FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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パカラッ、パカラッ、パカラッ………

はあぁ!!(唐突な攻撃)
せやぁ!!(隙を生じぬ2回攻撃)
タイトルで若干ネタバレになってしまったこと、どうかお許しいただきたい(利根健太朗ボイス)

パカラッ、パカラッ、パカラッ………


23章 師弟

アカネビーチに遊びに来ていたところ、"かつての仲間"を名乗る集団にエルザを攫われた妖精の尻尾最強チーム。エルザと、時を同じくして攫われたハッピーを奪還する為一行はグレイを追いかけ同じ場所に居合わせたジュビアを仲間に加え海に出た。

 

「どこだよここは!?」

「ジュビア達迷ってしまったんでしょうか?」

「ねぇ………ナツ、本当にこっちであってんの?」

「お、おお………おお………」

「オメーの鼻を頼りに来たんだぞ、しっかりしやがれ!!」

「グレイ様の期待を裏切るなんて信じられません。」

 

エルザや敵の匂いをナツが嗅ぎ取り、それを追って海に出た一行だが肝心のナツが乗り物酔いでダウンしておりだだっ広い沖に遭難しているも同然の状態で一行は不安になり始めていた。

 

「ホーッ。ホホー………」

『私もダメね。まだ陸地は見えないわ………』

「……………。」

 

フェルトが上空から偵察をしたり、草原暮らしで視力のいい紋章士リンも陸地を探していたが、今のところ収穫は無し。そしてリュークはボートの最後尾で考え事をしたまま黙り込んでいた。

 

『リューク、アーロンの事かしら?』

「………ええ。エルザのかつての仲間、そこにあいつがいた理由がサッパリです。」

「そう言えばあのおじいさんを知ってるの?紋章士を出してたし、思い返せば紋章士の方もリュークの事を知っていたみたいだけど。」

「………。」

 

リュークは一息ついてから話し始めた。

 

「お祖父さんと母さんの2代に渡り仕えた………執事?騎士?まぁそんな感じの人であり、そして俺にとっては武器の扱いや戦術………戦い方を教えてくれた"師匠"だ。」

「リュークの、師匠………」

「だが、随分と前に隠居して武器を置いたはずなんだけど………今更何をしている?」

 

そのまま考え込むリューク。すると、フェルトと紋章士リンが同時に反応した。

 

「ホッ!!」

『見えたわ!!』

 

紋章士リンが声をあげながら指を差した先。そこには海の真ん中の小島にそびえ立つ塔が見えた。

 

「塔だ………あれが、楽園の塔?」

 

==========

 

楽園の塔が立つ小島に上陸した一行。しかしすぐに塔に突撃、とはいかなかった。

 

「見張りが多いな。」

「塔の入口までで50以上、いや100近くはいるな………」

「気にする事ァねぇ!!突撃だ!!」

「ダメよ!!エルザとハッピーが捕まってるんだから、ヘタな事をしたらエルザ達に危険が及ぶわ。」

「抜け道を探したいところだが、迂闊にフェルトを飛ばせないしな………」

 

すると、背後の水面からジュビアが顔を出した。

 

「ジュビアは水中から塔の地下への抜け道を見つけました。」

「マジか、でかした!!」

「褒められました………あなたでは無くジュビアが、です。」

「はいはい。」

 

何故かルーシィに対抗意識を見せるジュビアはでも、と付け加えた。

 

「10分程水中を進みますが息は平気でしょうか?」

「10分くらいなんともねーよ。」

「だな。」

「無理に決まってんでしょ!!」

「俺はともかくフェルトは無理だな。」

「ホー。」

 

するとジュビアは水の玉を人数分作り渡した。

 

「これを被ってください。酸素を水で閉じ込めてあるので水中でも息ができます。」

「おおー、てかお前誰だ?」

「そうか、ナツはあの戦いで会ってないのか………」

 

即席の酸素マスクを手に入れた一行はジュビアの案内で地下の抜け道を泳いで通った。

 

==========

 

約10分後、抜け道を泳ぎきった一行は無事塔の真下に到達。

 

「便利ねコレ、ちょっとマヌケだけど。」

「ルーシィさんのだけちょっと小さめに作ったのによく息が続きましたね。」

「オイオイ!!」

 

そうしていると、

 

「何だ貴様らは!?」

 

地下を巡回していた衛兵が一行に気づき、瞬く間に数十人の衛兵が集まって来たのだった。

 

