因みに最後まで残った紋章士を出すタイミングは決まっておりますので、その時までお楽しみにしていただければ。
レビィの解読によりフリードの仕掛けた"術式"から脱したリューク、ナツ、ガジル。"術式"による同士討ちを防ぐ為、3人はそれぞれ単独行動でラクサスの待つカルディア大聖堂へと向かった。
「さて、ただ真っすぐ行けるはずもない。それにフェルトの"視覚共有"が途切れた………"術式"に引っかかったか、もしくはフリードに勘付かれて交戦してしまったか。とにかく"術式"が厄介極まりないな。」
だがリュークは無策ではなかった。
「万一、魔法を封じられたりでもしたらおしまいだ。だから進軍スピードは落ちるけど、"術式"を"上書き"しながら進む。」
そう言いながらリュークは指輪を掲げた。
「
呪文に応じて現れた、不思議な雰囲気を纏う女性。白夜王国に生まれ、暗夜王国で育てられ、長らく敵対していた二国の戦いの中で己が道を選び戦い抜いた王女カムイである。
「お願いします、カムイ。」
『はい。大切な仲間に刃を向けなければいけない、このようなもの………絶対に止めましょう!!』
「行きましょう………"龍脈"、起動!!」
魔力をこめたリューク。すると、自分の周囲に癒しの効果を持つ霧が発生した。
「設置魔法は後出し有利、起動させる前に新しいものを設置すれば上書きできる。癒やしの霧にしておけば皆の回復にも使えるし、これで行こう。」
自分の周囲に特殊な地形効果を付与する紋章士カムイのスキル"龍脈"。これによりフリードの"術式"を上書きして少しずつ進んでいたリューク。
「ホー………」
「フェルト!!無事だったか!!」
「ホホー、ホー………」
すると、リュークは"術式"に閉じ込められでれなくなったフェルトを発見。
「"この領域内の飛行を禁ずる"………フェルト対策も万全だったって訳か………これは参ったが仕方無い、無事だっただけ良かったと思うしか無いか。少し休んでてくれ、フェルト。」
「ホホッ!!」
フェルトの無事を確認して先を急ぐリューク。"龍脈"で"術式"を上書きしながら歩き続けカルディア大聖堂に着実に近づいていたその時だった。
「ここを真っすぐ進めばカルディア大聖堂。待ってろよラクサス………」
「………ぁぁぁ………」
「ん?」
『何でしょう………悲鳴?』
「………あああ………!!」
「何か、近づいてない?」
背後から悲鳴が聞こえ、立ち止まって振り返ったリューク。
「いやあああっ!!」
「ルーシィ!?ごはっ!?」
するとそこにはすっ飛んで来たルーシィ。意味の分からない状況に判断が遅れたリュークにはそれを受け止めきれず激突し、そのまま数メートル転がっていった。
「いってて………」
「やっと止まれた………ありがとう、リューク。」
「全く………今度は何なんだ?」
「それが、"踏み入れた者を吹っ飛ばす"って"術式"を踏んじゃって………」
「………フリードさては時間持て余したな?お遊びの"術式"を書く余裕があったとは………それよりもルーシィ、いつまで俺にのしかかってるんだ?」
「あっ、ごめん!!」
慌ててルーシィが起き上がり、リュークも続けて立ち上がった。だがその瞬間、2人を囲うように"術式"が起動された。
「また"術式"………!!」
「しまった………!!」
"術式"に閉じ込められたリュークとルーシィ。そんな2人に課せられたルール、それはこのバトル・オブ・フェアリーテイルの根幹であり、混乱の元凶であった。
「"どちらかが戦闘不能になるまで術式の外へ出る事を禁ずる"………か。」
「そんな………!!」
「………予想外の結果だが、お前達を封じる事ができて良かった。」
「フリード!!」
「実力もさる事ながら、このゲームの根幹を破壊する"一番の厄介者"と、ビックスローを倒した新入り。邪魔な2人が潰し合うとなれば好都合だ。先にカナとファントムの女を消してから、勝ち残った方と戦おう………ラクサスの邪魔はさせない。」
フリードは言いたい事を言って、その場を離れた。
「ちょっと待ちなさいよ!!」
「………」
「行っちゃった………てゆーかどうすんのよ!?リュークと戦わないといけないって事!?」
「………そう言う事らしい。あと一歩でカルディア大聖堂に辿り着けたけど………さて、どうしたものか。レビィと違って解読なんかしてたらタイムオーバーになるし………」
「何でそんな落ち着いてるのよ!?」
「引っかかった以上仕方無い。どうにかフリードを誤魔化せるような戦いをして一刻も早く出るしかない。」
