FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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キリのいいところでまとめて、と思ったらここまで時間かけてしまいました………
どれだけ読者いるかは分かりませんがお詫び申し上げます。




序章 新人戦(前編)

 

フィオーレ王国東方の商業都市マグノリア。交通の要衝に造られたこの街には多くの行商人が行き交い、大小様々な商店や露店が並び、夕方になっても賑わいを見せていた。

 

「えーっと、確かこっちで合ってたよな……?」

「ホーッ。」

「……何のこだわりか分からないけど、もう少し分かりやすい所に構えてもいいと思うんだけどなぁ………」

 

しかし、リュークはフェルトを頭に乗せた状態で大通りの店には目もくれず路地に入り、やがて一軒の民家に着いた。

 

「ようやく辿り着いた。」

 

一見すると普通の民家だが、リュークが中に入るとそこは武器や防具、日用雑貨に掘り出し物などと幅広く商品が並ぶ商店であった。そして間もなく店の奥から、赤いポニーテールの女性が出て来た。

 

「いらっしゃい、リュークにフェルト。」

「例のものは届いてるかな、アンナ?」

「ええ、裏口まで回ってくれるかしら。」

 

赤いポニーテールの店主であるアンナに案内され、裏口に回るとそこには1台の魔導二輪が置いてあった。

 

「はい、ご注文の魔導二輪よ。ご要望通り、乗りながら武器を振り回して戦いやすいようにカスタマイズを施したわ。」

「ありがとう。」

 

騎馬戦のように武器を使いながら運転する事を想定された魔導二輪は、片手でも操作しやすいハンドリングとなっていたり、武器が引っかからないよう無駄なものを省いたカスタマイズがされていた。

 

「それに今回は特別に、新機能も付けたわ。それが……こちら!!」

 

アンナが魔導二輪にまたがり、ギアを変えると魔導二輪が浮き上がった。

 

「おお!!」

「こうしてギアを変えると、飛行できる機能を追加したわ。魔導二輪で飛べたらいいな、なんて言ってたのを思い出して付けたわ。」

「凄いな……思い付きで言っただけなのに。」

「ただ、まだ試作段階だから気をつけてね。その代わり、モニター依頼も兼ねて飛行機能分のお代はいただかないわ。」

「それは助かる、そろそろ所持金が底を尽きそうでね。」

 

アンナは魔導二輪の飛行機能を解除して降りるとリュークと共に店内へ戻り、支払いに移った。

 

「確かに全額受け取ったわ、毎度あり!!それで、早速乗っていく?それとも騎乗戦を意識した模擬訓練でも行う?」

「………あー、その事なんだが、魔導二輪の受け取りは後日にできないかな?」

「構わないけど、どうかしたのかしら?」

 

と、アンナが聞いたが、リュークが答える前に彼女はある事に気付いた。

 

「あら、リューク。左手のそれって………」

 

リュークの左手の甲。そこには新たに、青い尻尾の生えた妖精の紋章があった。そしてリュークの頭でいつの間にか昼寝をしていたフェルトも、黄色い尻尾の生えた妖精の紋章があしらわれた白いスカーフを巻いていた。

 

「あなた達、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ったの?」

「ええ、誘われてね。なので、今までと違って家やら何やらと準備しないといけないんだ………まぁ、後は単純に疲れたからだけど。」

 

==========

 

その日の朝。マグノリアに到着したリュークとフェルトは、ナツとハッピーの案内の下魔導士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)へと案内された。

 

「ここが………」

「あい!!ここがオイラたちのギルド!!」

「フェアリーテイルだ!!」

 

そのままギルドの中へと入っていった一行。見慣れない人間への奇異の目を向けられながらもリュークとフェルトはナツとハッピーに連れられ奥へと進むと、バーカウンターに座る小さな老人の前へと案内された。

 

「じっちゃん、ただいま!!」

「あい!!」

「戻って来たか、ナツ。で、そこの者は?」

「新入りだ!!」

「ナツに誘われて来ました、リュークと申します。そしてこのフクロウは相棒のフェルトです。」

「そうか、リュークにフェルトか。ワシはここのマスターをしておるマカロフじゃ。」

 

挨拶を済ませるや、マカロフはリュークの目を少しの間じっと見た。

 

「………うむ、良かろう。よろしくネ。」

「………入団試験みたいなのがあるものだと思っていましたが。」

「目を見れば分かる。それに、お主を連れて来たナツ(ガキ)を信用するのはマスター(おや)の役割よ。」

「そういう事でしたら、本日よりよろしくお願いします。」

 