「やばっ!!」

「ここまで来たらやるしかねぇだろ。」

「はい!!」

「フェルトは敵の増援が来ないか見張っててくれ!!」

「ホーッ!!」

 

各自戦闘準備に入る中、最初に動いたのは炎を纏ったナツだった。

 

「何だ貴様らは、だぁ!?上等くれた相手も知らねえのか!?妖精の尻尾だバカヤロウ!!」

 

両手の炎で先頭集団の敵兵を纏めて吹き飛ばしたナツ。

 

「ひぇっ!!………開け、巨蟹宮の扉、キャンサー!!そして、瞬閃ろ(かけぬけろ)、双影の紋章士(エムブレム)、シェズ!!」

「久しぶりエビ!!」

『一掃するわ、任せて!!』

 

剣で斬り掛かって来た衛兵を受身で避けたルーシィは起き上がり際にキャンサーと紋章士シェズを召喚し撃退。

 

「……………。」

「げっ!?何だこいつ!?」

「"水流斬破(ウォータースライサー)"!!」

 

水になって斬撃を流したジュビアは逆に水の刃でまとめて切り払い。

 

「"アイスメイク・大槌兵(ハンマー)"!!」

 

グレイは氷の造形魔法による大槌で複数の敵を叩き潰し。

 

「『ぬぅん!!』」

 

アクスファイターに"クラスチェンジ"し"鋼の大斧"を持ったリュークは、"ウルヴァン"を携えた紋章士アイクと共に敵の攻撃をまとめて受け止め、薙ぎ払った。

 

『何故俺の前に立った?』

「根本の構えがなってない………アーロンの手解きを受けたって訳では無さそうだな。」

 

程無くして地下にいた衛兵を難無く突破した一行。すると上に続く扉が開いた。

 

「何か扉が開いたぞ!?」

「上へ来い………ってか?」

「罠かもしれませんが………」

「行くしか無いわね。」

 

そう言って一人ずつハシゴを上がって扉を抜ける一行。だがリュークはその場を動こうとしなかった。

 

「リューク?」

「先行っててくれ。すぐ追いかける。」

「………分かった。」

 

リュークはその場に残り、味方がハシゴを上がり切るのを見届けた。するとリュークはアーチャーに"クラスチェンジ"し"長弓"を手に取り、矢を番えた。

 

「出て来い。」

 

そう短く言いながら狙いを定めたその先には、地下の岩陰に隠れた老騎士アーロンの姿があった。

 

「よく気づきましたな、若様。」

「その紋章士の気配を消すスキルは味方がいて初めて発揮されるスキルだ………カジノの時みたいにね。違いますか?近衛の紋章士(エムブレム)、"語られざる影の英雄"、クリス。」

 

リュークに答えるように、アーロンの隣に大剣を背負った青髪の青年の紋章士が現れた。

 

『お見事。そこまで見抜かれていたのならば俺の出番はここまでかな。』

「………流石は若様。一族の人間で最も紋章士を知り、その力を最も引き出した者と言われただけはある。」

「………そいつに刃を向け、さらにその仲間をさらった無礼者はどこのどいつだ?」

「……………」

「あなたの事だ。事情があるんだろうけど、そもそも問答無用で砲撃ぶっ放すような奴が話を聞いてくれると思うなよ?」

「この儂を倒すつもりですか?若様に戦いを教えたのは誰か、忘れた訳ではあるまい?」

「師は越えるもの、と俺に教えたのは他でもないあなただ………これからお前を叩き潰す、その後は全て話して貰うぞ。」

 

そう言い、リュークとアーロンはお互いに指輪を取り出した。

 

==========

 

「………面白い。」

 

楽園の塔、最上階。玉座に座り、フードを被った男がチェス盤の上に置かれたいくつかの駒をいじりながらニヤリと笑っていた。

 

「やはりか。"青燎"とアーロン、同じ魔法なのは知っていたが師弟関係とはな。興味深い、そのまま争うがいい………そして、"(うろ)"の正体を見せるがいい。」

 

==========

 

統修めよ(おさめよ)、三鼎の紋章士(エムブレム)!!」

 

先に紋章士を顕現したリュークの側に現れたのは学生服姿の男女3人組。

 

『自分の(せんせい)を越える為に呼び出したのが私達とはね………』

『負けるつもりは微塵も無いが………』

『どちらかと言えば俺達は先生がいないとダメだった側の人選だ。縁起悪くないか?』

「揃って縁起だの何だのって、そう言うの気にしないですよね?それは相手も同じ。師を倒す為に最適だったのがあなた達だっただけの話です。………お願いします。エーデルガルト、ディミトリ、クロード。」

