黒い光の柱が打ち上がったワース樹海。"ニルヴァーナ"の復活が目前に迫る中、リューク、フェルト、ルーシィ、ウェンディを抱えたヒビキ、シャルルは先行したナツとエルザを追いかけ、その光の方向へと向かっていた。
「さて、リューク君。君は"ニルヴァーナ"の事をどこで知ったんだい?」
「………俺の実家はここから山を越えた先の隠れ里でした。そして隠れ里ながら外の交流もあった中で、このあたりを拠点にしていた古代人ニルビット族とも交流があったそうです。」
「ニルビット族………その人達が"ニルヴァーナ"を?」
「うん。"ニルヴァーナ"って名前だったのは知らなかったけど、彼らが"善悪反転魔法"を作り出したのは家に残っていた文献に書いてあった。」
そしてリュークは続けた。
「まず起動する事で光と闇の狭間にいるものの属性を反転させる。」
「つまり?」
「正義と悪の間で揺れ動く者、もしくは両方の性質を併せ持つ者の性格と立ち位置が逆になるって事。」
「まさか、ウェンディを殴ったのも………!!」
「………自責の念は負の感情だからね。あのままだと危なかった。」
「対応が遅れたら、俺は真剣でウェンディを斬らなければいけなかったかもしれない。そして、もしかしたらウェンディを斬った自責で俺も闇に………なんて事もあり得た。」
「そんな………」
「僕だけは"ニルヴァーナ"の正体をマスターから知らされていたけど、他の皆に伝えていなかったのはこの性質のせいだ。物事の善悪を意識し始めると思いも寄らない負の感情を生んでしまうからね。」
ただ、とヒビキは続けた。
「本当に怖いのは次の段階に入った時だ。"ニルヴァーナ"が完全に起動されると、光と闇を意図的にコントロールできるようになるんだ。」
「そんな!!」
「………確か、ニルビット族は闇の者から闇を奪う事で争いを無くそうとした。しかし奪い取った闇の制御に失敗して滅んだと書いてあった………六魔将軍の狙いは、その逆だろうね。」
「逆………つまり、光を闇に。」
「その末路は仲間同士の殺し合い、他ギルドとの理由無き戦争………一刻も早く止めないと、光のギルドは全滅する。」
リュークとヒビキの説明に、青ざめるルーシィ。それを聞いて、3人と2匹は先を急いだ。
==========
川に差し掛かったリューク達。するとそこには筏に乗せられ、乗り物酔いで動けないナツ、氷漬けにされたハッピー、そして動けないナツを殺そうとしていたグレイだった。
「何してんのよグレイ!!」
「であるからしてもしもし。」
サジタリウスを召喚し、グレイ?に牽制射撃を繰り出したルーシィ。するとグレイは不思議な話し方をし始めた。
「グレイから見たルーシィ………ギルドの新人、見た目によらず純情、星霊と紋章士を操る………へぇ、星霊。面白い!!」
氷魔法をルーシィに飛ばしたグレイだが、そこにヒビキが割り込み攻撃を防いだ。
「君はグレイ君じゃない。何者だ?」
「グレイから見たヒビキ………青い天馬、男前、詳しく知らない………情報不足か。」
すると、グレイ?の目の前にソードマスターへと"クラスチェンジ"したリュークが"サンダーソード"で斬り込んだ。
「"凶星"!!」
「危ないなぁ。グレイから見たリューク………ギルド屈指の切れ者、紋章士と換装魔法の使い手、謎が多い、朝が弱い………」
「そこまでだ、双子宮のジェミニ。」
高速の三連撃を氷の盾で防がれたリュークは距離を取り、"サンダーソード"を掲げると雷でハッピーの氷を割った。
「わっ!!」
「ハッピー、ナツを連れて離脱!!」
「あいさー!!」
「させるか………!!」
「それはこっちのセリフだ!!」
グレイ改め、グレイに化けた双子宮のジェミニはハッピーを逃がすまいと再び凍らせようとしたが、リュークが"サンダーソード"の落雷で牽制してハッピーを逃がした。
「なら………」
とジェミニは今度はルーシィに化けた。
「あたしに!?」
「………星霊情報収集完了。へぇ………じゃあお願いね、サジタリウス。」