存外あっさりと妖精の尻尾への加入が決定したリュークとフェルト。そのままギルドマークをリュークは左手の甲に、フェルトは白いスカーフに付けて貰い正式な一員となった。すると、ナツが早々に声をかけた。

 

「しょうぶだ、リューク!!」

「はい?」

 

==========

 

ギルドの近くの空き地。その中心にはリュークとナツ、そしてナツと同年代の黒髪の少年がいて、その周りをギルドのメンバーやマカロフが囲いながら見ていた。

 

「なんでおまえがいるんだよグレイ!!こいつはオレのあいてだ!!」

「うるせぇよナツ!!新入りの実力はおれがみる!!」

「なぜこうなった。」

 

先日の決着をつけたい、とナツに勝負を挑まれたリューク。しかし、そこに上裸の黒髪の少年グレイが乱入し、一悶着の末同時に相手をする事になってしまったのだった。ギルドのメンバー達は止めるどころかこの状況を楽しんでおり、しまいにはどちらが勝つかと賭け事まで始まる始末であり、リュークに逃げ場は無かった。

 

「しかし、こうなったらやるしか無いか………来い!!」

 

最初に仕掛けてきたのはグレイだった。

 

「"氷造形(アイスメイク)(ランス)"!!」

「"クラスチェンジ"、アクスファイター!!」

 

氷の造形魔法で造られた複数の槍を飛ばして来たグレイ。それに対してリュークはアクスファイターに"クラスチェンジ"し、"手斧"で弾くと投擲して反撃した。

 

「"氷造形(アイスメイク)(シールド)"!!」

「ちっ、ならば!!」

 

氷の盾で防がれたのを見たリュークは今度は接近し、"ハンマー"で砕こうとした。しかしその途中で、リュークは攻撃を中断せざるを得なかった。

 

「おらあっ!!」

「くっ!!」

 

ナツが炎の拳で乱入した事でリュークの突撃にブレーキがかかり、再度距離を取る羽目になった。

 

「おいグレイ!!ぬけがけするな!!」

「うるせぇなナツ。はやいものがちだ。」

「だったらオレがきめてやる!!」

「じょうとうだ!!さきにあいつをたおすのはおれだ!!」

 

口喧嘩の絶えないナツとグレイ。しかし、いざ戦闘となると足を引っ張るどころか絶妙なコンビネーションを発揮し、それがリュークを防戦一方にしていた。

 

「(思ったよりも物理耐性あるな、あの氷。となると本当なら炎を打ちたいけど、ナツが毎回絶妙な位置にいるのがキツイな………)」

 

防戦に徹しつつ思考を巡らせるリューク。その結果、ある結論に行き着いた。

 

「いや、炎を出し渋って二人を相手する方が悪手か。だったら………!!」

 

作戦を決めたリュークはナツとグレイから距離を取り、魔道士に"クラスチェンジ"すると左手の指輪を掲げた。

 

守護れ(まもれ)、響きの紋章士(エムブレム)!!」

 

紋章士マルスの時とは異なる呪文を唱えたリューク。すると指輪の宝石が赤色に輝き、その光と共に白い神官服の赤髪の女性が現れた。

 

『紋章士セリカ、ここに。』

「最初から"エンゲージ"で行きます!!」

『分かったわ、行きましょう!!』

「『"エムブレム・エンゲージ"!!』」

 

すぐさま紋章士セリカと"エンゲージ"したリューク。その手にはエンゲージ武器の一つである赤い魔道書があった。

 

『"ライナロック"!!』

 

次の瞬間、観戦していたギルドの面々は一斉にどよめいた。というのもリュークは"ライナロック"の猛火をナツに撃ったからである。

 

「おおっ!?」

 

そしてナツは飛んで来た猛火を吸い込み、食べ始めた。ナツが炎を食べて強化するのはギルド内では周知の事実であり、突如放たれた完全な利敵行為は炎を食べるのに集中していたナツ以外の思考が一瞬止まった。だが、それがリュークの狙いだった。

 

『敵の前で呆けるとは余裕だね!!』

「なに………おわっ!!」

 

紋章士セリカのスキル"重唱"により、間髪入れずに放たれた第二の"ライナロック"は隙を見せたグレイに直撃した。

 

「くそっ、"氷造形(アイスメイク)戦槌(ハンマー)"!!」

 