『ええ、進むわよ!!』

『切り込むぞ!!』

『じゃ、行こうか!!』

 

紋章士ベレトの教え子にして、それぞれの国を将来率いる身の3人の学生、エーデルガルト、ディミトリ、クロードの三級長を紋章士として顕現したリューク。

 

「では、こちらも行くとしましょう。鼎翔け(はばたけ)、白翼の紋章士(エムブレム)。」

 

そして紋章士を顕現すると、3騎の天馬騎士。パオラ、カチュア、エストの三姉妹が現れた。

 

「お願い致します。パオラ殿、カチュア殿、エスト殿。」

『お任せください。行きましょう、カチュア、エスト。』

「………では、準備はできましたかな、若様?」

「………来い。」

 

紋章士エーデルガルトを残し、"キラーアクス"を手にして構えたリューク。そして紋章士カチュアを残し、"銀の槍"を手に飛び上がったアーロン。

 

「参る!!」

 

アーロンは紋章士カチュアのペガサスに乗り、急降下をしてから低空飛行で突撃。

 

「叩き伏せる!!」

 

それに対してリュークは真っ向から"キラーアクス"を振るい応戦。アーロンの"銀の槍"を弾いた。

 

「これで終わらせる!!」

「甘い!!」

 

追撃の振り下ろしを繰り出したリュークだが、アーロンは即座に飛び上がりリュークの攻撃を回避。

 

「パオラ殿!!」

 

そして顕現する紋章士を紋章士カチュアから紋章士パオラへと切り替えると"アクスバスター"に切り替え再度降下攻撃を繰り出した。

 

「ふんっ!!」

「ぐ………っ!!」

 

それを再び"キラーアクス"で受け止めたリューク。しかし、先程の攻撃より重い上に斧殺しの槍の相性が上回り、今度はリュークの"キラーアクス"が弾かれた。

 

「貰った!!」

「そうは行くか!!」

 

だが今度はリュークが顕現する紋章士を紋章士エーデルガルトから紋章士ディミトリに切り替えると"銀の槍"で真っ向からアーロンの攻撃を受け止めると、純粋な力で"アクスバスター"を粉砕。

 

「!!」

「これをかわせるか!?」

「エスト殿!!」

 

再度間合いを取ろうとしたアーロンの進行方向を読み、"銀の槍"を投げたリューク。だがアーロンは紋章士エストに切り替えると先程以上の速さで飛び抜け、リュークの投擲をかわすと切り返してリュークの真上から最高速度で再突撃。

 

「見切れるものなら見切ってみよ!!」

「見切る?」

 

するとリュークは紋章士クロードに切り替え"キラーボウ"に持ち替えると弓を引き絞った。

 

「この時を待っていた!!」

「!!」

「最高速度で急には曲がれまい!!」

 

ペガサスの天敵である弓矢で狙いを定めたリュークは渾身の一射を真上から最高速度で突っ込むアーロンに放った。

 

「甘いと言っている!!」

 

だがリュークの目論見に反してアーロンはひらりと矢をかわした。

 

「仕留めてくれる!!」

「そうは行くかな?」

「!?」

 

矢をかわし、リュークに迫ったアーロン。しかし、その目前で落ちてきた岩の塊に、アーロンは再度の軌道修正を余儀なくされた。リュークの矢は最初から天井の落石を狙った一射だったのだ。

 

「読まれたか。」

「戦闘だけで無く、戦術の腕も磨いているようですな。」

 

斧の得意なエーデルガルト、槍の得意なディミトリ、弓の得意なクロードの三級長をスキル"切磋琢磨"で切り替える"紋章士エーデルガルト"。パワータイプのパオラ、バランスタイプのカチュア、スピードタイプのエストをスキル"三姉妹"で切り替える"紋章士パオラ"。どちらも戦術に明るくないと十全に使いこなせない紋章士であり、それゆえにアーロンはリュークの戦術を褒めたのであった。

 

「………さて、腹の探り合いはおしまいにしましょうか。」

「願ってもない。さっさと片付けて仲間と合流して帰りたいのでね。」

「「"エムブレム・エンゲージ"!!」」

 

同時に"エンゲージ"となったリュークとアーロン。斧、槍、弓のエンゲージ武器を携えたリュークは、2騎のペガサスナイトを携えたアーロンを見上げると弓のエンゲージ武器、"フェイルノート"を取り矢継ぎ早に矢を放った。