すると、ルーシィの横にいたサジタリウスが突然ヒビキに矢を放った。
「がはっ………!!」
「な、何よこの馬!!裏切っ………」
「ち、違いますからして、それがしは………!!」
「あたしの星霊を操って………!?サジタリウス、強制閉門!!」
「シャルル、君はウェンディを連れて離脱して!!」
「言われなくても!!」
ルーシィに化けたジェミニがルーシィのサジタリウスを操っていた事を理解したルーシィはサジタリウスを強制閉門し、リュークはシャルルにウェンディを連れて離脱するように指示。
「開け、人馬宮の扉。」
「お呼びでありますかもしもし………え、あれ?」
「ええっ!?」
「
リュークは"サンダーソード"から"倭刀"に切り替え再び突撃。
「あの飛んでるネコ達を殺して!!」
「いや、しかし、それがしは………」
「強制閉門!!」
「無理よ。あたしが呼んだ星霊だもん。」
「………すまない、ルーシィにサジタリウス!!」
「ならあいつを………」
「距離を詰めたらこっちのもんだ!!」
弓矢で反撃できない所まで接近したリュークはそのままサジタリウスに必殺の一撃を加えた。そして追撃の一手をジェミニにも入れようとしたが、ジェミニの目の前に氷の柱が現れリュークの行く手を阻んだ。
『あれ?私は………?』
「紋章士まで………!!」
ルーシィの所まで跳んで戻ったリューク。するとジェミニは変身を解除し、同時にジェミニの"持ち主"が現れた。
「はーいルーシィちゃん。エンジェルちゃん参上だゾ。」
「エンジェル………六魔将軍の、星霊魔導士………!!」
すると、ルーシィは意を決してリュークに言い放った。
「………リューク、行って。」
「!!」
「ここはあたしが何とかする!!だから"ニルヴァーナ"の方を何とかして!!」
「………信じて良いんだね?」
「任せて!!」
「分かった!!」
するとリュークは魔導二輪を出してフェルトと共にその場から離脱し"ニルヴァーナ"の光の柱へ直行した。
「少なかった生存確率が減ったゾ?良いのかな、ルーシィちゃん?」
「同じ星霊魔導士として、あんたなんかには負けない。」
「へぇ………それより、私あなたの鍵が欲しいの。」
「あげるわけ無いでしょ!!開け、宝瓶宮の扉!!」
「ジェミニ閉門。」
「アクエリアス!!」
目の前に川でルーシィが繰り出すのはアクエリアスだった。
「あたしごとやっちゃって!!」
「最初からそのつもりだよ。」
そしてアクエリアスが水瓶を構え、激流を放とうとしたその時。
「開け、天蠍宮の扉。」
「え?」
「スコーピオン!!」
「ウィーアー!!」
エンジェルによって砂と共に召喚された天蠍宮のスコーピオン。すると、オラついていたアクエリアスの様子が一変した。
「スコーピおおん♡」
「はいいっ!?」
聞いたことも無い猫なで声を出すアクエリアスに驚愕するルーシィ。その理由はすぐに分かった。
「………まさか。」
「そう、私の彼氏♡」
「ウィーアー、初めまして、アクエリアスのオーナー。」
「嘘ぉーーーッ!?」
スコーピオンの挨拶の直後、アクエリアスは顔がスコーピオンに見えないようにルーシィに迫った。
「スコーピオンの前で余計な事言ってみろ………水死体にしてやるからな?」
「はい。」
ルーシィに釘を差した後、再び猫なで声でスコーピオンに甘えるアクエリアス。
「ねぇん、お食事行かない?」
「オーロラの見えるレストランがあるんだ。そう言う訳で帰ってもいいかい、エンジェル?」
「どうぞ。」
「ちょ、ちょっと待ってよアクエリアス!!」
ルーシィの制止など届かず、アクエリアスはスコーピオンと共に星霊界へと帰ってしまった。
「星霊同士の相関図も知らない小娘は私に勝てないゾ。」
「きゃっ!!………だったら!!」
エンジェルにはたかれ水中に落とされたルーシィだが、すぐに浮上すると次の星霊を出した。
「開け、獅子宮の扉、ロキ!!」
「王子様、参上!!」
「れ、レオ………!!」
「久しぶりだね、ヒビキ。」
