FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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BOF編もついにクライマックスです。


32章 咆哮

カルディア大聖堂にて、ラクサスと睨み合っていた、紋章士エーデルガルトを"エンゲージ"したリュークとナツとガジル。

 

「鳴り響くは召雷の轟き、天より落ちて灰燼と化せ………」

『来るぞ!!散開!!』

「ああ!!」

「おう!!」

「"レイジングボルト"!!」

 

天に拳を突き出し、降り注いだラクサスの落雷攻撃。これを3人は別方向に避けると3方からラクサスに迫った。

 

「"火竜の鉄拳"!!」

「"鉄竜剣"!!」

『叩き伏せる!!』

 

そして3方から同時に攻撃が繰り出されるもラクサスは天井へと昇った。

 

「フン。」

 

そして3人の頭上から雷の雨を降らせた。だが雷の雨が止むとそこには"魔封じの盾"を構えたリュークのみがいた。

 

「!!」

「うおおおっ!!"火竜の煌炎"!!」

 

その隙にナツは柱を駆け上がってラクサスの上を取り、炎を纏った両腕を合わせてラクサスに叩きつけ打ち落とした。

 

「"鉄竜槍・鬼薪"!!」

『"兜割り"!!』

 

落下したラクサスを狙って、リュークとガジルがそれぞれ縦薙ぎと連続突きで追撃。

 

「こざかしい!!」

『「!!」』

 

だがラクサスもこのままやられる訳も無くリュークの"ラブラウンダ"とガジルの槍となった腕を弾いた。だが弾かれた"ラブラウンダ"に目をくれずリュークは"アイムール"の大斧に持ち替えていた。

 

『俺は止まれない!!"紅花狂嵐"!!』

 

大斧とは思えない身軽さで連続攻撃を叩き込んだリュークは最後の一撃でラクサスを壁へと弾き飛ばすとその場を素早く離脱。するとラクサスの前には咆哮(ブレス)を準備していたナツとガジルがいた。

 

「"火竜の………」

「"鉄竜の………」

「「咆哮"!!」」

 

炎と鉄のブレスは合わさって凄まじい力となりラクサスを飲み込んだ。

 

「「どうだ………!?」」

『………いや、まだだろう。』

 

リュークの言う通り、ラクサスはこれだけの攻撃を受けても立ち上がっていた。

 

『………だが、随分ボロボロじゃないか。流石に効いただろう、|2つの滅竜魔法に"アイムール"、合わせて3つの竜特攻攻撃は?』

「あ?」

「何?」

 

何を言っている、と聞きたげなナツとガジルをよそに、ラクサスはそれを言ったリュークに少なくない傷を負った身体を向けた。

 

「………てめぇ、どこで知った?」

『苦手な食べ物の入った料理は少量でも気づくだろ?それと同じだ。』

「………そうか。じゃあ、これ以上隠す必要も無いってか。」

 

すると、ラクサスは再び雷を全身に迸らせた。だがその雷は少し変質しており、その正体に今まできょとんとしていたナツとガジルも気づいた。

 

「ま、まさか………!!」

「ウソだろ………!?」

『………!!』

「"雷竜の………」

「お前も、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だったのか!?」

「咆哮"!!」

 

ラクサスが口から放った雷のブレスは、瞬く間に3人を飲み込んだ。余波で地面を抉る程の威力のブレスが通った、その後には倒れ込むナツとガジル、そして"エンゲージ"が解除されながらも"魔封じの盾"を手に立つリュークがいた。

 

「ぐっ、うう………!!」

「身体が、麻痺して………!!」

「………やっぱり、滅竜魔法は嫌いだ………ゲホッ!!」

「まだ生きていたのか。」

 

するとラクサスはさらに魔力を溜めた。だがそれは雷の滅竜魔法では無かった。

 

「お前らもエルザもミストガンも、ジジイもギルドの奴等もマグノリアの住人も………全て消え去れ!!」

「何だ、この馬鹿げた魔力は………!!」

「この感じ、じっちゃんの………!!」

「………"妖精の法律(フェアリー・ロウ)"、だと………!?」

 

術者が敵と認識した全てを標的にする超絶審判魔法、"妖精の法律"。

 

「マスタージョゼを一撃で倒したあの………!!」

「よせ、ラクサス………!!」

「もはや見境無しか、この救いようの無い馬鹿は………!!」

「うおおお………おおおっ!!」

 