 

『"囲いの矢"か。定石ですね。だが………儂だけで良いのですか?』

 

"囲いの矢"でアーロンの動きを止めようとしたリューク。そこに、リュークの左右から2騎のペガサスナイトの幻影が迫った。

 

『っっ、"アイムール"!!』

 

左右に"アイムール"の大斧を振り回し2騎のペガサスナイトを退けたリューク。だがその目の前にアーロンが迫っていた。

 

『隙だらけですぞ。』

『それはどうかな!?"狂嵐"!!』

 

隙の大きい大斧の弱点を打ち消し、隙のない連続行動を可能にする戦技"狂嵐"でアーロンの突撃を受け止め、弾き飛ばした。

 

『ほう………ならばこれはどうですかな!?』

 

するとアーロンは2騎のペガサスナイトと共にリュークの頭上で円を描くように空を旋回し、3方向から一斉にリューク目掛けて降下した。

 

『"白翼トライアングルアタック"!!』

 

主にペガサスナイトの得意とする奥義、トライアングルアタックを元にした紋章士パオラのエンゲージ技を前にリュークは"フェイルノート"と"アイムール"に加え"アラドヴァル"の槍と3つのエンゲージ武器を出すも動かなかった。

 

『……………』

『………!!』

『………鈍ったな?隙ありだ!!』

 

そして3方向からの突撃がギリギリまで迫ったその瞬間。リュークは大ジャンプをすると魔導二輪を出してさらに上空へ上がってアーロン達の上を取り、宙返りをして"フェイルノート"を引き絞った。

 

『はあっ!!』

 

そして矢を雨のように降らせたリューク。飛行特効の不可避の攻撃を前にアーロンの"エンゲージ"と共に現れた2騎のペガサスナイトは消えた。だがリュークの攻撃はこれで終わらなかった。

 

『"連花………』

『ぐ、ぬぅっ!!』

『月風閃"!!』

 

そして上空から"アラドヴァル"の縦薙ぎでアーロンの動きを止め、そこに"アイムール"を振り下ろし地面もろとも砕き土煙を上げた。斧、槍、弓の連続攻撃が紋章士エーデルガルトのエンゲージ技、"連花月風閃"である。

 

「……………。」

 

"連花月風閃"を決めたリュークは"エンゲージ"を解除しながら距離を取り、魔導二輪に乗ったまま"手槍"を構えた。

 

「いい加減、本気を出したらどうだ?それとも、流石のお前でも老いには勝てんか?」

「………随分と言うようになったではありませんか、若様。」

「せっかく久しぶりに会えたんだ、長期戦がお望みならば付き合ってあげるけど………その老体でどこまで粘るかな?」

「そこまで言うのであればお見せしましょう。」

 

リュークとアーロン、2人は同時に懐に手を伸ばすとまもなく青白い光が2人を包んだ。そして光が晴れると同時に、2人は再び紋章士の指輪をかざした。

 

緋断え(きりはらえ)、烈騎の紋章士(エムブレム)。」

「………やはり、その紋章士か。アーロンの切り札、紋章士エリウッド。」

 

顕現されたのはロイに似た、赤髪の騎士姿の青年。それもそのはず、顕現したアーロンの切り札はロイの父親、エリウッドがリンやヘクトルと共に戦った頃の、若かりし姿である。

 

『久しぶりだね。最後に会った頃から随分と成長したみたいだね………身体も、心も。』

「お誉めに授かり光栄です………ですが、今は敵です。」

『敵、か………それはそうかい。』

「………お話はここまでです、エリウッド殿。」

『了解したよ。それじゃ、行こうか。』

「『"エムブレム・エンゲージ"。』」

 

紋章士エリウッドと"エンゲージ"したアーロン。それを見て、リュークも動いた。

 

「見るがいい、アーロン。これが、お前の知らない紋章士の姿だ。」

『………?』

統治めよ(おさめよ)………」

『む………!?』

 

"統治めよ"。紋章士エーデルガルトを顕現する時の呪文、"統修めよ"と読みは同じではあるが続きの言葉から様子が一変する。

 

「蒼月の紋章士(エムブレム)!!」

 

すると紋章士エーデルガルトに宿る3人の内エーデルガルトとクロードが消え、残るディミトリも光り輝いたかと思うと成長途中の学生姿では無く、銀の鎧に青のマントの、王として成長した姿に変わった。

