか………確信犯か?他の街とかも仕組まれてるのか?
『"フランベルジュ"!!』
『"獅子連斬"!!』
鳳仙花村に近い、廃砦に巣食う盗賊団、デボン一家に乗り込んだ妖精の尻尾最強チーム。
『よしっ!!』
「ホー、ホホーッ!!」
『了解、残りは2時の方向!!』
『サジタリウス、行くわよ!!"月光閃"!!』
「了解であるからして、もしもし!!」
『こっちからも、"エンジェル"!!』
先日のリベンジと言わんばかりに紋章士セリカと"エンゲージ"したリュークと紋章士アルムを"エンゲージ"したルーシィは剣による連撃で自分達の周りの盗賊を纏めて倒し、続けて討ち漏らしをルーシィと彼女が召喚したサジタリウスが弓で狙撃し、リュークは魔法で撃破した。
『よし、こちらは片付いた!!』
『ふう………やったね、一丁あがり!!』
『今回は力加減もできたし、言う事無しかな。』
『『それじゃ………イェイ!!』』
自分達の周りの盗賊を一掃し、かつ前回のような過剰な破壊をせずに済んだ事を確認しリュークとルーシィはハイタッチを交わした。時を同じくして他の仲間が他の盗賊を倒しており、デボン一家の潰滅に終わった。
「思ったより早く片付いたな。」
「うおおお暴れ足りねえええ!!」
「オメーは十分暴れただろう。」
「まだ宿はあと1日取ってあるし、のんびりした村だ、1泊して帰ろう。」
「何言ってんだ、早く帰って次の仕事に行こうぜ!!」
「ええ〜泊まっていかない?そろそろ眠いんだけど………」
「眠くなるの早くないか?まだ午前中だぞ?フェルトに至ってはもう寝てるし………」
戦いが終わり、他愛もない会話をしながら鳳仙花村に入った一行。
「あれ、ロキじゃない?」
「あれ?」
するとそこにいたのはロキだった。
「偶然だな。仕事か?」
「そうだね。君達も?」
「あ、ちょうど良かった。この前は鍵を………」
「ルーシィ!?」
先日星霊の鍵を拾ってくれたお礼を言おうとしたルーシィだが、ロキはルーシィを見るや否や気まずい反応を見せた。
「じゃあ………仕事の途中だから。」
とそれだけ短く言い残すとそそくさと走り去ってしまったのだった。
「何よアレー………。」
「相当避けられているが何かしたのか?」
「何もしてないわよー………。」
「本当、星霊魔導士が苦手なんだなロキって………」
==========
「始めんぞーーー!!」
鳳仙花村の宿屋に入った一行は温泉に浸かり1日の疲れと汗を洗い流した。その後は部屋でゆっくりしてから寝るだけ………では無かった。
「なんだよやかましいな。」
「オイ見ろよ、旅館だぞ旅館!!旅館の夜ったら枕殴りだろーが!!」
「枕投げだよ。」
だが案の定、ナツがおとなしくしているはずもなく枕を両脇に抱えて枕投げを提案。
「ふふ………質のいい枕は私が占領した。」
「枕投げに質も何もあるかしら………?」
するとエルザもノリノリで枕を抱え戦闘準備に入った。
「ったくめんどくせーな………俺はさっさと寝たいんだよ………」
一方で乗り気で無いグレイはそっぽを向き寝ようとした。
「俺はエルザに勝ーつ!!食らえっ!!」
「甘い!!」
「ぐほっ!?」
しかし、ナツが投げた枕をエルザが避け、その枕がグレイに命中した事で彼の態度が変わった。
「てんめぇ、やりやがったな!!」
浴衣を脱ぎ捨て反撃に出たグレイ。
「おらあっ!!」
「このおっ!!」
「ふっ、やるな。」
「よーし、じゃああたしも………へぶっ!?」
ナツ、グレイ、エルザの三つ巴の激戦になりつつあった枕投げ。そこにルーシィが参戦しようと腕をまくりながら入ったが、飛んで来た枕がクリーンヒットしそのまま障子をぶち破って場外へと飛ばされリングアウト。
「や、やっぱやめとこーかな………死んじゃう………」
