FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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今回から楽園の塔編に入ります。


22章 水面に映るは

「海だーーーっ!!」

「海ーーー!!」

「あいさーっ!!」

 

海水浴客で賑わう、王国有数のビーチであるアカネビーチ。そこに、妖精の尻尾最強チームの面々も水着に着替え遊びに来ていた。

 

「ロキには感謝だな。ビーチで楽しんだ後はリゾートホテルに泊まれるのだからな。」

 

彼らがアカネビーチに来ているのはロキのおかげだった。

自分が星霊であり、それもルーシィの星霊となった事を明かしたロキ。3年の内にコツを掴んだのか、それとも元々強力な星霊だからなのか、一定時間であれば単独で顕現し行動する事が可能なのでギルドに籍を置いたままにしてたまに単独で仕事も受けるつもりでいる彼だが基本的にはルーシィの星霊として生きる道を選んでいた。

すると、元々ガールフレンドを誘う為に取っていたリゾートホテルのチケットが彼にとっては無用な長物となってしまったのだ。だが捨てるのも勿体ない、という事で所有者であるルーシィと、そのチームメイトに譲ったのが経緯であった。

 

「見ろよこの水!!めっちゃ透明だ!!」

「うおおっ、スゲェ!!」

「グレイ海パンはこーよ。」

「この透明度で裸はマズいよね………」

 

綺麗で透明な海水に喜びはしゃぎながら泳ぎ倒し、

 

「右右。」

「もっと左だって。」

「上上。」

「上って………」

「今だ、→↓↘にパンチだよルーシィ。」

「ちょっと待ってハッピー、何その指示?何させようとしてるの?」

「そこ!!」

「よーし、えい!!」

「ZZZ………ホ"ッ"!?ホーッ、ホーッ!!」

「ええっ、フェルト!?ごめんなさーい!!」

 

スイカ割りではルーシィがナツ、グレイ、ハッピーの指示でスイカでは無くその横で寝ていたフェルトに誘導して叩かせ、ルーシィは怒ったフェルトに追いかけられる羽目に。

 

「あっはははははっ!!」

「ホホーッ!!」

「ご、ごめんな………うぷ。」

 

首謀者がナツだと知ったルーシィとフェルトはナツをジェットスキーに乗せ仕返しに成功。

 

「くらえっ!!」

「なんのっ!!」

「それっ!!」

「おおらぁっ!!」

「へっ、残念だな!!アウトだ!!」

「いーや、今のは入ってる!!」

「審判、リクエストだ!!」

「もぐもぐ………へ!?俺審判だったの!?しかもリクエスト制度も聞いてないけど!?」

 

負けず嫌いだらけのビーチバレーでは白熱した戦いが繰り広げられ、呑気に海の家で買ったグルメを堪能していたリュークは超人バレーの審判に駆り出された。

 

「ゲームセット!!ナツ・エルザペアの勝ち!!」

「よっしゃあ!!」

「納得行くかよこんなの!!3ゲーム勝負だ!!こっから2ゲーム取って逆転してやる!!」

「上等だグレイこの野郎!!」

「そろそろギアを上げるとしよう………」

「星霊や紋章士を出すのは反則かな………?」

「魔法を使うのは勝手だけど、周りの客は吹き飛ばさないでね………」

「ホーッ。」

 

こうして一行はアカネビーチを日が暮れるまで1日中、心ゆくまで満喫したのだった。

 

==========

 

その後ホテルに入った一行。

 

「しっかし広いなぁ………」

「ホホッ。」

 

リュークはホテルを散策し、売店やレストランを見て回っていた。

 

「結構回ったつもりだけど………まだまだだねこの感じ。全部回るだけで1日が終わりそうだけど、それを勿体ないと感じるとは贅沢な悩みだなぁ。」

 

普段来ないような高級リゾートホテルの散策を楽しんでいたリューク。

 

「………今日のところはそろそろ切り上げるか。皆は確か地下のカジノに向かったんだっけ?」

「ホー。」

「じゃあ行こうか。地下への階段は………」

 

と、カジノへ続く階段を探したリューク。だがその時、フェルトが身震いをした。

 

「………?」

「どうした、フェルト?」

「………ホーッ!!」

「何があった!?」

 

リュークに答えるように、フェルトは"視覚共有"を行った。

 