 

『まさか、紋章士の"成長"………!?』

 

学生という、ある意味"未熟"な3人が集まり形成されている紋章士エーデルガルト。その魔力の配分を変える事で王として成長した1人を顕現したのだった。

 

「では、お願いします。ディミトリ。」

『ああ、任せろ。』

「『"エムブレム・エンゲージ"!!』」

 

"獅子王"とも呼ばれた紋章士ディミトリを顕現し、"エンゲージ"したリュークはエンゲージ武器の"グラディウス"を手に取り、即座に投擲した。

 

『ぜぇぇやぁっ!!』

 

紋章士ディミトリ由来の圧倒的な膂力から放たれた"グラディウス"は唸り声をあげながらアーロン目掛けて飛んで行った。

 

『………ぬぅっ!!』

 

受け止める事は不可能と判断したアーロンは回避し、"レイピア"を引き抜くとリュークへ突撃。対してリュークは"ゾルタンの剣"でその突撃を受け止めた。

 

『くっ………"レイピア"で押し込んで来るか、やっぱり無法だな"強化増幅"………!!』

 

紋章士エリウッドの特長である"強化増幅"。他のスキルや武器によるステータス上昇を倍加させるこのスキルでアーロンは、紋章士ディミトリ由来の圧倒的な力で押し込むリュークを細い"レイピア"で抑え込んでいた。

 

『ぬぐっ………"幻月"!!』

『!!』

 

状況を打開する為にリュークは、攻撃しながら背後に回り込む戦技"幻月"でアーロンの裏を取り、武器を"アラドヴァル"に変更。

 

『はあああっ!!』

『ぐっ!?』

『終わりだ!!』

『終わらぬよ!!』

 

"アラドヴァル"の横薙ぎで"レイピア"を弾き飛ばしたリュークは、すぐさま縦に振り下ろし追撃。対してアーロンは咄嗟に一振りの大剣で受け止め、切り返しの一薙ぎを繰り出してリュークに距離を取らせた。

 

『………ようやくだ。』

『ようやく、とは?』

『お前に戦いを教えて貰い、幾度と無く手合わせをしてきたが、今日が初めてだ。………その剣を、俺の力で出させたのは。』

 

アーロンの手に握られているエンゲージ武器の名前は"デュランダル"。"烈火の剣"の異名を持つこの大剣は紋章士エリウッドの切り札であり、同時にアーロンの切り札でもある。

 

『………確かにそうですな。儂に"デュランダル"を使わせた、それは紛れも無く若様が一人の戦士として成長された何よりの動かぬ証拠。』

『……………。』

『ならば、その成長に免じて………貴方のお望み通り、これ以上戦いを長引かせず、我が全霊をかけて貴方を叩き潰しましょう。』

 

"デュランダル"を振り回し、烈火を纏わせてから構え直したアーロン。

 

『望むところ!!』

 

リュークも手先で"アラドヴァル"を回し、穂先に赤黒いオーラを纏わせて構えた。

 

『行くぞ!!』

『参る!!』

 

そして同時に駆け出した2人。それぞれ武器に赤黒いオーラと烈火を迸らせながら距離を縮め、奥義(エンゲージ技)の構えに入った。

 

『おおおっ!!』

『決着をつける!!"烈火紅蓮覇斬"!!』

『………!!』

 

炎の渦巻く"デュランダル"を斬り上げたアーロン。それに対し、真っ直ぐ突撃していたリューク………だが、"デュランダル"の斬り上げが当たる、その直前にリュークは急ブレーキをかけ止まった。

 

『何………っ!?』

 

斬り上げられた"デュランダル"はリュークの顔スレスレを通過し、余波の炎で鼻先に火傷を負った。だが、リュークはニヤリと笑みを浮かべていた。

 

『っっっ………今だッッッ!!』

 

瞬間、渾身のエンゲージ技を外したアーロンの脇腹に特大の風の刃が炸裂した。

 

『ぬぅ………っ!!』

 

アーロンが即座に風の刃の飛んで来た方向を見た。そこには1羽の小さく白いフクロウがいた。

 

「ホーッ!!」

『あのフクロウは………!!』

 

今の今まで身を潜めていた白いフクロウことフェルト。アーロンはその存在に気づいてはいたが、唯一にして最大の誤算はフェルトを"リュークのもう一つの目"としか認識しておらず、戦力としてカウントしていなかった事である。その結果、アーロンは足を踏み換え"アラドヴァル"を振りかぶったリュークの前で隙を晒したのである。