人間離れした激戦にルーシィはすぐに戦意喪失。
「本当に人間かしら………?そして、あの中ですやすやと寝ていられるのも何なのよ………?」
刻一刻と荒れていく部屋、その片隅でリュークとフェルトは喧騒などどこ吹く風と言わんばかりに布団にくるまりすやすやと寝ていた。普段から椅子や机が飛び交うギルドでも安眠できていた人間が枕ごときで動じる訳も無く、危害が及ばない限りはなんの問題も無かった。
「どうしようもないし、しばらく夜風に当たって来よう………」
こうしてルーシィは夜風に当たりがてら鳳仙花村を散歩するべく旅館を出た。
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翌日。
「「………!!」」
「姉ちゃん、何だあれ?」
「仕事先で枕投げしてケガしたんだって。」
「何で枕投げであんなケガを………それで、髪型も何か変になってるのは?」
「枕投げの途中で寝ているフェルトを蹴飛ばしちゃったんだって。」
いつものように睨み合うナツとグレイ。だが大怪我している上に髪が雑に切られ変な髪型になっていた。枕投げがあまりにもヒートアップし大怪我するまでに至り、その上で寝ているフェルトを枕と勘違いして投げた事で怒らせて風魔法で髪の毛を切られたのがこうなった原因である。
「だいたい何で枕投げごときでムキになるんだよ?」
「俺はいつでも全力なんだよ!!」
「その割には負けてんじゃねーか。」
「はぁ!?負けたのはオメーだろ!!」
「(枕投げの勝ち負けって何かしら?)」
平行線となったケンカに、ナツとグレイはルーシィに判断を求めた。
「「ルーシィ、勝ったのは俺だよな!?」」
だがルーシィは、
「うるさい。」
と、極めて不機嫌に言い捨てた。これにはナツとグレイも、
「「ご、ごめんなさい………」」
と謝り、ケンカを止める他無かった。
「………お、おいどうしたんだよルーシィ?」
「朝からずっと不機嫌だぞ。リューク、何か聞いてないか?」
「いやぁ、ずっと夢の中だった俺に聞かれても。ハッピーの話じゃあロキと会ったらしいけど………そこで余計な事でも言ったんじゃないか?」
ルーシィの不機嫌の原因が分からず頭を捻った一同。すると、仮設のバーカウンターがにわかに騒がしくなり始めた。
「ねぇ、ロキ来てる?」
「ロキは?」
「酷いわロキってば。」
「アンタ達誰よ?」
「ロキー、どこー!?」
10人くらいの女の子の集団が押しかけ、カウンター越しのミラに詰め寄っていたのだ。
「………何アレ?」
「町の女の子達だよ。皆自称ロキの彼女みたいだね。」
ルーシィが不思議そうに見ている中、女の子達はミラに一斉に話し始めた。
「昨日の夜、突然別れようって………」
「キーーー!!悔しいけど私もよ。」
「私も………」
「アタイもよ!!」
女の子達は口を揃えて、ロキが急に別れ話を持ち出したと言うのだ。
「何で急にそんな事言い出すのよ!?」
「さ、さぁ………」
「もしかして本命が現れたの!?」
「いや………」
「誰よ!?このギルドにいるの!?」
一斉に詰め寄る女の子達に手に負えなくなったミラは助け舟をルーシィに求めた。
「助けて〜ルーシィ〜。」
「ち、ちょ………!!」
その瞬間、女の子達の視線が一斉にルーシィへとロックオンした。
「何あの女………」
「ちょっとかわいいじゃない………」
「胸でかっ。」
「まさかロキの本命って………!!」
ルーシィは不穏な雰囲気を感じ、逃走した。
「もぉー面倒くさい事ふらないでよミラさ〜ん!!」
「……………。」
ルーシィが逃げ出す所を、指輪を磨きながら眺めていたリューク。だが何を思ったのか、急に立ち上がった。
「どうした?」