「地下のカジノで………戦闘!?」

 

フェルトがリュークに見せたもの。それは透視魔法で見た地下のカジノで戦闘が起きている光景だった。

 

「行くぞフェルト!!"視覚共有"はそのまま、状況を把握しながら向かうぞ!!」

「ホホーッ!!」

 

==========

 

その頃カジノでは。角ばったスーツ姿の男の銃で口に弾丸を撃ち込まれたナツに、周囲を暗闇にする魔法を使うターバン男によって倒されたグレイと、そんなグレイを追って来ていた元幽鬼の支配者のジュビア、猫耳の少女の出した魔法のチューブに縛られ締め付けられていたルーシィ、そしてホスト風の男によってカードに閉じ込められた客がいた。

 

「ショウ、ミリアーナ、ウォーリー、シモン………」

「エルザ………こいつら、何なの!?姉さん、って呼ばれていたけどどういう事なの!?」

「………本当の弟では無い。かつての………妖精の尻尾に入る以前の仲間だ。だが………何故、ここに………?」

「アンタを連れ戻しにサ。」

「みゃあ。」

「……………」

「帰ろう、姉さん。」

 

言葉こそ優しいものだったが、エルザの仲間だと言う一味は物騒な雰囲気を纏っていた。その証拠に、角ばった男ウォーリーは縛られ動けないルーシィに銃を向けた。

 

「言う事聞いてくれねぇとヨ………」

「ひっ!!」

「よっ、よせ!!頼む、やめてくれ!!」

 

するとウォーリーが自分の右腕を分解してエルザの背後に出現させ、睡眠弾を発射。

 

「うっ………く………」

「エルザ!!」

「任務完了。後は"楽園の塔"へ………」

「(楽園の、塔………?何それ………?)」

 

後は帰還するだけ、と眠りについたエルザを受け止めたターバン男のシモンが言おうとしたその瞬間、1本の矢がシモンの目の前を掠めた。

 

「そこまでだ!!」

「リューク!!」

 

"鉄の弓"を構えたリュークとフェルトが、紋章士マルスを携えて現れたのはこのタイミングだった。

 

「………"青燎"か。厄介な………」

「マルス!!」

『任せてくれ!!』

 

紋章士マルスと"エンゲージ"したリュークは"鉄の弓"から"ファルシオン"に持ち替え突撃。

 

「邪魔者は、ダンディに消してやるゼ。」

「みゃあ、元気最強!!」

 

それを止めようとウォーリーと、猫耳の少女ミリアーナがそれぞれ銃と魔法を封じるチューブを射出。

 

『………見切った!!』

 

だがリュークは更にギアを上げウォーリーとミリアーナの攻撃を回避。

 

「"闇刹那"!!」

『!!』

 

すると今度はシモンが辺りを暗闇に変えリュークの視界を封じた。

 

「今だ。」

「お前をカードに閉じ込めてしまえば邪魔者はいなくなる………!!」

 

そしてその隙にホスト風の男ショウがリュークの背後に回り、他の客と同じようにカードに閉じ込めようと接近した。

 

『そこか。』

「!?」

 

だが次の瞬間。ショウはリュークと"目が合い"、一瞬怯んだ。そしてその一瞬の隙を突いてリュークは強烈な突きを外さず当てた。

 

「ぐっ、何故見えている!?」

『残念だったね。梟は夜目が利くんだよ。』

「……………!!」

 

その理由はリュークと"視覚共有"を行っているフェルト。他の梟と同様に、伝書梟のフェルトも夜目が利くのでシモンの"闇刹那"の影響を受けずリュークは満足に動けていた。そしてそのままルーシィに接近して彼女を縛っていたチューブを切ると再び全速力で駆け出した。

 

『この暗闇もろとも払ってみせる………!!エルザは、返して貰うぞ!!』

「!!」

『"スターラッシュ"!!』

 

そしてシモンが回避行動を取る前に間合いに入り、神速の9連撃を繰り出したリューク。

 

「"トリック"。」

 

しかしリュークの剣が届く、そのほんのコンマ数秒前。その場にいなかった者の短い一言が聞こえたかと思うとシモンの姿が消え、代わりにリュークよりも大きい盾が現れた。

 

『!?』

 