「あたし、リュークみたいにすぐ覚悟なんてできないよ!!そもそも、あたしはあんたと戦いたく無い!!こんな潰し合いみたいな事したくない!!」
ルーシィの叫びを聞いたリュークはにこりと笑った。
「ルーシィはそれでいいよ。………カムイ。」
『はい、何でしょう?』
「今から、"負ける"為に"エンゲージ"をします。いいですか?」
『はい。仲間を傷付けない為だと言うのなら、喜んで。』
「負ける為に………?どう言う事よ!?」
「ルーシィ、星霊は出せる?」
「え?………うん、1人なら。」
「十分だ。………ルーシィ、今から俺はお前に負ける。」
「どう言う事よ!?」
「大丈夫。ルーシィの思うような事にはならない。だから、俺を信じろ。」
じっとルーシィの目を見たリューク。するとルーシィはため息をついた。
「………分からないけど、分かったわ。で、何をすればいいの?」
「簡単だ。俺の攻撃を避けて、カウンターでルーシィの"最高火力"を繰り出す。まぁ、見れば分かるさ。カムイ!!」
『はい!!』
「『"エムブレム・エンゲージ"!!』」
紋章士カムイと"エンゲージ"したリュークはルーシィの前に左手を伸ばした。
『信じているから………避けてくれよ!!』
すると左手が変形し、竜の大口のような異形の腕に変わった。
『折れたりしない………"竜穿砲"!!』
そして異形の口が開くと、そこから激流が放たれルーシィに襲いかかった。
「きゃあっ!!」
ルーシィ目掛けて放たれた激流を跳んでかわしたルーシィ。だがそこから起き上がると星霊の鍵を取り出した。
「………本当にいいのね。どうなっても、知らないわよ!!」
そして、ルーシィは"竜穿砲"の通った後にできた水たまりに鍵を突っ込んだ。
「開け、宝瓶宮の扉、アクエリアス!!」
ルーシィが召喚したのは彼女の持つ中で最強の星霊、アクエリアス。水のある場所でしか召喚できないが、リュークの"竜穿砲"により水場が生まれたので召喚できたのだった。しかし、召喚されたアクエリアスは端的に言えば"ブチギレて"いた。
「………気に入らねぇな。」
「へ?」
「彼との旅行の後で気分が良かったってのに………この私をアゴで使うわ、私の水を食らっても立ち上がる気満々でいるわ………」
そしてアクエリアスは持っている水瓶を思いっきり振り下ろした。その激流は普段のようにルーシィを巻き込みはしなかったが、その分リューク1点に激流が襲いかかった。
『むぐ………っ!!』
「オラアッ!!そのまま溺れな!!」
「ちょっとアクエリアス!!やり過ぎよ!!」
「ちょっと黙ってろ!!」
『………』
アクエリアスの放つ激流に対して、必死に踏ん張っているリューク。だが、その顔は苦しそうにしているものの紛れも無く笑っていた。
「笑って………何で!?」
「………思い通りにされるのは癪だが仕方ねぇ………お望み通り、押し流してやるよ!!」
『………!!』
更に水流を強くしたアクエリアス。するとリュークは踏ん張れなくなり、水に流され"術式"の壁に激突。
『ごぱ、っ………!!』
「リューク!!」
『………!!』
激突した拍子に息を吐き出してしまったリューク。
「こいつでトドメだ!!そのまま流されなァ!!」
「待って!!このままじゃ溺れちゃうって!!」
『………ガボッ!!』
ダメ押しに更に水流を強めたアクエリアス。それに耐えきれなくなったのか、リュークは更に息を吐き出し、ついには"エンゲージ"が解除された。そして"エンゲージ"状態の強制解除が敗北判定となったのか、"術式"の壁も解除された。
「……………」
「"術式"が………」
「………上等だよ。この私を、"足"にするとは。」
「え?」
"術式"の壁を突破して尚無抵抗で激流に流されたリューク。その激流は勢いを落とさないまま真っすぐリュークを運んだ。運んだ先は通りの先にある、マグノリア中心にある街のシンボルマーク。そしてリュークの"目的地"である、カルディア大聖堂だ。
「「「!?」」」
そこには先に到着していたナツとガジルがラクサスと交戦していたのだが、水と共に入って来たリュークに視線が行き、それぞれの動きが止まった。
「ゲホッ、ゲホッ………流石に、意識が飛びそうだった………」
「リューク?お前何やってたんだ?」
「ちょっとね………あとでルーシィとアクエリアスには、謝罪と感謝をしないと行けないな。」
飲み込んだ水を吐き出しながら身を揺すって水を払ったリュークはラクサスへと近づいた。
「宣言通り来てやったぞ、クソガキ。」