「………ちょっと調べものをして来る!!」
「おい!!」
そのまま走り出しギルドを出たリューク。その顔には焦りが見えた。
「(嫌な直感が働いた………!!だが、間違い無い!!)」
女の子を見て働いた直感による嫌な予感。リュークはその直感に持ちたくない確信を持っていた。
「("あの時"と同じ………間違い無い、あれは身辺整理だ!!ロキ、消えるつもりか!?)」
後腐れが無いように身の回りのモノやコトを整理し、面倒事を片付ける身辺整理。行うタイミングは色々あるが、よくあるタイミングは"人生の区切り"。
「(取り越し苦労であってくれよ………!!)」
リュークが駆け込んだのはマグノリアの市立図書館。彼は迷わず入口にある、検索魔法"
「(ギルドに入った時からロキは俺を避けていた………ならば調べる範囲はロキがギルドに来た3年前から、過去1か2年間。その中で起きた星霊魔導士関連の事故、事件!!)」
4年前に妖精の尻尾に加入したリュークに取ってみれば初めての後輩であるロキ。だが早々に避けられていた事から、それ以前に星霊魔導士と何らかの出来事が起き、そしてそれがロキの今の奇行の原因であると目星を付けたリュークはその出来事が起きたであろう年代の新聞や週刊誌から該当し得る記事を探した。
「検索結果は………3年前、
と、次の記事に目を通そうとしたその時。
「リューク!!」
「扉を蹴破るな!!何だよナツ!?」
図書館の扉を蹴破って現れたのはナツ。そんなナツはすぐにリュークへと駆け寄り緊急事態を告げた。
「ロキがギルドを出て行った!!」
「はぁ!?」
図書館である事を憚らず大声を出した2人。司書に睨まれるも意に介さずリュークはナツに問い質した。
「何でだ!?」
「分からねぇ、ただギルドの脱退届だけ出してどっかに行っちまったんだ!!」
「………当たって欲しくない直感ほど当たるな!!」
舌打ちしたリュークは目の前の探索結果に目線を落とした。
「………こうなったら、最後まで直感を信じるか。」
「何の話だ?」
「ギルドで寝ているフェルトを叩き起こせ!!あいつの魔法は人探しにも打ってつけのはずだ!!」
「お前はどこ行くつもりだ!?」
「当てが外れたらすぐに戻る!!」
そう言い残しリュークは図書館を出てすぐに魔導二輪に跨り、マグノリアを出た。
==========
「くそっ、随分遠回りしたけど………ボブさんの言ってた場所はここか!?」
数時間後、日暮れ直後にリュークはとある森の中に入った。カレンがロキと何らかの因縁があると、直感を信じて一点読みしたリュークは青い天馬のギルドまで急行し、マスターであるボブに事情を説明。カレンの墓の場所を聞き出しそこに向かった。
「さて、ほぼ直感だけで来たがどうだ………?」
森を進んだリュークはやがて開けた場所に出た。滝を前にした崖に建てられたカレンの墓、その前にはロキと、リュークよりも先に彼を見つけたルーシィがいた。
「リューク!?」
「………そうか、君も辿り着いたんだね。」
「………ボブさんに言われるまで気付かなかったのが悔しいくらいだ。」
「どうにかして隠すのは大変だったよ………紋章士は僕達からすれば"ご近所さん"、それを扱い、かつ洞察力のある君にしっかりと見られたら一発でバレただろうからね。」
「土壇場の直感は信じるものだね………それで、君の"本当の名前"は何だい?星霊、ロキ。」
代わりに答えたのはルーシィだった。
「黄道十二門。星霊王を除けば最高位の星霊………その中でも筆頭とも言われる星霊、獅子宮のレオ。」
「星霊魔導士を避けていたのは、バレるのを防ぐ為だったと………だがそんな大物が、何故人のふりを?星霊も紋章士も、基本的には所有者を介さないとこちらにいられないはずだ。」