盾が剣戟を弾く、小気味よい金属音が9回鳴り響き、攻撃が失敗したと即座に理解したリュークは驚きを抑え込み共に距離を取った。

 

『大盾持ちの新手、重装騎士か………!!』

 

リュークは即座に重装騎士に有効な"レイピア"に切り替え構え直した。

 

「なるほど。これが"青燎"と呼ばれた男の力。………"成長されましたな"。」

『は?』

 

すると、リュークの"スターラッシュ"を受け切った男は大盾をしまった。そこにいたのは、正に"老騎士"と形容する他ない佇まいの、鎧に身を包んだ老齢の男だった。

 

『な………っ!?』

 

その老騎士を見て驚愕の表情を見せたリューク。そして、その後ろでルーシィは別のところに驚いていた。それは老騎士の後ろに、"青い炎を纏った"人が控えていたからである。

 

「そんな………!!あれって、紋章士………!?」

『俺様の正体を一発で当てるとは、どんな奴かと思ったら………これは驚いた、ハートフィリア家の人間か。』

 

軽業師(トリックスター)の衣装を着た美青年の紋章士は、己の存在を看破したルーシィを見て驚き半分、感心半分の表情を見せた。

 

「本人も紋章士の指輪を所持している様子、間違い無いでしょうな。しかし随分な巡り合わせな事だ。………さて、挨拶が遅れましたな。お久しぶりでございます………随分と成長されたようで何よりです、"若様"。」

「"若様"………?」

『………久しぶりだね、アーロン。それにユーリスも、お久しぶりです。』

 

老騎士アーロンと、彼の側にいる紋章士ユーリスに挨拶を交わしたリューク。しかし、言葉と裏腹にリュークは敵愾心をあらわにし、"レイピア"を向けた。

 

『何故邪魔をした?』

「………。」

『俺を若様と、そう呼ぶのなら、何を言いたいか分かるな?』

「………ええ。ですが、それできませぬ。彼らが、今の儂の仲間であるが故に。」

『………そうか。よーく分かった。』

 

するとリュークは踏み込み、アーロンに斬り込んだ。

 

『ならば押し通ってエルザを取り戻す!!』

「………ユーリス殿。」

『ああ。"トリック"。』

 

それに対し、紋章士ユーリスが指を鳴らすとアーロンもろともリュークの目の前から姿を消し、代わりにミリアーナが現れた。自分と味方の位置を入れ替える紋章士ユーリスのスキル、"トリック"である。

 

「みゃあ、今度は外さないよ!!」

『!!』

「"ネ拘束チューブ"!!」

 

そしてミリアーナの放ったチューブはリュークの右腕に巻き付くとリュークの"エンゲージ"は解除された。

 

「ちっ、魔封じか!!」

「魔法が使えなければ避けられまい。」

「!!」

「グッバイ、ボーイ。」

「そうは行く、かよっ!!」

 

ミリアーナのチューブにより魔法を解除されたところにウォーリーが銃口を向けた。だがリュークはミリアーナのチューブを逆に引っ張り、ミリアーナを自分の前に引き摺り出した。

 

「ちっ、ダンディじゃない真似を!!」

「知るか!!それに、武器が無ければ戦えないとでも思ったか!!」

「みゃあっ!?」

「ぐほっ!?」

 

ミリアーナが間に入った事で銃口を一度下ろしたウォーリー。その隙にリュークはミリアーナをウォーリー目掛けて正拳突きで突き飛ばし、飛ばされたミリアーナはウォーリーを巻き込んで床を転がった。

 

「面倒くさいなぁ………!!それより、アーロンは………!!」

貫撃け(つらぬけ)、鉄騎の紋章士(エムブレム)………レギン殿。」

『………リュークには申し訳無いけど………分かったの!!』

「レギン!?うそだろまさか………!!」

「"エムブレム・エンゲージ"。」

 

腕に巻き付いたチューブをほどこうとしながらアーロンを探したリューク。そのアーロンは紋章士ユーリスから騎馬に似せた機械仕掛けの鎧を纏った小人の紋章士、レギンに切り替え、"エンゲージ"状態に。

 

『こちらの目的の為、若様言えど眠っていただきます………"ハゥリングギア"。』

「まずい………!!」

 