 

『勝機を、掴む!!』

 

アーロンが体勢を立て直す、その前にリュークは渾身の一薙ぎで"デュランダル"を遠くへ弾き飛ばした。さらにそれに終わらず、"アラドヴァル"で連続突きを繰り出し攻め立てた。

 

『ぐは、っ………!!』

『そこを………どけっ!!』

 

そして最後に飛び上がったリュークはトドメの一撃として雷を纏わせた"アラドヴァル"をアーロン目掛けて投擲、命中と同時に爆発を起こしたのだった。薙ぎ払いと連続突きで防御を崩し、渾身の一投で決める。これが紋章士ディミトリのエンゲージ技、"蒼き獅子王"である。

 

『はぁっ………!!』

 

戻って来た"アラドヴァル"を取り、深く息をついたリューク。そのリュークの肩に、フェルトが止まった。

 

「ホー。」

『ありがとう、フェルト。お前がいなければこうも綺麗に崩せなかったよ。さて、と………』

 

"アラドヴァル"をクルクルと回し、アーロンがいる爆煙に向けて構え直したリューク。その爆煙が晴れると、そこには紋章士エリウッドとの"エンゲージ"状態が解除され仰向けで大の字に倒れるアーロンがいた。

 

「………儂の負けですか。」

『………。』

「これが、弟子に越えられるという、気持ちか。」

『………よく言ったものだよ。最初から手加減してたくせに。』

「………何故、そう思いました?」

『レギンの技だよ。』

 

紋章士ディミトリとの"エンゲージ"を解除しつつ、リュークは続けた。

 

「レギンのエンゲージ技、"ハゥリングギア"は本来、砲撃"と"剣による突撃の合わせ技だ。だがあなたは砲撃"しか"して来なかった。そんな事をする理由など、手を抜いていたかボケが進んで忘れたかの2つしか考えられないから。」

「随分と辛辣な物言いだ………だが、その通りでございます。」

 

起き上がり、その場に座ったアーロン。

 

「つまりボケが進行していると?」

「そっちではありません。」

「ホッ!!」

「いてっ。」

 

アーロンが本気で敵対するつもりが無いと判断し、ボケたリュークだがフェルトが翼でリュークの頭をはたきツッコミを入れた。

 

「………で、わざわざ手を抜いた理由は?」

「偶然が重なった結果とは言え、"好機"だったからでございます………強大な魔導士がここに集まる、絶好の好機です。」

「強大な魔導士を?まさか儀式でも始めるつもりか?」

「"向こう"はそう思っていましょうな………儂や、シモンが倒そうとしている相手は。」

 

すると、アーロンは指を額に当てた。

 

「シモンか。ああ、こちらも終わった。合流するとしよう。」

「………思念伝達魔法か?」

「その通りです。向こうも若様の味方と合流したようだ。そろそろ行きましょう。」

 

起き上がり、他の皆と合流しようと歩き始めたアーロン。リュークはそれについていきながら次の質問を投げかけた。

 

「歩きながらでいい、次の質問だ。あの連中………そして、エルザと。何の関係なのか、そこが一番分からない。」

「………で、ありましょうな。儂が"里"を離れてから何があって、どうしてここに辿り着いたのか。話が長くなりますが、よいですか?」

「聞かせてくれ。………残り少ない"同胞"があの後どう生きたのかを、俺は聞きたい。」

 

リュークの言葉を聞き、話そうとしたアーロン。すると、壁と言う壁が変化し、無数の口が現れた。

 

《ようこそ皆さん、楽園の塔へ。》

「ジェラールか。」

「………この声。聞き覚えが………」

《俺はジェラール。この塔の支配者だ。互いの駒は揃った、そろそろ始めようじゃないか………"楽園ゲーム"を。》

「"楽園ゲーム"………?」

《ルールは簡単だ。俺はエルザを生贄にゼレフ復活の儀を行いたい………すなわち楽園への扉が開けば俺の勝ち。そしてそれを阻止できればそちらの勝ち。ただ、それだけでは面白くないのでこちらは3人の戦士を配置する。俺の所まで辿り着きたければその3人を倒す事だ。》

「ゼレフ、復活………」

 

そして声の主、ジェラールは続けた。

 