星霊、獅子宮のレオだと判明したロキ。単独で人間界にいられないはずだと言うリュークの言葉に、ロキは答えた。
「僕は
そう言い、ロキは己の過去を話し始めた。ロキ………レオの所有者、カレンは週刊ソーサラーのグラビアで何度も表紙を飾るような美貌を持ちながら優秀な星霊魔導士でもあった。しかし星霊への扱いは悪く、特にロキと同じ黄道十二門の星霊、白羊宮のアリエスへの扱いは酷いものだった。毎日のお使いに掃除、カレンが引っ掛けた男達の相手に盾代わりと、人が見れば奴隷同然の扱いであった。
そんなアリエスへの仕打ちに我慢ならなくなったレオは単独で顕現し、自分とアリエスの契約解除をカレンに切り出した。星霊の2体同時顕現は原則的に不可能である事を利用し、レオは自らを犠牲にカレンを取引に持ち込んだのである。そのまま平行線を辿り3ヶ月耐えたレオだが、その後に星霊を呼べない状態のまま仕事に出たカレンが死亡。星霊界はこれをレオが契約に逆らったと判断し、レオは星霊界から追放され星霊界に戻れなくなったのだった。
そしてそのまま3年。ロキと名乗り騙し騙しで生き延びてきたレオだったが限界が訪れようとしていた。
「時間。か、な………」
「ロキ!!」
「星霊界に拒否されている以上、僕はここまでだ。………だけど、遠くから見ていても分かったよ。君は星霊の事をとても大事にしている………君のような星霊魔導士に、最期に会えて良かった。………ありがとう、ルーシィ。」
そう言い、消えかかり始めたロキは目を閉じようとした。だが、そんな消えかかるロキにルーシィは抱きついた。
「何を………」
「開け!!獅子宮の扉!!ロキを星霊界に帰して!!」
「無理だ………主人を殺した星霊に帰る場所は無い。」
「そんなのおかしいじゃない!!こんなの事故じゃない、アリエスを想ってやった事なのに、これでカレンを殺した事になるなんてあんまりよ!!」
「………もう、いいんだ、やめてくれ………」
「良くない!!目の前で消える仲間を放っておける訳無いでしょう!!」
「ルーシィ、そんなに一度に魔力を使っちゃダメだ!!」
「………!!」
ロキを星霊界に帰そうと魔力を籠めるルーシィ。だが無理に送還しようとしている彼女には大きな負担がかかり始めていた。
「やめてくれ!!星霊と同化し始めているじゃないか!!このままでは君まで一緒に消えてしまう!!」
ルーシィを引き剥がそうとするロキ。するとリュークもルーシィとロキの肩を持ち魔力を流し始めた。
「ルーシィ、魔力の心配ならするな!!存分に持っていけ!!」
「ありがとう………!!」
「リュークまで………やめてくれ!!」
「罪の無い仲間が消えるのを黙って見捨てたとあれば一生の恥だ!!」
「もう、いいんだ………もう、いいんだよ!!」
「口では何とも言える!!そもそも、星霊が奴隷である事を是とするその仕組みが気に食わん!!」
そう言うとリュークは紋章士の指輪に魔力を籠めた。
「
呼び出した紋章士、紋章士ヴェロニカはため息をついた。
『………随分と無謀を考えたのね。』
「な、何を………?」
「こうなったら星霊界の扉をこじ開けて直談判だ。"英雄召喚"で異界の扉を開くこの力を、ルーシィとロキに流せば星霊界の扉を開ける事もできるはずだ。」
「何を無茶苦茶な事を!!」
『そうね………本当、誰に似たのか無茶苦茶な理論よ。』
だが、呆れ顔をしながらも紋章士ヴェロニカはリュークの肩を持った。
『でも、最初から無理と言われるのも心外だわ。私の力、見せてあげる。………リューク。』
「ええ、お願いします!!」
「『"エムブレム・エンゲージ"。』」
紋章士ヴェロニカと"エンゲージ"したリュークは直ぐ様エンゲージ技で"英雄召喚"の魔力を溜めたが、それを放出せずルーシィに流し込んだ。