ラクサスが着々と魔力を溜めていたその時、カルディア大聖堂にレビィが乱入した。

 

「やめて、ラクサス!!」

「レビィ!?」

「バカが………何しに来やがった………!?」

 

そこでレビィが告げたのは衝撃の事実だった。

 

「マスターが………あんたのおじいちゃんが、危篤なの!!」

「!?」

「だからお願い、もうやめて!!マスターに会ってあげて!!」

「き、危篤………?じっちゃんが、死ぬ………?」

「ラクサス!!」

 

祖父(マカロフ)の危篤を、(ラクサス)に涙ながらに告げたレビィ。それに対してのラクサスの答えは。

 

「ちょうどいい。これで俺がマスターになる可能性が再浮上した。」

「………そんな。」

「ヤロウ………」

「お前は、何でそんなに………!!」

「ぐう、っ………堕ちるとこまで、堕ちたか!!」

「そのまま消えろ、妖精の尻尾!!俺が一から築き上げる!!誰にも負けない、皆が恐れ慄く最強のギルドをなぁ!!」

 

そして溜められた渾身の魔力を両手に集めたラクサスは、その手を合わせた。

 

「"妖精の法律"、発動!!全て消えろ!!」

 

そして、圧倒的な光がマグノリアを包んだ。しばらくして、リューク、ナツ、ガジルに与えられたダメージに、"妖精の法律"で消費した多大な魔力によってラクサスは肩で荒く息をしていたが、すぐに満足そうな笑みを浮かべた。

 

「俺は、ジジイを越えた………」

 

だが、その笑みは複数の咳で消える事となった。

 

「そんな、バカな………何故だ!?何故誰もやられてねぇ!!」

 

ラクサスの予想に反し、誰一人として再起不能となった者はいなかった。

 

「お前、無事か?」

「うん………私は平気。ナツは?」

「………」

「平気そうだね………ゲホッ。」

「どうなってやがる!?あれだけの魔力を食らって平気な訳無いだろ!?」

 

リューク、ナツ、ガジルにレビィ。誰一人として再起不能になっていない事に驚くラクサスだが、さらに衝撃の事実がフラフラとカルディア大聖堂に入って来た者から告げられた。

 

「ギルドのメンバーも、街の人も、全員無事だ。」

「フリード!?」

「誰一人としてお前の"妖精の法律"で倒れた者はいない。」

 

ミラとの戦闘で大ダメージを負い敗北したフリード。彼は狼狽えるラクサスに真実を突き付けた。

 

「そんなハズはねぇ!!"妖精の法律"は完璧だった!!」

「そうだ。完璧だった故に誰もやられなかった。」

「何が言いたい、フリード!?」

「誰もやられていない………それがお前の"心"だ。」

「!?」

「"妖精の法律"は術者が敵と認識した者にしか効果は発揮されない………完璧に発動してこの結果なら、意味は分かるよな、ラクサス。」

「………そうか。心の内側を魔法に見抜かれた………」

「魔法にウソはつけないな。それがお前の"本音"という事だ。」

 

どれだけ罵詈雑言を吐こうとも、本心はそうでは無かった事が暴かれたラクサスは酷く動揺した。

 

「違う!!俺の邪魔をする奴は全て敵だ!!敵なんだ!!」

「もうやめるんだラクサス。マスターの所へ行ってやれ。」

「ジジイなんかどうでもいい!!俺は俺だ!!ジジイの孫じゃねぇ、俺はラクサスだ!!ラクサスだァァァッ!!」

 

ラクサスの動揺しながらの心からの叫びを止めたのは、ナツの一言だった。

 

「皆知ってる。思い上がるなよバカヤロウ………じっちゃんの孫がそんなに偉いか、そんなに違うのか?」

 

そう言いながら立ち上がったナツは吼えた。

 

「血のつながり如きで吼えてんじゃねぇ!!ギルドこそが俺達の家族だろうが!!」

「テメェに何が分かる………!!」

「分かってなきゃ仲間じゃねぇのか?知らねぇから互いに手を伸ばすんだろォ、ラクサス!!」

「黙れェェェ、ナツ!!」

 

そしてナツとラクサスはそれぞれ炎と雷を纏い殴りかかった。

 

「俺の前から消えろナツ!!」

「お前は俺が止める!!」

「「おおおらあああッッッ!!」」

 

同時に繰り出された拳。勝ったのは………ラクサスの方だった。

 