アクエリアスに並ぶ、ルーシィの最高戦力であるロキ。だがエンジェルは余裕の笑みを浮かべるのみ。
「クス、言わなかったかしら?大切なのは相関図、相性だゾ。開け、白羊宮の扉………アリエス。」
「「!!」」
現れたのは白羊宮のアリエス。
「ごめんなさい、レオ………」
「アリエス………」
「カレンの星霊………」
「そん、な………!!」
かつて
「何であんたがカレンの星霊を!?」
「私が殺したんだもの。これはその時の戦利品だゾ。」
「あう………」
「(カレンを殺した………?この女が、僕の恋人を、殺した………"星霊魔導士が"、カレンの命を………ハッ!?)」
思考が闇に傾きかけた事に気づき、慌てて思考を断った。
「(ダメだ、こんな事を考えたら"ニルヴァーナ"に心を奪われてしまう………!!くそっ、考えちゃ、ダメだ………!!)」
そしてルーシィは、ロキが守ろうとしたアリエスと戦わないといけなくなる現実を前に鍵を出した。
「せっかく会えたのに、こんな………閉じ………」
だがロキはそれを止めた。
「見くびらないでくれ、ルーシィ。たとえかつての友だとしても、所有者が敵同士ならば戦うのが星霊。」
「たとえ恩ある相手でも主の為に敵を討つ………」
「それが僕達の………」
「私達の………」
「「誇り!!」」
そう言ってロキは光を、アリエスは綿を纏い殴り合った。
「あっれー、やるんだぁ。でもこれはこれで面白いから良しとするゾ。」
「(違う………こんなの、間違ってる!!)」
かつての友が殴り合う光景に冷笑するエンジェルと悲しみ憤るルーシィ。対極の反応を見せた中、エンジェルはさらに鍵を出した。
「とは言え、戦闘用星霊のレオじゃ分が悪いか………よーし、開け、彫刻具座の扉、カエルム。」
ロボット兵器の形をした彫刻具座の星霊、カエルムを召喚したエンジェル。するとカエルムは変形してレーザー発射、ロキとアリエスの両方を貫いた。
「がっ………!!」
「いぎっ………!!」
「あはは、成功したゾ!!」
「(味方ごと………)」
「アリエス………」
「レオ………」
「すまない、ルーシィ………」
「(いい所有者に会えたんだね。良かった………)」
そしてレーザーに貫かれたロキとアリエスは同時に閉門して消えた。
「見たかしら?これが2体同時開門。」
「信じらんない………」
「何が?どうせ星霊は死なないからいいじゃない。」
「でも痛みはあるんだ………感情だってあるんだ………それでも星霊魔導士なの!?」
目に涙を浮かべながら激昂したルーシィ。
「開け、金牛宮の扉、タウロス!!」
「MOーーー!!」
タウロスを突撃させたルーシィ。
「ジェミニ。」
だが再召喚されたジェミニはルーシィに化けると手で胸を寄せた。その姿にメロメロになってしまったタウロスは、大剣に変形したカエルムを持ったジェミニによって斬り倒されてしまった。だが、ルーシィの攻撃はこれで終わりでは無かった。
「
「!!」
『"風薙ぎ"!!』
紋章士アルムと"エンゲージ"したルーシィはエンゲージ武器、"王家の剣"を手にすると"風薙ぎ"でジェミニの持っているカエルムを弾き、そのままエンジェルに突撃。
『やあっ!!』
「動きが素人そのもの、そんなもので私に勝とうなんて甘いゾ。」
『ぐっ!!"獅子連………』
未熟な動きを見抜かれ初撃を避けられたルーシィはそれでも再接近し、"獅子連斬"を決めようとした。
『あれ?』
だが突然、"王家の剣"が消え、そのすぐ後に制限時間よりはるかに前なのに"エンゲージ"状態も解除された。
「え?何で………?あた、し………」
「大した魔力を持ってないのに無理をするからだゾ。」
「ハァ、ハァ………そん、な………」
魔力が切れてしまい、立つことすらままならなくなったルーシィ。そこに、カエルムを拾い直したジェミニが追い打ちで蹴り続けた。
「あぐっ!!いっ、あっ………!!」
「自分に殺されるってのもマヌケな話だゾ!!あはははっ、いい気味ー!!」
魔力が底をつき、自分に化けたジェミニに手も足も出ないルーシィ。だが、その目の闘志だけは消えていなかった。