『行けそうか?』
「うん………行ける!!」
『引き続き魔力はこっちが受け持つ!!こじ開けてしまえ!!』
「任せて………!!絶対に、開いて見せる!!開け!!獅子宮の扉!!開け!!星霊界の扉!!」
すると、魔力の流れが微かに変わった。
「この手応え………!!」
「まさか、本当に星霊界への扉が………!!」
『よし!!そのまま開けてしまえ!!』
「もうやめてくれ!!そんな事をしたらたとえ開けたとしても星霊王の怒りを買いかねない!!」
「上等よ!!仲間を助ける為に戦わないといけないなら、受けて立ってやるわ!!」
『右に同じくだ!!戦う覚悟ならできている!!』
「もういいんだ………!!僕はもう消えたいんだ、そんな事を言わないでくれ………!!これ以上、僕に罪を与えないでくれーーー!!」
「何が罪よ!!そんなのが星霊界のルールなら、あたしが変えてやるんだから!!」
次の瞬間。その場にいた皆はガチャリ、という音を聞こえた気がした。そして膨大な魔力が滝の上でものすごい勢いで渦巻き、滝の水を巻き上げた。そしてその水はみるみる内に数十メートルもの、立派なヒゲをたくわえた巨人となった。
「な………!!」
『これが………!!』
「星霊王………!!」
『余を呼び出したのはお前達カ。』
言葉を発するだけで辺りが震えるような威圧感を放つ星霊王はルーシィ、ロキ、リュークを見下ろした。
『古き友、人間との盟約において我ら、鍵を持つ者ヲ殺める事を禁ズル。直接では無いにせよ、間接にこれを行ったレオ。貴様は星霊界に帰る事を禁ズル。』
だが、その威圧感に負けずルーシィは言い返した。
「ちょっと!!それはあんまりでしょ!?」
「よ、よさないかルーシィ!!」
『古き友よ、その"法"だけは変えられぬ。』
「3年苦しんだのよ!?仲間の為に!!アリエスの為に仕方無かったことじゃないの!?」
『余も古き友の願いには心を痛めるが………』
『心を痛める、だぁ!?時が経って耄碌したか、星霊王!!』
「リューク、何を言い出すんだ!?」
『だったら、その"古き友"からどんな扱いを受けても黙って受け入れろと言うのか!?
するとリュークは紋章士ヴェロニカとの"エンゲージ"を解除するも懐に手を伸ばし、青白い光に包まれると今度は紋章士マルスと"エンゲージ"し、エンゲージ武器の"ファルシオン"を引き抜き星霊王に鋒を向けた。
『母さんから聞いたあなたはそのような存在では無いはずだ!!あの人の言っていた通りの、誇り高き王ならば考え直して貰わないと困る!!』
『!!貴様、あの者の倅………紋章の友か!!』
『ご明答!!星霊王の慈悲で、星霊の近縁といられる紋章士と共に生きる者として、これを見逃す訳にはいかない!!』
「リュークの言う通りよ!!仲間を助けようとして何が悪いのよ!!第一、古い友達なんて関係無い!!今、目の前の友達の事言ってるのよ!!ちゃんと聞きなさい、ヒゲオヤジ!!」
「!!」
「これは不幸な事故よ!!ロキは何も悪くない!!無罪以外は認めないわよ!!」
星霊王に怯まず啖呵を切った2人に、ロキは叫んだ。
「もういい!!僕は誰かに許して貰いたいんじゃない!!罪を償って、このまま消えたいんだ!!」
「そんなのダメーーー!!」
『っっっ!!』
その瞬間。
『む。』
ルーシィが契約している星霊、全9人に加えて彼女の指輪に宿る紋章士4人が同時に顕現された。さらに、彼女と魔力のパスを繋いだままだったリュークも連られて11の紋章士を一気に顕現したのだった。
「罪なんかじゃない!!仲間を想う気持ちは罪なんかじゃない!!」
「(星霊に、紋章士までがこれほど同時に………)」