《最後に1つ、特別ルールだ。評議院が衛星魔法陣(サテライトスクエア)で攻撃する可能性がある。全てを消滅させる究極の破壊魔法、"エーテリオン"だ。》

「"エーテリオン"、だと………!?」

「……………。」

《残り時間は不明………しかし"エーテリオン"の落ちる時。それは全員の死、勝者の無いゲームオーバーを意味する。》

 

衝撃の事実を告げ、ジェラールは言葉を締めた。

 

《さぁ、楽しもう。》

 

そして壁に浮かんだ口は消えた。すると、リュークは歩き始めた。

 

「………何も分からないが、分かった。アーロン。」

「何でしょうか。」

「このジェラールを倒せば、事は解決するって認識でいいか?」

「………はい。」

「了解した。行こう、アーロン。今度は共に戦おう!!」

「はっ!!」

 

 

続く




さーて今回はまとめる事多いぞぉ!!

・"統治めよ(おさめよ)"
紋章士エーデルガルトの本来の呪文は"統修めよ(おさめよ)"であり、これを唱えると学生時代のエーデルガルト、ディミトリ、クロードの3級長が代わりばんこで出てくるが、"統治めよ"で唱えると2部(5年後)の姿の3級長が1人現れるようになる。
"統治めよ"の後に、
紅花の紋章士と唱えるとエーデルガルトが、
蒼月の紋章士と唱えるとディミトリが、
翠風の紋章士と唱えるとクロードが、
それぞれカイゼリン、マスターロード、バルバロッサの姿(最上級職の姿=総選挙Ver.の姿)で出てきます。
それぞれの性能は以下の通りです、

◎エーデルガルト(加隈亜衣)
◯シンクロスキル:
・閃花
与ダメージ%で相手はフリーズ状態
・猛火計
戦闘後に周囲を炎上
・遊撃
ターン開始時、隣接している味方がいない場合移動+1、かつ地形による移動の影響を受けない
◯エンゲージスキル:
・黒鷲の覇王
追撃ダメージを50%軽減
◯エンゲージ武器:
・ラブラウンダ(斧、射程1)
毎ターン回復
・セイロスの剣(剣、射程1)
技%で与ダメージの50%回復
・アイムール(斧、射程1)
◯エンゲージ技:
・紅花狂嵐
攻撃後、再行動
◯Style Bonus:
・竜族=アイムール
威力×110%
・重装=黒鷲の覇王
追撃ダメージを80%軽減
・連携=猛火計
威力×110%

◎ディミトリ(石川界人)
◯シンクロスキル:
・幻月
戦闘後、相手のマスの反対側に移動する戦技"幻月"を使用可能
・聖盾の構え
遠距離攻撃の初撃を無効化
・脅嚇
ターン開始時、周囲5マスの一番近い敵の攻撃、守備-5。スキル発動時、自分の攻撃、守備+5
◯エンゲージスキル:
・蒼の獅子王
守備が敵より高い時、守備の差×4%のダメージ軽減(最大40%)
◯エンゲージ武器:
・グラディウス(槍、射程1-2)
獲得経験値2倍
・ゾルタンの剣(剣、射程1)
名工の鍛えた高性能な剣
・アラドヴァル(槍、射程1)
◯エンゲージ技:
・蒼月無惨
相手の守備を無視した強力な一撃
◯Style Bonus:
・竜族=アラドヴァル
威力×110%
・騎馬=聖盾の構え
遠距離攻撃を2回無効化
・連携=蒼の獅子王
敵から攻撃された時、与ダメージの10%回復

◎クロード(豊永利行)
◯シンクロスキル:
・風神
HP100%の時、弓射程+1
・毒矢
戦闘後、敵と周囲を毒状態にする
・牽制
周囲5マスの敵の攻撃、魔力、速さ-2
◯エンゲージスキル:
・卓上の鬼神
周囲5マスの敵の回避-30
◯エンゲージ武器:
・パルティア(弓、射程2)
獲得経験値2倍
・ベガルタの剣(剣、射程1)
毎ターン回復
・フェイルノート(弓、射程2-3)
◯エンゲージ技:
・翠風落星
範囲攻撃後、回避+20
◯Style Bonus:
・竜族=フェイルノート
威力×110%
・飛行=卓上の鬼神
攻撃後、再起動(3マス)
・連携=毒矢
威力×110%