「何その目、ムカつくゾ。」
「あんたみたいなの、から………アリエスを、解放するんだ。」
「は?」
するとカエルムの切っ先でルーシィは肩を斬られた。
「きゃあああっ、あ、あああ………!!」
「弱いくせに生意気だゾ?」
「………せめて、
「なら私がお前を殺してレオの鍵を貰えば解決ね………ジェミニ、やりなさい。」
エンジェルの命令で大剣となったカエルムを振り上げたジェミニ。だが振り上げた刃は、振り下ろされなかった。
「………ジェミニ?」
「きれいな声が………頭の中に響くんだ。」
ルーシィの思考を一定時間コピーしていたジェミニ。そこでジェミニは聞いた。聞いてしまった。ルーシィの星霊への想いを。
《ママ、あたし星霊大好き!!》
《目の前で消えてく仲間を放っておける
訳無いでしょ!!》
《星霊は盾じゃないの!!》
星霊への綺麗で純粋な愛と想い。それは、同じ星霊であるジェミニの戦意を削ぐには十分過ぎるものだった。
「ジェミニ………」
「くっ、消えろこの役立たず!!」
戦力として使えなくなったジェミニを閉門したエンジェル。だがルーシィの不利は全く変わってなかった。そんな時に、ヒビキがルーシィの背後から忍びよりルーシィの首に手を添えた。
「え?」
「まさか、闇に堕ちたのかこの男!!あはははっ、そのまま絞めころしちゃえ!!」
「う、そ………」
だが、ヒビキはルーシィの首を絞めず、その手をルーシィの頭へと持っていった。
「じっとして。」
そして"
「"古文書"が一度だけ超魔法の知識を与える。」
「うあっ………何これ、知らない図形がいっぱい………!!」
「(危なかった………もう少しで僕は闇に堕ちるところだった。でも、君と星霊の絆の光は僕にも届いて救ってくれた。そんな君なら、この魔法を………!!)」
超魔法の魔法陣が現れ始めるのを見たエンジェルはカエルムを持ってルーシィを仕留めようとした。
「おのれェーっ!!カエルム、やるよォー!!」
「………後は頼んだよ、ルーシィ………」
エンジェルが走り出したタイミングでヒビキはルーシィへ情報を送り終え、後ろに倒れ込んだ。
「………天を測り天を開きあまねく全ての星々その輝きを以て我に姿を示せ………」
「させるかァーーー!!」
詠唱途中で無防備なルーシィに近づき、カエルムを振ろうとしたエンジェル。
『君の刃は………』
「なっ………!?」
『届かない!!』
だがそこに紋章士アルムが割り込み、"王家の剣"でカエルムを受け止めた。
「お前、どうやって………!?」
『僕は"覇王"の紋章士だ、多少の無理無茶なら押し通せるさ。』
「英雄様だからって、過去の存在が調子に乗るなァ!!」
『そうさ、僕達は過去の存在だ。だからこそ………今を生きる、守るべき者の為に力を貸し、戦う!!』
紋章士アルムはカエルムを持つエンジェルとの鍔迫り合いを制した。
『受けてみろ!!"獅子連斬"!!』
そして"獅子連斬"の一撃目でカエルムを弾き飛ばし、二撃目でカエルムを破壊した。
「この………!!」
「テトラビブロスよ我は星々の支配者アスペクトは完全なり荒ぶる門を解放せよ」
『これで決めるんだ、ルーシィ!!』
紋章士アルムが止めた間にルーシィは詠唱を終えていた。するとエンジェルの周りに無数の星の煌めきが発生。
「全天88星………」
「ちょっと、何よ………!?」
「光る。」
そしてルーシィの目が開いたと同時に、エンジェルの周りの星の煌めきが目映く輝き、爆発を起こした。
「"ウラノ・メトリア"!!」
「きゃあああっ………!!」
星々の煌めきによる超魔法、"ウラノ・メトリア"を受けたエンジェルはそのまま吹き飛ばされてから川に落ちたが、すぐに起き上がるとカエルムの残骸を持った。
「あれ?あたし………何が起こったの?」
「負け、ない………ゾ。」
ボロボロになりながらもカエルムを銃撃の形態に変形させるエンジェル。一方のルーシィは"ウラノ・メトリア"を放った時の記憶が無く状況を理解できていなかった。