反撃として、身の丈を越える氷の大槌を繰り出したグレイはリューク目掛けて振り下ろした。しかし、直撃するその直前にリュークは魔法陣と共に姿を消した。

 

「なっ、どこに……!?」

『俺に……力を!!』

「しまっ!?」

 

"ワープ"による瞬間移動で相手の死角から"ライナロック"を放つ、セリカのエンゲージ技、

 

『"ワープライナ"!!』

「うわあああっ!?」

 

"ワープライナ"の炎はグレイには効果バツグン、グレイをダウンさせたのだった。

 

『一人撃破!!後は……!!』

「前のよりもうまかったぜ、ごちそうさま!!」

『強化してしまったナツをどう対処するか。』

「もえてきたぁーーっ!!」

 

ナツが炎を食べるのに忙しい間の速攻でグレイを倒したリューク。しかしその代償として、ナツは炎、しかも最上級の"ライナロック"を食べて大幅に強化されていた。

 

『"サンダーストーム"!!』

 

可能な限り距離を取り、遠距離魔法の"サンダーストーム"での攻撃に切り替えたリューク。しかし、ナツの勢いはその程度では止まらなかった。

 

「"火竜の咆哮"!!」

『あっぶな……っ、ここも射程範囲内か!?』

「うおおーーっ!!もう一発!!」

『あれだけは食らう訳に行かない………"クラスチェンジ"、賢者!!』

「"火竜の咆哮"!!」

『"エクスカリバー"!!』

 

再度放たれた業火のブレスに対し、リュークは風の刃を繰り出した。風の刃は業火のブレスに激突するとその場で竜巻と変化し、爆炎を散らした。

 

『(痛っっ、火の粉すら痛い………が、今だ!!)』

「まだまだぁ!!って、っっ!?」

『"風薙ぎ"っ!!』

 

竜巻で視界が遮られたその一瞬。リュークは魔戦士に"クラスチェンジ"をして武器を"鉄の剣"に切り替え"風薙ぎ"の戦技を使用、風を纏った一撃はナツの態勢を崩して反撃を防いだ。

 

『ここで決める!!"剛撃"!!』

 

ナツが怯んだ隙に、リュークは大振りの一撃を放ってナツをぶっ飛ばした。

 

「おわあっ!?」

「くっそぉ……つぎはまけなっ!?」

「がべっ!?」

 

ぶっ飛ばされたナツだが、頭を起き上がったグレイの頭と激突させた事で二人揃って気絶して倒れたのだった。

 

「そこまで!!」

「マジかあの新入り!?ナツとグレイをまとめて倒したぞ!!」

「しかも一回も攻撃を受けずにだ!!」

 

蓋を開ければ無傷でナツとグレイを下したリューク。それに対して観客となったギルドのメンバーは大いに盛り上がっていた一方、セリカとの"エンゲージ"並びに"シンクロ"状態を解除したリューク本人はとにかく安堵した表情だった。

 

「(一步間違ったら死んでたなこれは。滅竜魔導士に塩を送るマネ、二度とするか。)」

 

冷や汗を袖で拭ったリューク。これで落ち着ける………かと思われた時だった。

 

「次は私と勝負して貰おうか。」

 

鎧を着た赤髪の少女が続けて勝負を挑んだのだった。

 

 

続く




現在ヒーローズで暴れ散らかしてる"ワープライナ"ことセリカで幼ナツ&グレイ撃破です。あんなのゴロゴロ出られちゃ釣り出し戦法が中々効かなくて辛いです………

さて今回の紹介はFEおなじみのあの人の登場です。

・アンナ
FEシリーズお馴染みのアンナさん。赤髪ポニーテールのお姉さん………で続いたかと思いきやエンゲージでロリアンナさんが出て来た時は目を疑いましたね。結果、けっこうなロリコン量産機となりましたが。

FE世界と同様に同じ顔の姉妹が何人もおり、各地の街に店を構えているか行商人として各地を回っていている。
しかし原作同様にアンナの店は見つけ辛く、(流石に玉座の裏や山脈の奥深くみたいなとんでもない場所には無いが)裏路地の奥であったり民家に紛れていたりと分かりにくい場所にある。
辿り着くの方法としては行商人のアンナからの紹介で貰える"メンバーカード"に籠められた魔力を辿る以外の手段は無いに等しく、リュークも例外無く行商人アンナの紹介を経て辿り着いている。

今後も、マグノリア以外のアンナも含めて何かと出番出す予定です。
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