だがそのような数の同時顕現はルーシィは勿論、リュークもした事が無い。同時顕現に膨大な魔力を消費した結果顕現された星霊と紋章士は一瞬で消え、ルーシィはその場に倒れこみ、リュークも膝から崩れ落ちた。
「あたしの友達も同じ気持ち………あんたも、星霊ならロキやアリエスの気持ちが分かるでしょ!?」
『それでも曲げられないというなら………残念だが、力で押し切らせて貰う!!』
だがルーシィは諦めず立ち上がろうとし、リュークはふらつきながらも立ち上がり再び"ファルシオン"を向けた。
『……………』
しばらくの沈黙の内、星霊王は口を開いた。
『古き友………そして紋章の友に、ここまで言われては間違っているのは"法"の方かもしれぬな。』
『「「!!」」』
『
「いいトコあるじゃない………ヒゲオヤジ。」
すると星霊王はニカッと満面の笑みを見せてから姿を消した。
『免罪だ。星の導きに感謝せよ。』
「………待ってください。僕は………」
『それでも罪を償いたいと願うならば新たな命だ………その友の力となり生きよ。』
「!!」
『それだけの価値がある友であろう?………命を賭けて守るが良い。』
そう言い残し、星霊王の気配は完全に消え、そして上空に打ち上がった滝の水も元通りになった。
「………だってさ。」
「……………!!」
号泣していたロキだが、その表情からは憑き物が取れ、晴れやかな笑顔だった。そしてその笑顔に負けない光がロキの背後から差し込んだ。そこにあったのは光の開いた扉、ロキを3年ぶりの星霊界に帰す扉だった。
「ありがとう………そしてよろしく。今度は僕が君の力になるよ。」
「こちらこそ。」
そしてロキは光の扉に吸い込まれて行くように消え、その代わりに一本の鍵………ロキ、もといレオを喚ぶ為の獅子宮の鍵がルーシィの手に収まった。
「……………。」
すると、リュークが背中から倒れ込み、紋章士マルスとの"エンゲージ"を解除した。
「ぶはぁぁぁ………疲れたぁぁぁ………」
「だ、大丈夫!?」
「どの口が言うんだ………何か連鎖召喚みたいなのであれだけの紋章士を顕現なんて………小さい頃に2人顕現したら魔力欠乏症になって死にかけて以来、複数顕現をした事無かったのに………」
「ごめんごめん………そう言えば、星霊王が"あの者の倅"って………」
「ああ、母さんの事か。昔、星霊界に行った事も星霊王に会った事もあるらしいんだ。」
「星霊界に!?生の人間で!?」
「魔力量がとんでもなかったから強引に成立させたみたい。俺の5から10倍くらいかな?」
「り、リュークの5倍以上!?そこまで行くと人の域を超えてない!?」
「その代わり武器の扱いはダメダメだったんだけどね………さて。」
と言って、リュークは重い腰を上げた。
「そろそろ帰ろうか。」
「ええー、もう少し休まない?」
「そろそろ戻らないと帰る途中で寝てしまう自信があるんだけど………」
「ええーっ、そんなの起き上がるしか無いじゃない………」
そう言ってルーシィも重い腰を上げ、帰路についた。その結果、ギルドに戻った瞬間にリュークはばたりと倒れその場で寝始めたのだった。
続く
・ルーシィの現時点の武器の技量
まだ武器に振り回されているが、"エンゲージ"状態なら形にはなって普通に戦えている。無双に出てくるような雑魚程度ならそこ苦労せずに戦えるレベル。
・???
リュークの母親。リュークの5から10倍程の桁違いの魔力を有し、本来なら星霊のサポート無しではいられない星霊界で自身を保てる程である。しかし武器の扱いも桁違いにダメダメで、"エンゲージ"状態で無い素人のルーシィや、鍋を頭に被ってオドオドしながら槍を構える戦闘力5の村人が達人に見えるレベル。
今後出番があるかも………?
次回は楽園の塔に行きます。