「ぐっ!!」

「ナツ!!」

「ハァ、ハァ………だらあっ!!」

「死に損ないがっ!!」

 

再びラクサスに叩き伏せられたナツ。

 

「いい加減くたばれッッッ!!」

 

トドメの追撃で拳を倒れたナツに振り下ろしたラクサス。だがそこに、リュークが剣を持って割り込んだ。

 

「テメェまでいつまで邪魔するつもりだ、リューク!!」

「ゲホッ………竜にも色々いたよ。」

「ああっ!?」

「群れる事が好きな竜、嫌いな竜。人が好きな竜、嫌いな竜。色々見てきたし、今更それをどうこうは言わない。」

「今更御託は聞きたくねぇ、消えろ!!」

 

ラクサスは滅竜の雷を落としてリュークを黙らせようとした。だがリュークは懐に入れてある水晶のような石に魔力を籠めると青白い光で雷を相殺した。

 

「だがお前のような"狂った竜"は一様に害しか生まない!!その性根ごと斬って治してやる!!翔臨て(とびたて)、清真の紋章士(エムブレム)!!"エムブレム・エンゲージ"!!」

 

そして新たに顕現した紋章士エリンシアと即座に"エンゲージ"すると、持っていた剣をエンゲージ武器の宝剣"アミーテ"に変え斬り掛かった。

 

「そんな攻撃当たる訳………何っ!?」

 

素早く振られた"アミーテ"の連閃。その速さは雷の速さを誇るラクサスを以てしても全てを見切る事はできなかった。

 

『お前の好きにさせるものか!!』

「っっ………鬱陶しい!!」

 

ラクサスの猛攻に押されながらも斬り結ぶリューク。そこに、ナツが起き上がって飛び掛かった。

 

「オラアッ!!」

「ぐっ………テメェ如きが調子に乗るな!!」

「うぐ……っ!!」

「テメェもだ!!」

『ちっ………!!』

 

ナツを振り払った直後にリュークを押し出したラクサス。リュークは倒れるも再び立ち上がるナツの横まで後ずさりした。

 

「リューク、邪魔すんな………あいつは、俺が止める。」

『分かってるよ。だが、立ち上がるのも大変だろ?』

「そんな、訳………!!」

『俺がお前を導く標となる。お前はただ立ち上がって、あいつを倒す事だけを考えろ。』

 

そう言い、リュークは"アミーテ"を右手に、左手には豪奢な王笏を持った。

 

「そんなもんで、変わる訳無いだろうがァ!!」

『そいつは、どうかな!?』

 

リュークに狙いを変え殴りかかるラクサスに斬り掛かったリューク。だがリュークのスピードが1段階上がり、ラクサスの予想より速く斬り込んだ。

 

『はあああっ!!』

「ぐっ………!!」

『今だ、ナツ!!』

「おおらあっ!!」

 

吠えながら"アミーテ"で連撃を叩き込んだリュークに一瞬怯んだラクサス。その隙にナツが飛び掛り、連撃でクリーンヒットをラクサスに入れた。

 

「ちょこまかと!!」

「ぐっ、ふ………!!」

 

ラクサスの大振りの蹴りで遠くまで吹き飛ばされたナツ。だがリュークは大振りの隙にエンゲージ技で斬り込んだ。

 

『ぶっ飛ばして差し上げよう………"翼の先導"!!』

「その攻撃はもう飽きた!!お前も吹き飛べ!!」

『!!』

 

前蹴りで後方へと弾き飛ばされたリューク。だがリュークの攻撃が道標となったかのように今度はナツが炎を纏って突進した。

 

「ギルドは、お前のモンじゃねぇ………!!」

「黙れ!!」

「………!!」

「ザコが俺に説教たぁ100年早えよ!!」

 

何度も殴られ蹴られ、吹き飛ばされたナツ。重なるダメージで立ち上がるのもやっとなナツだが、それでも何度でも立ち上がった。

 

「ハァー、ハァー………」

「まだ、立つのか………」

「もうやめて、ナツ………死んじゃう………」

『………まだ行けるのか?』

「あ?今更、止めるとか、言わねぇだろうな………!?」

『普段なら、止めたかもね。だけど、俺もあまり、余裕が、無いからね!!もう少し、立ち上がって貰うよ!!』

「もちろんだ!!」

「………ガキがぁ!!こうなったら、跡形も無く消してやるァ!!」

 