「一人一殺………」
「しまっ………」
「朽ち果て………っ!!」
そしてカエルムからレーザーが放たれようとした、その直前。月光を彷彿とさせる輝きを纏った矢がルーシィの横を通り抜け、カエルムに命中して粉砕した。
「な………!!」
『"月光閃"………ここまでだよ。』
「は、外した………(私の祈り、天使のように、空に消えたい………)」
そしてエンジェルは川にダイブし、そのまま戦闘不能となった。
「終わった………」
『大丈夫かい?』
「アルム………うん、ありがとう。」
戦闘が終わり、先に進もうとしたルーシィ。だが魔力を使いすぎ限界を迎えていた身体は思うように動かず、バランスを崩して彼女も川にダイブ。さらに、運悪くそこから急流になって流れて行ってしまった。そして泳ぐ元気の残っていない彼女はそのまま流され、滝壺に落ちた。
==========
『"ワープライナ"!!』
「「「「「ぎゃあああっ!!」」」」」
その頃、リュークは複数の六魔将軍傘下ギルドとの戦闘になっていた。傷が完全に癒え、BOF以降引きずっていた不調も消えたリュークはそれを軽々と撃破………
『くっ………どこまで押し返された!?』
「ホーッ。」
とはいかなかった。リューク自身は無傷であるものの、数の暴力によって一時は目前まで迫った"ニルヴァーナ"からは少し遠ざかってしまっていたのだった。
『どこだここは?滝壺?さっきの川の下流………?とんでもない所に流されたなぁ。』
先程いた川の下流にある滝壺付近に押し出されたリューク。すると、滝壺にドボンと何か大きなものが落ちた音がした。
『ん?』
滝壺を見たリューク。すると滝壺に落ちたもの、つまりはルーシィが浮かんで来たのを目撃した。
『ルーシィ!!』
急いでルーシィを引き上げたリューク。即座に呼吸と脈を確認して生きている事を確認したリュークはホッと息をついた。
『………良かった。』
『まさか、ここまで流されるとはね………こういう時に何もできないのは歯がゆいね。』
『アルム!!』
その後"リカバー"の杖でルーシィの手当てをしたリューク。ルーシィが目覚めるまで、彼は紋章士アルムと話をしていた。
『………戦いがどうなったかは、聞かないんだね。』
「生きていて、星霊の鍵と紋章士の指輪が無事なら十分です。聞くまでもありません。」
『随分と信頼してるんだね。』
「ギルドに入った時から何だかんだでずっと見てきてますから。今のルーシィは強い、ナツやグレイにも負けないって前に言いましたが、全くの冗談で言ったつもりは無いですよ。」
『それ、本人にも言ってあげると喜ぶんじゃないかな?』
「言っても照れて否定するか調子に乗るかのどちらかなんで、そこは………」
『そうかなぁ。もっと素直に受け取る子だと思うけど。』
すると、先程までリュークと"エンゲージ"していた紋章士セリカが話に入って来た。
『アルム、それにリューク。』
『どうしたんだい、セリカ?』
『1つ、提案があるのだけれど………少し、向こうを向いてくれないかしら?』
==========
「ん………?」
『あ、起きた。』
「あれ?治療がされて………って、何この服!?」
意識を取り戻したルーシィ。だが起き上がったルーシィがまず気づいたのが、治療が施されていただけで無く衣装も全く異なるものになっていた。
『あっ、起きた!!』
「セリカ!?この服は………!?」
『星霊界の衣装を模して皆で作ったの。さっきまでびしょ濡れだったから暖かそうなものを選んだけど、気に入ったかしら?』
今ルーシィが着ているのは紋章士ルフレの衣装を女性用に手直ししたものであった。おしゃれさんのルーシィに一部の紋章士が感化され、星霊界の衣装を参考に紋章士達が自分達の衣装をルーシィやリューク用に作っていたのだった。
「この衣装って、確かルフレの?というかセリカがいるって事は………」
「おっ、起きた。」
『せっかくだからおそろいにしたわ。』
「余計なお世話!!………って、まさかリュークにアルム………見た!?」