"エンゲージ"し、紋章士レギンの鉄の騎馬、グリンブルスティを纏ったアーロンはそれに付いている砲門を一斉にリュークへと向けた。そして間もなくその全てから魔弾が一斉掃射され直ちに爆発と爆炎を巻き起こした。魔封じのチューブが巻き付いたままのリュークはその砲撃をまともに食らい、無事ではすまない………かと思われた。

 

『………間に合った!!』

「………助かった。ありがとう、ルーシィ。」

 

ようやくチューブをほどいたリュークの前に、紋章士フィヨルムと"エンゲージ"したルーシィが"護り手"で滑り込み、"氷壁"と"氷の聖鏡"による最大防御でアーロンの砲撃を防ぎ切った。

 

『だけど………。』

「………逃げられたか。」

 

砲撃で砕かれた"氷壁"の先に敵の姿は無かった。そして、エルザの姿も。それを見たリュークはほどいたチューブを地面に叩き付けた。

 

「あの馬鹿がッ!!室内で砲撃ぶっ放すか普通!?」

『リューク?………って、それより他の皆は!?』

 

仲間の安否確認に入ったリュークとルーシィ。すると天井に退避していたフェルトが降りてきた。

 

「フェルトは無事、最後まで居場所を悟られず良かったよ。次は………」

『ちょっとグレイ!?嘘でしょ!?ねぇ、ちょっと!!』

 

ルーシィが見つけたのは瓦礫が突き刺さったまま動かないグレイ。そんなグレイにルーシィが起こそうと揺すると、氷となって砕け散った。

 

『きゃあああっ!?』

「安心してください。」

「!?」

 

砕けたグレイの横にできていた水たまりから人が出てきた。

 

『あ、あんたは………!?』

「ファントムのジュビア?何故こんな所に………?」

 

水たまりからジュビアが出てきたかと思うと、さらにジュビアの中からグレイが出て来た。

 

「グレイ様はジュビアの中にいました。」

「ぶはーっ!!」

『な、中………あは、あはは。』

「あなたではなく、私の中です。」

『う、うん?そう、ね………?』

 

砕けたグレイは氷の身代わりであり、その間にジュビアが水の身体に引きずり込んで隠したのであった。尚グレイは氷の身代わりで相手を油断させた所に奇襲を仕掛けるつもりでジュビアの行為をありがた迷惑と受け取り、ジュビアはショックを受けていた。

 

「それよりナツとエルザはどこだ?」

「ハッピーもいないな………」

『ナツとハッピーは分からない。エルザは………』

「………敵に攫われた。何の因縁があるかは知らないけど………そして、あいつが何の関係が………」

 

すると、突然炎柱が上がった。

 

「痛ェーーーッ!!」

 

炎柱を上げたナツは悲鳴と追加の炎をあげながらジタバタして起き上がった。

 

「普通口の中に鉛玉ぶち込むかフツー!?痛えだろ!?下手すりゃ大ケガだぞ!!」

『普通なら魔法使っていようがアウトなんだけど………』

「あんの四角野郎………!!逃がすかコラァァァーーー!!」

 

そう叫ぶとナツは外へ走り出してしまった。

 

「っ、追うぞ!!」

『追うって言ってもどこへ………』

「あいつの鼻は獣以上だ!!今はあいつの嗅覚に頼るしかねぇ!!」

 

そう言いグレイ、ルーシィ、ジュビア、リュークとフェルトの順にナツを追いかけてカジノを出て、そのまま海へと走り出した。

 

 

続く




という訳で、主人公リュークとその相棒フェルト、オリキャラ………というよりはクロスオーバー先のキャラであるアンナに続くオリキャラの登場です。

・アーロン
【性別】男
【誕生日】6の月4の日
【身長】193cm
【初期兵種】公爵(デューク)(全武器種レベルSSの最上級職)
【来歴】
正に"老騎士"といった佇まいの老齢の男。
紋章士を携え、更にリュークの事を知っているようだが………
【CV】山路和弘

彼の正体は次回判明します。そして、敵で出てくるキャラとして初めて紋章士持ちのキャラです。とりあえず今回はユーリス(風花雪月のDLCキャラ)とレギン(ヒーローズ5部メインキャラ)が出ましたが、顔見せ程度でろくにスキル使ってないので紹介は次回以降で活躍した時にします。また、彼の持っている他の紋章士も次回までに出る予定ですのでお楽しみに。
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