両手に強大な雷を纏わせたラクサスにフリードが叫んだ。

 

「よせ!!そんな魔法を使ったら………!!」

「"雷竜方天戟"!!」

「殺す気かぁっ!!」

 

高速で放たれた雷の方天戟。

 

「うっ、クソォ………!!」

 

身体に限界が来ていたナツは膝をついてしまい、その代わりにリュークが前に出た。

 

『ぐっ………俺もいい加減、限界が来たか………!?』

「リューク!!いくらお前でも、それは!!」

『ナツを守る方がいいと判断した、その直感に従うまで!!』

 

"アミーテ"で"雷竜方天戟"を弾こうと構えたリューク。だがその方天戟は、リュークの手前で直角に曲がった。

 

『!!』

 

雷の方天戟が曲がったその先には、腕を鉄の棒に変えたガジルが待ち構えており、正面からそれを受け止めた。

 

「うおおお………があああっ!!」

「まさか、自らを避雷針に………」

「………行け!!」

 

ガジルの言葉に応じ、ナツは再び立ち上がった。

 

「おのれ………」

「"火竜の………」

「させるか、"雷竜………」

『させるか、というのはこっちのセリフだ!!』

 

再度雷の方天戟を生成しようとしたラクサスに、先にリュークが懐に飛び込んだ。

 

『お前は、ここまでだ!!』

「ぐほおっ!!」

 

ナツに目が行った隙を突いて、必殺の一撃を叩き込んだリューク。そのまま前のめりに地面に滑り込むとナツに向かって吼えた。

 

『決めろ、ナツ!!』

「おのれェェェ!!」

「鉄拳"!!」

 

リュークの攻撃で決定的な隙を見せたラクサスに、炎の正拳がクリーンヒット。だがそこでは終わらなかった。

 

「"鉤爪"、"翼撃"、"劍角"、"砕牙"!!」

「がはあっ………!!」

 

その魔法。竜の鱗を砕き、竜の肝を潰し、竜の魂を狩り取る。

 

『滅竜の真髄、ここにあり。』

「滅竜奥義!!"紅蓮爆炎刃"!!」

 

叩き込まれた無数の炎の拳。最後の力を振り絞った渾身の一発は、狂乱した雷の竜を打ち砕いた。

 

「ラクサスが………負けた。」

 

ラクサスが倒れた、その瞬間。

 

「おおお………オオオオオオッッッ!!」

 

ナツの咆哮が、カルディア大聖堂に響き渡った。

 

 

続く




では紋章士エリンシアの紹介です。

◎エリンシア(滝田樹里)
◯呪文:翔臨て(とびたて)、清真の紋章士(エムブレム)
◯登場作品:蒼炎の軌跡、暁の女神
◯髪色と服の色:緑色、白地に黄色
◯シンクロスキル:
・離脱の行路
自分のHPが50%以下の時、味方の隣に移動できる
・慈悲
相手が戦闘不能になるダメージを与えた時にHPを1残す戦技"慈悲"を使用可能
・叫喚
技%で相手をフリーズ状態にする
◯エンゲージスキル:
・女王の王笏
周囲3マスの味方は自分から攻撃した時、絶対追撃
◯エンゲージ武器:
・烈風の剣(剣、射程1-2)
・レスキュー(杖、射程1-8)
遠くの味方を自分の隣に転移させる
・アミーテ(剣、射程1)
2回攻撃、守備、魔防+3
◯エンゲージ技:
・翼の先導
攻撃後、遠くの味方が自分の隣に移動ができるようになる
◯Style Bonus:
・竜族=叫喚
スキル発動時、威力+10
・飛行=離脱の行路
自分のHPが75%以下で発動可能
・気功=女王の王笏
周囲3マスの味方の力、魔力+5
◯コンセプト:味方を自分の近くまで導き、強化する!!自分で攻めても、相手に反撃を許さない!!

"アミーテ"一本でぶっ飛ばして差し上げましょう!!だけだと面白くないし差別化もできないのでワープ系スキル多めの構成にしました。また、"慈悲"のスキルは勝手ながら戦技系スキルにして任意のタイミングで発動できるようにしました。"手加減"系スキルは役立つ時もそりゃありますが(育てたいキャラの経験値稼ぎとか、Echoesで闇堕ちデューテ抑えるとか)、常時発動は厳しいっす………(笑)


次回、BOF編は完結する見込みです。
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