「『セリカが見てる前でそんな事はしないよ。』」
『大丈夫よ、私が見張ってたから。それにしても………』
紋章士セリカが空を見上げた。すると、"ニルヴァーナ"の光の柱の色が黒から白に変わっていた。
「何だかんだでさっきよりは近いのね………」
「だけど、いよいよ時間はあまり無いみたいだ。まだ行けそう?」
「行けるわ。」
「よし、それじゃ………」
と、リュークとルーシィが"ニルヴァーナ"に再度向かおうとした。
「見つけた………妖精の尻尾の、魔導士………」
「シェリー!!………てあれ?何か………」
「………ルーシィ、下がれ!!」
リュークがルーシィを庇うように前に出て"鉄の剣"と"エルファイアー"を構えた。対して、現れたシェリーは不気味に笑いながら彼女の"人形撃"で樹木を操り出した。
「バカヤロウがーッ!!」
「がふぁっ!!」
「グレイ!!」
「大丈夫か、お前ら!!」
「離せ!!まだ生きていたのか………リオン様の仇っ!!」
そこにグレイが飛び込んでシェリーを抑え込み、樹木の人形は動きを止めた。だがシェリーは血走った目で抵抗していた。
「こいつ………あの光の後急におかしくなりやがったんだ!!」
「許さない、リオン様の仇!!」
「"ニルヴァーナ"で性格を………リオンの仇、って事は………!!」
「誰の仇だって?」
続けて現れたのは、シェリーが仇を取ると意気込んでいたリオンだった。レーサーとの戦いに勝利したグレイとリオン。しかしその後レーサーの自爆特攻に巻き込まれたリオンを目の当たりにして心の揺らいだシェリーが闇に堕ちてしまっていた。だがそのシェリーの血走った表情はリオンの登場で揺らいだ。
「リオン様………!!」
「しぶてぇんだ、コイツは。」
「妖精の尻尾程ではない。」
「「あはは………」」
「………良かっ、た………!!」
リオンが無事である事を知れたシェリーは憑き物が落ちたような表情となり、涙を流しながらぱたりと倒れた。
「これが、"ニルヴァーナ"………」
その"ニルヴァーナ"だが、光の柱がさらに大きくなると周囲の地面が割れ始めた。
「そこら中の地面が………!!」
「ひーっ!!」
「起動されたか………!!」
みるみる内にそこら中の地面が競り上がり、"ニルヴァーナ"は真の姿を見せた。
「デカい………!!」
「これが、"ニルヴァーナ"の正体………!!」
「………ニルビット族の超魔法。光と闇を変える"古代都市ニルヴァーナ"………!!」
六本足で支える、かつて栄華を極めた古代都市、"ニルヴァーナ"は六魔将軍の指令塔ブレインによって完全に起動されたのだった。
続く
今更過ぎるけど、やっぱり星霊と紋章士同時に扱ってる本作のルーシィって現時点で魔力量を考慮しても原作の大魔闘演武編くらいの戦闘力あるんですよね………ちゃんと武器戦闘を習ってないにしろルーシィ本人の近接戦闘力も"エンゲージ"でだいぶ上がってますし。
リュークの「ナツやグレイにも負けない」発言も、頭の回りとか機転次第では勝ち目もあるとリュークは思っています。
・紋章士の衣装を着たルーシィ
時々星霊界の衣装を着る時があるので、それのオマージュです。ルフレ衣装にした理由は(ほぼ)男女共通なのと、状況的に着込んだ暖かそうな服選ぶよなぁという理由からです。正直のところ、妄想してて楽しなったので描写入れました(絵描けたらもっと楽しいんでしょうが私はその才能0なので………(泣))
尚どの衣装着せようかなと妄想した時にルキナの衣装着せちゃって「く"る"し"い"っ"っ"っ"」って悶絶したのが見えたので速攻候補から消えました。というか鎧着込むのが普通のFEシリーズでルーシィレベルのお胸を探すとなるとカミラとかゴルドマリーあたりの偏差値東大レベルの連中引っ張ってようやく勝負の土俵に上がれるレベルだもんなぁ………
ルフレの衣装はだいぶ着痩せする衣装だけど(そのおかげで、描く人によって本人のお胸の大きさが安定しない。少なくとも「なくはないです」よりはある)、多分ルーシィのお胸は隠せない。