因みに、それぞれのエンゲージ技は無双風花雪月の必殺技をイメージしていただければと思います。

・アーロンの持つ紋章士紹介①
続けてリュークの母親、そして祖父の臣下でありかつ、リュークの戦いの師匠と判明したアーロンの使った2人の紋章士です。

◎パオラ(種田梨沙)(+カチュア(生田目仁美)、エスト(村川梨衣))
◯呪文:鼎翼け(はばたけ)、白翼の紋章士(エムブレム)
◯登場作品:暗黒竜と光の剣、紋章の謎
◯髪色と服の色:白色、白空
◯シンクロスキル:
・三姉妹
三姉妹の中から"シンクロ"する人を変更し、それに応じてステータスが変動
(パオラなら力+5、カチュアは力、速さ+3、エストは速さ+5)
・退魔
異形へのダメージ×130%
・疾風迅雷
敵を撃破時、再行動(1ターンにつき1回)
◯エンゲージスキル:
・編隊飛行
選んでいない2人の姉妹を召喚する
◯エンゲージ武器:
・貫きの槍(槍、射程1)
重装特効
・レディソード(剣、射程1)
女性が装備時、威力が倍増
・白翼の槍(槍、射程1)
編隊飛行で召喚した姉妹、もしくはスタイル:飛行の味方が合わせて3マス以内に2人以上いる時、2回攻撃
◯エンゲージ技:
・白翼トライアングルアタック
3つのエンゲージ武器による3回攻撃
◯Style Bonus:
・竜族=疾風迅雷
1ターンにつき2回発動できる
・飛行=編隊飛行
互いの隣に移動できる
・気功=退魔
異形へのダメージ×180%
◯コンセプト:三姉妹で戦場を飛び回り、連続攻撃で相手を仕留める!!相手に応じて三姉妹を切り替えよう!!

「あートライアングルアタックをどこかに仕込みてぇ〜」という考えと、「紋章士エーデルガルトみたいな複数人で1つの紋章士を考えてぇ〜」の2つが合わさった結果できました。
三姉妹の切り替えは与ダメージや追撃ラインに応じて変更する感じです。また、"編隊飛行"で召喚した姉妹は撃破されるとエンゲージ技の威力が下がるのは注意

◎エリウッド(櫻井孝宏)
◯呪文:緋断え(きりはらえ)、烈騎の紋章士(エムブレム)
◯登場作品:烈火の剣
◯髪色と服の色:橙色、白青
◯シンクロスキル:
・強化増幅
自分の受けているステータス上昇(スキル、武器、アイテム、食事など)を2倍にする
・鬼神の一撃
自分から攻撃する時、力+6
・共謀
隣接した味方とステータス強化を共有する"共謀"コマンドを使用可能("強化増幅"の上昇分は相手に共有されない)
◯エンゲージスキル:
・氷竜の加護
ステータス低下の影響を半減させる
◯エンゲージ武器:
・レイピア(剣、射程1)
騎馬、重装特効
・ニニスの槍(槍、射程1)
竜、獣特効
・デュランダル(剣、射程1)
力+5、竜特効
◯エンゲージ技:
・烈火紅蓮覇斬
攻撃後、周囲の地形効果を無効化する
◯Style Bonus:
・竜族=氷竜の加護
状態異常無効
・騎馬=烈火紅蓮覇斬
威力×110%
・連携=共謀
周囲2マスの味方とステータス上昇を共有
◯コンセプト:"共謀"で味方と一緒に強化し、"強化増幅"でその強化を倍増!!圧倒的なステータスで相手を斬り払え!!

という訳で、アルム同様に原作エンゲージのDLCで来ると予想していたエリウッドですが………こちらも恐らく武器種の都合でヘクトルに譲ったのでしょうかね………リンやヘクトルと比べると個性が薄いからか、何かとロードなのにハブられる不遇なのは昔から………「FE主人公の父親は死ぬ」というジンクス打ち破ってるという意味では稀有な存在なんですけどね。
性能は伝承と総選挙を7:3くらいでブレンドした感じですね。ヒーローズの性能的にはしっかり個性出せてるのでスキル考えるのは楽でした。
そして今回は不発に終わったエンゲージ技の"烈火紅蓮覇斬"ですが………え?「興味無いね。」ですって?さいですか………

残りの紋章士であるユーリス、レギン、そして今回少しだけ登場した新紋章のマイユニットことクリス(男)の活躍はまた次回以降にキャリーオーバーしますが、一言だけ性能をまとめます。
ユーリス:"トリック"などによる攪乱が得意
レギン:砲撃関連のスキル持ち
クリス:敵に狙われにくくなるスキル持ち

となります。残りの紋章士、そして味方になってくれたアーロンの活躍もお楽しみに〜。
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