「どうしたクソチビ、びしょ濡れだが水遊びでもしてたか?」
「ああ、とびっきりのをたった今ね。おかげで頭も目も冴え渡ってるよ。それよりも、だ。」
軽口をやめたリュークは真剣な目でラクサスを見た。
「お前がマスターになって目指すギルドは何なんだ?」
「あ?」
「最強のギルド、と常日頃言ってたような気がするが………それは誰の為に目指すものだ?」
「誰の為、だぁ?そんなの必要ねぇ!!圧倒的な力で支配すればそれでいい!!俺の支配する最強のギルドに、お前のような小賢しい奴の居場所はねェッ!!」
「………そうかよ。だからマスターの座なんか一生回って来ないんだよ。」
「ああん!?」
リュークは吐き捨てるように言ってから、拳に雷を纏い向かってくるラクサスを見た。
「………
『いつでも準備はできてるわ。』
「………あの馬鹿の、"間違った覇道"を止めます。俺に………力を、エーデルガルト!!」
「『"エムブレム・エンゲージ"!!』」
アドラステア皇帝となった紋章士エーデルガルトと"エンゲージ"したリューク。そこに、ラクサスは突っ込んで来た。
「くたばれクソチビ!!」
『………!!』
「はははっ!!びしょ濡れでよくシビれるだろう!!」
『………』
「分かったらさっさと………っっっ!?」
『勘違いしてんじゃ、ねぇッッッ!!』
「ごはっ!?」
ラクサスの雷の正拳は、びしょ濡れのリュークにはよく効いているはず。だがリュークは全く怯まず、エンゲージ武器の斧"ラブラウンダ"の強振でラクサスを吹き飛ばした。
「がはっ………!!」
『この"茶番"が成立したのは誰のおかげか分かってんのか!?街中に"術式"を設置して、女性陣を石にして、厄介な敵の露払いをして………お前をしたってここまでやった雷神衆の事は無視か!?』
「黙れ、お前に何が分かる!?」
『さあな!!分かるのは、お前がマスターに死ぬ程向いていない事と、お前の動きが単純で読みやすい事だけだ!!』
重装兵らしい大振りの攻撃は雷属性のラクサスとは相性が悪いはずだが、リュークはそんなラクサスのスピードを読み、攻撃を受けながらも"ラブラウンダ"の斧を当てていた。
「ぐはっ………!!」
『俺はお前が羨ましいよ。破門を覚悟で、全てを投げ打ってでも付いてきてくれるような
「ゴチャゴチャとうるせぇな!!"神鳴殿"起動まで時間は僅か、それまでにジジイは俺にマスターの座を譲るしか無え!!」
「そいつはどうかな?」
リュークとラクサスの怒鳴り合いに口を挟んだナツ。
「何も起きねぇよ。エルザが止めに行ったろ?」
『それに、他の仲間も動いているみたいだね。』
「………!!」
リュークが来る前にラクサスと交戦していたが、"神鳴殿"を破壊する為に離脱していたエルザ。さらに、ウォーレンが"念話"で街中で倒れていた魔導士に声をかけ、"神鳴殿"の破壊を一斉に呼びかけていた。そして、
《"神鳴殿"機能停止。》
《フリードvsミラジェーン、両者戦意喪失》
街中の魔導士の協力で一斉に"神鳴殿"が破壊されて機能停止。さらに残っていた雷神衆のフリードも、ミラとの戦いの末に戦意喪失し、雷神衆の全滅も決定づけられた。
「言ったろ、何も起きねぇって。」
『お前がどう思おうが知らないが、そもそもギルドの根幹は"助け合い"だ。1人で成り立つものじゃない。それを分かっていないからマスターの座は永遠に空かなかった。』
「………で、後はお前をぶん殴ってマスターに突き出すだけだが………」
さらにガジルも入り、リューク、ナツ、ガジルは残り1人となったラクサスに相対した。そのラクサスはと言うと、全身から雷を迸らせ狂気とも言える笑みを浮かべた。
「今思えば駆け引きなど、最初から不要………力で全員ねじ伏せれば良かっただけの事。」
『「「………!!」」』
ラクサスは笑いながら拳を天に突き上げた。
「まずはお前ら3人から消してやるよ。」
続く
ところで今回出たカムイと言えば、BOF編終わった次の六魔編から加入するウェンディと中の人が同じ………というかドラゴン女子なところまで被り散らかしてる上に、
ミコト:エルザ
リョウマ:グレイ
マークス:ラクサス
ジョーカー:フリード
ルーナ/アンナ:エバーグリーン
などと、アニメで大魔闘演武やってたのを見てたところにこんだけ中の人がいるとどうしてもプレイ中に頭の片隅でチラついたものです。
そしてそのチラつきに負け、記憶が確かならば3周目くらいのデータのカム子の名前と髪色をウェンディにしてプレイしてた記憶があります………